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先生に感謝!

 久しぶりに、横浜同好会の稽古に行きました。新入会者の面談も兼ねてです。

 主催者のK原さんと共に、入会希望者の方といろいろ話をしました。

 さて、それで新入会員の方と三人で練習するか?と思ったら、先日、本部に入会したばっかりのK村さんも来ました。

 ちょいと驚きました。

 どうしてか?というと、私、「この人、続かないだろう」と思っていたから、スワイショウと立禅しか教えていなかったからですよ。

 礼儀もなってないし、未熟という以前に、我流で練習していたので物凄く変な癖がついてしまっていて基本ができていませんでしたから、「教えてもモノにならんだろう。どうせ、すぐ来なくなる」と思っていました。

 それが、片道一時間以上かけて横浜同好会まで来たんです。

 礼儀も少し弁えはじめました。目付きにも真剣味が出てきました。たった三回目で、雰囲気も変わってきていたのです。

 調子のいい言葉を並べて“やる気”をアピールする人はいますが、そういう人はまず続かないことが多いです。なので、私は“言葉”は信用しません。

 その人の態度を観察して教えるかどうかを判断します。特に、練習中の態度を観れば、如実に判りますね。

 単に、覗きに来たのか、私の腕前が探りたいのか、私に会ってみたかっただけなのか、ウリコミに来たのか・・・いろいろですよ。

 なので、「あ~、ちゃんと覚えたいんだな~」と思ったので、スワイショウと立禅だけじゃ可哀想なので、普通に基礎錬体・推手・初級対錬・差し手の説明などもやりました。

“やる気”と“本気”があるなら、私は拒みません。礼儀作法や何かは徐々に覚えてくれればいいでしょう。自分に自信がつけば自然に妙な自己顕示はしなくなるものです。

 正直、それが感じられない人には、私は技をやって見せることすら稀ですよ。適当にお喋りして一つも技見せないまま、「じゃ、さよ~なら~」で、おしまいです。

 習う気持ちのないヤツに教えてやる義理なんかありませんからね。

 私は自分の人生を捧げて武術の研究をやってきたんです。誰が好きこのんで食うや食わずでお先真っ暗の武術研究家なんて商売やりますか? 興味本位のレジャー感覚しかない人間には教えたくないんですよ。もったいない・・・。

 私は、流儀に優劣は無いと思っている一方で、「俺ぐらい武術を探究している人間はいない!」という強烈な自負を持っているんです。

 私は、躾道館の小林直樹先生、天真会の青木宏之先生、賢友流の友寄隆一郎先生、武神館の野口幸男先生・・・といった多くの先生方から、本当に貴重な技や理論の教えを受けました。それらの技や理論は、先生方が血と汗で研鑽して得られたものであるのは言うまでもありません。

 現代で、一生、探しても天運が無ければ会うこともできないであろう先生方にお会いすることができて、おまけに技を見せていただいて、解説までしてもらったんですから、こんな恵まれた人間はいませんよ。

 これだけしていただいて、技を体得できなかったら、それは全て自分の怠慢です。

 私の技には多くの素晴らしい先生方の教えが無数に詰まっています。だから、先生方に恥をかかせないように、生涯かけて磨きあげていかなくてはなりませんし、世の中ナメ腐ったようなヤツには教えたくありません。

 それは、小林先生や青木先生や友寄先生や野口先生が、御自身で身をもって示してくださっていたからですよ。ナメ腐ったヤツはぶちのめす! それこそが武術の教えなんですね。

 ところで、これは是非、書いておきたいんですが、小林先生は、去年、DVDを撮影された時に、自身の最も得意である絶技“超神速歩法”を一切、やりませんでした。

 私は、それが残念でなりませんでしたが、小林先生が自身の最も得意な技を隠した理由は、「俺は、ほんの少しでも澤井先生や桜公路先生に恩返ししたいと思ったんだ。それはできたんじゃないか?と思う。だから満足しているよ」と言われていました。

 つまり、小林先生は、自分を売り出したい訳じゃないんですよ。「習った先生に恩返しがしたい。自分よりも先輩を取り上げて欲しい」というのが、私が小林先生に初めて会った時から一貫して微塵も変わらない御希望でしたよ。

 だから、小林先生は兄弟子の岡林先生や高木先生を御紹介されたんですね。「自分よりも兄弟子を専門誌で採り上げてくれ・・・」ということだったんです。

 自分を売り出すことばっかりに躍起になっている人達と比べて、何と謙虚なんだと思います。

 でも、私は弟子として小林先生の本当の凄さを多くの人に知って欲しかったんですね。

 あの人間技とは思えない超絶のスピードを見せて欲しかった・・・。

 私が小林先生の太気拳のDVDをあまり誉めなかった理由がコレなんです。だって、肝心要の歩法をやって見せなければ、隠して動いている“不自然さ”を“未熟さ”と誤解する人もいるでしょう?

