長野峻也ブログ

武術研究家、長野峻也の色んなエッセイ?を掲載します。リンクフリーです。HP:【http://www7a.biglobe.ne.jp/~yushinryu/】

昭和の特撮は深かったな〜

『昭和特撮大全 蘇る伝説のヒーローたち』(岩佐陽一著・三才ブックス刊)という本を本屋さんで見つけて手に取ってパラパラッとめくったところ、ババーンと“牧れい”サマの写真が載っていたので、即買いしました・・・。

 ガキの時にインプリンティングされたカッコイイお姉さんのイメージでダントツ一位が牧れいサマで、女性にカワイイとか優しいというイメージよりも先に“カッコイイ”を求めてしまう訳ですよ。

 だから、基本的に男に媚びるような女はスカンのですよ(ツンツンしてる女もスカンけどね。まっ、自然体で我が道を行くような女がいいね)。

・・・と、別に好みの女性観を書こうと思ったんじゃないんですが、この本、買って正解でしたよ。面白いもん。

 コンビニで買えるUMA本みたいな軽い文章がいいです。けど、意外と深いところまで突っ込んでいて、考えさせてくれるところもあります。ウルトラセブンのところとか。

 個人的には、もうちょっとくだけてくれてもいいかな?とは思いますけどね。あんまり茶化して書くと恨まれたりしかねないもんね。

 月光仮面やウルトラマン、ウルトラセブン、仮面ライダーはまあ国民的ヒーローだから判るとして、恐怖のミイラ・レインボーマン・シルバー仮面・アイアンキング・レッドバロンといった、ちょっとばかしマイナー臭が漂うヒーローから、ウルトラファイト、魔人ハンターミツルギ、グリーンマン、牛若小太郎といった、Z級ヒーロー番組をわざわざ採り上げている選択基準がよ〜判らんのですけれど・・・。

 まあ、でも別に、私的にはその心意気や良し!という感じですし、誰も顧みないような作品こそ語り残すべき資料価値が有ると言えるかもしれないし・・・。

 しかしながら、多くの特撮本では「シルバー仮面は完成度は高過ぎて子供ウケしなかった」と、よく言われていることなんですが、実際に観てみると、かなりワキが甘い作品だよな〜と思いましたけどね。

 逃げる星人をシルバー仮面が追いかけて商店街で暴れてるシーンなんて、見てる人達が苦笑いしていたり、春日兄弟の父親の霊?が出現?(オカルトになっちゃっても誰も不思議に思わない)して、星人に二度殺された?って、ヘンテコな描写が続出していて頭抱えちゃいましたけどね。

 え〜っと、それと、細かいイチャモンで申し訳ないと思いつつ、レッドバロンが人間が乗り込んで操縦する初の巨大ロボット実写物と書かれているのもオヤッ?と思ったんですよね。たしか、ジャンボーグAのほうが早かったんじゃなかったっけ?

 という、特撮オタクにとっては重要に思えてしまう細かいツッコミ所も有りますが、でも、面白かった。岩佐氏には、大変だとは思いますが、この調子で全ての特撮物を紹介して欲しいところですね。

 あっ、でも、岩佐氏が憂う現在の特撮物に欠けているようなイマジネーションが昔の作品には溢れていたという指摘には、大いに納得です。

『レッドバロン』を見ていると、オイオイって描写もあるけれど、「エ〜、すげ〜な〜」って思うような斬新な映像表現とかストーリーとか有りますよ。

 単に金が無いからなんだと思うけど、SSIの装備はジープと銃火器くらいで、後は格闘戦。手錠を素手で引き千切るメカロボを相手にパンチとキックで倒すSSIの面々は強過ぎます! 銃なんて、M−1カービン、UZIサブマシンガン、シュマイザーMP40、トンプソン・サブマシンガンとかだもんね〜。ワイルド7か?と思ったよ。

 川内康範氏への尊敬の部分も、この本のキモですな。月光仮面にレインボーマン、ダイヤモンドアイ、現在、チャンネルnecoで放送中のコンドールマンなんかも改めて見ると新たな発見が有りますよ。民族派活動家としても有名だった川内氏の手掛けた特撮ドラマには、自灯明精神が根強くあって、今見ると確かに教育的な意図があったんだな〜と思います。

 モンスター一族がアメリカの超高層ビルで会議してるところなんて、明らかにフリーメーソンだのイルミナティだのを意識して皮肉ってるし、ゼニクレージーなんて、六本木ヒルズ族ですか?って感じる。

 何だか、現在の世界不況や地球温暖化問題なんて川内氏に言わせれば全部、“人災”なんだぞって感じだよな〜。特撮ドラマって、予言書みたいなものかも?



 さてさて、話は一挙に変わりますが、ゴン格に蘇東成老師が取材されていたので買いました。

 私は、格闘技が実戦的で武術が非実戦的という先入観は全然無いんですが、思っている以上に格闘技を愛好している人って、「武術は実戦的じゃない。弱い」という先入観が有るみたいですね?

