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宮崎駿監督引退

 突然の引退宣言をニュースで見た時は、「シャレかな?」と思ったものの、マジだったので少なからず驚きました。

 もっとも、宮崎監督は以前から引退をほのめかしていたので、創作意欲に気力体力がついていかない感覚は相当前からあったんだろうな~?と思いますね。

 アニメーション製作は目と手指の疲労がハンパないし、椅子に座り続けての仕事なので腰痛にもなるでしょう。

 まして、監督であれば諸々雑多なストレスに晒されます。

 多分、健康問題もあるのだろうと思いますし、完全主義者なるが故に、老いの実感が許せなかったんじゃないでしょうか?

 最新作にして最終作になった『風立ちぬ』には、それだけいろんな想いが込められていたのだろうと思います。

 実は、私はまだ観ていないんです。

 いや、実を申せば、『千と千尋の神隠し』以降は劇場に足を運んでいません。

 レンタルビデオかTV放送で観れば十分だと思っていたのです。

 やっぱり、そこは好みの問題なんですね。

『ルパン三世カリオストロの城』『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』といったアクションで魅せるアドベンチャー的な作品が好みなので、『となりのトトロ』や『魔女の宅急便』『紅の豚』は、正直、惰性で観に行ったような感じでした。

 劇場で観て堪能したのは、やっぱり『もののけ姫』でした。

 ナウシカと表裏の関係にあるような作品で、時代劇で妖怪物だったということも私の好みに合いました。

 これは実写で撮っても凄い作品になるかも?という感じがしましたね。

 しかし、私が一番、好きなのは、やっぱり『風の谷のナウシカ』、そして『ルパン三世カリオストロの城』といった初期の監督作品ですね。

 つまり、ジブリ以前の作品。

 宮崎監督の卓越した手腕は、戦闘シーンやアクションの疾走感にあると思うんですよ。

 あの躍動感や浮遊感、そして間の取り方・・・。

『空とぶ幽霊船』の巨大ロボット、ゴーレムと幽霊船が武装を現して対決する戦闘シーンのワクワク感は、40年くらい経過した今でも、はっきりイメージできます。

『ルパン三世』のファースト・シーズン後半と、照樹務の名前で演出したセカンド・シーズンの傑作として名高い『死の翼アルバトロス』『さらば愛しきルパンよ』は、『未来少年コナン』のギガント編や『カリ城』を思い起こさせました。

 宮崎監督といえば、ゴリゴリの左翼運動家としても有名ですが、凡百の全共闘世代のオヤジ達が負け犬根性丸だしなのに比べて、実に好戦的な仕事っぷりで世の中に多大な影響力を発揮し続けてきました。

 ほんわかした癒し系のアニメ監督だと世間的には認知されていますが、例えばアカデミー賞を貰っても怒りの会見?で、「賞をもらうためにやってるんじゃないっ! 子供達のために作ってるんだ!」と、大人げなさ全開になったり、頑固なアーティスト気質、あるいは人嫌いの職人気質っぷりを見せつけていました。

 そういえば、『千と千尋の神隠し』の時に、「これは江戸時代の少女売春を暗示しているのではないか?」と質問されて、不機嫌に「そーだよっ!」と認めたという噂を聞きますが、本質的には極めてアナーキーな人なんだと思いますね。

『風立ちぬ』も、零戦の開発者を主人公にした作品という、一見、右寄りなイメージを踏襲するかのように見せて反戦を訴える・・・という現代日本の不用意な右傾化に異議申し立てしようとする意識が読めるんですが・・・でも、本心は飛行機好きで好戦的な自身の性質に折り合いをつけたかったんじゃないかな~?と・・・。

 やっぱり、アナーキーな人間じゃないと凄い作品は作れないと思うしな~?

 まずは、勇退することで若手の台頭を鼓舞するものとして、宮崎駿監督に敬意を表したいですね。

PS;9月のDVD割引セールは、『カリ&シラット』を半額とさせて戴きます! また、少し早いですが、来年の月例セミナー一括申し込みも受け付けます。毎月のテーマは後日、発表しますので、今しばらくお待ちください。

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映画の感想

『ドーベルマン刑事』

 漫画の『ドーベルマン刑事』とは全然、設定から異なっているので原作ファンからの評価は低いんですが、ハードボイルドアクション物としては面白い作品だと思います。

 原作のテイストは、主人公の名前と暴力刑事だというだけ!

 黒のライダーズジャケットを着てハーレーダビッドソンを乗り回し、スタームルガー・スーパーブラックホーク.44マグナムを撃つハードボイルド刑事・・・という原作の主人公のイメージを大幅に改編し、風貌はむしろ、原作に登場する大阪からやってきた下駄履き刑事の方に近く、沖縄石垣島から出てきた空手刑事で黒ブタを連れている・・・というのを千葉真一が演じてます。

 この作品の魅力は、ダーティーハリー以来の44マグナムをぶっ放すヤサグレ刑事という点にある通りなんですが、主人公は拳銃持ってません・・・どうすんの?と思っていたら、暴走族のリーダーが米兵から貰ったS&W・M29.44マグナムを借りて使うのです。

 やっぱり、スーパーブラックホーク使って欲しかったな~?とも思うんですが、この作品は「44マグナムは象を殺せる」という当時の物凄い勘違いをネタにしているので、この拳銃を撃ったヤクザが反動で引っ繰り返るとか、被弾したら頭が粉砕されるとかムチャなスプラッター描写があって楽しいです。

 この手の勘違いは当時のいろんな作品でネタにされていましたが、そうですね~・・・一番、おいおい・・・と思ったのは、ルパン三世のビューティーハリー刑事?でしたかね~?

 何しろ、コルトパイソンが44マグナムだと思い込んでいたし、両手で構えないと撃てないと思っていたり、中途半端な銃知識をマニアックに仕込んだために、かなり珍妙な話になってしまっていました。

 マニアックな描写って、よほど専門知識が無いと逆に間違いがクローズアップされてしまうんですよね? 私なんかも何回も大恥かいちゃいましたもん。

 作家って、ある意味、恥知らずでないとやってけないですね~。

 さて、この千葉ちゃん主演という点で、いつもの千葉ちゃん映画になってしまったドーベルマン刑事なんですが、これはもうジャッキー・チェンが主演したことでいつものジャッキー映画になってしまったシティハンターみたいなものだと思えば許せます。

 実際、もう何度も観ているんですが、何回観ても飽きないんですよね? 特に傑作という訳でもないのに、観る度に面白さが増すような気がする不思議な作品なんです。

 90年代にリメイクされたVシネ版の『ドーベルマン刑事』は、割りと原作通りのディテールで製作されていましたが、あんまり印象に残りませんでした。

 こちらは、まだ二枚目だった頃の竹内力が主演で、ちゃんとブラックホークを使ってるんですが・・・よくよく観ると、これって357マグナムのブラックホークなんですよね~?

 回転弾倉(シリンダー)に溝(フルーテッド)が有るのが357マグナムのブラックホークで、44マグナムのスーパーブラックホークはアンフルーテッド・シリンダー(溝が無い回転弾倉)なんですけどね・・・。

 ここまでディテール拘って、何で、最後のツメが甘いんだろ~な~?

 もっとも、21世紀に入ってからは、S&W・M500なんて、44マグナムの三倍もの威力のある拳銃が登場してしまったので、44マグナム程度では迫力不足なんでしょうが・・・なんて思っていたら、オーストリアのフェイファー・アームズのツェリザカという拳銃は.600NE弾なんていう冗談みたいな弾丸撃つそうですが・・・。

 何か、世界最強の460ウエザビー・マグナムがどうしたこうしたとか語っていた時代が懐かしいな~・・・。



『RED』

 ブルース・ウィリスはじめ引退していた殺しのプロである爺さん婆さん達が活躍する話ですが、老人というにはまだ若い50代後半くらいだったりするので、50過ぎた私にはピンときません。

 もう10歳くらい年とった設定でギャグ度を上げてもよかったんじゃないでしょうかね~?

 でも、年よりが活躍するというのは楽しいです。

 武術の世界では、70~80くらいでバリバリ現役で若い者が全然敵わない・・・なんて先生がいるからね~。



『レッドティアーズ』

 加藤夏希主演の吸血鬼アクション。ホーリーランド、ギャバンでアクション俳優としての実力を示した石垣祐摩が吸血鬼に惚れる刑事役で助演。

 しかしま~、70近い倉田先生のムチャクチャなアクションと外道なヤサグレ刑事っぷりにビックリしましたよ。

 吸血鬼の変身したデザインがライダー怪人みたいなんですが、特撮好きの夏希ちゃんがノリノリで演じるダンピール少女のアクションが凄いです。

 何か漫画のエコエコアザラクの黒井ミサがやったような、エビ反りヨーガの行者みたいなポーズで構えるところとかギャグすれすれで良かったですね~。

 何より倉田先生の記念作品なのに、いつものヒーロー倉田ではなくて悪党クラタだったりするところが面白いですね。

 監督はスプラッター・アクションが得意な辻貴則監督だったっけ?

 Vシネ規模だから正直、期待してなかったんですが、意外に見所の多い作品でした。アクション映画の枠を越える手法としてホラーとのカップリングはいいと思いますね。



『精武風雲』

 小塚師範代と一緒に劇場で観たドニーさん主演の『ドラゴン怒りの鉄拳』の続編。

 執拗な反日映画なんですが、これはドニーさんのムチャぶりアクションを楽しむ作品なんだから、細かいことはいいんです!

『イップマン』でトップスターとなったドニーさんが敬愛するブルース・リーへの偏愛を炸裂させた作品なので、評価は分かれるところでしょうが、ドニーさんの昔っからのファンである私としては、これくらいやってくれないと満足できません。

 それにしても天山黒侠って映画は本当にあるんでしょうか?

 グリーンホーネットのカトーへのオマージュと言われてますが、ジェット・リーのブラックマスクへの当てつけか?と思ったのは私だけでしょうか・・・。



『蛇鶴八拳』『カンニングモンキー天中拳』『少林寺木人拳』

 ジャッキー・チェン主演の初期のカンフー物ですが、この三作品に共通しているのは何か?・・・というと・・・。

 それは、金剛(カムカン)です!

 敵役が三つとも同じ人なんですよ。

 何か、東映カラテ映画に於ける石橋雅史先生のように、毎度出てくる金剛!

 メイクしまくりだから昔は気づかなかったけど、何度も観てると、「アレッ? この人、また出てる?」と気づく訳です。

 特に『蛇鶴八拳』と『天中拳』はキャストが相当かぶってるので、話の内容も重なってワケわかんなくなっちゃいます。

 要するに、武侠物だったんですね?

 チン・シュウトンがワイヤーでピュンピュン飛ばす演出するから武侠物といえばワイヤーで飛ぶ・・・というイメージが定着しましたが、昔はこういうもんだったんですね?

 それにしても、日本の劇場公開版の日本語の歌がついてるヤツが観たかったな~?

 にしても・・・、多くのジャッキー・ファンが、『プロジェクトA』以降のファンを公言していますが、私は初期のカンフー物のイメージが強くて、酔拳や蛇拳のポーズを決めてくれないと不満なんですよね。

 ブルース・リーに人生狂わされた人が多かったように、私はジャッキーの初期カンフー物の影響が強いですね~。訓練シーンとか真似しまくったし、腕試しで酔拳や蛇拳使ったりしてるし・・・(フッフッフ、ちゃんと勝ったぜ。相手は「マジっすか?」という顔してたけど・・・)。

 理想の姿が“飲ん兵衛の乞食だけど武術の達人”になってしまったし・・・。

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時代劇の嘘・本当

 ホームドラマ・チャンネルの『真相あばいたろ会議』が面白くて、毎度、楽しみに視聴しているんですが、山口敏太郎さんが出ていると、俄然、話題が私好みになります。

 まあ、妖怪、UMA、超常現象・・・なんかのムー的な話題は当然として、意外と古武術なんかもお好きみたいで、以前、山口さんが関わっている古武術系剣豪ムック本を購読したことがあって、「あ~、こういう方面も詳しいんだな~?」と、益々、親近感を覚えた記憶がありました。

 今回の番組では「時代劇」がテーマだったので、これはもう私も時代活劇大好き人間として、ワクワクしながら視聴しましたね。

 そして、「歴史劇と時代劇は別物」という主張には納得いきますし、時代劇映画やドラマの話も面白かったですね。

 特にゲストの方が『子連れ狼・死に風に向かう乳母車』について語ってくれたところは、大分、カットされていましたが拍手したかったですね~。誰か知らないけど・・・。

 流石、時代劇をテーマに語るだけのゲストだけあるな~・・・と思ったのですが、ちょっと・・・「う~ん・・・それは間違いなんだけどな~?」と思ったのは、刀に関するウンチクとか、いわゆるナンバの身ごなしに関する話を山口さんが語られていた点でした。

 結論から言うと、“仕方がない”んですが、要するに、武芸考証家として多数の著作がある故・名和弓雄氏の本に書かれていることを、そのまま信用して話されていることが私は判ったんです。

 でもね。

 私は自分で実験検証してきて、名和氏の説でも間違っていることは少なくないと確認できたんですよ。

 例えば、「背中に担いだ刀の柄は左肩側に出ていないと抜き納めができない」というのは間違いでした。

 右肩側に出ていても鞘を左手で引き降ろしながら柄を引き上げれば、左肩越しに抜くより素早く抜けるんですよ。

 確かに納める時は難しいですが、不可能という訳ではなく、現に圓心流には納刀法がありますね。

 そもそも、背中に担ぐのは大太刀みたいな長い刀を運搬するためであって、抜き納めは肩から外して両手に握って抜き納めしたでしょうね。

 居合術の様に瞬間に腰から抜きつけて斬るようにはできませんからね。

「実戦で使う時はあらかじめ刀を砂山に突っ込んで刃をザラザラにした」という説も、どうかな~?と思いますね。少なくともマキワラの試し斬りする場合は、刀の表面はツルツルの方がサクッと斬れると思います。

 粗く研いだ刀で試し斬りすると引っ掛かる感触があって宜しくないんですね?

 考えてみてください。

 細かい刃毀れをしていたり表面がザラついてる包丁で調理していてよく切れますか?

 砂山に刀を突っ込むのは、斬れ味が鈍った刀を緊急にタッチアップして刃をたたせるためなんじゃないかな~?と思うんですが・・・。

 ほら、切れ味が鈍くなったハサミでクシャクシャに丸めて広げたアルミホイルを切って切れ味を良くする・・・とかあるじゃないですか? アレと同じだと思うんです。

 やっぱり、実験してみないと判らないことはありますよ。

 いわゆる“本来の日本人はナンバで歩いた”説も、甲野善紀氏によって広まって、あたかも定説であるかのごとく一般に定着してしまいましたが、甲野氏にナンバをレクチャーしたのは名和氏であり、名和氏は舞踊家でもあったので、ナンバ論を最初に世間的に広めた演出家の武智鉄二氏に学んだと思われます。

 まあ、ナンバを古武術の専門用語と勘違いして広めた甲野氏の大間違いを鵜呑みにして自説を主張している武道の先生も随分といますが、これはまあ、甲野氏が戦犯?ですから、しょうがないですがね~。

 明確に否定した黒田鉄山師範は立派ですね・・・。

 時代劇では当たり前のように刀の小柄を手裏剣として使っていますが、これなんか歌舞伎に伝わってるから本当なんだと誤解されたんでしょうね?

 やってみたら判るんですが、小柄はバランスが悪くて手裏剣の代用にはとてもならないんですよ。至近距離なら刺さらなくはないけど、手裏剣の実用的間合である5~6m離れたら、まず、狙ったところに打てません。

 まだ、畳針や火箸なんかの方がいいくらいです。

 小柄というのは、サムライが使うユーティリティーナイフであって、サバイバル道具みたいなものなんですよ。それを、わざわざ投げますか? 回収不能になるでしょう? 手裏剣としての機能性も皆無なのに・・・、これって捨ててるのと同じですよ。

 この点は名和氏もそう解説されていたと記憶しています。

「日本刀は逆手で握っても斬れない」というのも実験してみたけど嘘!

 確かに難しいことは難しいけど、私、斬れるようになっちゃいましたからね。

 要は、“決めつけるのはよろしくない”ということです。

 武術では、原理原則に外れた技も結構多くて、それは秘伝として伝えられるものですが、流派の数だけ秘伝はあると思った方がいいんですね。

 超博識の山口敏太郎さんでさえ、間違った情報を与えられれば結果的に間違ってしまう・・・という訳で、これはむしろ、武術研究家としての私にも責任が無いとは言えない。

 つまり、斯界に、きちんとした実験検証で真実を究明していこうとする武術人がおらず、世間的に脚光を浴びた者が無責任に自説を主張し続けた結果、大いなる誤解と錯覚を蔓延させてしまっているからなんですね。

 だから、せめて、私くらいは“その役回り”を果たしていこうと思っています。

 期待できる人が他にいないんだから、しょ~がない・・・。

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『グランドマスター』感想

 私の苦手な恋愛オシャレ映画の旗手ウォン・カーウァイ監督の『グランドマスター(一代宗師)』を、やっと体調が戻ったので、地元の映画館で観てきました。

 思えば、『楽園の瑕(東邪西毒)』を何回観ても途中で寝てしまう・・・という体験以来、私はこの監督に対して、「恐ろしく退屈な映画を撮る人」というイメージを固定させておりまして、今回も寝ちゃったらどうしよう?と思っていたんですが、少なくとも退屈はしませんでした。

 ただ、カンフー映画特有のハッタリの効いた躍動感は乏しくて、ウ~ン・・・と唸ってしまうのは予想通りというか・・・。

 いや、アクションがつまらないという訳ではありません。

 巨匠ユエン・ウーピンはいい仕事してます。グッジョブです!

 問題は、バストアップやスローモーションが多過ぎ、雨降らし過ぎて、「何やってんのか、よ~わからん!」ということだったりします。

 事前にそういう噂を聞いていたので見逃してはいかんと思って、目を皿のようにして観ていたんですが、「ど~でもいいけど、フツーに撮れよ!」と思いましたね。

 詠春拳、八卦掌、形意拳、八極拳、洪家拳などが登場し、それぞれの秘術をかなり実戦性高く表現しているので、カンフーアクションとしては革新的なものになっているんですが、いかんせん、映像が凝り過ぎて足を引っ張ってしまっているのです。

 これはウーピン師父の責任ではなくウォン・カーウァイの趣味炸裂し過ぎてるせいでしょう・・・。

 それと、このヒト、いつも思うんですけど、やたらに心の声をかぶせまくるので、何だか朗読劇みたいになっちゃうんですよね?

「映画なんだから映像で語れよ!」と言いたくなるのは私だけ?

 字幕だから疲れる訳ですよ。吹き替えだったらいいのに・・・。


 じゃあ、面白くないか?というと、それほど酷くはありません。この気取り屋さんにしてはエンタメをちゃんと考えてるじゃ~ないの?と、評価してあげてもいいでしょう。

 時間軸と登場人物の物語があっちこっちに錯綜しまくるので、“語り”が無いと訳わかんなくなるのが容易に想像つく。なので、結果的に、これで良し!になってます。

 最初はイップマンの話だったのが、何か結果的にはチャン・ツィイー演じるゴン・ルオメイの話になっちゃってたりするのが、いつものチャン・ツィイー映画って印象ですが、ミシェール・ヨーのような力強さはありませんが、ダンスで鍛えた身体能力の高さで華麗な八卦掌の動きをうまく表現しています。

 でも、「アクション映画は二度目・・・」とか言ってたりして、「おいおい、『HERO』や『LOVERS』は忘れたんかい? 『ラッシュアワー』でジャッキーと共演してたやないかい?」と、ニセ関西人のようなツッコミを入れちゃいましたよ。

 トニー・レオンのイップマンは紳士的風貌で悪くないんですが、あの顔でゴーマンな発言をかますのは凄く違和感があります。監督的にはブルース・リーのキャラを足したイメージだそうですが、そこを足しちゃ~ダメでしょ?

 これはむしろ、チャン・チェン演じる八極拳の遣い手“一線天”とツィイーの恋愛物語にした方が良かったんじゃないの?と思ったのは私だけでしょうか?

 史実に忠実に描いたような印象もあるんですが、一線天のモデルである劉雲樵先生と宮若梅の父である宮宝森のモデルである宮宝田先生が亡命したのは香港じゃなくて台湾だし(中国映画だから検閲で設定を変えたんでしょう)、ツィイーがアヘン中毒になったという設定は、宮宝田がアヘン中毒だったからでしょうね。

 よって、八極拳が香港に伝わったという話は嘘で、実際は台湾に伝わった訳です。

 無論、宮派八卦掌も台湾に伝わってます。

 劉先生は中国武術史上最強の呼び声もある「神槍李」「李書文に二の打ち要らず」で有名な李書文公の関門弟子であることが有名ですが、実は宮宝田から八卦掌を学んでいますからね。

 イップマンとは全然、接点無かった筈なんですよ。

 この作品のパンフレットには松田隆智先生も寄稿されていますが、各門派の解説だけで、この辺りの事情については触れていません。

 劉先生に学んだ松田先生が知らない道理がないのに書いていないということは、作品自体は観ないまま依頼された原稿を書かれただけだったのかもしれません・・・。

 ドニーさんの代表作となったイップマン映画のブームの中、トニー・レオンのイップマンは、いささか影が薄いんですが、それは回りのキャラに呑まれてしまったせいでしょうか・・・。

 オムニバス映画のような構造にも問題があると思いますが、中国近代化の激動の時代に生きた中国武術の伝承者たちの群像劇を描きたかったんだろうな~?と思えば、ジェット・リーのワンチャイ・シリーズの最初の二本までのような志しは感じます。

 だけど、結局はプラトニックな恋愛話になってしまう辺り、ウォン・カーウァイ節が好きか否かで評価は決定的に違うものになるでしょう。

 私はやっぱり苦手・・・。

 けれども、DVDが出た時のメイキングが楽しみですね~。

 映像に残されなかったアクション・シーンや訓練風景に本格的な武術描写が見られるのではないか?と期待しているからです。

 特に、八卦掌や形意拳の必殺技をこれだけ描いた作品は初めてでしょう。

 形意拳の十二形拳の第一式、龍形拳。五行拳の劈・崩・鑽・横・炮の五拳。

 八卦掌の絶招“葉底蔵花”。宮派の源流である尹派の六十四手。

 これらの技の具体的実戦用法を出していたのは良かったですよ。

 翌日の稽古で早速、東京支部長と横浜支部長に応用変化技も含めて指導しました。これは宮派八卦掌の必殺技ですからね。

 ツィイーの得意の構えは“倚馬門路”からの“獅子抱球”。八卦掌は“游身八卦連環掌”と呼ばれるように、動きが途切れず流れの中でいろんな技を次から次に繰り出していくのが特徴なんですが、実は特徴的ないろんな構え・動作の“形”がそのまま技になっているので、見た目は踊ってるようにしか見えなくても、その実、いろんな“形”がそのまま技として使えるようになっているんですよ。

 尹派に繋がる宮派には少林拳的な要素もあるので、“前掃腿(足払い)”も遣うし“穿掌(貫手)”からの変化拳での“鳳眼拳(一本拳突き)”もある。立ち止まって繰り出すと普通に少林拳になりそうですが、走圏の運足の中で繰り出すので、すべての技が繋がって連続攻撃になるのです。

 これは、尹派を伝えた尹福が八卦掌を学ぶ以前に羅漢拳や弾腿を学んでいたかららしいですね。

 大連に伝わる宮派の系列では技そのものは7割りは羅漢拳だと聞きます。

 そもそも、八卦掌の創始者である董海川は、現在、どの八卦門でも基本となっている八母掌の第一式“単換掌”と第二式“双換掌”しか教えなかったそうで、八母掌や六十四手なんかは習った弟子がそれぞれ工夫して発展させたものだそうです。

 だから、八卦掌は派閥によって全然違う訓練体系だったりするのですね。中には円周を巡らない劉徳寛派六十四掌(演武線が直線を往復する)なんかもある。

 概ね、尹福と程庭華の二人によって二派に分かれて伝わったとされ、民間に広く普及したのは程派で、程が元々シュアイジャオをやっていたから合気道のような投げ技が多く、尹派はシークレットサービスに伝わったので伝承者が少なく、暗殺拳的色合いがあって秘密結社の殺手(殺し屋)に遣われる武術という側面もあるそうな。

 過日、見学させていただいた馬貴派も尹派の系列でした。

 この作品、香港では『グランドマスターズ』というタイトルなのだそうで、日本風に言うと、『武術宗家達』ということになるんでしょうか?

 本質的にはドキュメンタリー映画的な話なんでしょうね。そういう意味ではモキュメンタリー映画だと思えばいいのかも?

 いろいろ、ケチつけましたが、武術やる者としては必見の作品かも?

 でも、イップマンの一代記だと思ってると、アレレ?っと肩透かしを食らってしまうのは必定ですぞ・・・。

 ともあれ、退屈せずに最後まで観られただけでも、ウォン・カーウァイ映画初の快挙なのかも?

 あ~・・・そうだ・・・八極拳の戦い方だけは物凄くヘンでしたよ。

 ああいう戦い方にはならないよ。肘当てが特徴的だとしても、基本的には体当たりなんだから、ムエタイみたいに肘を回して打つとかしない。

 さすがのウーピン師父も知らなかったんだろうな~? 八極拳は中国じゃ“どマイナー”だから・・・。

 遠間で戦うのが得意で八極拳と併習する習慣がある劈掛掌で打ち込んで間合を詰めて肘打ちで極める・・・とかするのが八極拳の王道戦法なんですが、肘打ちのまま飛び込んでいったりするのは『拳児』の“箭疾歩(遠い間合を飛び込んで縮める歩法)”での“冲捶(中段突き)”の様子から発想したのかな~?と思います。

 が、これは無理があり過ぎますよね~(苦笑)。

 これなら、今野敏先生原作で阿部寛が主演した幻の空手映画『拳鬼』で石橋雅史先生が演じた老八極拳士の殺し屋のアクションの方がずっと“らしい”です!

 こればっかりは劉雲樵派八極拳に触れたことのある私としては納得がいかない!と思いまして、東京支部長に“冲捶の隠し技”を実演してみせましたが、これって、劉氏八極拳の戦闘原理であるという“捨身法(しゃしんほう)”を用いた一種のクロスカウンターなんですが、相手の腕をへし折りながら急所に突きをぶち込むという凶悪過ぎる技なので、東京支部長はちょっとばかし青ざめてました。

 知らんヤツは「中国武術なんか形ばっかりで弱っちい」と小馬鹿にしたりしますが、私は知れば知る程、「こりゃあ、完全に殺人を目的に考えられた技だよな~」と、そら恐ろしくなります。

 要するに、日本で中国武術やっている人(指導者も含む)の多くが実際の使い方とか戦闘理論を知らないので使えないだけなんですよ。

 たとえ拝師しても金ばっかり取られて役に立たないように教えられる場合もありますし、基本的に日本人が中国武術を学んでも本当のところは教えてもらえないと覚悟しておくべきでしょう。

 私もほとんど自分で実験しながら考案しています。習えない以上、自分で研究して工夫していくのが一番の早道ですよ。

 ただし、ここで注意が必要なのは、日本の古武術も同じですが、中国武術も現代的な試合を目的に技が組み立てられたものではないので、試合を目的にして技の工夫をしてもあまり成果が挙げられないということです。

 例えば、中国武術で一般的な凌陰脚みたいな股間蹴り(本来は金玉と肛門の間のツボに蹴り込む技でマジで死ぬらしいよ?)や、斧刃脚のような膝関節踏み折る技、喉や眼、頸骨を狙う技なんかは当然、使えませんよね?

 また、相手に触れた状態から打ち込む暗勁打法なんかも組み討ちにはもってこいの奥の手ですが、打たれた相手に重度の障害が出てしまう危険性が拭えません。

 試合向けにするなら危険な技を省いていくしかない訳ですが、そうすると効かない技で戦うしかなくなるから体格体力に優れた白人黒人には勝てなくなってしまう訳ですよ。

 かくて現代日本武道が世界で通用しなくなっていく問題と同じ運命を辿ることになってしまう訳です・・・。

 合気道や少林寺拳法が試合を選ばなかったのは、本来の武術性を考える上では賢明な選択だったと思いますね。

 競技試合をやるなら“スポーツ格技”という分野であるという認識で“別物”と弁えないと、益するものが無いでしょうね?

 ドニーさんの『イップマン』で白人ボクサーに打ち殺されてしまった洪家拳宗師の仇討ちに立ち向かったイップマンが大苦戦する様子も、無敵の武術家と思えたイップマンがボコボコにされて、やっとのことで勝つという展開に疑問を感じる人も多かったと思いますが、試合上のルールで技を制限されてしまうと根本的な戦闘理論が崩れてしまうからなんですね。

 だって、試合向けに考えられた技じゃないんだもん!

 私はそれがよく解ったので、もう絶対的に相手と同じ条件で試さないと決めてます。

「とにかく勝つ! 何が何でも勝つ! どんな汚い手を使っても勝ちゃ~いいんだよ!」というのが武術の本音であり真実なんですよ。

 何でかって? そりゃあ、生きるか死ぬかの時だけが武術の真の戦いを選ぶ刻だからですよ。

 弱い者が生き残るための最後の手段・・・それが武術なんですよ。

 作中、父の仇討ちに成功したツィイーでしたが、その後はアヘンに溺れて寂しく死んでいきます。門派の面目のために勝負に拘った揚げ句がそうなってしまった・・・という寂しい人生なんですね。

 その辺だけは武術家の業を描けていて納得できましたね~。

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亡き父の夢を息子が・・・

・・・ってことは、結構、仇討ち物の話によくありますが、武術の世界でも、神夢想林崎流居合術の林崎甚助、柳生心眼流の竹永直人、田宮流居合術の田宮坊太郎などが、殺された父親の仇を討ったという逸話が伝えられています。

 リドリー・スコットの1989年の作品『ブラックレイン』の公開直後に膀胱癌で急逝した松田優作は、この作品で演じたヤクザ“サトー”の演技が高く評価され、ハリウッド映画のオファーが殺到していたそうです。

 その中には、彼が敬愛する名優ロバート・デ・ニーロとの共演の話もあったそうで、優作さんは非常に喜んでいたそうでした。

 そもそも、松田優作という俳優は、日本映画界の切り札的な存在感を持つ俳優で、唯一絶対のオンリーワンの俳優でした。

『太陽にほえろ』のジーパン刑事でTVの人気者になり、『俺たちの勲章』の中野刑事や『大都会パート2』の徳吉刑事、『探偵物語』の工藤探偵といった役柄で日本のハードボイルド役者のようなイメージがありました。

 しかし、本人は映画への強い思い入れを持ち、『狼の紋章』『竜馬暗殺』『人殺し』『あばよダチ公』『暴力教室』などの初期の出演作品の頃や、当たり役となった殺し屋“鳴海昌平”が活躍する『最も危険な遊戯』『殺人遊戯』『処刑遊戯』などはシティハンターの原型かもしれません。

 映画俳優としてのイメージを決定付けたのは、角川映画『人間の証明』『蘇る金狼』『野獣死すべし』『探偵物語』でしょうが、『俺たちに墓はない』『乱れからくり』や、『ヨコハマBJブルース』などのアウトローも捨て難い魅力があります。

 演技派を志向してからの『陽炎座』以降は、脱アクションを試み、評価を高めた『家族ゲーム』や『それから』『嵐が丘』『華の乱』などに主演していきますが、ファンが観たいのは、やはりアクション物であり、唯一の監督作品となった『ア・ホーマンス』の独特の映像センスは、再評価すべきでしょう。

 TVでも、和製ボニーとクライド物の『熱帯夜』や、『春がきた』での演技などが思いおこされますが、芸能界には多いものの、在日韓国人二世であり、また遊郭で生まれ育ったという複雑な家庭環境からくる精神の闇(差別への恐れ)との戦いをずっと続けていたような気がしますね。

 松田優作の顔には、どこか他人とは打ち解けられない孤独の色が感じられ、それがまた若いうちから哀愁を滲ませていたような印象がありました。

 だから、人一倍、承認欲求が強かったのかもしれません。

 彼がハリウッドに拘ったのも、人種のるつぼであるアメリカならば、人種的偏見を気にしないで実力で勝負できると思っていたからかもしれません。

 そして、俳優としての伝説的存在であるロバート・デ・ニーロとの共演の話は、彼にとって最も喜ばしいものであったに違いありません。

 もちろん、ファンにとっても、日本の俳優の代表として松田優作がアメリカの名優と五分に渡り合う作品が見たかった・・・。

 あれから23年が経過し、伝説の俳優となった松田優作の息子たちは、若手実力派俳優としてTVや映画で活躍しています。


 TVを見ていて、突然、画面に優作の息子、松田龍平と、ロバート・デ・ニーロが並んで出ていて驚かされました。

 CFではありますが、父が果たせなかった夢を、息子が果たした瞬間。

 何と幸福なことでしょう。

 恐らく、キャスティングの段階で意図的に進められたのでしょう。天国で優作も喜んでいるのではないでしょうか?

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大島渚監督ご逝去

『愛のコリーダ』『戦場のメリークリスマス』『御法度』で知られる大島渚監督がお亡くなりになられました。

 TVのコメンテイターとしても活躍されていた日本の映画監督を代表する文化人としても、有名な監督でした。

 ベートーベンを思わせる風貌と着物姿で熱い性格は、反骨の人そのもので、社会の不正を許さないという全共闘世代の典型的な方だったと思います。

 一方で、女優の小山明子さんとの鴛鴦夫婦を最後まで貫いたところは、離婚が当たり前の芸能界で珍しいことだったろうと思いました。

 しかし、初めて知りましたが、あの崔洋一監督の師匠だったんですね?

 だから、崔監督は『カムイ外伝』を撮ったのか~?と、私は、ようやく納得がいきましたよ。

 大島監督は、白戸三平の忍者劇画の絵を使った長編『忍者武芸帳』を撮っています。

『カムイ外伝』も白戸三平だし、どちらも民衆が体制に虐げられている中で立ち上がろうとする抵抗の物語として、全共闘世代に好んで読まれていたとされます。

 それにしても、反骨の人が随分、少なくなってしまったな~・・・と思います。

 結局、『御法度』が最後の作品になってしまいましたが、せめて、もう一作くらいは撮らせてあげたかったですね。

 器の大きい日本人が亡くなっていくのは、寂しいですね。


 大島渚監督の御冥福をお祈りします・・・。

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映画・本の感想

 年末年始はTVが特番ばっかりでつまんないので、日本映画専門チャンネルとかアニマックスとか観たり、本を大量に買い込んできて読み耽ったりしました・・・。

 それで、ちょっと感想を書いてみます。

 まず、幕末のテロリストとして名高い岡田以蔵を勝新太郎が演じ、薩摩の田中新兵衛を、あの三島由紀夫が演じたという伝説の作品『人斬り』を、久々に観ました。

 何と言っても、この作品、キャスティングが異様な豪華さ!

 坂本龍馬を石原裕次郎が演じ、仲代達矢演じる武市半平太を冷酷非情な革命集団の狂気を秘めたリーダーとして描いた点でも出色でした。

 勝新は腕は凄いけれどもピュアな暗殺者、人斬り以蔵を人間味たっぷりに演じていて、座頭市とはまったく異なるアンチヒーロー像(ひたすらダメな人間が最後の最後に男の意地を見せて死ぬ)を表現しています。

 しかし、この作品のおいしい役は、かの文豪にして衝撃の切腹自殺を果たした三島が、ナルチシスト全開で異様な迫力を表現した田中新兵衛に注目すべきでしょう。

 三島由紀夫がホモセクシャルだったのはつとに有名な周知の事実ですが、生まれついての貧弱な肉体を美輪さんに茶化されて傷つき、執念深く肉体改造に励んだことが知られています。

 ボディビルに熱中し、同時に剣道・空手道・合気道などの武道に入門したことも有名な話です。

 実際、うちの会のジェット爺ぃことUさんは、若かりし頃に半年だけ通った合気会本部道場で修行に励む三島由紀夫を見たことがあるそうです。

 ただし、「三島由紀夫は異常なまでの熱心さで取り組んでいた」とは当時の武道関係者の誰もが共通して評することながら、同時に「恐ろしく不器用で下手だった・・・」とも付け加えるところですから、よっぽどの下手さだったのでしょう。

 事実として、あれだけボディビルに熱中して筋肉を膨らますことに執心していたら、素早く流れるように動くのが基本である武道が上達するのは難しかったでしょう。

 まして、元来、身体虚弱であったということは、元々の運動神経も悪かったのでしょうから・・・。

 けれども、この映画での三島は、まさに“はまり役”で、その不器用さが逆に武骨な薩摩武士の性格にマッチしていて、殺陣のシーンでも一撃必殺の異様な緊迫感をかもし出しています。動きは堅いんですが、剣を構えた姿の迫力は演技とは思えない殺気が出ています。

 また、武市に反発して土佐勤王党を飛び出したものの、どこも武市の声が掛かっていて刺客の腕を買ってもらえず、行きつけの飲み屋でもツケが効かないとなって、情けなさに泣きじゃくる以蔵に会った新兵衛が、「よかよか、酒くらいわしがおごってやる」と言うシーンは、その後に武市に謝罪して復帰した時に、新兵衛に罪を着せる姉公路暗殺を依頼されて動揺しながらも友を裏切ってしまう以蔵の心情にも重なります。

 だから、土佐藩邸に自白に赴く時に、自決した半兵衛をも、「薩摩の田中新兵衛・・・」と自分が殺したと告白するのでした・・・。

 この作品、改めて自衛隊駐屯地でのクーデター呼びかけの後の切腹自殺という劇的な最期を遂げた後で観れば、三島のギラギラとした眼光に単なる演技を超えた異様な迫力が出ていて、感じ入るところがあります。

 出番は少ないながらも三島由紀夫がこの作品で最もオイシイ役柄だったな~?と思うと、演劇の世界で生き続けて欲しかった・・・と、惜しい気がしますね。


『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』も、やっぱり凄いですね~。

 円谷特撮の黄金期ではないでしょうか? CGが発達した現在の視点で観ても、凄いな~と思います。

 まず、冒頭で出てくる大タコの触手のうねくり具合が神技ですよ、もう。

 そしてガイラの怖さ・・・身長が25mという設定なのも怖いですね。

 サンダの細胞が海で増殖してガイラになった・・・という設定は、平成ゴジラの細胞からビオランテが生まれ、スペースゴジラが誕生したのを彷彿とさせますし、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃』のラストで海底に沈んだゴジラの心臓がドクッドクッと脈動するシーンまでを想起させます。

 前作の『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』は、当初はフランケンシュタインとゴジラが戦う、いわば『キングコング対ゴジラ』の第二弾を狙っていたらしいのですが、この時期はゴジラのキャラクターに頼るのではなく、新しいクリーチャーを生み出そうと挑戦していた頃だったのでしょう。

 しかし、フランケンシュタインというよりはキングコング・タイプの獣人型となり、プロレスの影響が強く出た作品となりました。なんかサンダは白人プロレスラーで、ガイラはボボ・ブラジルみたい?

 最期は海底火山の噴火に巻き込まれて二匹は戦いながら海の底へ沈んでいった・・・ということになっていますが、作品の設定からすると続編を作るのは容易だったでしょう。

 無論、版権の問題でフランケンシュタインという名称は使えないでしょうが、SF作品として続編が書かれてもおかしくないように思えますね。

 例えば、『マタンゴ』が小説で続編が書かれたように・・・。

 怪獣映画というジャンルは世界でも日本のオリジナル路線で発展したジャンルなのですから、伝統芸としてちゃんとコンスタントに作るべきだと思いますね。

 東映系の仮面ライダーや戦隊シリーズは人気が定着しているのに、東宝系の怪獣路線が途絶えたままなのは、何とも残念です。

 ハリウッド版ゴジラも新生して2014年には公開されるそうですが、それに併せて日本でもシリーズ復活してもらいたいですね。

 いや、映画でなくてもTVシリーズでもいいと思いますよ。『流星人間ゾーン』を復活するという手もあるし・・・。あの作品、完結しないまま終わってるんで、東宝怪獣オール出演でやればいいと思います。

 ゴジラ・キングギドラ・ガイガンがゲスト出演し、ゴジラはゾーンファイターの危機に駆けつけて助ける正義の怪獣!という当時のヘドラ・ガイガン・メガロ・メカゴジラ・チタノザウルスとの対戦時代のキャラ設定が活かされていました。

 その後は、この時代のゴジラを「大衆に迎合して怒りを忘れて堕落した」と、否定的に語る人が多かったんですが、当時、ガキンチョだった私にとっては、ゴジラと言えば正義の怪獣で、これはガメラと共に私の世代には刷り込まれていると思います。

 だから、『ゴジラ・ファイナルウォーズ』も、X星人に洗脳されている怪獣たちがゴジラとの戦いで自我を取り戻していって地球を衛るために最後は団結して戦う!という『怪獣総進撃』的な設定だったら、もっと支持が広がったのではないかな~?と思うんですがね・・・ガイガンやカイザーギドラといった敵怪獣はカッコ良かったし・・・。

 私の精神は70年代のヒーロー番組で形成されてる感じがしますね~・・・。

『黄金の犬』も、改めてちゃんと観たら、凄い面白いのでビックリ!

 地井さんが凶悪な殺し屋を演じているので有名な作品ですが、ヤサグレ刑事の鶴田浩二が、もうほとんどダーティーハリーと化していて、敵をバンバン射殺しちゃうし、音楽がルパンや優作の遊戯シリーズ、『野性の証明』の大野雄二さんなので、ノリノリでしたよ(ちなみに大野さんのライブが相模原メイプルホールで1月27日にあります)。

 この頃の鶴田浩二は自分でアクションやる年齢じゃないんで、何だか違和感あるんですが、そこがまた男のロマンでカッコイイですね。今だったら動物虐待だって問題になるでしょうけど、ワイルドな作風が懐かしいです。


 さて、映画はひとまず置くとして、林田先生のお薦めで『荒天の武学』という新書を買って読みました。

 武道論でも知られる内田樹さんと韓氏意拳の光岡英稔さんの対談本です。

 もっとも、私はお二人が甲野善紀氏のお仲間なのも手伝って、これまであんまり本を読んだことがありませんでした。

 内田さんの本も二冊くらい読みましたが、どうも、読んでいてモヤモヤするな~?という感じで、結論として「この人とは合わない」と思っていました。

 光岡さんの本は書店で立ち読みしたくらいで買って読んだことはありません。

 何か、印象として「やたら小難しい文章を書く人だな~?」としか思わなかったのですね。具体的な技術解説が無いのも食指が動かない理由でした。

 でも、今回の本は割りとサクサク読めて、面白かったですね~。

 内田さんが「弱い武道家」だと自分を妙に卑下してたりするのが微笑ましいですが、それだけ光岡さんの実力に恐れをなして、いつもの上から目線論調が控えめになっているので読みやすかったのかもしれません。

 で、途中で何か私に当てつけて書いてるのかな?と思う箇所もあったんですが、まあ、見解の相違ってことで、私も、もうすぐ50なんで大人の観点で読みましたね。

 印象として、内田さんも光岡さんも非常に善人で純粋な人なんだろうな~?と思いました。だから、嫌な印象は受けませんでした。

 で、楽しく一気に読んで、内容を思い出そうとしたんですが・・・アレッ? 何か、サッパリ記憶に残ってないな~?と思いまして、何で記憶に残らなかったのか?・・・と考えてみて、はたと気づきましたよ。

 つまり、具体的な技なり術なりについての解説がまったく無かったんですよ。

 要するに、武術をネタにした哲学書だったんですね?

 私も学生時代に哲学本は結構読んでいたんで、それで面白く読めたんでしょうが、読み終わってから何か非常に物足りない思いが出てきた・・・それは世の中の諸問題について論じていながら具体策が全然無い・・・という点が物足りなかったのでしょう。

 また、光岡さんの「きれい事では済まない状況を如何にきれいに解決できるか」って・・・論理については、正直、私は賛成できませんでしたね。

「何できれいに解決する必要があるのか? もっとガムシャラに必死に汚くやってでも解決していこうとする執念も大切なんじゃないか?」と、私は思うんですね。

 研究家として言わせてもらえば、光岡さんは武術の定義を自分の希望的感覚で大衆迎合的に甘く語り過ぎているように思えました。武術って、そんな綺麗な代物じゃありませんよ。

 殺す技を修練した上での「人を活かす」という精神レベルに達するのであって、殺す技を体得していない人間が口先で「人を活かす」なんて言っていたらエセ宗教みたいで欺瞞にしかなりません。

 必要とあらば、どんな汚い真似をして「人非人!」と罵られようとも決然として実行する精神が必須なのであって、そこに他人の評価を求めない自己の生きざまを貫く意志の熱量を高めていくのが武術の修行じゃないでしょうか?

 綺麗とか汚いという美意識で語ることそのものが間違いだと思うんですよ。「一人殺せば人殺し。千人殺せば英雄」という価値観に繋がる非常に危険な思想の根が、そこに潜んでいますよ。

 本来、武術は兵法として徹底的に研究されてきたものが個人の自己防衛術の部分を抽出して広められたものであり、本質的には平和な時期に戦乱に備えて修行研究をする点に意味があります。それは広い意味で軍事と繋がっています。そこを無視してはいけないでしょう。

 当然、個人の戦闘術に留まらない大量殺戮の手段や情報戦をも想定して研究されていたのが現実です。毒薬や化学兵器・・・いわゆる忍術も含んでいました。

 だから、陸軍中野学校ではそういう古武術の兵法的側面が研究されたりしていた訳ですし、戦前は軍事探偵に雇われた武術家(養神館の塩田剛三、空手協会の中山正敏その他)が多く中国大陸に送り出されていたのですし、それらの人が戦後、大きな会派を率いていっている歴史的事実を鑑みれば、綺麗事で括れる道理がありません。

 それと、厳然たる事実として中国の武術は秘密結社と密接に関係している(義和団や太平天国、あるいは洪門会、各種幇会など)し、日本の武道・武術も右翼系統の流れ(有名なところは頭山一族)と不可分であることは日本の武道武術界の長老的立場の人なら誰でも知ってることですよ。

 実際に私もそういう人に何人も会ってますからね。

 そんなの小説や劇画の世界の話だろうと思ってる人が多いでしょうが、ところがどっこい・・・事実は小説より奇なり!です。

 例えば、内田さんの師匠の多田先生の先生である中村天風もまた「人斬り天風」と呼ばれた随変流抜刀術の腕を買われてある任務で中国大陸へ渡ったそうですが、そういう人は結構居たんですよ。

 今だって右翼系・ヤクザ系の武道家はざらです。興行のからむボクシングやキックの世界もそうだしね~。

 武術を美しい言葉で哲学的に語ることは、私は抵抗を感じます。権威主義で囲い込んで信仰対象にし兼ねず、修行者を“神の視座”に挙げ奉り現実逃避や増長傲慢の心根に導く危険性があります。要するに、「人を人とも思わない自己愛者を育てる」のです。

 ~~流とか~~拳だけが特別!みたいな観念が、どれだけ武術の世界を歪ませて誇大妄想狂を量産してきたか?ということを関係者はきちんと認識しなきゃなりません。

 私は、流儀を比較して優越を論じることそのものが非常にナンセンスなことだと考えますし、いろいろな流儀を研究してきて、その流儀独自の優れた点もあれば、劣っている点も必ずあって、完全な流儀などお目にかかったことがありません。

 私が膨大に研究してきたのも、比較研究せざるを得なかったからです。

 現実に武術は殺し合いと騙し合いの戦術を駆使して生き残る術を徹底的に追究してきた歴史があり、それが生きる事の綺麗言では済まないリアルに直面した結果である・・・という点を有耶無耶にごまかして語ってはならないでしょう。私はそう思っています。

『荒天の武学』、私としては不満や疑問も残りましたが、叩き台として読者にメッセージを送る本としては充分に成功していると思いますから、読んだ人達のいろんな感想を聞いてみたいですね。私の考えだって専門バカな部分は必ず有るでしょうから・・・。

 そういう意味で超御薦め!です。

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セガールがゾンビと戦う・・・

 という噂の映画『斬撃』をCSで観ました・・・。

 う~む・・・何か、セガールはゾンビ・ハンターのリーダーを演じているんですが、でかい日本刀風の刀でゾンビをスッパスッパ斬りまくってるだけで、いつものセガール映画のマンマ。

 むしろ、セガールが出てないシーンの方がゾンビ映画的にはまともな気がするんですがね~(苦笑)?