 私のところに連絡してくる人にも露骨に武術蔑視した発言をする人もいましたけど、そういう人って、ほとんど学んだ経験が無い人なんですよね。

 私は格闘技も嗜んだことは有るから別に弱いとかダメだとかは思いませんし、試合形式でやったら強いだろうと思ってますし、真摯に格闘技を学んでいる人達には礼儀正しい人間的に尊敬できる態度の人が多かったですよ。

 でも、じゃあ、格闘技は護身術として優れているか?と言ったら、そんなに有効だとは思わないんですよね。ストリート・ファイト向けには芦原空手や功朗法のほうがずっと適応できると思いますし、大抵の格闘家が馬鹿にしている合気道や少林寺拳法は護身術的に技術を検討すると実に合理的に体系化されています。

 簡単に言えば、「ナイフや木刀、鉄パイプを持った複数の相手に対応する戦術を持っているか?」という点ですね。こういう想定をすると、「そんな特殊な状況を持ち出すのは論理の飛躍だ」って言い出す人が多いんですけど、「何を馬鹿なこと言ってんの?」と言いたい。

 何だか、格闘技をやっている人は護身術というと馬鹿にして簡単に考える人が多いんですが、護身術って普通に命がかかってしまうんですよ。“素手で最低の安全が保証された中で一対一で技を競う試合”とは違って、予測がつかないのです。

 例えばですよ。私のところに来た人の中には他流の指導者クラスの人もいる訳です。そんな人に一瞬で技かけてみせれば、そりゃあ、「うわっ、こんな達人には会ったことがない!」みたいに勘違いする訳ですよ。

 でもね〜。それは、私は研究家だから大抵の流派の技や戦闘理論は頭の中に入ってるし、当然、弱点も研究しているんですよ。一応、身体動かして研究してるから、文献や資料集めて頭の中だけでやっている人とは違っていて当たり前ですよ。

 それと、尋ねてきた人は、基本的に私がどんな技使うか知らない訳ですよ。これじゃあ、対処できないのが当然です。私も信用できる人以外には技教えない人間だし、本やDVDにも基本的なことしか公開していない・・・。

 手の内バレたら相手は警戒して簡単には技がかけられなくなるでしょう? そうなったら私が一方的に勝つのは無理だし、下手したら負けますよ。いや、はっきり言えば、まともに同じ条件で闘って、若くてバリバリ現役でやっている人達に勝つ自信なんか全然無いですよ。

 フルコン空手のタフネスさ、ボクシングのフットワークと多彩なパンチ、伝統空手の遠距離からミサイルみたいに飛んでくる突き蹴りのスピード・・・同じ条件でまともにやれば、とても勝てないですよ。

 だから、相手の戦法を事前に調査して弱点を探って、そこだけ攻める。これも戦術のうちですよ。もっとも、本来は武道・格闘技もこうしていた筈だと思うんですが、競技形式の中で忘れられてしまったんじゃないかな〜?

 格闘技の試合に、何故、ルールが有ると思いますか? 安全のため? まあ、それも少しはあるでしょう。

 だけど、一番の理由は、「どっちが強いか判別するために偶然性が入り込む余地をできるだけ排除する」というためにルールが有るんだと私は考えます。

 武術には原則的にルールは有りません。何でもアリ。ルールを設定したら護身術として役立たないから。

 だから、私は武術の研究家を志してから、素手の技、武器術のみならず、心理学、サバイバル技術、武器の製作法、銃の研究、健康法、舞踊、身体訓練法・・・等々、関連した分野をいろいろ勉強してきましたもん。

 また、武術の文化的表現形式として殺陣やアクションに関心を持って研究していたのも皆さん、御承知でしょう。以前は自主映画や学生演劇の立ち回りつけたりしていましたからね。

 蘇東成老師が評価されるのは、中国武術の本来の実戦性が注目されることになるでしょうから、大歓迎だと思います。蘇老師の技は、少林拳・太極拳・形意拳・八卦掌のエッセンスが融合し、まさに中国武術の本質を体現している師範だと思います。

 日本の中国武術界で格闘技の世界で認められるだけの実戦力を示せる師範は、太気拳をはじめ少数しかいないと思われるので、蘇老師のような幅広い技の遣い手が注目されたのは、ほっとしています。

 今、ようやくにして格闘技関係者が武術に目を向けて“実戦”に関する視野を広げようとしているのが感じられて、私は良いことだと思っています。いつまでも甲野氏みたいなフェイク武術家が第一人者扱いされていたらダメだと思いますしね。

 でも、武術をやっている若い人達も、実際に競技の場で腕を磨くことの重要性を知ることも必要じゃないか?とは思いますね。

 だって、ストリート・ファイトで試す訳にはいかないでしょう? というか、武術は護身術なんだからストリート・ファイトを自分から求めるのは本末転倒だもんね〜。

 まあ、いろんな可能性を模索することは良いことだと思いますよ。何が正しくて何が間違いか?ってことは、求める自己の中にしかないんだから・・・。
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