 日本刀でゾンビを斬りまくる映画っていったら、乙黒えり主演の『お姉チャンバラ』の方が断然、面白いです。

 というか、セガールは刀の扱い方がヒド過ぎて、何か観てると頭痛がしてきます。まともに習ったことが無いんだと思いますね。

『イントウ・ザ・サン』なんかは最低にヒドかったな~。日本刀のエキスパートなら絶対にやらない筈の峯打ち(刀は焼きの入っていない峯側で強く叩くと折れ易い)で、ヤクザを殴り殺すシーンなんか馬鹿丸出し!

 高倉健さんの『ザ・ヤクザ』へのオマージュだそうなんですが、居合道有段者の健さんの緊迫感溢れる殺陣とは比べるのも失礼な感じでした。

 余談ですが、『ザ・ヤクザ』をトンデモ映画扱いして語る人がいますが、ちゃんと観てるのかな~?と思います。任侠道の精神や日本刀の怖さを表現している点では極めて優れた作品だと思いますよ。

・・・っつうか、セガールは合気道とカリのテクニックは素晴らしいんだから、下手なことはやらないで、それらの技を一層、磨きをかけてアクション演出した方がいい。

 カンフーとか日本剣術は様式美に魅力があるんだから、変に崩して実戦的?に表現しようとすると失敗しますよ。

 で、この『斬撃』では、ゾンビ・ハンター達もセガール以外はあんまし強くなくて、女ハンターなんか、ろくに見せ場もないままサクッとやられてしまうし、ガッカリ感を倍増させてくれます。

 ミラジョボみたいに活躍しろとは言わないけれど、プロなんだから、そんな簡単にやられてんじゃ~ないよ~って思いました。

 それから、面白いって程じゃないけど、興味深かったのは、『シード・オブ・デストラクション』ってB級SF映画。

 これはウルトラQの『マンモスフラワー』の古代吸血植物ジュランを思い出しました。

 遺伝子操作した植物の種が盗み出されて、犯人は射殺されるものの、種は土に落ちる。

・・・と、種から根が伸びていき、超爆発的に成長!

 もうねっ・・・ほったらかしといたら地球丸ごと根を張っちゃうような勢いで、植物パニックホラー物としては、『トリフィドの日』を超えちゃってますよ。

 大地を割りながら伸びていく巨大な根とのカーチェイスなんかがあったりして、いちいちハッタリが効いてます。

 B級映画の魅力というのは、無駄に話の背景がデカイ!ということ。


 それと、『ぼくのエリ 200歳の少女』は、スウェーデン映画なんですが、北欧の寒々とした世界観の中で美少女吸血鬼といじめられっ子少年のほろ苦い恋愛を描いていて、非常にいい感じ。『キックアス』のクロエ・モレッツ主演でハリウッド・リメイクもされましたが、オリジナルの味わいは素晴らしい。

 映画秘宝でも好評価だったので楽しみにしていたんですが、期待に違わぬ傑作でした。

 ハリウッドのスタイリッシュ過ぎるヴァンパイア映画とは異なる、ちょっと切ない感じの作品です。

 ちなみに少女の親父だと思われていた中年親父は、昔、少女に惚れて一緒に暮らしてきていたんだな~?と解り、だとすると、主人公の少年も将来はああいう哀しい最期を迎えてしまうのかな~?とか思わせるんですが・・・。

 少女のために人を襲って血を抜いていたものの、それに失敗してしまい、正体がバレないように硫酸をかぶって顔面を溶かして面相を変える・・・という愛の荒業を使い、最期は少女に血を吸わせて死ぬ・・・なんとマゾヒスティックかつ犠牲的愛の精神か?

 ギレルモ・デル・トロ監督の『クロノス』を、ちょっと思い出した。


PS;26日(日)は、通常の公園の稽古はお休みで、夕方6:00~夜9:00にメイプルホールにてビデオ撮影をやります。会員の方でお手すきの方はおいでください。

PS2;長らく続けて参りましたシダックスのカルチャークラブの土曜講座も、9月で終了することになりました。御要望があれば平日夕方に再開するかもしれませんが、取り敢えず、休講となります。体験入門御希望の方はお早くどうぞ。

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ガスガンの正しくない使い方

 何か、今年は暑いせいか、丸々と太ったゴキブリがドテッと出てきて天井の角にいたりして、でも荷物をうずたかく積んでる箇所だったもんで、新聞紙丸めてぶっ叩くこともできません。

 くっそ~!と思っていて、ふと、『ミリタリーむすめ』の追加撮影で使ったガスガンで狙い撃てばいいのでは?と思って、早速、愛用のハイキャパ4.3デュアルトーン・ステンレスにガスを充填し、BB弾を数発詰めて狙い撃ちました。

 一発目外れ(ゲゲッ?)。二発目も外れ(ウゲゲッ?)。三発目でヒット!

 やった!

 しばらくして仕事していたら、二匹目が足元にピョコッと出てきて、出たな~・・・っと、慌てず騒がずガンを取って、狙おうとすると本の隙間に逃げ込みました・・・。

 しかし、このゴキブリ、またまたチョロッと顔を覗かせます。えらく動きがノロイので、よくよく見ると、お尻から白いハラワタがチョロッと出ています・・・。

 さては、さっきのゴキブリに完全ヒットはしておらず、掠っただけで逃げ延びていたのか?・・・と、今度は狙い澄まして真上からバスンと一発食らわしてやりましたよ。

 ゴキブリは真っ二つに千切れてしまいました・・・。なんか、『子連れ狼・地獄へ行くぞ大五郎』の時の雪山で胴体真っ二つになった裏柳生の者みたい?

 また、つまらぬ殺生をしてしもうたぜよ・・・。

 高校時代にタカトクのSSオートマグで撃ったゴキブリは、木っ端ミジンコになってしまって余計に汚くなってしまい、「もう、ゴキブリは撃つまい・・・」と思ったのを、つい今さっき思い出しましたよ。ああっ・・・。

 ゴキブリといえば、『宇宙猿人ゴリ』に出てきたゴキノザウルスを思い出しますが、あれって、ゴキブリをただデカクしただけだったような気がする~?

 スペクトルマンって、汚い怪獣とばっかり戦わなくちゃならなくって、大変だな~と思いましたね。ヘドロンでしょ~(臭くて汚いっ)? ミドロンでしょ~(カドミウム吐く怪獣なんだよっ)? ダストマンでしょ~(生ゴミだもんね~)? ネズバードンでしょ~(伝染病になるっ)? ネオヘドロンでしょ~(汚いだけじゃなくてIQ高いんだよっ)? メタノドンでしょ~(メタンガス吐くから臭いっ)?

 スペクトルマンはサイボーグだから金属部分が腐食したりしなかったのか? メンテナンスは大変だったのでは? ネヴュラ遊星の上司も口うるさいし・・・。

 それから、『ゴジラ対ガイガン』で人間の皮を被っていたエイリアン、M宇宙ハンター星雲人が“でかいゴキブリ”だったというのも特撮マニア間では有名な話で、それが元ネタかどうかは知らないけれど、お下劣人形劇映画『チーム・アメリカ』で金正日そっくりの悪の独裁者の正体が、これまたゴキブリ・エイリアンだった・・・。

 昔は人類が滅んだ後に地球を支配するのがゴキブリだというSF論があったけどね?

 あっ、そういえば、ゴキブリSF映画『燃える昆虫軍団』では、知能を持って高熱を出すゴキブリ群が「我々は生きる!」と、ゴキブリの群れが並んで壁に文字作ったりするバカ映画がありましたね~。

 群れで襲ってくるというのは、パニック映画のジャンルとして昔は確立してました。

 犬・鳥・蛇・コウモリ・ネズミ・蜘蛛・蜂・ミミズ(ゴカイ?)・ナメクジ・コモドオオトカゲ・ピラニア・フライングキラー(ピラニアとトビウオが合わさった)・トマト。

 最後の“トマト”というのは、かの有名なZ級パニックコメディー『アタック・オブ・ザ・キラートマト』のことですが、墜落して死人まで出たヘリコプター事故をそのままギャグに使うという掟破りをやったり、対キラートマト用に日本人科学者の作ったオッサンロボが、「走れ」と命令されると、その場でクルクル回り、「まだ片足しかできていない」と言う博士・・・が、「飛べ!」と命令されると横っ飛びにビヨ~~~ンと飛んで自滅。

 そんな命令すんなよ・・・。

『アタック・オブ・ザ・マクドナルド』という本作をパロッた自主映画も作られてますし、結構、シリーズ化されてて売れない頃のジョージ・クルーニーも出てたりします。

 大御所になった俳優が、デビューしたての頃にチョロッと出演している作品って、何かお宝映像ですよね~?

 セクシー系Vシネ『ブラックプリンセス』に出てたトヨエツ。特撮メタルヒーロー・シリーズ『特警ウィンスペクター』に出てた渡部淳郎。

 新東宝なんて凄いですよっ。『九十九本目の生娘』に出てた菅原文太。『花嫁吸血魔』に出てた池内淳子なんて髭もじゃの怪物に変身してしまう役だもん。これは生意気な池内へのパワハラで、新東宝の大蔵貢がワザとそういう役をやらせたんだとか?

 で、大物女優に成長した池内さんは『花嫁吸血魔』のネガフィルムを買って焼却したんだとか?(でも、残ってるフィルムがあって視聴可能)

 新東宝には、後に大物俳優になった人が多くて、宇津井健が主演した『スーパージャイアンツ』が白タイツに股間がモッコリのヒーローで有名ですし、天知茂も『女吸血鬼』で吸血鬼役を演じてます。

 他にも、『江戸川乱歩全集・恐怖!奇形人間』で奇形の双生児の片割れを演じていたのが近藤正臣だったというのはマニア間では有名な話です。

 吉永さゆりや太地喜和子、松坂慶子だって子供向け特撮ドラマに出てたんですからね。

 山本リンダや中田喜子が仮面ライダーに出ていたのも結構、有名な話だし、あの鳩山元総理の奥さんが子役で『黄金バット』に出てたそうだしね~。

『キャプテン・ウルトラ』のキケロ星人のジョーを演じていたのが小林捻侍だというのも有名だけど、そうだと言われなきゃ~気づかないよ。

 松田優作が『突撃!ヒューマン』の主役オーディションを受けていたというのは夏夕介の目撃談で語られていましたが、夏さんは、優作の超上手い演技を見て、「あっ、これは俺は落ちたな~」と思っていたそうです。

 もしも、松田優作が特撮ヒーローを演じていたら・・・という一コマ漫画を破裏拳リュウさんが描いていたけど、サイコーに笑えます。確か、『宇宙船』に載ってたか?

「おうおうっ、キングフラッシャーさんよぉっ? アンタもタヌキだねぇ~」ってグラサンかけた優作(一応、ヒューマンの格好してる)がタバコ吸いながら言ってる絵なんですけど・・・(笑)。


 役者さんは自分で役が選べるだけの人は少ないし、最初はどんな小さな役でもいいから演じたいと思うものでしょう。

 食えなくて辞めていく人も多い。

 けれども、一種、芝居って中毒的なものがあるから、辞めては復帰、辞めては復帰を繰り返す人もいますね。

 これは作家も同じかな~?

 新人賞取ってデビューしても、ヒットが出なけりゃ続けていけないのが現実で、デビュー数年後に続けている作家は非常に少ないと言われています。

 私なんか非常に恵まれてますよね?

 ゴキブリ並みのしぶとさがあるからかな~?

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追加撮影完了

ミリタリーむすめ』の追加撮影が8月1日にあったので、今回は千葉師範代と一緒に、お手伝いに行ってきました。

 朝6:30に渕野辺駅で待ち合わせて八王子へ。八王子で監督の車に拾ってもらって移動・・・車中で追加撮影分のシナリオを見せてもらいましたが、改造モデルガンみたいな表現があったので、「この表現はマズイから、直しましょう」と、一部のセリフを変更してもらいました。

 この辺りの言い回しの微妙な表現というのは、銃刀法の詳しい内容を知らないと、うっかり法律に引っ掛かるような内容になってしまう場合があります。

 モデルガンは、昔、ヤクザが改造モデルガンで実弾を撃てるように改造して使ったという事例があったことから、何度も銃刀法改正を繰り返してきています。

 銃口を塞ぐとか外側を金ピカにメッキするとか、亜鉛ダイキャスト製にするとか、いろいろあった訳で、そこで見た目がリアルじゃないモデルガンに変わって、ABS樹脂製のプラスチック製モデルガンが作られて普及するようになったり、アクリル製BB弾を発射するエアソフトガンが流行するようになると、ガスガンが登場して爆発的に人気が出て、モデルガンを駆逐するように普及しました。

 それに続いて、スプリングエアー式の古いタイプのエアガンも電動モーターでスプリングを圧縮するセミ・フル切り替えの電動エアガンが登場してからサバイバルゲームの主流となって、これまた爆発的に普及しました。

 ところが、高圧エア・コンプレッサーを使ってボールベアリングを発射したり、強力なスプリングをカーボンスチールギア・システム等で駆動させる装薬銃並みの威力の改造エアガン(ドラム缶に穴が開いた)を作るマニアやガンショップが出るに及んで、日本各地でエアガンのイタズラや殺傷事件(失明や肺を貫通して死亡など)が頻発し、また銃刀法が改正されてBB弾の威力の上限も1J未満に規定されました。

 このような細かい業界の変遷の経緯を知らない人だと、モデルガンとエアガン、ガスガンの区別もつかなかったり、威力の規制やら何やら、細かい法的規制に則したシナリオ内容にするのは無理な話で、そのために私に声が掛かっていた訳なのです。

 なので、今回のシナリオも、現場で見せられる前に監督と電話で話していた内容から、多分、問題があるだろうと予想していたのですね。

 まっ、問題の無いように直したので大丈夫になりましたし、表現法としても迫力が増したと思いますよ。

 正直、最初の段階から、「中学生がエアガン、ガスガン撃ち合ってもショボイんじゃないかな~?」と思っていたんですが、“ある工夫を施した”ことで、中々~な感じになると思います(予告編に一部、出てます)。

 それと、今回の追加撮影で登場した新キャラの生徒会長のお姉さん。カッコイイんですよ~。

 どんな人が演じるんだろうと思っていたんですが、イメージ通りのカッコイイ女優さんでした。

 河原でガスガンの水平撃ちを披露するんですが、このシーン。ただ撃つだけじゃ~もったいないから、石の上の空き缶を撃ち飛ばすところも撮ろう!と言っていて、その撃ち飛ばすカットは私がカメラアングルの外から撃ったんですけどね。

 風が強かったので空き缶が飛ばないように小石を入れたり川の水で重しにしたりしたんですが、そのせいでBB弾が命中しても倒れない・・・ゲゲッ・・・。

 重りを減らして風で飛ばないギリギリくらいに調整してやり直したんですが、今度はバッチリ! カンカンカーンッと撃ち落としましたよ。

 いやね~。何で、このカットに拘ったのか?と申しますと、松田優作が主演してハードボイルド・アクションの快作になる筈だったのに、優作の独断暴走で異様な“怪作”になってしまった・・・という伝説のノワール・アクション『野獣死すべし』の中で、鹿賀丈史演じる真田に射撃を教えるシーンを再現したかったんですよぉ~!

 河原で空き缶をコルト・ピースメイカーで撃つ優作・・・カーン、カーンと跳ね上がる空き缶・・・。

 アレって、火薬仕込んで電気着火式でやってる特殊効果(故トビー門口が担当)なんですが、今回、カメラのアングル外から別のガスガン(東京マルイのハイキャパ4.3デュアルトーンステンレスを使った)で撃てば同様の効果が見せられる筈・・・という計算で撮った訳です。

 まっ、本当いうと私の“趣味でやりたかっただけ”なんですけどね。結果は中々、いい感じになってると思いますよ(安上がりな特殊効果だな~?)。

 カットされてなければいいけどな~?と思ってます。

 後、ラストの撮影は唯一格闘シーンを演じている今井さんの朝自主練シーンでしたが、実は独りで練習しているシーンというのが、一番、難しいんですよね~。ずうっとやっている人が型とかやっても中々サマにならなかったりするんで、「これは難しいな~」と思っていたんです。

 で、やっぱり難しい。相手がいれば身体能力だけで魅せられるけど、独りで動くと相当に経験量が無いとサマにはならないんですよ。

 例えば、時代劇で剣豪が稽古しているシーンがあったりしても、「あ~、相当練習したんだろうな~」とは思うものの、むしろ逆に素人なのが目立ってしまってたりする訳。

 でも、しょうがないんです。型の演武が苦手な専門家も多いんですよ。

 ジャッキー・チェンやジェット・リーの凄さは、独りで演武してみれば、すぐに判りますよ。

 それと、今井さんは闘争本能が0なんで、空手的な動きは苦手みたい。時間があったら合気道とか教えたのにな~・・・。

 それでも、一所懸命、頑張ってくれました。練習が終わってお婆ちゃんから呼ばれて慌てて家に入るカットでは、慌てて靴を脱いで上がった後、きちんと靴を並べて爪先を外にする今時あり得ないくらいの礼儀正しさ!

 よっぽど家の教育がしっかりしているんでしょう。何か、みんな、呆気に取られてしまいました。

 監督のイメージに合わないとカットされてやり直しになってしまいましたが、私だったら、どんなに慌てていても要所要所で礼儀正しくなってしまう・・・というのは面白いキャラだと思って採用するんですけどね~(笑)。

 あっ、いかんいかん・・・。あんまり内容を書いてしまうと楽しみが無くなってしまいますね? これくらいにしておきましょう・・・。

・・・という次第で、追加撮影で見せ場が増えたと思います。お楽しみに~。


・・・と、いいつつ、今回は監督以外のスタッフは我々だけ。レフ板持ったり、マイク向けたり、完全に自主映画時代に戻った感じ。もちろん、ギャラもありませんよ~(笑)。

 本チャンの時は寒かったのに、今回は激暑っ。スマイル学園の面々も、相当、日焼けしちゃっただろうな~? 熱中症になってなきゃ~いいけどな~?

「追加撮影ってのは気分的にカッタルイだろうな~?」と思っていたので、主演の飯田ゆかさんがパワーストーン集めるのが趣味だということだったので、町田の東急ハンズで買っていた“鉄隕石”をお土産にプレゼントしてきました。

「流石に、隕石は持ってないでしょう」と思っていたのですが、やっぱり、喜んでもらえたみたいです。“宇宙のパワーストーン”だから最強でしょ?

「クラブの面々のキャラクターが際立つように・・・」というエグゼブティヴ・プロデューサーの指令での追加撮影でしたが、皆さん、夏休みに、お疲れ様でしたっ!

『ミリタリーむすめ』は、10月にイベント公開して、12月にはDVD発売になる予定です。よろしくねっ!

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完成までは・・・

 私が参加したアイドル映画『ミリタリーむすめ』は、もう編集も終わったと聞いていたんですが、何やらプロデューサーからのダメ出しで追加撮影をやるとのこと・・・。

 すんなり進行しているとばかり思っていたので、ちと心配・・・。

 完成直前編集版の感想を聞きたいとのことで、千葉師範代と一緒に八王子で、久しぶりに監督と会って、カラオケ店で鑑賞してみました。

 何か、Pのダメ出しの厳しさにビビッていたんですが、予想以上にいい感じで、80年代アイドル映画を思い出すホノボノさ・・・。

 撮影中のきつかった思い出も蘇り、スマイル学園の面々の芝居の健気さに泣けてきそうでしたよ。

 いや、本当に大変だったからな~・・・。

 それにしても、改めて見ると、本当にメチャクチャ可愛いな~、みんな。

 千葉師範代も役者の本領発揮していて、面白いです。私も、演技できない分、髭伸ばしたりムサ苦しさを自己演出していた甲斐があった?かな~と思います。

 まあ、客観的感想を聞きたいとのことだったんですが、何か感情入ってるから客観的には見れなかったですね~。

 60分くらいあったそうなんですが、半分くらいに感じましたね。

 短く感じるというのは、それだけ楽しめたということですから、やっぱり、いい感じなんだと思います。

 予算や準備期間などの関係で、あんまりミリタリー調にはできなかったんですが、でかい銃ばっかり持ってもらったのは正解だったと思いました。見栄えがしますね。

 特にチェイタックとオートマグを使うスナイパー役の黒木さんは長身でカッコイイ。このままハードボイルド映画で主演できますね。

 一緒に殺陣シーンやった今井さんも、動きのキレがいい感じ。編集が入ると引き立ちますね。セリフ一言もないのに、随所で目立ってます。

 山田さんも、異様な長ゼリフを的確にキメて、クラブの参謀格をしっかり演じていました。

 謎の美少女を演じた田谷さん。実はまだ小学生なんですけど、現場で本当に頑張ってましたよ。オジサンは泣きそうになったよ~。

 北村さん、羽矢さんも頑張ってました。私は現場で見てなかったんですが、なるほど、こういうシーンだったのか?と思いましたね。

 生徒会役員役では、双子の姉妹役の永島さん、岡崎さんが存在感があり過ぎで、そこに居るだけで何か笑えてくる・・・その分、内田さんと井咲さんが印象薄くなってしまったのは可哀想かな~?とも思うんですが、それを言ったら、新入生のチョイ役に回ってしまったスマイル学園の皆は、もっと可哀想ってことになっちゃうからな~・・・。

 で、何といっても、演技達者で大活躍しているのは櫻井さん。私は『うる星やつら』を思い出してしまったよ。この人は本当に上手いですよ。屈託なくコメディ演技ができるというのは将来性がありますね~。

 そして、主演の飯田さんは、今時めずらしい、大正ロマンが似合いそうな和風美人だよな~?と現場で思っていたんですが、改めて観ると、何か凄い超・美少女です!

 アイドルで人気がある子でも、客観的に見て「そんなに可愛いか?」と思ったりするじゃないですか? でも、飯田さんは誰が見ても可愛いと言うでしょう。

 個性派美人が主流の現代で、正統派美人女優へとなれる逸材だな~?と、映画を観ていて思いましたね。

 途中、ライブ映像も入れてありましたが、これまた80年代王道アイドル映画を思い出します。

 マジで、私、参加できてよかったな~と思いました。ガバッと金かけて派手に作られた映画じゃないので、DVD出た後はいろいろマイナスの評価をする人もいるかもしれませんが、少なくとも、今の時点での全員での頑張った思いは映像からも感じ取れると思います。

 追加撮影後の完成したものがどうなるか、楽しみです。


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山田五十鈴・遠藤太津朗・アーネストボーグナインさん逝去

 何か、立て続けに名優が亡くなられますね・・・。

 山田五十鈴さんは、やはり必殺シリーズの仕事人役がすぐに頭に浮かびます。藤田まことさんがシリーズの表の顔なら、山田五十鈴さんは裏の顔だったような気がします。

 それくらい存在感がハンパ無かった。

 映画の『柳生一族の陰謀』や、『用心棒』など、時代劇の傑作にも多く出演されていました。

 特別な大女優という風格がありました。

 また、時代劇と言えば、遠藤太津朗さんも亡くなられました。

 ご存じ、銭形平次親分のライバル、三輪の万七親分役が有名ですが、時代劇やヤクザ映画での憎々しげな悪役を数多く演じられています。

 しかし、この人の場合、いくら悪役を演じていても、どこか憎めないコミカルなイメージがありました。

 特に、若山先生の『子連れ狼・親の心子の心』では、拝一刀の宿敵、柳生烈堂!を演じられ、ルパン三世みたいに変装の上手い忍者に息子の軍兵衛に化けさせ、「お家のためじゃ、ハラ切ってくれい。介錯はわしがしてつかわす」と無理難題を言い付けて首チョンパしたり、ラストは若山先生と対決し、深手を負わせるものの自分も片目を刺されてしまうのでした・・・。

 でも、遠藤さんが演じていると何かギャグっぽくて、若山先生のヤリ過ぎ演技と相俟って、何かユーモラスな感じがするんですね。


 それから、『ワイルドバンチ』『ポセイドンアドベンチャー』などで知られる個性派俳優アーネスト・ボーグナインさんも亡くなられました。

 私のようなホラー映画ファンにとっては、アーネスト・ボーグナインと言えば、人間が雨で溶ける『魔鬼雨』!

 あの70年代オカルト映画群の中でも際立ってB級カルトな伝説のホラー映画です。

 悪魔を崇拝する教団の司祭役は、本当に怖かった・・・。


 山田五十鈴さん、遠藤太津朗さん、アーネスト・ボーグナインさんの御冥福をお祈りします。

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『SPEC~天~』観てきました

 仕事も、ちょっと一息ついた感じで暇ができたので、久しぶりに地元のMOVIX橋本で映画を観てきました。

 TVドラマが面白かった『SPEC』の劇場版。

 加瀬亮のSIT出身の謹厳実直な瀬文刑事と、戸田恵梨香の左手にSPECを持つ当麻刑事という対比が面白かったし、毎回のゲストの持つSPECがどんな超能力なのか?という興味もあって、ちょっと怪奇大作戦風でもありました。

 もともと、あの『ケイゾク』の続編という触れ込みで始まったドラマ・シリーズでしたが、世界観は全然別物で、まあ、金庸先生の『神雕侠侶』と『倚天屠龍記』くらいに違うという感じでしょうか?(って、誰もわかんないか?)

『ケイゾク』は、まだ刑事ドラマとしての現実味がありましたが、『SPEC』はエヴァみたいに陰謀史観が入っていたり、新人類と旧人類の戦いという仮面ライダー・アギトっぽいところがあったりします。

 あっ、今、書いてみて気づきましたけど、『SPEC~天~』はアギトそっくりかもしれませんね?

 神木クンも出てるし(神木クンがアギトに出演していたのはマニア間には有名)、神なのか大天使なのかわからないような謎のキャラも出てくるし、当麻がアギトだったと思えば、納得?

 世界の終末を思わせるエンディングながら、堤監督はユーモア・センスが強過ぎて、深刻な感じにはならないんですね。

 役者が熱演してても、無理やりギャグが挟まるところが持ち味で、観終わってもドヨ~ンとした気分にはならない。

 何か、韓流の作品なんかはドヨ~ンとした気分にさせられるものが多くて苦手なので、観なくなってしまったんですが、無理やり明るく終わる昔の香港カンフー映画とかが好きな私としては、堤作品のシャレの効いたテイストは好きです。

 特に、脇のキャラにまでインパクトある演技やセリフを言わせて印象に残るようにする演出法は、出演している役者さん達には嬉しいんじゃないでしょうか?

 例えば、デカレンジャーでデカレッドを演じていた載寧龍二に、「デカレッド」と言わせるとか・・・?

 重いシーンを軽く受け流すギャグ体質なところには、親近感を覚えますね。

 私も、去年、青木先生のお誘いで参加させていただいたチャリティー・イベントで、ギャグ・テイストの解説をしながら会員に演武させる・・・という“演出”をしたんですけど、何か、「武道だからって糞真面目に真剣に演武しているのを観客に見せて面白いのか?」と前々から思っていたんで、“お笑い”を入れた演武とかやって真面目な人に顰蹙を浴びつつウケを狙う!というアバンギャルドな芸風を追求したんですけどね~?

 余談ながら、近藤等則さんは、それを見て御自身が客員教授をやっている大学の講義に私をゲストで呼ぼうと思ったそうで、チャレンジャーですよね? 普通、あんなフザケたヤツに頼もうとは思わないでしょうけど・・・っうか、私、ついでに無刀取り演じただけで自分じゃ演武やってないですからね・・・。

 いや~、なんか、武道の演武って、物凄く厳粛な顔して真剣にやらないといけない・・・みたいなイメージを持ってる人が多くって、親しくなった小説家の方にDVD贈ったら、概ね、誉めてくださったんですけど、「一か所だけ、先生が笑いながら解説していたところがいけません!」って言われて、ええ~?って思っちゃいました。

 そんなこと言われると、セミナーの時とか稽古会の時はバカ話しながら教えているんで、面食らわれるだろうな~?と思いましたよ。笑いながらやった方がリラックスして動きは良くなるんですけどね・・・。


 思うに、堤監督も、照れ屋なんじゃないかな~?と・・・。真面目腐って芝居しているのを見ていると、いたたまれなくなるんじゃないでしょうかね?

 今回の『SPEC~天~』で完結してもおかしくないけれども、後、一回は完結編がありそうなので、それはやっぱり楽しみです。

 ちなみに、椎名吉平演じる“津田助広”って、江戸時代の有名な刀工の名前がモデルだと思います。初代は“そぼろ助広”、二代は“津田越前守助広”。大阪新刀の代表的刀工として有名なんですね。

 マニアックな言葉遊びが好きな堤監督らしいところですが、脚本の西荻さんのアイデアなのかもな~?

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『ミリタリーむすめ』銃設定考

「長野さん、映画に出たって本当?」と、ブログ読んだ人からよく聞かれるんですが、自主映画時代の知り合いで、今は映画などのプロデューサーをやっている友人から声を掛けてもらって、スマイル学園主演の映画『ミリタリーむすめ』に銃器アドバイザーとして参加した訳です。

 もちろん、私が本当にやりたかった仕事は映画製作でしたから、否の応えをする筈もなく、即決で参加を決めた次第でしたが・・・。

 まあ、撮影も無事に終わって、後は公開するまでの宣伝にも多少なりとも協力したいので、書ける範囲で書いてみたいと思います。

 どんな作品か?というと・・・

「日常の中に入り込んでくる非日常」としてのSF風味のある作品ですね。だとしても、アニメじゃなくて実写ですから、中学生女子が本物の銃を撃ちまくるという荒唐無稽さではなく、日常的な風景の中で描かれなくてはならないということで、結局、80年代からずっと続いているミリタリーとサバイバルゲームの愛好サークルという設定を活かし、キャストにはガスガンと一部電動ガンを持たせることになりました。

 もっとも、サバイバルゲーム愛好家って、よく刑事物などで変質者的Gunマニアとして描かれることが多く、そのイメージを緩和するのに“スマイル学園”の面々のキュートなルックスが大いに役立っていたと思いますね。

 いや、本当にひいき目じゃなくて、実際にカワイイんだもん。見た目だけじゃなくて性格もカワイイし、苛酷な現場でも誰も文句言わないしね~。主役のみなみを演じた飯田ゆかさんは風邪ひいて相当、シンドイ感じだったんですけど全然、弱音吐かないし嫌な顔しない。おっとりした感じなのに、本当にプロフェッショナル! もちろん、彼女だけじゃなくて全員がそうでしたけどね。

 企画当初は、ミリタリー・マニアっぷりをもっと出そうという感じだったんですが、製作費とか期間とか諸事情で、むしろ『ガンスリンガー・ガール』みたいなアニメ的な表現になったように思いますね。

 まず、主人公のみなみは、コテコテのミリタリー愛好家という設定なので、旧日本軍の南部14年式後期型(手袋をはめたまま引き金が引けるようにトリガーガードが大きくなっている)を持たせました。

 この銃は70年代くらいまでは旧日本兵が隠し持っていた拳銃という設定なんかで刑事物なんかによく出てました。前期型と後期型はトリガーガード(引き金の周りの円い部分で用心金と呼ばれる)の形で区別できますが、封印作品となっている怪奇大作戦の『狂鬼人間』で、狂わせ屋の罠にかかって一時的に発狂してしまった岸田森演じるSRIの牧史郎が、この拳銃を発砲しながら街を駆け巡る・・・というアブナ過ぎるシーンがありました。

 対する生徒会長の玲は、スコーピオン・サブマシンガンの二丁撃ち。高笑いしながら撃ちまくる姿はインパクト大。多分、作中で一番、目立っているんじゃないか?と思いますね。玲を演じた櫻井杏美さんは『マジスカ学園』や『牙狼』にも出ていたそうで、演技力とキャラクター性の強さで見事にライバル役を演じてましたね。

 参謀格の吉乃は、難しい長台詞を覚えなければいけないから、特に演技力のある人を・・・と監督が選んだだけあって、演じる山田あみさんは見事でしたね。中学生とは思えないマニアックな知識の持ち主という設定から、ワルサーP38ニッケルシルバーを持ってもらいました。

 P38といえばルパンの愛銃として有名ですが、ミリタリー・マニアにとってはドイツ軍の名銃としてオールド世代には人気が高い銃です。半自動式拳銃に初めてWアクションを組み込んだ拳銃としても有名で、現代のオートマチック拳銃の多くが、P38の機構を継承しています。

 寡黙なマーシャルアーツの遣い手の葵は、唯一、銃に頼らない。その代わり、サバイバルナイフを愛用してます。無論、中学生なのでナイフはゴム製。葵はまったく喋らない役なんですが、だからこそ逆に演技力が無いとダメ!と、監督が選んだのが今井花凜さん。

 唯一、格闘アクション・シーンもあって、ここは私が殺陣演出をして、相手役もやりましたが、蹴った痕が私の服に着いたから・・・と、凄く心配してくれて、優しい性格でしたよ。

 ちなみに、スマイル学園の面々は日頃からダンス練習しているから、総体的に身体能力高かったですね~。アクション演じる人は特別、運動神経のある人を・・・と思っていたものの、全員、そんなに差が無かったんです。

 芸能人って、普通の人間からすると天才的な才能の持ち主だと思いますよ。外見がカワイイのは当然として、それだけでは、到底、無理でしょうね~。

 大作アクション物にもそのまま出れそうなスナイパーの真希は、44オートマグを愛用してます。しかも、『ダーティハリー4・サドンインパクト』でクリント・イーストウッドが使った8インチのロングバレル。

 そして、実銃は2km先まで狙えるロングレンジ・スナイパーライフル、408チェイタック(シャイタック)M200を駆使するシーンは本作の一、二を争う見所ですよ!

 何つっても、真希役の黒木舞花さんが長身でクールでカッコイイんですよ~。現場でカメラのぞかせてもらった時に、思わず「カッコイイ~・・・」ってため息が出ましたよ。

 何しろ、対戦車ライフルみたいに馬鹿デカイ銃なんで、10代前半の女の子が持ってもサマにならんだろう?と思っていたんですが、これが実に似合っていました。これだけデカイ銃がサマになる女優さんって、他に居ないんじゃないかな~?

 もっとも、本人的には左利きなんだそうで、かなり扱い辛かったらしいですね・・・。

 このチェイタックM200は『ザ・シューター/極大射程』にも出ている重機関銃用の50BMG弾をボトルネック改良した超長距離狙撃用408チェイタック弾を撃てる銃をモデルに、香港のARES社がエアーガンとガスガンのコンバージョン・モデルとして製品化したもので、正価だと32万以上もするフルメタル製品。多分、高過ぎて売れないから他社が権利を買ったんじゃないか?と思うんですが、他社から廉価版が出てました。

 私は自主映画撮る予定で98000円のセール価格で売られていたのを買ったんですけど、まさかプロの映画のステージガンで使うことになろうとは・・・?

 余談ついでに書きますと、湾岸戦争以後、現在、1km以上を狙えるスーパーロングレンジ・スナイパーライフルの需要が高まり、以前は50BMGを使うバレットやマクミラン、ヘカートなんかが使われていたものの、50BMGは元々が重機関銃用の弾丸なので精度がちと足りない・・・ということで、超遠距離が狙えて精度が高い弾丸が研究されて、その中で408チェイタック弾も作られた訳ですが、広く使われるようになりつつあるのは、338ラプアマグナム弾で、弾丸の直径はオーソドックスなスナイパー用ライフルのレミントンM700などに使われる308ウインチェスターとほとんど変わらないものの、薬莢の大きさと弾頭の長さは圧倒的に大きく、精度も高いようです。

 後、発砲シーンは無いんですが、ミリタリー研究会の遥香(北村真珠)はレミントンM700。

 美由(羽矢有佐)はウイルソンLEとハイキャパ4.3デュアルトーンというコルトガバメントのカスタムガンの二丁遣い。

 謎の美少女・愛(田谷菜々子)は持ち銃無し(理由は本編を観れば判りま~す!)。

 玲が率いる生徒会の面々も、ミリタリー趣味は無い筈なのに重武装!

 万里子(井咲碧海)は西部劇仕様の古銃レミントン・バントライン・カービン。

 香(内田美衣)は逆に最新式のM4ナイツカスタム。

 中学生とも思えない?小柄な姉妹の姉、弥生(永島穂乃果)は、かの有名なかつての世界最強拳銃弾44マグナムの実に三倍のエネルギーを持つ50口径のマグナム弾が撃てるS&W・M500と、シティハンターの愛銃で有名なリボルバーのロールス・ロイスと異名を取ったコルト・パイソン357マグナムの8インチ・ハンターモデル。

 妹の皐月(岡崎いちご)も負けじと、スタームルガー・スーパーブラックホーク44マグナムの10インチ・ロングバレルのステンレスシルバーモデルと、『ドーベルマン刑事』の愛銃7.5インチの通常ブラックモデル。

 この姉妹は小さな身体に巨大なマグナム拳銃の二丁遣い(と、黒グラサンとゴーグル)というアンバランスさ。

 それから、ナチスの秘密兵器ハウニブを守る旧日本軍兵士の老人三人組の銃は、リーダーの治五郎(白木みのる)が38式歩兵銃。

 松尾(谷口英俊)がルガーP08アーティラリーモデル。『ルパン三世カリオストロの城』で峰不二子が持っていた拳銃です。

 私が演じた田沼(このために髭伸ばしたんだよ~)は、モーゼルM712にホルスター付きストックを取り付けたもの。

 モーゼルは『殺しが静かにやってくる』『殺しのライセンス』等々、多くのアクション映画に登場してますが、『狙撃』で主人公を追い詰める殺し屋の森雅之が使っていたのがマニア間で有名。主人公の加山雄三は単発式の特殊拳銃、スタームルガー・ハウキイ256マグナム(別名ホークアイ)を使って対決してました。


 老人三人組の銃は本物という設定ながら、スマイル学園演じる美少女中学生軍団は、法定基準威力に調整されたガスガン、エアガン、電動エアガンを使う設定となってます。

 選んだ銃器は、ミリタリー設定とはいささか掛け離れた物になってますが、これらがもし実物だったら?・・・前代未聞のGunアクション映画になっていた・・・かもね?


 それから、ネタバレになったら困るので、書けるギリギリで裏設定について書くと、この作品、ナチスの遺産を巡るSFでもあるんです。

 ナチスを結成したヒトラーがオカルトへ傾倒していたのは有名な話で、現にナチスの前身はオカルト秘教結社、トゥーレ協会だったのは有名。

 親衛隊のハインリヒ・ヒムラーもルーン文字の呪力を信じていたり、ヒトラーに憧れていたというオウム真理教の松本と似た精神構造だったと思われます。

 そもそも、当時はブラバツキー夫人の神智学が注目され、ルドルフ・シュタイナーが人智学を立ちあげ、悪名高い黒魔術師アレイスター・クロウリーが活躍した時期で、魔術的世界観に憧れる知的エリートが多かったんでしょうね。

 ナチスが次々に特殊な新兵器を作り出していたのも関係が無かったとは言えません。

 オカルト話はヨタ話と簡単に決めつける知識人は多いんですが、日本だって戦争末期には密教の秘技でアメリカ大統領を呪殺しようとしていたんだし、火の無いところに煙はたたないのでは?

 芸能人の占い師頼りを笑えないのが、この世の現実なんですよ。


 それと・・・撮影している時は気づかなかったんですが、撮影後に思ったのは、この作品、黒沢明監督の『七人の侍』に『隠し砦の三悪人』、それに『未知との遭遇』のニュアンスが入っているな~?ということ。

 御承知のごとく、『七人の侍』は、多くの亜流作品を生み出しています。『荒野の七人』『宇宙の七人』『七人のオタク』『Vマドンナ大戦争』『セブンソード 七剣下天山』といった具合・・・。

 あ~、そういえば・・・打ち合わせで監督と話している時に、『七人のオタク』について語ってましたね~?

 奇しくも、ミリタリー研究会のメンバーは、謎の美少女、愛を入れて七人。

 やっぱり、意識的だったのか?

 もっとも、テッポウを使うから『荒野の七人』が近いんですけれども、邦画マニア間で隠れファンの多い『Vマドンナ大戦争』に、ちょっと似てる感じもしますね。

 あの作品はハードバイオレンスな描写から、全体的に暗い印象で闇に埋もれてしまった傑作だったんですけれども、『ミリタリーむすめ』はアイドルの萌え要素がテーマ。

 必然的に猫カフェ・ムード?が漂う、まったりしたコメディが基本ライン。

 しかし・・・ロケ現場は苛酷を極めていました。全員、体調を崩してました。

 あの状況で笑顔と挨拶を忘れず、撮影の合間も歌って踊るスマイル学園の面々のド根性には、ただただ、感動!でしたね~。

 ロケ現場に同行していたプロデューサーも、帰りに御一緒したんですけど、「あの子たち、改めて見たら、メチャクチャ、カワイイな~」って、何度も言ってました。

 私、本当に早く完成した映画が観たいんですよ~。モーニング娘。の初主演映画の『モーニング刑事』より面白いと思うんですけどね(っつうか、観たこと無いんだけど)。

 皆、メジャーになって活躍してね~。「俺、この子たちと仕事したことあるんだぜ」って、飲み屋で自慢するからさ~。


PS;この『ミリタリーむすめ』は、製作支援サービス・上映イベントサービスを展開するドリパスによる作品です。ドリパス支援者には特典が付きますから、関心のある方は是非、宜しく!

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萌え殺しのロケ終了

 福島県の白河でアイドル“スマイル学園”の主演映画『ミリタリーむすめ』のロケに参加してまいりました。

 いや~、一言でいって、キツかった・・・。

 ちょうど、桜が満開の頃かな?と思っていたら、異様な寒気のために桜の開花は遅れておりました。いや、それよりも、妙に寒くて、春に慣れていた身体がパニクってしまい、喉風邪はぶり返すは、腹は壊すは、膝の関節炎も出てきて、揚げ句に腰痛まで出てきて、肉体的には散々な状態でしたよ~。

 私、今回、85歳の老人役もやってるんですが、最後の日には肉体的に本当にそのくらいの状態になってたかもしれませんね?

 俳優業をやっている千葉師範代にも助手兼役者で参加してもらっていたので、何とかなりましたが、私独りだったら、ちょっとこなせなかったでしょうね~。

 キャストの持つ銃の管理や持ち方、撃ち方などの指導をやった訳ですが、普通に考えれば簡単そうに思えるところでしょうが・・・人数が多いから大変なんだもん!

 おまけに、9割り方、私の個人所有の銃を使ったんですが、映画撮影用じゃないから重くて、アイドルの女の子に持たせると負担が大きくて、大変だったろうな~と思います。

 中には、10kg近い重いライフルまであったし、基本的にマグナム系のデカイ銃ばっかり持たせてますからね~。

 しっかし・・・今回、本当に驚かされたのは、中にはまだ小学生の子もいたくらい、若いアイドルの女の子たちが苛酷な撮影現場で文句も言わず、駄々をこねるでもなく、鬼監督?の指示に「よろしくお願いします!」「ありがとうございました!」って、懸命に仕事をこなしていっていたことです・・・。

 アクション・シーンなんて、予算足りないからスタントマンいませんからね。飛んだり跳ねたり、回ったり、走ったり、殴ったり蹴ったり・・・と、リハーサルで何度も何度もやらなきゃいけないでしょう? 本当に大変ですよぉ~。

 監督から「アクションやる子を選ぶから同席してくれ」って言われてオーディションの時に見ていたんですが、いつもダンス稽古しているから、身体能力は全員、同じくらいあったんですね。

 多分、普通の女の子にやらせたらできないだろうな~?と思うことも彼女たちは全然、問題なかったですね。

 ダンスやっているとバランスの取り方が上手くなるみたいで、片足軸にして回転してもバランス崩れないですよね。

 でも、それ以上に、根性あるな~・・・って、そこに一番、驚かされましたよ。

「やっぱ、プロはすげぇ~な~・・・」と感心していたんですが、カメラマンの方の話では、ここまで礼儀正しくできるアイドル・グループは少ないということでしたね。

 別の現場でワガママなアイドル・グループに閉口したらしいです。

 まっ、そりゃあそうだろうな~と、納得しました。

 監督は、「この映画のテーマは“萌え”だ!」と言っていて、こだわりの演出は、そこまでやるか?という感じでしたが、低予算の作品でここまでできるのか?という感じにはなっていると思います。

 それだけ、みんな頑張った。キャストもスタッフも体調を崩してマジでぶっ倒れそうになっていたのに、撮影が終わった瞬間、「やった~っ!」と狂喜する全員の満面の笑みに、映画作りの現場の楽しさを味わいました。

 それにしても、映画に関わりたくて上京してきたのが四半世紀も前。やっとプロの現場に関われるようになったか?と思うと、感慨もひとしおです。

 公開は8月に都内劇場でイベント上映をやって、DVD発売になる?とのことでしたが、私も予定外にアクション・シーンに出演までしてしまい、“美少女に蹴っ飛ばされる長野”の姿を見たい方は、是非是非、ご覧くださりたく・・・(苦笑)。


 あっ、そうそう。面白かったのは、撮影の二日目にロケした小学校の校庭で遊んでいた男の子グループが、美少女ばっかりゾロゾロ居るから、たまげたんでしょうね?

 何か、ずぅ~っと校庭に居て、帰ったかな~?と思ったら、暗くなってからまた来ていました。

 そりゃあ、クラスに一人、居るか居ないか?ぐらいの美少女が十数人も居たら、男子中学生として当然ですわな~・・・。

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意外な作品で若山先生が・・・

 東映チャンネルで『妖艶毒婦伝・人斬りお勝』という、ちょいエロ時代劇に若山先生が特別出演しているというので観ました。

 話は甲源一刀流道場の養女お勝(宮園純子)が惨殺された義父と義弟(近藤正臣)の仇を討つ・・・というありきたりなものなんですが、当時、流行った残酷時代劇ブームの影響か? ちょいエログロ風で厳格な剣術師範の西村晃(二代目黄門様)が娘を救うために身代わりで捕まり、拷問されて殺されるシーンとか、ちょっとホラーな感じです。

 西村晃は殺陣が大好きで、『十三人の刺客』『十一人の侍』『牙狼之助・地獄斬り』などで達人を演じてきていますし、TV時代劇スペシャル『新吾十番勝負3』で柳生如雲斎、NHKの役所さん主演デビュー作『宮本武蔵』で柳生石舟斎を演じており、正和サマ版眠狂四郎TVシリーズでも人斬り稼業に苦悩する侍役を熱演し、この時は狂四郎と対決することなく諭されて去っていく・・・という実質的主役の回もありました。

 最晩年の主演作『マタギ』での西村晃さんは、最新式のライフルではなく使い慣れた村田銃で最凶の巨大熊と対決する老マタギを演じていましたが、視力が衰えて名人技が使えなくなった名人役で、ダメ狩猟犬を鍛えて孫と一緒に山に入り、見事に熊を仕留めたものの、「こいつは山に返す」と雪の中に埋めてやる・・・という侠気溢れる作品で名作ですよ。

『帝都物語』では、人造人間“学天則”を発明した実父、西村真琴博士を演じていたのも話題になっていました。

 この『人斬りお勝』でも、まともに戦えば悪党連中を一人で成敗しちゃいそうな達人だったのに、嬲り殺しにされてしまうところが残念感を煽ります。正義感が強過ぎると狡猾な連中に騙し討ちにされるという世の中のリアルを表現してますね~。

 宮園純子さんは水戸黄門の初期シリーズで風車の矢七の女房のお新さんのイメージが強いので、こういう役はなんか違和感を感じます。立ち回りも今ひとつです。助っ人で出てくる大信田礼子のほうが、この手の役柄を沢山演じて慣れてるせいか、立ち回りが上手いというのも、本末転倒な気がします。

 要するに、作品としてさして面白味はない訳です。TV時代劇で似たような話を何百回も見たような気がするからです。

 でも、お勝がお尋ね者となって中盤に、唐突に出てくる賞金稼ぎ!が、何と、若山先生なんですよ。

 それがまた、結局、お勝を助けてしまうんですが、大信田礼子に「オジサン」と呼ばれる以外、特に何者か判らない・・・。

 でも、これって・・・若山先生が子連れ狼を演じる以前に最もお気に入りで演じていた、賞金稼ぎ・錣市兵衛(しころいちべえ)そのマンマなんですよ!

 若山先生の賞金稼ぎシリーズといえば、劇場版『賞金稼ぎ・薩摩の首』『五人の賞金稼ぎ』『賞金首・一瞬八人斬り!』の三部作と、TVシリーズ『賞金稼ぎ』があります。

 若山先生の殺陣スキル全開の豪快なアクション時代劇のシリーズなんですが、もう時代考証も糞もないムチャクチャさで、特殊警棒でカリスティックみたいに敵を滅多打ちにするとか、1950年代に発売されてるS&W44マグナムを撃つとか、やりたい放題。

 劇場版は“時代劇版007”というのがウリだったのですが、マカロニウエスタン風時代劇でしたね。TVシリーズでの愛用の銃は、コルト・バントライン・スペシャル(銃身がバカ長いコルト45シングルアクションアーミィー。ネッド・バントラインがコルト社に作らせて当時の有名ガンマン四人に贈ったという伝説の銃で、使いこなせたのがワイアット・アープだけだったとか? でも、長い銃身でぶっ叩いてたって話)と、ランダル・カスタム(ウィンチェスターのレバーアクションライフルの銃身と銃床を切り詰めたS・マックィーン主演のTVシリーズ『拳銃無宿』の主人公の名前にちなんで呼ばれる)。

 若山先生が相当なガンマニアだったことが判ります。

 愛用の刀も、三尺の大太刀や仕込み杖など、変わった刀をよく使っていましたが、アジトにはいろんな刀や隠し銃、手裏剣、鞭、ライフル、拳銃・・・と沢山持っているという設定で、最初は表稼業は医者でしたが、後半は寺子屋の塾長になっていました。

 劇場版も面白いんですが、TVシリーズは更にコミカルな要素も増えて面白かったですね~。

 それにしても、特別出演で、いきなり錣市兵衛で出てきた若山先生、期待に違わず必殺居合斬りで数人を瞬殺してみせたりします。

 やっぱ、上手いな~・・・。

 ところで、ちょうど、日本映画専門チャンネルで優作映画の特集をやっていて、『蘇る金狼』とか観たばっかりだったんですが、若山先生の錣市兵衛のハードボイルドさは優作のハードボイルド・ヒーローと非常に似ています。

 若山先生と優作は、『新事件・ドクターストップ』と『ブラックレイン』で共演していますが、役者として、ちょっと共通した面を感じますね。暴れん坊なところとか?

 こういう俳優さんって、今は少ないというか、いないというか・・・何か、残念ですよね~。

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原田芳雄さん逝去

 野性味のある演技で時代劇でも活躍されていた原田芳雄さんが亡くなられました。

 好きな俳優さんだったので、非常に残念です。

 私が印象に残っている作品は、『竜馬暗殺』『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』『浪人街』『ハンテッド』『あずみ』『赤い鳥逃げた?』『どついたるねん』『原子力戦争』等ですが、北大路欣也主演のTV東京の大型時代劇『徳川風雲録』だったか?で、知謀と剣の腕を駆使して将軍吉宗に迫る山之内伊賀介を演じられていたのも強く印象に残っています。

 アウトローが似合う人で、松田優作が憧れてアニキと慕い、原田さんの真似をしていたというのは有名な話です。

 深作監督の『いつかギラギラする日』では、ヤク中のヒットマンを演じられていましたが、コルトパイソン.357マグナムを持った異様な殺し屋ぶりの存在感が凄かったですね~。

 確かそうだったと思うんですが、鈴木清順監督が撮られたという空手家の浅井哲彦先生のドキュメンタリー作品があって、そのナレーションを原田さんが担当されていたように記憶しているんですが・・・?

 私が初めて原田さんを知ったのは、五社英雄監督の『闇の狩人』で、記憶を失って仕掛け人の元締め御名の清右衛門(仲代達矢)に雇われる谷川弥太郎を演じられていたのを映画館で観た時でした。

 凄腕の剣の遣い手でありながら、「一対一なら腕の差でどうにでもなるが、相手が二人、三人と増えていけば、そうもいかない・・・」と、複数の侍を仕掛ける仕事を依頼された時にぼそっと語るシーンに痺れたものです。

 結局は独りで複数の侍が談合している屋内に突入して全員、倒してしまうんですが、ここのシーンが時代劇史に残る名シーンだと私は思っています。

 談合の屋敷に侵入した原田さんが大刀を抜いて天井の高さを確認すると、大刀ではなく脇差を抜いて、ウオ~ッと襖を蹴り倒しながら突入していくのです!

 談合していた侍たちはパニックに陥り、大刀を抜いて迎撃しようとしますが、鴨居に斬り込んでしまって、腕を切断されたりし、ますますパニックに陥り、原田さんに次々に斬り倒されてしまうのですが・・・何と、そこにいた侍たちは原田さんの仲間だったことが判明!

 記憶を失っていた原田さんは、そうとは知らずに刺客となって仲間を斬ってしまった・・・という実にドラマチックな展開で、「わからん。俺は一体、誰なんだ~?」と煩悶するところが出色でした。

 五社英雄監督は、その後、女性の激しい情念の作品を撮るようになってチャンバラ活劇は撮らなくなってしまって亡くなられましたが、この『闇の狩人』で原田さんを付け狙って致命傷を与えるアバズレ女を演じた松尾佳代さんが大熱演したTV時代劇『丹下左膳・剣風!百万両の壷』が、恐らく五社監督の最後の時代劇演出だったんじゃないかな~?と思いますが・・・。

 また、ハリウッドの忍者映画『ハンテッド』で、新幹線の中で日本刀をふるう現代のサムライ役を演じられた時は、その見事な刀捌きに感動させられ、『あずみ』の時も少年刺客団を育てた老剣豪・小幡月斎役で激しい立ち回りを演じられていました。

 勝新太郎さんとも親しく、勝さんの『痛快!河内山宗春』では宗春の仲間の剣客を演じられていました。

 それに、私は観た記憶がないのですが、柳生但馬守宗矩の生涯を描いたNHK大河ドラマ『春の坂道』では柳生十兵衛を演じて鮮烈な印象を残したと評判でした。

 30年くらい昔に、メキシコの荒野でサムライが活躍するストーリーの映画企画で、原田さんが主演する計画があったという話をどこかで読んだ記憶があるのですが、もしそれが実現していたら、ハリウッドで活躍する日本人俳優の先駆けになっていたのではないかな~?と、少々、残念です。

 71歳というのは、ちょっと早過ぎます。

 私は、原田さん演ずる老剣客が活躍する時代劇が観たかったな~・・・と思います。

 原田芳雄さんの御冥福をお祈りします・・・。

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『小川の辺』感想

 映画マニアの友人が『小川の辺(ほとり)』を観てきたというので感想を聞きました。

「う~ん・・・脚本が酷いね~」とのこと・・・。

 何でもロードムービーみたいに主人公が歩いていくのを追っかける中に回想シーンが入って物語の全体像が判る?みたいな構成になっているそうでしたが、「これが実際にはよく判らない」と言うのです。

 ちょこちょこと起こるエピソードが説明不足過ぎて何が何だか判らないというのです。

「それって環境イメージ・ビデオみたいですね~」と言ったら、「そうなんだよ。美しい風景を見せたいのかもしれないんだけど、伏線が効いてないから全体の締まりが無い。細かいエピソードが脈絡が無いからストーリーにからんでこないんだよ。典型的にダメなシナリオだよ、コリャ~」とのことでした・・・。

 何でも、友人の友人が先に観てきて酷評していたと言うのですね。その先入観も関係したのかな~?とも思いましたが・・・。

 でもまあ、私としては、殺陣がビシィッとしていれば、全てが許せる。「時代劇のキモは殺陣である!」が持論ですからね~。

 親しくしていただいている高瀬先生が殺陣を担当された作品ですから、そこさえ見所であれば・・・という祈るような気持ちだ・・・というのが偽らざる心境です。

 映画創りには多くの金が費やされ、多くの人材が集められます。

 そして、数カ月から長くて数年もの時間をかけ、創られます。が、撮影が済んで、編集が終わったとしても、それが劇場で公開されるかどうかはまた別の話です。

 劇場公開されるより、されないままの作品が多いという話も耳にします。

 企画段階で終わってしまう作品も無数にあるとされます。企画がタライ回しされた揚げ句にZ級に酷い作品になって公開されてしまう場合もあります。

 私も、もともと映画が好きで映画に携わりたくて大学を中退し上京してきた人間ですし、プロの作品には一つくらいスタッフで関わった程度で、主に自主映画の現場にいましたが、自主映画であっても、そこで共に映画を創っていた友人知人の何人かは今ではプロで活躍していますし、役者を目指した人も何人もいます。

 私はシナリオライターを目指していましたが才能が無くて、むしろ趣味の武術を役立てて殺陣の指導を頼まれているうちに、なんやかんやで武術の業界で都市伝説の男?みたいになってしまいましたが、でも、やっぱり映画に関わりたいんですよ。

 映画は総合芸術であり巨大なエンターティンメント・イベントであり、一本の映画が人の人生を左右するくらいの影響力を持つ魔物のようなチカラを持っています。

 それに、いかなる作品も自分で観ないと何とも言えないんですよ。

 心に残る作品というのは、莫大な金がかかった超大作も、学生が撮った自主映画も関係ないんです。

 重要なのは、その作品の中に創り手の想いが込められ、それが観る者の魂に響くかどうか?という、ただ、それだけのことなんですよ。

 だから、私の基準は簡単なもんです。俺の魂に響くかどうか? それだけ。

 で、私も橋本駅近くのMOVIX橋本で観てきましたよっ。

 モギリのお姉ちゃんがレッサーパンダの赤ちゃんみたいでメチャクチャ可愛いのに感動して劇場に入ると・・・ガラ~ン・・・えっ? 俺だけ?・・・。

 平日のレイトショーだから少ないだろうとは思ってたけど、久しぶりに貸し切り状態だな~・・・と思って、悠然と座席に座っていると、ギリギリの時間になってオバちゃん二人が入ってきて、何か私の隣に一つ空けて席に座ってます・・・。

 MOVIXの困るところって、ここなんですよ。ガラガラなのに、何故か観客を密集させたがる・・・。指定席制度って、ガラガラだと意味ないし・・・。

 空いてるから別の席に移ろうか?とも思いましたが、それも何か嫌みな感じがしたんで、我慢して座ってたら、もう二人、今度はオッサンが入ってきて、やっぱり私の後ろの席に陣取りました・・・。

 だからさ~。MOVIXさん、そういうのやめましょうよ~。ガラガラなんだからバラけて座らせりゃ~いいじゃん?

・・・とか思いつつ、映画が始まりました。

 なるほど、こりゃ~、環境イメージ映画みたいっスね~・・・。なんか、壮大に無駄なシーンを繋げてるような気もします。

 必要なシーンだけにすると30分で終わるかな?という感じでした。


 でも、大ざっぱに感想を述べます。

 決して感動的な傑作という作品ではありません。ドラマチックな展開もありません。

 しかし、友人が言うほど悪くはない。むしろ、これはこれでアリだな~と思います。

 何がアリかというと、作品を盛り上げるための“あざとい演出が全然無い”という淡々とした展開が、ある種のサッパリとした清涼感を感じさせているのです。

 私は一本も満足に観たことないんですが、小津映画ってこんな感じなのかな~?とか思いました。

 もちろん、友人が指摘していたような問題点は私も感じました。もっとドラマチックな展開が無いと、時代劇という“ファンタジー空間”を成立させるリアリティーが乏しくなってしまいます。

 例えば、山田洋次監督の藤沢時代劇三部作が高い評価を受けたのは、クライマックスに向かって物語が盛り上がっていったからですね。そして殺陣バトルでクライマックスを迎える。

 そのためには、登場人物の葛藤がもっとあってもいい。

 が、それを排除して淡々と進んでいく物語の中で、クライマックスの“二つの対決シーン”がより際立って、兄妹と、兄弟のように育った使用人の三人の心が交錯する瞬間、幸福な未来を暗示させて終わる・・・というところは、さすがに藤沢周平!という感じがしましたよ。

『山桜』の東山君は、全然しゃべんないので、なんかウルトラマンっぽかったんですが、今回は、結構、しゃべります。でも心の葛藤が見えないので、見ようによっては冷酷なヤツにも思えたんです。

 特に剣友を上意討ちにするのに、さっぱり葛藤が無い。いくら侍だからって、命懸けて戦わなきゃならんのに、精神が強靭過ぎますよ。眠狂四郎じゃないんだから・・・。

 まあ、原作がそうなんでしょうけど、ドラマとしては、剣友を心ならずも斬った後に、諸悪の根源だった西岡徳馬演じる侍医を討ち果たす・・・みたいな展開があった方がカタルシスを感じられます。『隠し剣・鬼の爪』『必死剣・鳥刺し』がそんな話でした。

 だってね~、片岡愛之助演じる森衛は完璧なまでに熱血正義漢なんですよ。何にも悪くないのに、殿様の面子潰したってだけで上意討ちって、それ、おかしくない?って思いましたね。

 私は、藤沢周平の作品の、こういうサラリーマン哀歌みたいなところが余計だと思っているのです。私自身が「俺の生きざまは俺のルールで決める! お前らのルールを俺に押し付けるんじゃねえっ!」ってタイプだから、どうしても感情移入できない。

 でも、この作品は菊地凜子の型破り女の登場によって、ラストでガラッとテイストが変わり、冷酷非常なサラリーマン侍の東山君が、まるで「鬼平かよ?」って感じの粋な計らいを見せて去っていく・・・という展開で、本当に後味良く終わるのです。

 それと、尾野真千子と勝地涼が良かったっスね~。

 東山君と菊地凜子って、何かレプリカントっぽいというか非人間的な感じがするんですよ。そこに尾野真千子と勝地涼の人間的な存在感の綺麗な感じでうまく中和しているような気がしますね。

 そして、殺陣シーンは、非常に良かったですね~。

 友人は低い評価でしたが、私から観ると、物凄くスリリングな立ち回りをやっているのが判る。これは、演じる役者は大変だったと思いますよ。ごまかしが無いんです。

 高瀬先生は不本意だったらしいのですが、随所に見ごたえのあるギリギリの剣の攻防が展開されていて、ヒヤッとする場面が何カ所かあり、攻防の中で武術的な展開をいくつも見せてましたが、私は凄くいいと思います。

 惜しむらくは、もう少しカットを割って効果的に見せる編集がされていたら、さらに良かったんじゃないかな~?と思いました。

 例えば、スネを斬っていくのを足を上げて避けたり、左肩に刀をかつぎあげて受け止めるとか、平突きを続飯付けにして受け流すとか、非常に高度な攻防の手を見せていて、ああいうシーンを流れの中でそのまま見せたのではもったいないし、攻防の中での感情の動きが出た方がもっと面白くなったでしょう。

 私は、その難しさとか怖さが判るので、「うひゃ~、これは怖いぞ~」と思って見てましたね。

 特に東山君と愛之助は、ほぼ互角の腕前なので、真剣での立ち合いをやっているうちに競い合う快感に浸ってしまって、ついニヤついてしまう・・・とか? そういう描写があると、もっと面白くなっただろうな~と思いましたね。

 ちょっと、そういう面も匂わせるようなやり取りがあるんですが、もう少し露骨に出して、「どうせ、討たれるなら、貴様ととことんやり合ってみたかった・・・」とか愛之助が言って嬉しそうに死ぬとか? そういう『たそがれ清兵衛』の田中泯さんみたいなのが出ると、文句なく傑作になったでしょうね。

 それと、菊地凜子と勝地涼が剣術の稽古している昔の回想シーンなんかがあると、もっと良かったでしょうね~。それで、凜子が東山君から一本取るシーンとかあると、もっと面白い。でないと、最後に凜子がやたら強いのが唐突過ぎるかも?

 ともかく、この作品。一見の価値は十分にあると思います。私は『山桜』より面白いと思いましたよ。あの作品は殺陣をクライマックスに持ってこないから、どうも締まりが無かった。やっぱ、殺陣はちゃんとクライマックスにないとね~。

 高瀬先生は不本意だったかもしれませんけど、監督の狙っていた作品のテイストは、きちんと出ていたんじゃないでしょうか? 後は好みの問題でしょうね。私は嫌いな作品じゃありません。


 ところで、先日、畳表を巻いたマキワラで試斬りやってみて、刀によって斬れ味がまったく違うということを改めて痛感しました。

 私が未熟なのもありますが、それにしても刀でこんなに差が出るとはな~?と思って、試斬り用の刀を一振り欲しいと思って、横浜名刀会に月々の支払いに行った時に社長さんに聞いてみました。

 数振りの試斬りに向いた刀を見せてもらいましたが、中で「これは物凄い斬れるよ」と見せてもらったのが濃州関住兼氏の刀。

 関物というと美術刀剣としてはあまり評価されていませんが、最上大業物で有名な関の孫六兼元を代表として、実戦一辺倒の刀の産地として有名です。

 一説に、赤穂義士が討ち入りのために関の刀を揃えたという話もあります。それほど斬れ味が優れて頑丈だったのでしょう。

 実際、清心館の佐原先生の道場で試斬りを体験させていただいた時に、最も上手い方が、関の孫六兼元が物凄く斬れたという話をされていましたし、太極拳と居合をされている河原達先生も、兼元が凄く斬れるという話をされていたと記憶しています。

 そういう訳で、この関の刀を選びました。

 茎を見ると、さほど錆びておらず、それほど古い刀ではないようです。新刀か新々刀、場合によっては明治以降の現代刀かもしれませんね。刀身はやや短か目で反りは浅く、刃渡りは二尺二寸三分くらい。

 しかし、三本杉の尖り互の目の刃紋が兼元風で、刀としての面白味はありませんが、肥後拵えの素朴な外装と合わさって、エキスパートが使う飾り気のないコルト・ガバメントを思わせます。

 鐔も小さ目なので居合にも向いています。伯耆流にはもってこいかも?

 派手さが皆無なので、ちょっと前の私だったら、素通りしてしまったでしょうが、実用を考えると中々たのもしい感じがして気に入りました。

 もっとも一番の理由は、“安かった”からですよ。この長さで外装もちゃんと付いていて16万円という破格の値段で「物凄く斬れるよ」と言われたら、買うしかないです。

 次のメイプルホールの稽古の時に、また試斬りやってみようと思っていますが、今度は台もきちんと用意して、この刀の実力を実験してみようと思っています。

・・・とまあ、またまた刀コレクションが増えておりますが、いずれ、会員さんが上達して自分の稽古会を持てるようになったら免許代わりに差し上げるつもりでいます。

 だってね~。この刀達は私が死んだ後の世にも残っていきますからね~。

 でも、何か戦国大名みたいだな~? 「褒美に、コレをとらす・・・」なんつって、刀あげるの・・・。

 刀は中古車から新築の家やマンションが買えるくらい、値段に幅がありますけど、そんな刃物は世界中で日本刀だけですよ。

 現代ではヤクザが持つ凶器みたいなイメージで見られがちな日本刀ですが、それは女の発想です。日本男児なら、日本刀の一振りくらい持ってないといけません(極論?)。

PS;住んでるマンションが例の地震で外壁にヒビが入ったりしたらしく、今月一杯補修工事があるというので、窓から部屋の中が見えないように、ホームセンターにカーテンを買いに行きました。カーテンつけたら窓から入る熱を遮断したからか、冷房の効きが格段に良くなりましたね~。こんなに違うんだ~?と感動。ついでに“タイル針”というのを発見して買ってきましたけど、白井流や香取神道流の針型手裏剣くらいの大きさなんですが、昔、武道医学のパリッシュ先生から「畳み針だ」とのことで貰ったものと同じで、あれは「タイル針だ」って言っていたんだな~・・・と、20年ぶりに判明しましたよ。

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創るということ・・・

 昨年に撮る予定でいた自主製作の短編映画。

 SFとかパロディとかいくつか考えたんですが、その一つにハードボイルド風のものを考えていました。

 ですが、“1km以上離れた標的を主人公が撃つ”という話にしたもんで、その“1km以上離れた標的を狙える狙撃銃”が小道具で必要になり、それで計画が宙ぶらりんになっていました。

 この小道具さえ入手できれば、一番、簡単に撮れそうな話だったんですね。

 それで、いっそのことスクラッチビルドで自分で作ってしまおうか?とすら思ったんですけど、やっぱ、狙撃シーンがカッコ良くなるには、実物のような動きがある小道具でないとダメですからね・・・。

 無可動のモックアップ銃をただ構えて・・・というんだったら、せっかくの狙撃シーンがつまんないでしょう?

 私は、この“狙撃シーン”のワクワクする緊張感を映像で見せてくれる作品が大好きで、松田優作の『最も危険な遊戯』『処刑遊戯』、加山雄三の『狙撃』とか、邦画のそれが大好きなんですよ。

 仲村トオルがVシネマで主演した『狙撃-シューティスト-』のシリーズなんかも良かったですね~。優作の遊戯シリーズの影響を受けているのか?と思わせて、加山雄三の『狙撃』の方に近いんですよね~。タバコを立てて風向きを読むとか、芸が細かくてリアリズムを感じましたよね~。ラストなんて、引退して彼女と遠くへ行こうとする主人公が、新しく雇われたスナイパーに撃たれて絶命・・・と思ったら、スナイパーは自分?というシュールな展開で唸ってしまいます。

 中条静夫さんもいい味出してましたよ。あぶデカの関係での友情出演なんでしょうけれど、銃のメンテナンスをするガンスミスが登場するのとしないのでは、作品の世界観に絶対的に差が出ますからね。

 優作の作品には、そういう人物がいなかった点が少し寂しかった。意外と銃の扱いがぞんざいだったりしてました。トビー門口さんが参加していた割りに・・・。加山さんには岸田森がいたからな~。

 加山さんと言えば若大将のイメージしかないかもしれませんが、銃を扱わせたら一級のハードボイルド感を出せる役者さんですよ。多分、実際にクレー射撃とかされているんでしょう。

『狙撃』の時は、ラストでモーゼルM712(フルオートできる拳銃)を持つ凄腕の殺し屋と対決するのに、わざわざ一発しか撃てないスタームルガー・ハウキイ(ホークアイ).256マグナムを持って対決するんですね~。

 この拳銃、遠目でパッと見た時にはスタームルガー・ブラックホーク.357マグナムかな?って感じに見えるんですが、六連発の回転弾倉があるべきところに弾丸を一発だけ込められる特殊加工がされていて、.256マグナムというボトルネックのライフル弾みたいな弾丸を装填するという狩猟用、もしくは標的射撃用の特殊な拳銃なのですよ。

 映画に登場したのも、この作品一回きりらしく、しかも実銃の方も売れ行きが悪くて製造中止になったそうです。

 この演出には、速撃ち世界トップクラスの国本圭一さん(モデルガン・ガスガンの専門ショップ“ウエスタンアームズ”を経営。銃器評論家として時々TVにも出演したりする)が参加していたそうですが、プロが選ぶ銃ということで考えられたんでしょうね~。

 銃に詳しくない人だったら、単発銃が何十発も連発しようが何とも思わないでしょうけど、やっぱり、アクション映画の醍醐味というのは、出てくる武器の描写にある訳ですよね~。

 それで、昨年、自主映画用にレミントンM700タイプのボルトアクション・エアーガン(東京マルイ製)が半額に近かったんで、買ってきて、これを使おうかな~?とも思ったんですよ。

 だけど、レミントンM700では300~500mくらいが標準の有効射程距離で、特別製の狙撃銃にカスタマイズしたところで700~800mが限界だと言われます。

 どうしてか?というと、使う弾薬の能力がそこまでなんですよ。

 7.62mmNATO弾では1kmを超える狙撃には耐えられないでしょう。

「しょうがない。ちょっと安易になっちゃうけど、700m先を狙う設定に変えるかな~?」とも思ったんですが・・・。

 けれども、普通のライフル銃では無理な1km超え狙撃でも可能な、ロングレンジ・スナイパーライフルというものがあります。

 これは、重機関銃に用いる.50口径(12.7mm)の弾丸を使うバレット・ライフルが湾岸戦争で、超長距離狙撃で用いられて成果があったことから研究が進みました。

 最初は、アンチマテリアル・ライフル(対物ライフル)と呼ばれて、車のエンジンを撃ち抜くような使い方をしていて、第一次大戦と第二次大戦で使われた対戦車ライフル(ドイツ、ロシア、ポーランド等が使った)の現代版とされていました。

 バレット・ライフルの成功から、いろんな会社が大口径で超長距離狙撃を可能とするライフルを開発するようになりました。

 口径も、.50口径だけでなく、中には20mm口径の、かつての対戦車ライフルと同様の物まで作られました。

 しかし、これらの銃は、大口径の弾丸を1km以上先まで安定して撃ち出す機能を持たせるために、普通のライフルのように肩付けで狙えるようなサイズではなくなり、普通のライフル銃の2倍も3倍も重くなり、バイポッド(二脚)で支えて伏せ撃ちするしかありませんでした。

 また、弾丸も必要以上に大きいため(重機関銃用の弾丸なので、精度より威力重視で作られている)に、今イチ命中精度に欠けました。

 そこで、現在は弾薬と銃のバランスを考えたロングレンジ・スナイパーライフルが開発されるようになり、特に精度と威力のバランスを考えた.338ラプアマグナム弾が主流になりつつあるようです。

 軍隊や、特殊部隊の狙撃ライフルでも、“弾丸は7.62mmではなく.338ラプアマグナムが使えるライフル銃”という条件が付加されるようになってきたそうです。

 なので、小道具に使う銃も.338ラプアマグナムが撃てるライフル銃にしようか?とも思っていたんですが、もう一つ、.50口径の弾薬を改造して.401口径にボトルネックダウンした高性能超長距離狙撃銃が知られるようになりました。

 それが、“CHEYTAC M200”です。

 この銃の凄いのは、メカニズム的に反動が極めて少なく、1km超えの狙撃が楽々にでき、1.5kmくらいも狙えるというところです。

 香港のエアガン・メイカーが30万円以上するエアーとガスの切り替えで撃てるエアーガンとして発売していて、これを使えたらな~?と思っていたんですが、30万円以上もするのでは、自主映画撮るのに短編とは言えども製作費が吹っ飛んでしまいます。

「この銃を小道具に使えると格好いいんだけどな~・・・」と思っていましたが、ちょっと無理だな~と諦めていました。

 そうこうしていると、ほとんど同じものが半額くらいで他社から再販されたみたいですね。あまりに高くて売れなかったので権利を売ったのかな?とも思いますが、事情はわかりません。

 でも、それでも15万円くらいするのは、ちょっと買うのにためらいますよね~? 本の印税が入った時に・・・とも思っていたんですが・・・。

 が、大阪のショップでディスカウント・セールで9万8000円で売りに出されているのがアームズマガジンの前月の広告で出ていたので、「これなら何とか買えるけど・・・」と、思ったものの、部屋の更新でお金が余計にかかったので、断念していました。

 ところが、金が入って余裕ができた今月も、引き続いて広告が出ていたので、「これはチャンスだ。今なら買えるぞ。というか、今買わなきゃ~、次は買えないぞ」と思って、注文しました。

 電話注文で在庫確認したところ、タン・カラー(砂漠で目立たないような黄土色に着色されたもの)のものがまだ在庫があるそうでしたが、「部品に不具合があって発送に遅れます」とのこと・・・。

 どうしようか?と思いましたが、余裕のある時にしか買えないと思って、部品が揃ったら送ってもらうよう予約注文しておきました。

 それから一週間。何カ月か待つのも覚悟していたものの、予想外に早く連絡があって、発送してもらえました。

 もうね~、見てくださいよ、このフテブテしいツラ構え・・・。押井守監督が好きそうな感じの銃でしょ?
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 一見、自動式か?という外見ですが、これはボルトアクションで、一発一発ボルトを操作して撃ちます。面倒臭そうですが、1km以上、離れた相手を狙うんだったら、ボルトアクションで充分ですよ。

 狙撃銃として最先端の特殊部隊でさえボルトアクションを使っている現実を考えれば、スナイパーは一発必中を狙うものなのが解るでしょう。

 本物は15kg以上もあるそうですが、これは8.6kg、約半分の重さなので、何とか立った状態でも構えることはできます。連射はキツイけど・・・。

 私が、この銃が気に入ったのは、銃身・機関部・肩当てが分割でき、ボルトも外せることです。

 アクション映画の狙撃シーンの醍醐味の一つに、ライフルの組み立てシーンがありますね。

 特に、こんなバカデカイ銃をそのままケースに入れて持ち歩くのは無茶なので、簡単に分割できるようになっていないと困る・・・。

 ゴルゴ13だって、M16ライフルを分割して持ち運ぶでしょう?

 チャールズ・ブロンソンの『狼の挽歌』や、『ジャッカルの日』みたいな孤独なスナイパーの仕事を描いたハードボイルド作品には、ライフル銃を組み立てるシーンが不可欠ですよ・・・っつうか、要は、“そのシーンが撮りたい”訳です!

 しかし・・・コレ、重過ぎて、組み立てるのに苦労しますわ・・・。

 何か、大太刀作ってもらって拵え作った時と同じような感慨がありましたね~。

「カッコイイんだけど・・・非実用的・・・かも~?」

 まあ、いい! 要するに、遠くからズドゴォーンッ!っと一発撃ちゃあ終わりってところが、このCHEYTAC M200の真骨頂なんですからね~。

 これで小道具も揃ったから、年内には自主映画撮ろうかな~?と思っちょります。主演はもう決まっていて、うちの会員のCさん。身長180cmを越える長身で、この銃でも似合うでしょう。海外での活躍も視野に入れていて、今年はその基礎固めです。

 ちなみに、彼が出演している芝居『甘い丘』(フェドー劇場)を、ラピュタ阿佐ケ谷の地下劇場ザムザ阿佐ケ谷に会員のK塚さんを誘って観に行ってきました。
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 有名な声優さん(あのドラ・・・)も出演されていて、演出の方は、あの野沢那智さんのお弟子さんなのだそうです!

 ストーリー自体は、しごく日常的な町工場の人間関係を描いていて、特に私の好きなケレン味溢れたバトルやホラーやサスペンスがある訳でもありません。

 が、何なんでしょう? この淡々と進む中に混在する平凡な人間の中に潜むいろんな想いの錯綜・・・。

 私は、8年前に生活苦のために仕方なく働いたラブホテルでの日々が脳裏によぎりました。

 いろいろワケありでバイトしていた主婦や若者、精神に障害があることを感じさせる人・・・そんな人達でも受け入れてくれる職場の有り難さとか、そこから抜け出したいという思いと相反する、居心地の良さ・・・みたいな感覚は、確かに私も感じていたものです。

 元来、私は人間嫌いです。独りで夢想に耽っている方が圧倒的に好きです。

 二浪して入った大学の一年生の時は、不登校に陥り、10カ月くらい、ほとんどアパートに籠もって自己流で武術やヨーガ、気功の訓練に没頭し、哲学や現代思想、宗教学の本ばっかり読んでいました。

 まあ、今の仕事の基礎がこの時期に養えたと思えば無駄にはなっていませんが、二年目に、このままではいけないと思って、再び大学に通いました。

 ところが、これも映画研究部に入ってから、映画のトリコになって学業そっちのけで映画のことばっかり考えていましたからね。

 その結果、クラブの先輩ミヤザワさんの鶴の一声、「長野君。本気で映画やりたかったら、やっぱ、東京に行かんとあかんでぇ~」という言葉で、“そうだ! それしかない!”と思い立って、綺麗さっぱり学業は捨ててしまいましたね・・・。

 こんな20代前半でドロップアウト人生を歩み始めて、なんやかんやで、普通の人間だと30回くらい自殺未遂してんじゃないか?とか思いますが、今となっては微塵も後悔することなく、「我が人生に一片の悔い無し!」と笑って死ねそうなくらい武術馬鹿人生を送ってきました・・・。

 何かね~、Cさんや、USA支部長のabeさんのように、自分の夢を実現するために人生を捧げて生きている人間の潔さというか、そうやって生きている人達が私は大好きだし尊敬できるし、自分も明らかにそういう人間なんですよ。

 だからね~。甘いこと考えてる人には、「悪いこと言わないから、普通の仕事して生きること考えた方がいいよ。あなたの考え方じゃ絶対、無理だよ」とアドバイスするのが常ですね。

 で、今回の、この芝居。退屈するどころか、予想外に惹き付けられて、何か、何とも表現できない癒されるような不思議な心地よさが残りましたね~。

 ダンナに逃げられた主婦のヒロインが、そこはかとなくうだつの上がらない純情中年親父の不器用な愛情によって立ち直り、またゴミ溜めみたいな職場に戻ってくるラストなんて、メゾン一刻と男おいどんを足したみたいな感じで良かったな~。

 Cさんが演じた小説家志望のヒモ青年?も、何だか、Cさんのキャラに引っ張られて爽やかな純情青年みたいで嫌みがないんですよね。台本的にどうよ?と思う人がいるかもしれませんが、案外、現実はこういうもんです。本当に根っから嫌なヤツなんて、そうそういるもんじゃないです。

 あ~、そうだ。この作品。何かアニメーション的な感じがするかも?

 淡々と続く日常の中の残酷さや人恋しさ、そういう人の想いを汲み上げてホンにした作者は女性だそうです。一瞬も飽きさせずに見せ切った役者さんたちも凄いです。

 設定は平成らしいですが、雰囲気的には昭和です。

 そういえば、私も働いていたラブホを辞めてから、一度、顔出しに行ったことありますが、それくらい懐かしく感じていましたね。別のホテルに変わっていた時はショックでしたが・・・。

 そんな個人的感慨もあって、離婚して自由を得たヒロインが、また戻ってきた心情も解る気がしました。

 ホント、いい作品でした。

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こんな映画はどうっスか?

 原口智生監督の『デスカッパ』を日本映画専門チャンネルの特撮王国で観ました。

 いや~、よりによって、この時期に、よくぞ放送したな~と、感心してしまった。

 原口監督は特殊メイクアップ・アーティストとして活躍され、手塚眞監督の『妖怪天国』『妖怪天国ゴーストヒーロー』とか、大映の妖怪シリーズへのオマージュ作品で辣腕をふるい、『ミカドロイド』(覚悟のススメの本ネタと噂される)で監督デビューも果たして、『さくや妖怪伝』や『跋扈妖怪伝牙吉』といった特撮ジャンル映画の旗手として活躍されていますが、カッパが放射能の影響でゴジラみたいに巨大化して暴れるという怪獣映画『デスカッパ』は、低予算を逆手にとった愛すべきコメディ映画で良かったですね~。

 ヒロインの平田弥里は、ウルトラマンメビウスのメガネッ娘隊員で人気があったものの、一時は引退していたのだとか? 「主演作が欲しい」という願いに応えて?この作品のヒロインとなったとあって、体当たり?演技で、ラストは何と、『妖怪巨大女』のコスチュームで登場したり、この作品、シャレが効いてていい感じです。

 千葉ちゃんの『海底大戦争』のエラ人間とか、ゴジラや大魔神へのオマージュもあるし、エヴァの庵野監督が特別出演しているとか、車椅子に乗ったミイラなんて『悪魔のいけにえ』の爺さんか?といった随所にパロディが入っていて楽しいです。何げに荒木しげるさんも出演されていた。

 そして、『中国超人インフラマン』と『北京原人の逆襲』は、香港ショウブラザーズと日本特撮が合体した奇跡の作品であり、特に北京原人の方はキングコングのパクリと言われながらも、ディノ・デ・ラウレンティス版キングコングよりずっと面白いと思います。

 しかし、インフラマンも北京原人も、主演がダニー・リーだったとは・・・? この頃のダニー・リーさんはありし日の石橋正史にクリソツです。


 こういう楽しい映画を観ると、どうして日本映画界は怪獣映画というジャンルをきちんと伝統継承しないのだろう?と不思議です。

『クローバーフィールド』を観た時に、あまりのモンスターのカッコ悪さにガッカリし、いかに日本の特撮作品のデザインセンスが優れているのか?ということを、今更ながら痛感しました。

 やっぱり、『ゴジラvsガメラ』をやるしかないっ。あるいは時代劇版『呉爾羅』を作るのだっ!

 ストーリーは俺に書かせてくれいっ!

 それから、日本映画は、糞しょーもないリアルな日常を描いた作品なんぞ作らなくていいから、もっとセンス・オブ・ワンダーな原作を選ぶべきなんだよぉっ!

 個人的希望を言うと、ザボーガーの井口昇監督には、是非とも『地上最強の男・竜』を撮ってもらいたい。

 主人公は坂口拓。師匠は麿赤兒。ニセ救世主は津田寛治かな? 宮本武蔵とブルース・リーは誰でもいいや。(何かセミヌードの女の人もいたような気がするな~?)

 
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日本のホラー映画を考える

 ジャパニーズ・ホラーで有名になった日本のホラー映画ではありますが、原点である怪談映画となると、『四ツ谷怪談』のお岩、『番町皿屋敷』のお菊、『累が淵』の累、『牡丹灯籠』のお露といった幽霊のヒロインと、『怪猫有馬御殿』の化け猫、『雪女』のお雪といった妖女の二系列があるでしょう。

 怪談映画となると幽霊話が圧倒的に多いですが、大映の妖怪シリーズのようなユニークな妖怪が大挙出演する作品もあります。

 あるいは、『八犬伝』や、源頼光の妖怪退治の話なんかも映画化されたりしていましたが、これらはファンタジー色が強くホラーというには難がありました。

 その点、ホラー映画としては『ゴジラ』『ラドン』『獣人雪男』『フランケンシュタイン対地底怪獣』『サンダ対ガイラ』等の怪獣映画にはホラー・テイストが色濃くありました。

 東宝の変身人間シリーズ『ガス人間第一号』『美女と液体人間』などもSFホラーといえるかもしれませんが、やはり、そのものズバリなのは『マタンゴ』だったでしょう。

 放射能で突然変異したキノコ人間。人間がマタンゴを食べてマタンゴ人間になってしまうという退廃的な恐怖は、麻薬中毒へのメタファーではありましたが、救いのない地獄のような展開は恐ろしいものでした。

 この救いの無さに関しては、『吸血鬼ゴケミドロ』も侵略SFホラーとして『マタンゴ』に並ぶ傑作です。額がパカッと割れてゼリー状のエイリアン“ゴケミドロ”が寄生するところは本当に恐ろしいものです。

『エクソシスト』に始まるオカルト・ブームの頃には、『犬神の悪霊(たたり)』『妖婆』『ハウス』『歌姫魔界を行く』などが作られました。

 それと、『恐竜怪鳥の伝説』も、意外にホラー・テイストが強い作品でした。

 そのものズバリのホラーとしては、『血を吸う人形』『血を吸う目』『血を吸う薔薇』の三部作がありますが、第一作はゾンビ物、二作目三作目は吸血鬼物でした。

 80年代にはVシネマが全盛となり、スプラッター作品が多く量産されました。

『妖怪天国』『キクロプス』『バイオセラピー』『アギ鬼神の怒り』『GUZOO』等々、この時期に自主映画作家からプロになる登竜門のようなブームがあって、多くの才能ある作家がプロになっていきました。

 手塚眞、小中ブラザーズ、早川光、飯田譲二、塚本真也・・・等々。

 同時に、TVでも深夜枠で実験的なホラー・ドラマのシリーズが作られるようになり、これは90年代に全盛を迎えます。

『ナイトヘッド』は、その中でも最も成功した作品と言えるでしょうし、既に劇場版で二作、製作されていた『エコエコアザラク』がTVドラマ・シリーズとなって、深夜枠では異例のヒットになったものの、同時期に起きた猟奇殺人事件への配慮から最終回まで放送されずに打ち切られてしまったことは、逆にいえば、それだけホラーというジャンルの影響力がメジャーになっていたという証明でしょう。

 そうこうしているうちに、Jホラーの金字塔となった『リング』が登場して、Jホラー・ブームとなりますが、この流れは80年代から続く心霊実話再現ドラマの流れに乗ったものとも思われます。

『邪眼霊』『女優霊』、そして『呪怨』、『渋谷怪談』シリーズとか。

 ひたすら、“怖さ”を追及した作品も、最近は頭打ちになった印象もあります。

 そういう中で『新耳袋』のような、ちょっと不思議な実話テイストのオムニバス作品もコンスタントに製作されています。

 しかし、インターネットの動画で心霊映像(つくりものの・・・)が大量生産されるようになった現在では、純然たるホラー映画をプロが提供していくという構図は維持するのが難しいでしょう。

 そうなれば、単に怖いというだけではない作品の付加価値も必要になるでしょう。

 そういう意味では、『片腕マシンガール』『東京残酷警察』・・・のような、ホラーやアクション、スプラッター等が混然一体となったクール・ジャパンの作品でないといけないかもしれません。

 が、単純な怖いホラー映画というものも無くなって欲しくないな~・・・と思うのは私だけでしょうか?

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松田優作ドキュメンタリー映画『SOUL RED』

 東映チャンネルで、松田優作のドキュメンタリー映画『SOUL RED』が放送されていました。

 昨年、劇場公開された時に観に行こうかと思っていたんですが、観そびれてしまいました。

 最近、うちの30代より若い会員さん達と話していると、彼らは松田優作の作品をほとんど観たことがない!という、“日本男児として許すべからざる怠慢を犯している”という事実を知って、唖然・呆然・慄然・燦然(んっ? シャンゼリオン?)となってしまいましたぜよ。

 龍平や翔太も活躍しているけど、親父にはまだまだ遠く及ばないですよ。

 何てったって、松田優作は全国の無頼派少年たちの憧れであり、「男としてカッコイイとは、こういうことなんだ」ということを仕事としても実際の生き方としても実演して見せた唯一無二の存在ですよ。

 最初にそれを示したのは拳銃嫌いの空手使いの新米刑事、柴田純(そうです。中谷美紀がケイゾクで演じたヒロインの名前は、ここからパクッたのです)ことジーパン刑事!

 助けた男に拳銃で撃たれて婚約者の女刑事を残して、「なんじゃ~こりゃあ?」と絶叫して殉職してしまった『太陽にほえろ』中の最大のクライマックス劇となった、あの伝説の怪演・・・。

 アレが無ければ、奇才・竹中直人は誕生していなかったかもしれません・・・。

 そして、『俺たちの勲章』での、すぐにマグナムぶっ放す中田刑事。『大都会パートⅡ』の冗談ばっかり言ってる徳吉刑事。『人間の証明』の棟末刑事。遺作となったTVスペシャル『華麗なる追跡』でも刑事役を演じていたのは、何だか因縁を感じましたね。

 しかし、優作の真価を現したのは、何といっても『最も危険な遊戯』『殺人遊戯』『処刑遊戯』の殺し屋、鳴海昌平でしょう。この三作で日本のハードボイルド・アクションの旗手としての評価を定着させ、『蘇る金狼』でダークヒーローの頂点を極めた印象がありました。

 ところが、ここからが松田優作の松田優作たる所以であります!

 周囲からハードボイルドアクションのヒーロー役ばかり期待されることへの不満から、TV主演ドラマ『探偵物語』はコメディ調とし、『野獣死すべし』で精神にトラウマを負った奇怪なキャラクターを演じたり、『ヨコハマBJブルース』で小池一夫キャラのような乾いた性格で、強いんだか弱いんだかよく判らないブルース・シンガー兼探偵というヘンな役を演じます。

 ところが、これらのキャラがいいんですわ~。

 松田優作は、時代劇映画『ひとごろし』でも、臆病で剣の腕もからっきし・・・という侍を演じていますが、身体的強さを見せつけたいというような武道やっている人間に特有のナルチシズムは無かったようです。

 この時期からはいろんな役柄に挑戦していき、鈴木清順の『陽炎座』では大正時代の劇作家・松崎春狐を演じて泉鏡花の怪談の世界で翻弄される経験を、撮影中に鈴木監督からも受けたと言っています。

 その後も、出世作と言われる『家族ゲーム』『それから』や、『華の乱』。TVドラマ『熱帯夜』『春が来た』『新・事件ドクターストップ』『追う男』『夢千代日記』『女殺し油地獄』など、意欲的に演じてきています。

 しかし、『嵐が丘』で海外の映画祭に行った時に、もう時代劇というだけで邦画が評価される時代は終わったと感じたようです。

 松田優作が唯一監督主演した映画『ア・ホーマンス』は、観念的なSF映画ですが、彼が撮影現場で学んできた表現手法などを果敢に試行しており、賛否は分かれましたが、無視できないエネルギーに満ちた作品です。

 この頃、松田優作は仏教や精神世界への関心を深めていたらしく、作中でも宗教的な神秘体験を思わせる幻想的シーンが散見されます。

『ア・ホーマンス』の原作は、映画とはかなり違いますが、記憶喪失の主人公は、かつて幻覚を催すサボテン、ペヨーテを食べる呪術的祭儀に参加したことから、当時の神秘体験のフラッシュバックが起こるかもしれないと断って結婚し、失踪した後の帰りを待つ妻と再会したものの、また旅に出る・・・という不思議な話です。

 松田優作が、この原作のどこに共感して映画化の企画を思い立ったのかは解りませんが、彼自身に、この作品の主人公に共感する精神性があったことは間違いないでしょう。

 それは、生死を超えた魂の自由に対する憧れであったのではないか?と私は思う。

 だから、膀胱ガンを隠して『ブラックレイン』へ出演したのも、「自分は生死を超えてみせる」という、精神による肉体の完全な制御、“気の力”への挑戦的な意志による面もあったのではないでしょうか?

 彼は40歳になるかならないかの年齢で亡くなってしまいましたが、その存在感は今も褪せることなく多くの人の心の中にズシリと残っています。

 多くの人間は、死ねば、時間と共に存在を忘れられていきます。

 しかし、歴史に名前が残るような人間は、それだけ人生を濃密に精一杯生き切ったのではないでしょうか?

 人生は時間だけが価値を持つものではありません。無為に不毛に長く生きるよりも、たとえ短くとも鮮烈に生き切るほうが良いように思います。

 松田優作の作品を観たことがない人へ・・・「観なさいっ!」。

 私の言いたいのは、それだけです。

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『必死剣鳥刺し』感想

 19日(祝)に、北島師範と二人で橋本のMOVIXにて『必死剣鳥刺し』を観てきました。

 感想を言うと、かなり良かったですね。

 私は、今回、殺陣に注目していたんですが、殺陣に連なる所作であったり作法であったりという部分が、かなり丁寧に注意深く考証されているように感じました。

 例えば、“馬から降りる時に右側から降りる(刀が邪魔にならないように昔の武士は右側から乗り降りしたとされます。現代の乗馬と逆)”とか、“馬に乗っている時に大刀の鞘を返して刃側を下に向ける”とか、“家に帰った時に大刀を渡された女は素手でなく袖越しに受け取る”とか、“家の中で脇差を部屋差しのものと取り替える”とか、いろいろです・・・。

 しかし、この手の所作とか作法については諸説あるもので、例えば、“正座している時に足先を重ねない”とか、“畳の縁に座らない”とか、“はちまきは耳たぶの上を一緒に巻く”といった細かい点や座礼のやり方などについては、少し間違っているかな~?という点もありました。

 昔は武芸考証家という仕事もあって、名和弓雄先生とか初見良昭先生が有名でしたが、最近では、こういった所作や作法に関しては、大学で専門に研究している学者を呼んで全般的に考証してもらう場合が増えているそうです。

 NHKの『龍馬伝』なんかもそうしていると新聞で読みました。

 こういった所作、作法に関しては、一回教えたらそれで充分なので、長く時代劇にかかわっている役者さんは、必然的に専門家並みの知識を得ることになっていきます。

 時代劇が作られなくなれば、そういった知識は伝えられないまま忘れられてしまうでしょうが、取り敢えず、今のところは心配ないでしょう。

 特に、山田洋次監督が時代劇三部作を撮って、リアルな時代劇を目指してディテールに拘ったために、以降の本格時代劇はリアル路線にすべきという暗黙の了解が定着したような印象を受けます。

 もっとも、意外に思う人が多いと思いますが、私はそれほどリアルな時代劇作品を観たいとは思っていません。

 本当にリアルな時代劇を作ろうと思ったら、多分、日本刀で斬り合うシーンなんか、ほとんど無くなってしまうだろうと思うからですし、所作が正確かどうか?という点に注目して観ているファンは滅多にいないでしょう。

 作り手側が自己満足に陥ってしまえば、時代劇作品の分野そのものが衰退していってしまうでしょうし、キャラクター全員を的確に描き分けるのは不可能に近いでしょう。

 もし、リアルさをウリにするのであれば、それは、その所作が何故、そうするのか?という点から説明していくシーンが必要になります。でなければ、観ている側には意味が解りません。

 本作でもクライマックスの立ち回りの最中に小刀を取り出して作業紐を切って口にくわえるカットがありますが、正直、何を意図しているのか解りませんでした。周囲に刀を持った者に囲まれている状態で、その動作をやる必然性があるのだろうか?と思ってしまいましたが・・・。

 例えば、老武士と若い侍が馬に乗っている時に、老武士の刀の反りが返っているのを見て、「刀の反りが返っていますよ」と若い侍が言うと、老武士が苦笑いして「近頃の侍は馬の乗り方も知らぬのかの~。よいか。馬に乗る時は刀の反りを返しておくのが心得じゃ。お主のようにしておれば、鞘のこじりが馬の尻っぺたを叩いて、驚いた馬から振り落とされるのがオチじゃ。わかったか?」と教えてやる・・・なんてシーンがあれば、観ている客も「なるほどな~」と感心して作品世界に興味も湧くというものでしょう。

 だから、ウンチクを見せるには、ただ正確にやればいいというものじゃないんですよ。観客の興味を惹くような演出を積み上げて納得させないと・・。

 トヨエツは役作りのために幽閉されて運動しないから太った筈と考えたそうなんですが、風呂でたるんだ肉体を見せるのは、役者としてはどうでしょう? そういうリアルさは観客が喜ぶとは思えないのですが。


 私は、時代劇はファンタジーであって良いと思います。

 ファンタジーを支えるためのディテールとしての武芸考証であり、衣装や生活風俗、所作、作法が殺陣を効果的に盛り上げるものであって欲しいからです。

 で、今回の『必死剣鳥刺し』ですが、これまでの藤沢周平作品とはちょっと違っていて、悲壮な終わり方をします。

 市川雷蔵の『薄桜記』『剣鬼』や中村錦之助の『仇討』を思い出します。

 つまり、かつては多く撮られていた“滅びの美学”を描いた作品の系譜に連なっています。

 平山秀幸監督の資質もあると思いますが、山田監督だったら描かなかったであろう濡れ場のシーンも割合、ちゃんと入れてあります。トヨエツと池脇千鶴だからラブシーンも当然あるだろうと思っていたんですが、ちょっとそこだけ印象強過ぎるかも?と思いましたが、ヤルことヤッたら女もハラが座るのだ・・・という微妙な変化を演技して見せた池脇千鶴はやっぱり大した女優だな~と改めて感心しましたね~。

 しかも、一発必中?で赤ちゃんができていることがラストでわかって、ちょっと救われた気がしますけれど、「何か、ターミネーターみたい?」と思いましたね。

 しかし、この作品中で私が最も印象深く思ったのは、吉川晃司です。

 いや、実にカッコイイ。バカ殿様(村上淳がいい味出してます)に意見する別家の当主ですが、あまりのバカ殿っぷりに義憤を感じて独りで乗り込んでくるんですから、ある意味、桃太郎侍みたいなものなんですよ。

「お刀をお預けください」と必死で停める者達を蹴散らして堂々と大刀を片手に持ったまま乗り込んでくるワイルドなところは、あんなバカ殿は、ぶった斬ってしまえ!と応援したくなります。

 しかし、そこにトヨエツ扮する三左エ門が立ち塞がります。

 岸部一徳演じる中老、津田民部の命令で殿の警護役をやるように言われていた三左エ門は、「お手向かい致しますぞ」と、直心流の遣い手である吉川演じる隼人正に小太刀を抜いて立ち向かいます。

 手傷を負いながら、何とかお勤めを果たして隼人正を倒した三左エ門を、津田は「乱心者を討ち取れ!」と、待機していた侍たちに命じます。

 そして、悲惨な死闘が始まるのですが、津田の命令に待機していた侍たちまでもがギョッとした顔をしますが、逆らう訳にもいきません。

 かくて、恨みもない同僚たちと斬り合わねばならなくなった三左エ門は、初めは峰打ちでしのいでいたものの、何度も斬られてお上の理不尽な仕打ちに激怒。そこから本当の必死剣へと物語が進むのです・・・。

 何だか、平田弘史の『血ダルマ剣法』にも通じる武士道残酷物語の印象もありますが、陰険な策士である津田を必死剣鳥刺しで仕留めた瞬間。組織の犠牲にされる個人の怨念を晴らす“男の死に様”を見て、「そうだよ。これが武芸者なんだよ」と思いましたね。

 藤沢周平の作品を評価する人達に言わせれば、「藤沢作品の主人公は何の取り柄もない平凡な下級武士である点がいいんだ」とよく言います。

 しかし、それは表向き。彼らは皆、秘めた剣技の類い希な遣い手ばかりであり、それだけで充分に異能の人物であり、ちっとも平凡な人間ではないんですね。

 非凡な才能を隠して平凡に生きているだけです。が、その非凡さが知られた時に苛酷な運命に巻き込まれてしまう。

 何か、ちょっと解りますね~。非凡な人って嫉妬されやすいですもんね。


 さて、三左エ門がこうなってしまったのは、妻が病死したことと、バカ殿の側室が政治に口出しして藩政が荒れてしまっていたことの二つが理由としてあり、義憤にかられた三左エ門が人生を終わる前に人々のために役立とうと側室を刺殺したことが発端でした。

 当然、斬首されるだろうと思っていたら、閉門だけで済み、その後は殿様の警護役に抜擢されて・・・という不可解な出世コースを歩むものの、それは謀略だったという話なんですね。

 この作品中、明らかな悪人は、側室の連子(関めぐみ)だけのような感じもするんですが、連子の身の回りの世話をしていた奥女中の多恵(山田キヌヲ)は、殺された連子の菩提を弔って尼さんになっているし、実はそんなに悪い女でもなかったのかもしれません。

 バカ殿は、ただバカなだけだから、やはり、一番の悪人は津田民部なんでしょうが、この人も途中までは三左エ門を助けた良き理解者みたいにしていました。

 だからこそ、最後に正体を現して、バカ殿と一緒に三左エ門が斬し殺される様子を見物している様子の底意地の悪さは秀逸です。

 それだからこそ、騙された三左エ門が武士の意地として、必死剣鳥刺しで津田を死出の道連れにするところがカタルシスを喚起するのです。


 この作品は、殺陣とドラマがクライマックスで融合する典型的な展開ですから、殺陣がダメだと全体がダメになってしまいます。

 この点、殺陣を担当している久世浩さんは相当、気合入れていたでしょうね。

 キネ旬では三左エ門は天心独古流の遣い手と書かれていたんですが、「おかしいな。天心独明流というのはあるけどな~。支流の名前かな~?」と思っていたら、やはり、天心独明流の間違いでした。

 天心独明流は、根来八九郎重明が開いた流派で一刀流の系列です。が、どんな技を遣う流派だったのかは判りません。

 久世さんも小太刀を遣う流派だったらしいということまでしか判らなかったそうで、小太刀だったら富田流を参考にしようと考えて手を考案されたとのことです。

 富田流は一刀流の源流ですから、まあ、そんなに外れた感じにはならないでしょう。

 屋内の対決シーンは、どうしても間合が近くなりますから、そこにリアルな視点を持ち込むと「おかしい」と思ってしまいます。

 本作では印象的な細かいカットをインサートしつつ、血糊をかなり使うことでインパクトのある死闘を表現してくれていました。

 雨中の立ち回りというのも『七人の侍』のような戦いのリアリズムを表現するのに一役かっているでしょう。

 ずうっと抑えたドラマの展開が、最後に爆発するという構成も良かった。

 昔の作品だと後味の悪さだけを残してしまうことが多かったと思いますが、この作品の場合、むしろ、意地を通して死ぬところが“お見事”と言いたくなりました。


 うん、これなら及第点です。観終わった後で残念感しか残らない時代劇作品が少なくなかったので、今年は『花のあと』に続いて堪能できました。

 また、予告編で『十三人の刺客』をやっていましたが、13対200の死闘だそうで、これは中々、期待できそうです。


 もっとも、劇場が明るくなって、さあ、帰るべ・・・と立ち上がって周囲を見回した瞬間、私は背筋を冷たい汗が滴るのを感じました・・・。

「うわっ、ジジババばっかり!」

 結構、人が入っていたものの、見事なまでに50代60代70代と思しき人達しかいなかったのです・・・。

 は~、時代劇って、最早、老人しか見ないのかな~? 刀剣女子ブームは嘘かな~?

 せっかく、いい映画つくっても、人が見ないんじゃ意味ないもんな~。


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『鉄男』と『犬神の悪霊(たたり)』と『怒りの荒野』と『SHOGUN ASSASSIN』

 俳優をやっている会員のTさんとテアトル新宿に『鉄男ザ・ブレットマン』を観に行ってきました。

 ぴあを観ると、レイトショーになっていたので夜8:00に新宿アルタ前で待ち合わせて、上映時間まで一時間以上あったので、近くのツタヤに欲しかったDVDを買いに行きました。

 印税も出た後なので、“自分御褒美”ですよ。

 数年ぶりに来た新宿ツタヤは、売り場の階が変わっていて、セルDVDはB-1階になっていました。

 以前は文京学院大学の生涯学習センターで教えていた頃に会員になっていたので、ちょくちょく寄っていたんですけど、そちらも撤退してしまったし、地元の活動に力を入れているので、新宿に来ることもめっきり減りました。

 上京してきた頃に一番最初にブラついたのが新宿。そして、自主映画の上映会があった恵比寿。それから池袋。神保町。西荻窪。高田馬場。荻窪。駒込。

 意外に秋葉原や中野には一、二回しか行ったことないんですよ。

 渋谷はまあ、何というか、自分には合わない町だな~という感じがします。人間が多過ぎるし、何かオシャレな感じが違和感ある。

 新宿は割りと落ち着きます。東京という都市のエッセンスが集中している感じ。陰影がくっきりしているというか・・・。

 特に夜の新宿の喧噪と剣呑さは、田舎育ちの私には魅力的。だけど歌舞伎町は苦手だな~。客引きが煩いから。

 新宿ツタヤはシャレていないところがいいですね。穴蔵っぽい。

 Tさんはホラーや特撮が大好きなので、年齢離れているのにそれを感じさせないマニアック話ができるので、第二の矢嶋師範代のようになるかも?

 お目当ての作品が無かったんですが、買い逃していた若山先生の『子連れ狼DVD-BOX第二弾』と、先日、プランBでお話をうかがった伊藤俊也監督の幻のオカルト傑作『犬神の悪霊』があったので、即買いしました。

 そして、まだ上映時間まで40分以上、時間があったので、定食屋で飯食べて、お目当ての鬼才、塚本晋也監督の最新作『鉄男ザ・ブレットマン』を観ました。

 いや~、爆音上映ということでノイズィーなBGMが耳をつんざく中、アートフィルムのような色味を落とした塚本監督独自の、都市・疾走感・痛み・怒り・メタモルフォーゼ・有機物と無機物の融合・・・etcの要素が凝縮し炸裂するスピーディな展開・・・。

“鉄男プロジェクト”なる、変身人間兵器計画のストーリーは、『鉄人28号』や『ミカドロイド』や『メタルダー』・・・等々、数多くのSFアクションのプロットとして存在していたものなので、別に目新しいものではありません。

 が、“鉄が人体を侵食していく”というサイバーパンクな要素に科学的裏付けは不必要であり、重要なのは、怒りの感情で異形の生体マシーンへと自己組織化していくモンスターの悲哀であり、また破滅していく愉悦です。

 鉄男のモンスター化を挑発して促す塚本監督自ら演じる“男”は、結局、最強のモンスター鉄男の力で滅ぼされたいという倒錯した願望を達成するために活動している。

 この男が一体、何者なのか?という答えは明示されないままストーリーは終了し、元に戻った男は家族とともに幸せに暮らしている・・・のか?という不穏な雰囲気を匂わせて完結します。

 しかし、70分くらいの中編なのに、観ているだけでエネルギーを吸い取られるようにグッタリ疲れてしまうパワフルさは尋常ではありません。

 この作品、主人公はアメリカ人で、東京を舞台にしていて奥さん役は、桃生亜希子。CFで見かける以外はTVにはあんまり出ておらず、『サムライ・フィクション』や『レッドシャドウ赤影』の監督さんの作品によく出ている女優さんです。

 Tさんは塚本監督の大ファンで、是非、役者として塚本作品に出たいそうです。こういうのは願い続けていると願望が縁を繋げるものなんですよね~。

 縁と言えば、帰りの電車中でダベッていて、何と、Tさんが昔、演技の指導を受けていたのが、私が自主映画時代から付き合いがあった田辺日太さんだったということが解って、お互いにビックリ!

 世間は狭いね~とは、よく言う話なんですが、武術の世界だったら解るけど、まさか俳優養成学校の講師の縁があったとは、いくらなんでも怖いくらいの偶然過ぎる縁。

 でも、私はこういう縁がやたらに多いので、もう、あんまり驚かなくなりましたよ。Tさんは驚きまくってましたけど・・・。

 それにしても、上映後に小田急線で帰る時には何か異常にグッタリ疲れてましたね~。

 こういう体験は田中泯さんの踊りを観て帰る時と似ています。

 そんな田中泯さんも踊る村人の中にいたという『犬神の悪霊』・・・。封印されている作品だと噂されていたものの、最近、DVD化もされ、再評価が高まりつつあります。

 ムック本で大体のストーリーを知った後で観たせいか、「アバンギャルド過ぎて訳わからん映画」という評価とは違って、私には非常に面白く鑑賞できましたね。

 だけど、確かに、全然、先が読めない! 予備知識0だったら、「なんじゃ~、こりゃあっ!」ってジーパン刑事の物真似したくなったでしょう。

『狗神』という映画がありましたけれど、同様に犬神憑きについてモチーフにしていながら、この作品はいろんな要素がギュギュッと詰まっていて、社会問題や差別問題がテンコ盛りになっていて、オカルトなのか心理的なものなのか判然としないように進めておきながら、後半、完全な怪談映画へと豹変する、物凄いエネルギッシュな作品です。

「音楽が違和感あり過ぎる」という批評もありましたが、変にオドロオドロしくしない素っ頓狂な音楽が逆に理不尽な作品世界を浮き彫りにしていていいと思いましね~。

 私は、『恐竜怪鳥の伝説』と原田美枝子主演の『地獄』と大林監督の『ハウス』を、ちょこっと思い出しましたね。

 これは本当に、多くの人に観てもらいたいですね~。面白過ぎるもん。特にラストシーンは唖然としますよ・・・(ネタバレになるから書かない)。


 それと、NHKBS2で、ジュリアーノ・ジェンマ主演のマカロニウエスタン『怒りの荒野』を観ました。

 もう、何回も観てますけど、便所掃除人をしている身寄りのない青年が早撃ちガンマン(リー・ヴァン・クリーフ)に弟子入りして差別していた町の連中を見返すものの、師匠が実は悪人で、育ての親の元名保安官だった老人を殺されて師匠と対決するという燃える展開。

 私は西部劇俳優の中でリー・ヴァン・クリーフが一番好きで、初登場時で既に初老なのに渋い。そして、戦い方がやたらにトリッキーで、騙し討ちの名人。

『西部悪人伝』『西部決闘史』のサバタ役は最高ですよ。この卑怯殺法が認められたからか、後に彼は『忍者マスター』で、日本で忍法の極意を得た退役軍人という素敵過ぎる役を演じていました。

 武侠ドラマを観ていても、超達人の爺さんが出てくると、もうワクワクしますよ。

 ジャッキー・チェンの初期のカンフー映画でも、蛇拳の白長天や、酔拳の蘇化子、ヤングマスターのキム・・・なんかの達人爺さんに憧れたものです。

 やっぱ、爺さんは“ヨボッてるフリして実は達人”ってんじゃなきゃ~ダメだよ。

 で、この師匠は、弟子に銃を買ってやる時に、銃身の長いキャバルリーモデルを選ぶんですけど、弟子の才能が自分以上なのを見抜いていて、いざという時に早撃ちで遅れを取るように考えている訳で、非常に狡猾です。

 育ての親の老人が実は師匠以上の名手だった過去があり、その早撃ちの手口や銃の改造(銃身を短くして照準をつける銃口の上に出っ張っているフロントサイトを削り落とし、引き金の重さを調整して軽くする等)について講釈し、「自分にもしものことがあったら奥の箱を開けろ」と言って、保安官代理に復帰し、町から犯罪を一掃しようと銃の所持を禁止します。

 そして、主人公の目前で師匠に銃を寄越せと言い、ホルスターごと銃を渡すフリをした師匠からそのまま撃たれて絶命。

 こっからがいいんですよ~。主人公は怒りに燃えて老人の指示していた箱を開けると、何と、そこには早撃ち用に改造されたドク・ホリディが使っていたという拳銃とメモが残されていたのです。

 つまり、老人は、もう反射神経の衰えた自分では勝てないと解っていて、若くて才能のある主人公に後を託した訳です。

 この辺の展開って、『幽々白書』で戸愚呂に敗れることを解っていて弟子である幽助に霊光波動拳の奥義を託した幻海師範みたいなもんですね。

 この後は、マカロニ・ウエスタンの貴公子と呼ばれたジュリアーノ・ジェンマの身軽な曲撃ちアクションが見ごたえあります。

 太陽を背にした師匠が余裕をかませば、主人公は、自分には死んだ老人が味方しているんだ!と、師匠と同様のカスタマイズされた銃を持っていることを言い、早撃ちで師匠を倒します。

 町から出ていくから見逃してくれという師匠に、「必ずとどめをさせと教えたのはアンタじゃないか」と、熱く語って、とどめの一発を撃ち、拳銃を投げ捨てて去っていく主人公・・・あ~、カッチョイイ~・・・。

 何回、観ても傑作だな~・・・。でも、昔のTV放送の時は野沢那智さんの声でジェンマが喋るのが最高だったんですけど、NHKBS2だから字幕で残念。

 私はナマ野沢那智に会ったことがあるのを、一生、自慢し続けますよ。


 さて、もう一つ。

 アメリカの辣腕プロデューサー、ロジャー・コーマンが、若山先生の『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』『子連れ狼 三途の川の乳母車』を編集して一本にしてアメリカで上映し、多くの熱狂的ファンを生み出した『SHOGUN ASSASSIN』。

 これがDVD-BOXの特典映像で収録されていたのです。

 正直、本編を何度も観ている目からすると、はてさて・・・と思わざるを得ないんですが、それでも、このスプラッター・アクションと若山先生の目ヂカラに度肝を抜かれた人は多かったんでしょうな~。

 そしてまた、先日、結婚されたばかりの若山Jr.こと若山騎一郎さんが演じた『子連れ狼エクリプス』も、関係者のインタビューと共に収録されていて、本当に嬉しい。騎一郎さんは殺陣も上手いです。JAC出身だという話も聞きますが、時代劇アクション映画の面白いのを製作してもらいたいですね。何せ、若山先生DNAを持ってるんだから。

 特に、私が嬉しかったのは、齋藤武市監督が、「高橋英樹や萬屋さんもそこそこ上手かったけど、若山さんのチャンバラは凄かった。本当に斬れるって感じがしたね~」と、若山先生の殺陣の実力について非常に高く評価されていたところです。小池一夫先生も若山先生の殺陣を高く評価されていて、何か自分が誉められるより嬉しい。

 何せ、若山富三郎先生は私の心の師匠ですから! 子連れ狼と賞金稼ぎはバイブルですよ。

 でも、騎一郎さんの話でショックだったのは、若山先生は子連れ狼の話は一切、しなかったそうで、自身の中で封印してしまっていたらしく、ヨロキン主演でTVシリーズが作られたのが、それほどまでにショックだったんだな~・・・と、思いました。

 そりゃあ、日本刀持ち出して勝負したくもなるかも?

 だって、子連れ狼を映像化するのに真っ先に目をつけたのは若山先生なんですよ。劇画が連載されたてすぐに自分で小池先生のところに押しかけて主演作品の許可をくれと直談判したという話は有名です。

 そして、徹底的に役作りして臨んだ作品は大ヒットを飛ばし、シリーズ化。その人気を受けてTVシリーズ化の話が持ち上がった訳ですからね。

 そして、子連れ狼はヨロキンの代表作というイメージが世間に広まってしまったんですから、若山先生としては残念無念だったでしょう。

 ヨロキンは破れ傘刀舟とか宮本武蔵とか当たり役があるんだから、若山先生に譲ってやればよかったのにな~・・・。

 晩年は演技派俳優として認知された若山先生ですが、あの“日本最高の時代劇アクション俳優”を埋もれさせてしまった日本映画界の罪は重いですよ。



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偉大なる美術監督逝く・・・

 日本映画界の偉大なる巨人が、ついに逝去されました。

 美術監督の木村威夫氏です。

 もう、90歳を越えていらしたのですが、その年齢でバリバリの現役として本編の映画も監督されていらしたことは、規格外の人でした。

 私が木村氏の存在を初めて知ったのは、インディーズで撮られた林海象監督のデビュー作『夢みるように眠りたい』でした。

 この作品は、ミステリー仕立て、白黒、無声、佐野史郎の映画デビュー作という実験的作品でしたが、私にとっては特別な映画でした。

 当時、私はまだ大学生で岡山にいました。

 学生の自主映画がブームとなっていた時期で、この時期の前後は、関東では手塚眞、小中千昭・和也兄弟、関西では庵野秀明といった現在でもジャンル・ムービーで活躍している作家がプロへと進んだ時期でした。

 私も映画の世界に入りたいと願っていて、映研の先輩の言葉がきっかけで上京したということは、『武術と生きる日々』に書いた通りでした。

 そして、岡山にいた頃に雑誌やTVで観た『夢みるように眠りたい』という作品を、上京と同時に映画館に観に行ったという記憶があります。

 もう、24年くらい前なので記憶が曖昧なんですが、確か、大森のキネカ大森という映画館だったと記憶しています。

 上京して初めて観た映画でもあった『夢みるように眠りたい』は、想像を超える傑作でした。

 特に、幻想と現実が交錯するクライマックスの美しさは、未だに私がこれまで観た映画作品の中でも最も好きなシーンでした。

 ダイヤモンドダストのようにきらめく桜の花びらが舞い散る中、未完の映画『永遠の謎』のヒロイン桔梗姫を背負って歩いていく佐野演じる探偵の姿は、人間の一生が“想い”の一瞬に及ばない儚さを表現しているような幸福なペシミズムを感じさせるのでした。

 その中でも、白黒でありながら慄えるほどの美しさを表現してのけていた美術監督の木村威夫氏の存在が、私の中で大きくなっていました。

 既に当時から美術監督として大御所であった木村氏でしたが、若き林監督の情熱的な依頼を面白がって引き受けられたのだとか・・・。

 実は、鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』や『陽炎座』の美術も手掛けられていたことを後で知りました。

 そして、都内で自主映画サークルに参加していた頃に、木村氏のことを知る人から断片的に話を聞いたりしていました。

 誰かから聞いたと記憶しているんですが、映画学校での木村氏の講義は「木村さんは、スケールの大きなことを要求する人で、“ダイダラボッチが富士山に座ってるようなイメージで映画を考えないとダメだよ”みたいなことを言う人だった」と聞いて、なんだか豪快な人だな~と思ったものでした。

 お孫さんだったか姪御さんだったか? ちょっと記憶が定かではありませんが・・・の女優さんにも自主映画の現場で会ったことがあります。彼女はその後も舞台女優を続けていました。10年以上ぶりに友人の芝居の時に会った時も、まったく変わっておらずに驚かされたものでした。美術監督のDNAなんでしょうか?

 私自身、ついにお会いすることはかないませんでしたけれど、木村威夫氏の作品は残っていますから、その卓越したマエストロの技量を感じることはできます。

 クリエイターの端くれとして、偉大なる先達に敬意を表しつつ、御冥福を心よりお祈り申し上げます。


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『崖の上のポニョ』ってクトゥルー神話っぽい?

 近所のコンビニに週一回は最低でも行くんですが、そこで『恐怖と狂気のクトゥルフ神話』という552円本を買ってきました。

 この手の500円本は山口敏太郎さんや天野ミチヒロさんのUMA本とか大好きでよく買うんですけど、安いからと思ってちょくちょく買ってると意外と金使っちゃうもんですから、最近は控えていたんですね。

 クトゥルー神話系の解説本も、ちょっと買い過ぎていたので、これは買わずにいたんですけど、ちょっと立ち読みしてペラペラめくっていたら、佐伯日菜子主演の『エコエコアザラクⅢ』も紹介されていたので、「こりゃあ、買わなくちゃならん!」と、その1Pのためだけに買いました・・・。

 この作品、劇場で観た時は、TVシリーズほどのインパクトが無かったので、正直、ちょっと物足りなく思ったんですけど、でも、ストーリー的には何か凄いことになっていて、黒井ミサがクトゥルー神話の邪神たちと真っ向勝負するような設定になっていて燃えるんですけどね。

 マニア的にオオッと思うのは、『ダンウィッチの怪』のウィルバー・ウェイトリーの子孫(江取=エトリと名乗ってる)が日本に移住していて女学校を経営しながら邪神復活の研究をやっていて、その過程でホムンクルスを誕生させていた・・・ってな背景で、この世界観を膨らませて黒井ミサの新シリーズやってくんないかな~?なんて感じもするんですよね。

 もともと、佐伯日菜子版のTVシリーズって、遊びでクトゥルー神話の要素がちりばめられていて(第一話でミサが友達と行くクラブの名前が海神のダゴンだったり、「仮面」の回では『ピックマンのモデル』とか『彼方からのもの』の影響があってミサが風の神ハスターの呪文を唱えていたり、ミサの妹が唱える呪文が「エコエコヒプノス・エコエコノーデンス」と、旧神ノーデンスの名前から採っていたりする)、後半になると敵の教団がクトゥルー神話の邪神を崇めているらしいという雰囲気が濃厚になっていました。

 そこがデビルマン的な黙示録の雰囲気を漂わせて原作を超えたチカラがあったんですよね~。

 黒井ミサを演じたのも、吉野公佳、加藤夏希、上野なつひ、近野成美と五人になるのに、やはり圧倒的に佐伯日菜子の印象が強い。それは彼女の異邦人的な美しさが関係しているんじゃないかな~?と、この前、『アサルトガールズ』を観た時にも思ったんですけど、これはもう、成長した黒井ミサが邪神の軍団と戦うストーリーでシリーズ化してもらいたいですね。

 そんでもって、黒井ミサというのは以前のTVシリーズでも暗示されていたように一人ではないという設定で、覚醒していない少女を主役にして、かつて黒井ミサだった佐伯日菜子が助ける・・・みたいな話にしたらいいんじゃないかな~?

 やり方によってはデビルマンや魔界水滸伝を超えるかも?


 話をもとに戻します。

 クトゥルー神話の産みの親であるH・P・ラブクラフトが黒魔術やグノーシス派の秘教系の知識があったという見解をコリン・ウィルソンなんかが出しているんですが、確かに、「黙示録の獣」を自称していた二十世紀最大の黒魔術師(山師?)アレイスター・クロウリーとか神智学(マダム・ヴラバッキー。この派からルドルフ・シュタイナーやジッドゥ・クリシュナムルティーなども出ていて、何か日本の新興宗教界とも似ている気がする)の教義にも近くて、もともと、クトゥルー神話と黒魔術は相性が良かったんですね。

 魔術にSF的な宇宙観を加えたのがクトゥルー神話であり、そのダークな世界観はコズミックホラーと呼ばれています。

 宇宙創成の神が、盲目白痴の邪神アザトース・・・なんていうダークな解釈がマゾヒスティックなホラー感覚を喚起するのです。

 ギリシャ神話のテュポーンやヒドラやゴーゴン、ミノタウロス、北欧神話のフェンリル、ヒンドゥーのナーガ、道教の女蝸、日本神話のヒルコにヤマタノオロチ・・・といった異形のクリーチャーはいるものの、主要な神は人間の姿と変わらない。

 ところが、クトゥルー神話の神々はほとんどが異形そのもので、人間に似てるのはノーデンスくらいかな? 後はナイアルラトホテップが、たま~に人間の姿で出てきたりするくらい。

 形態的には、ウルトラQのバルンガやゴルゴス、ウルトラマンのブルトン、ウルトラセブンのペテロ、帰ってきたウルトラマンのバキューモンやバリケーンやビーコンやプリズ魔、ウルトラマンAの異次元人ヤプール、ウルトラマンレオの円盤生物なんかがクトゥルー神話の邪神に近いでしょうか?

 中でもウルトラQに登場した海底原人ラゴンが、ウルトラマンでは身長30mに巨大化して出てきて口から放射能火炎を吐いたりした様子を見れば、巨大化したという設定よりも、Qの時はインスマス人で、マンの時は邪神ダゴンだったという解釈が成り立ちます。

 半魚人のイメージって水棲人類なんでしょうが、最近のUMAでもカエル男とかありますし、ボルネオのオランイカン(オランウータンが“森のヒト”だから“海のヒト”)、日本の河童や中国の水虎も、その類いのイメージなんでしょうね。

 ホラー映画批評家の鷲巣義明さんは、ヘドラとクトゥルー神話の類似性について書かれていましたが、なるほど~と思いましたね。そういう点ではレギオンもそうでしょうね。

 いっそのこと、クトゥルー神話を題材にした怪獣物を作ったら面白いでしょうね。

 多くの作家が創作意欲を刺激されているのも特徴で、それをまた「盗作だ!」と排除しないで鷹揚に受け入れるところもまたクトゥルー神話が都市伝説的な広がりを持っている理由でしょう。

 平成ウルトラマンやエコエコアザラク、それにジャイアントロボにまで、小中千昭が脚本を手掛けた作品には必ずといっていいくらいクトゥルー神話との結び付きが出てきますが、そもそも、Jホラーのルーツとも言われる心霊ホラーVシネ『邪眼霊』なんて、アイドルが歌う歌のタイトルが「ラブ・クラフト」なんだから、ちょっと苦笑しちゃいます。

 そして、伝説となった『ギミア・ブレイク』中の佐野史郎主演の『インスマスを覆う影』は、ラブクラフトの代表作の一つを日本に置き換えた傑作ホラーで、凝り性の佐野さんがノリノリで演じていて、怪談的な裏話まであったそうです。

 佐野さんは『ゴジラ・ファイナルウォーズ』でも、クトゥルー神話ネタを口走るキチガイ・テロリストを強引に演じて、何となくこの作品がクトゥルー神話に繋がっているかも?みたいな印象を無理やり付加していました。まあ、個人的にはいいんですけど・・・。


 さてさて、密かにクトゥルー神話にはまる作家が少なくないということは御理解いただけたか?と思いますが、以前から噂されていた「宮崎駿監督がクトゥルー神話好きなのではないか?」というネタですけれど、これも当然、本の中で触れられてます。

 それによれば、『となりのトトロ』はツァトゥグアに似てるとか、『千と千尋の神隠し』のカオナシがナイアルラトホテップではないか?とか、「なるほどな~」と思わせる見解があるんですが、いや、それはちょっと穿ち過ぎなんじゃないかな~と言えば、言える訳ですね。

 しかし、『崖の上のポニョ』に関しては、確かに、ポニョってモロにインスマス人(半魚人)だし、グランマンマーレって海神ハイドラなのかな~?という感じもします。

 フジモトはダゴンの隠喩なのかという話もあるようですが、こっちはランドルフ・カーターか魔導士エイボンとかミスカトニック大学の邪神研究の第一人者、ラバン・シュリュズベリイ博士とかの魔術的博士のイメージの方が近いように思えます。

 あるいは人間に精神寄生体が宿ったのか?という印象も受けます。

 正直、「オイオイ、これって人魚姫が元ネタっていってたけど、クトゥルー神話の間違いなんじゃないの?」って感じがしましたね。

 何か、『千と千尋・・・』の時のような隠された宮崎監督の邪悪なイタズラっ気が感じられてなりません(あの作品って少女売春の隠喩だもんね)。

 例えば、これを実写化したとすると、かなりオドロオドロしい映像になると思いませんか? 主人公がポニョと一緒にトンネルに入って歩いているうちにポニョがカエル顔の半魚人になっていくところなんか怖いと思いませんか~?

 実写にしたら、相当、ホラーっぽくなると思いますよ。

 宮崎監督はそれを狙ってると思うな~。

 で、大人になったポニョが結婚してできた子供が大きくなると半魚人になっていく・・・なんて後日談ができたら、まるっきり『インスマスを覆う影』と一緒。怖いよ~。

 あっ、そういえば、『もののけ姫』のシシ神様がヘドラみたいになって暴れるクライマックスのところなんか、『ダンウィッチの怪』を思い出すな~・・・やっぱり、宮崎監督はクトゥルー神話好きな可能性高し!

 ただし、ポニョに関しては、諸星大二郎の『栞と紙魚子』に出てくる作家の段一知(ダンイッチ?)とその巨大な顔だけしか見せない奥さん、ペットのヨグ・ソトホート、娘のクトルーちゃんの一家がモデルではないか?という説もあって、確かに、こっちの方がソックリなんですね。

 この作品は深夜ドラマ化もされたナンセンス・ホラー・コメディなんで、ポニョの元ネタと言われても違和感ありません。

 宮崎監督も諸星大二郎のファンを公言していることだし・・・。


追伸;この『恐怖と狂気のクトゥルフ神話』の執筆してる佐山史織さんって、プロフィールのところに“武術家”って書いてあって、何者じゃ?と思いました。この前買った『[図解]武将・剣豪と日本刀』にも書いてましたね。かえる、佐藤新也ってライターも被ってるじゃん? あっ、よく見たら、出版社もどっちも笠倉出版社じゃん。俺もこういう辞典っぽいの書いてみたいな~。


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首刈り民族・・・

『映画秘宝』で“切り株”と表現されている映画での人体切断破壊シーン。

 何か、『ランボー・最後の戦場』が凄いという噂を聞いていたんですが、本当に、こりゃあ凄惨だな・・・と思いました。

 もう、ほとんどホラー映画というか、50口径のアンチマテリアルライフルや重機関銃で撃たれて頭が吹っ飛んだり手足が千切れてしまったりする描写が執拗なくらいリアルに描き出されて(スタローン、すさんでるな~)、80年代のスプラッター映画ブームの頃の作品を思い出しました。

 しかし、CG技術がリアルになった分、ちょっと不快に感じますね。作り手が病んでいるような印象まで受けてしまうからです。ま~、ランボーがヒロイックに描かれるだけの作品だったら、そっちの方が嫌ですけどね。

 80年代のスプラッター映画は、SFX(特殊効果技術)の発達と共に隆盛していましたが、どこか嘘っぽくて馬鹿馬鹿しさも漂うユーモラスな印象がありました。

『13日の金曜日』『バーニング』『サンゲリア』『バタリアン』『フェノミナ』等々の多くのホラー映画に血飛沫が飛び散るスプラッター描写が溢れていましたが、それらはファンタジーとしての表現として笑って見られました。

 それを意図的に狙ったような作品としては、今はすっかり巨匠になった観のあるピーター・ジャクソン監督の悪名高い悪乗りゾンビ映画『ブレインデッド』がありました。

 これがまあ、本当に下品なギャグをちりばめた作品で、現在は封印に近い扱いをされているみたいです。が、ここまでバカだと笑って見ていられます。いや、ホントにバカだから・・・。

 そもそも、スプラッター映画は映画の原点のような面もあり、戦争映画や西部劇、時代劇、武侠映画・・・等々で描かれる戦闘シーンでは不可欠のものでした。

 特に、世界的に評価された日本のサムライ映画『用心棒』や『ショーグンアサシン(若山先生版子連れ狼)』は、スプラッターなショッキング描写が注目され、作品そのものの面白さが認められたのです。

 特に若山先生版子連れ狼では、竹筒手榴弾で手足が吹っ飛んでたり、長巻でスネを払われると足首だけ立ったまま残っていたり、頭が縦にスイカが割れるようにパカッと割れたり・・・などというギミックをわざわざ作ってるんですが、もうギャグすれすれです。

 一説に、『ショーグンアサシン』がアメリカで公開されてから、80年代のスプラッター・ブームが起こったと言われているくらいです。

 何か、「リアルじゃない」と、こういう作品を非難する人もいますが、映画なんか嘘っぱちなんだから、必要以上にリアルにしなくていいんですよ。

 人類史の中で、原始的な人間の行動の中には敵の首を切る首刈りの本能が眠っているとされます。

 台湾の先住民族タイヤル族は、首刈り族で有名でしたし、アフリカ、インド、ヨーロッパ、中国、南米等にも首刈りの儀式的な風習がありました。

「ま~、野蛮な・・・」と思った貴方。忘れてはいませんか?

 日本人は世界に名だたる首刈り民族サムライの末裔だということを・・・。

「サムライの人口比率なんか微々たるものだよ」と、したり顔で言った人・・・甘いっ。

 農民だって、落ち武者狩りして竹槍や鎌でサムライの首刈りしてた筈だし、町人だって博徒になった者はいます。

 多少なりとも日本人のDNAには、首刈り族のDNAが入ってるはずですよ。

 多分、私はかなり濃厚に首刈り族のDNAが入ってるんじゃないかな~?と思うのは、「テメー、このヤロー!」って思うと日本刀で首すっ飛ばしてやりたい衝動に駆られますからね。

 刀剣店で刀を見る時も、「う~む、これなら一撃で首、すっ飛ばせそうだな~」と思いながら見てます。普通の刀剣愛好家は、こんなこと考えないで刃文とか地肌とかの美しさだけで選ぶんでしょうけどね~。

 あ~、オレも病んでるな~?


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『アサルトガールズ』観てきました!

 押井守監督のSFアクション『アサルトガールズ』を、テアトル新宿に観に行ってきました。

『ぴあ』で、劇場の都合で入れ替えるかも?とか書かれていたので、「これは記録的な不入りなのか? ヤバイ、早く観に行かないと前売り券が無駄になってしまう~」と、慌てて観に行ったのです・・・。

 何か、客の感想も良くないみたいだし、「押井監督、ヤッチマッタノカ?」と思ったりしていたんですが、あの『アヴァロン』の世界観を引き継いでいる作品となれば、他人の評価なんか無視! 俺は俺の目しか信じないんじゃ~!とばかりに、劇場に行きました。

 で、感想なんですが、「なるほど、この肩透かし感を不快に思う客は多いかもな~」とは思いましたね。

 何というべきか・・・? そう、丁度、『キルビル』を観に来た年配の御夫婦が首をひねりひねり劇場から出ていく・・・あの感覚に近いかも~?

 尺も一時間とちょっとだから、「何じゃい、コリャ~?」と思った人が多かったのかもしれません。

 だけど、ちょっと待ったぁっ!

 この作品の味は、いつもの押井監督の観念的哲学的SFの思想性にあるのではない!

 これは、いわば、“落語”であり、“漫才”であり、“うる星やつら”なんですよ。

 バトルスーツや銃器の過剰なまでのカッコ良さ、仮想現実空間にいる巨大モンスターを狩る女ハンター達の際立つ個性(踊ってるだけの菊地凛子)、それに利用されるだけの筋肉男・・・黒木メイサが沖縄古伝空手(今野敏先生直伝!)を駆使して筋肉男を繰り返し抹殺?する押井節たるリフレイン・ファイト。

 シャレですよ。シャレ! 物凄く手のこんだシャレ!

 押井ワールドの一つの真骨頂といってもいいんじゃない?

 よって、私はこの作品、好きだな~。佐伯日菜子も出てるし・・・もはや、押井作品の常連と化しつつあるような・・・。

 それに、巨大モンスターをアンチマテリアルライフルで狙撃するというのも好き。

 仮想現実空間の話なので、彼女たちの日常生活空間も見たかったですが・・・それは押井監督がプリキュアみたいなシリーズ構想をしているかどうか?ですかね~・・・。

追伸;年賀状、くださった皆さん、ありがとうございました。葉書がなくなって全員にお返事できませんでした。ごめんなさい。あらためて、今年も宜しくお願いします。

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海老蔵の父ちゃんの宮本武蔵は凄い!

 市川海老蔵と小林麻央が熱愛?だとか・・・。

 そんな海老蔵が主演したNHK大河ドラマ『武蔵』は、数ある宮本武蔵の映像化作品の中でも、残念ながら私のランキング的にはかなり下になっています。

 何故か?

 殺陣を思いっきり蔑ろにしていたからです・・・。

 いや、恐らく殺陣指導の段階では良かったと思うんですよ。だけど、完成した映像では、ズタズタになったりヘンな演出をつけられたりしていて、殺陣の醍醐味を完全に殺してしまっていたように思いました。

 中でも、宮本武蔵の超人的強さを印象付ける中盤の大殺陣“一条寺下がり松の決闘”の、唖然となるほどの短さと、「真空斬りか?」と思わせる3m以上は剣先から離れた相手が斬られて倒れるシーン・・・。

 アレは、意図的にカメラアングルを無視して編集したとしか思えませんでした。

 そして、マトリックスみたいに空中静止した武蔵を360度回って見せるCGの見苦しさ・・・。

 これは、劇場版『蝉しぐれ』での能を採り入れたというキテレツな殺陣に匹敵するダメっぷりでした。

 香港アクションを見習えとまではいいませんが、せめて、昔の時代劇を研究して殺陣の文化に敬意を払ってもらいたいものです。

 時代劇で殺陣がダメだと、どんな素晴らしい芝居と演出がされていても全部、台なしになってしまうのです。

 宮本武蔵という作品は、希代の剣豪の人生を描く作品なんですから、殺陣の重要性は格別な筈です。それを理解していない演出家は関わってはいけません!

 武蔵を演じた役者というと、片岡千恵蔵、三船敏郎、萬屋錦之介・・・と、多くの人が演じてきましたが、海老蔵の父ちゃん、現在の市川團十郎が海老蔵であった頃にも演じていたんですね。

 ところが、時代劇専門チャンネルで見直してみて、驚きましたね~。

 海老蔵の父ちゃんの殺陣の烈しさ! 吉岡一門との決闘なんて、棚田を駆け巡って、飛び上がり、飛び降り、凄いのなんの・・・追いかける吉岡一門が追いつけないスピードでギュンギュン駆け巡りながら斬る!

 いや~、ビックリしましたね~。今の海老蔵は全然及ばないですよ。本当に凄い!

 何か、やっぱり、昔の時代劇は役者のスキル自体が凄かったから面白かったんだろうな~と思いますね。

 最近の作品では、『山桜』の殺陣が非常に良かった。殺陣の説得力と東山君の身体性が侍になっていた。『必殺2009』も悪くなかった・・・。

 今は、『十三人の刺客』に期待しているんだけど、どうかな~? オリジナルで西村晃が演じた平山九十郎を誰が演じるか?で成否が決まるように思えるんですけど・・・。

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松田優作を知らないヤツとは口をききたくない!

・・・というのが10代後半から20代の頃の私でしたね。

 だから、松田優作が『ブラックレイン』で凄い演技で圧倒的な存在感を示してみせた時は、「あ~、これで日本の俳優が世界を変えていける」と、凄く嬉しくて、だからこそ、その直後の松田優作の死が、いろんな意味で悲しくって仕方がなかった。

 確か、11PMじゃなかったかな~? 司会の高田純次が呆然とした顔で優作の死を伝えたのを聞いた時、私もまた呆然となり、いつの間にか『最も危険な遊戯』のビデオを観返していました。繰り返し、何度も何度も・・・。

 それはまるで、「嘘だろ。優作はこうして生きているじゃないかよ」と思いたかったのかも知れません。

 多分、私より上の世代の男で松田優作が嫌いという人はいないんじゃないか?と思います。

 それは、ブルース・リーが嫌いな男がいないというのと同じような意味で、男にとっての憧れの存在であった訳です。

 俳優にウルトラマンや仮面ライダーのようなヒーローのイメージを持って憧れられた最後の存在だったようにも思えるんですよ。

 何といっても、初めて松田優作を見たのが『太陽にほえろ』のジーパン刑事。拳銃嫌いで空手で悪漢をぶっ飛ばす長身の兄ちゃん・・・。

 やっぱり、男は喧嘩の強い男に憧れるもんなんですよ。

 そして、『蘇る金狼』でのピカレスク・ヒーローを見て、ハードボイルドに目覚めた。

 多分、それから私は本格的に松田優作信者になった。

 浪人していた時に福岡のテアトル西新という名画座でオールナイトで見た松田優作特集では、『最も危険な遊戯』『殺人遊戯』『処刑遊戯』『野獣死すべし』を見た。

 また、特撮物の珍しい作品のオールナイトで見た『狼の紋章』が、凄く好きで、これが切っ掛けで自主映画の世界に入り込むことになった。

 その後の、『ヨコハマBJブルース』『陽炎座』を見た頃にはファッションまで似てしまった。

 もっとも、優作はアクション離れしていってしまい、TVにはほとんど出なくなっていた。

 そんな時に新作のアクションをやるというので、『ア・ホーマンス』を見た。

 監督もつとめた優作の唯一の優作映画。『ア・ホーマンス』は賛否両論だったが、私は監督としての松田優作の孤高の志しの高さと前衛的なセンスの良さを感じて、実は優作主演作品の中でも最も好きな映画である。

 俳優が監督した作品は、どこかバランスが悪い。映画全体の見せ方を理解していないからではないか?と思う。とっ散らかって纏まりがついていなかったりして、素材が良くても壊れた感じになってしまう。

 ごく最近、そういう映画を見た。題材に関心があったので期待したのだけれど、ちょっと違うな~と思ってしまった。

 しかし、『ア・ホーマンス』は物凄く計算された緻密さと丁寧さが感じられる。それが画面を通じて伝わってくる。

 大学映研時代の先輩が遊びに来た時に、少し用事で出掛ける時に『ア・ホーマンス』のビデオを見てもらっていて、帰ってきた時が終わり頃。先輩は何と、泣きながら見ていて、「優作はカッコエエな~・・・」と感動していた。

 多分、先輩は、作品の内容以上に、作品にかけている優作の魂に触れて泣けてしまったんじゃないか?と思う。

 ちなみに、この先輩が「長野君。本気で映画やりたいんやったら、やっぱ、東京に行かんとあかんでぇ」とアドバイスしてくれたから、私は岡山の大学を辞めて上京する決意をした。

 まあ、今のところはまだ映画の仕事はやっていないけれど、割りと近い将来にそういうチャンスがやってきそうな気がしている。私は運を引き寄せる力が強いから・・・。

 余談ながら、大学を辞める時に映研の仲間が「プロの物書きになってください」と祝いに万年筆をくれた。そっちの約束は果たしたけれど、映研時代の仲間の思いが力をくれたんだと今も感謝するばかりだし、期待に応えるよう、もっと活躍したいと思う・・・。


 それにしても・・・松田優作が死んでから20年も経過したのか?と思うと、それだけ自分も年食ったんだよな~と思うばかり。

 優作の死んだ39歳という年齢も大分、越えてしまった。あと3カ月くらいで47歳になる。技はまだまだ伸びているという実感があるけれど、肉体そのものは確実に老いていく・・・。

 記憶の再生速度が明らかに遅くなり、老眼も進んでいると実感する。

 だけど、私はまだ生きている。生きていれば新しい仕事ができるし作品も作れる。人を育てることもできる。コツコツと生きていれば、私も死んだ後で多くの人から憧れられるような爺さんになれるかもしれない。

 伝説はこれからだ・・・。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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