 だから、私としては、正直、悔しくて悔しくて仕方がなかったんですよ。「この期に及んで、何でそこまで隠すのか? フルスピードでなくてもいいから、普段通りに歩法をやって見せてくれればいいのに・・・」と、残念で残念で、仕方がなかったんですよ。

 案の定、小林先生のDVDを見て酷評している師範もいたみたいです。「太気拳はこうじゃない。何で小林さんは間違ってしまったんだ」と・・・。

 そうなっても仕方がないですね。だって、肝心のことを隠しているんだから、そりゃあ、“不自然な動き”に見えるのは当然でしょう。歩法を駆使して動くべきところを、動かないように懸命に足を止めようとしているんだから・・・。

 そこまで隠すのか?って、私は唖然としましたからね。いや、気持ちは解ってます。それをやって見せたら、どうなるか?ということは、武術業界の“乙女チックな気質”を熟知している私からすれば、容易に想像がつきます。


 私が、新作DVDで歩法を実演したのは、これが理由です。この歩法のところだけユーチューブにも出してもらうように頼んでいます。

 私は元々、走るのは非常に遅くて、その上、両膝関節炎ですから、足で蹴って動いたら、絶対にこのスピードは出せません。小林先生の歩法の異常な速度の秘密がスリ足にあると考えて何年も実験研究した成果なのです。

 このスピードはスリ足で体内の重心移動を先導することで、いくらでも加速させることが可能です。私も、フルスピード出したら、もっと倍速できます。ただ、それをやると寸止めできなくなって相手を怪我させてしまうので、ギリギリ、コントロールできる辺りでやっています。

 北島師範、矢嶋師範代の演武も、出来は75点くらいですが、まあ上出来です。矢嶋師範代は緊張して堅くなってしまったので、まだ少し蹴って動いてしまい、その分、無駄に動いていますが、それでも充分、速い。

 北島師範は、まだまだ速く動けます。ただ、そうすると掌打のコントロールが利かなくなるでしょうから、自分でセーブしていますね。

 真似してやってもらえば、どれくらい難しい技か判ると思います。簡単に真似できると思うなら、やってみてください。片足ずつ踏ん張って蹴った瞬間、必ず動きが分断してしまってスピードの限界がすぐに来ます。スリ足でないと無理なんですよ。

“スリ足はダメだ”と言う先生もおられるそうですが、日本の武道が何故、スリ足を基本にしているのか?という点を考えてみて欲しいですね。そこには常識では想像もつかない身体操作の秘密があるからなんですよ。

 断言しますが、脚力で蹴って動いたらダメなんです。脚力で速く動こうとすれば、アキレス腱切断するとか故障するでしょう。骨盤から動かして足はそれに僅かに遅れてついてくる感じです。

 ちなみに、私が床をダンダンと踏んでいるのは、蹴って身体を上げているのではなくて、身体を“沈めて”沈墜勁を利用して発勁を連発しながら動く小林先生の得意の身法の真似です。重い発勁は単発で打つしかできないんですが、これだと連発しながら歩法も駆使できます。ただし、下丹田ができてないと身体壊します。

 これは、床を蹴って動いているのではない(よく観たら身体が沈んだ瞬間にドンッと震脚しているのが判ります)ので、お間違いのないように・・・。

 そして、ここに明記しておきます。

 小林先生の本気の歩法は、私の10~20倍の速度です。10~20倍速にして見てみたらいいでしょう。足の動きは消えて見えないでしょう。小林先生はそれくらいのスピードで動けるのだと想像してください。

 体内部を物凄い高速で動かすことで重心移動を極限まで加速させているのです。これを単に筋力でやろうとしたら、一発で身体壊れますよ。

 小林先生のDVDを見て侮った人は、もう一度、よくよく観てください。

 弟子の拳や蹴りを受ける時の微塵も力の入っていない腕を・・・。私は本当に戦慄しましたよ。完全脱力で、触れた瞬間に、そこにトンッと沈墜勁を働かせて衝撃力を消してしまっているのです! 恐るべきスキルです。

 これは、伸筋で張り出すようにして受けるのとはまったく別のやり方です。伸筋で張り出すように受ければ、相手の力がもっと強ければ、上回った力が作用してこちらの腕は折れてしまうでしょう。

 澤井先生はそういう技ではなかったと想像します。生前の蹴りを前腕で受ける映像を観ると、脱力したところから腕で受ける瞬間に発力しています。伸筋の張る身体操作ではありません。

 私が観た中では岩間先生がそうされていました。フワッと蹴りを掌で受けると同時に膝を抜いて全身の沈む重みを作用させていらっしゃいました。岩間先生も脱力技法なのですね。伸筋で張る受けはやっていらっしゃいませんでした。

 恐らく、澤井先生の太気拳の原理が脱力技法だったのであろうと思います。

 伸筋の活用は、全身の筋肉の協調を意味しますが、強い力は出ますけれども、自ずと限度があります。相手の力に抵抗して跳ね返すやり方だからです。圧倒的に相手の力が上回っていたら、潰されてしまうでしょう。

 でも、これは意拳の主流派(姚一門)がそうやっていますね。全身の“張り”で相手を弾き出して制空圏を護るという戦闘理論でしょう。これは、張る瞬間に全身を一致させ、脚で地面に釘を打つように、瞬間、居着かねばなりません。

 黒田先生が意拳の居着きについて批判的ニュアンスで評されたことがありましたが、確かに剣術の視点から見ると致命的に見えるでしょう。

 でも、澤井先生の技はそうではなかったと思いますよ。私は小林先生と岩間先生の動きと技の原理を見て、そう思いましたが、小林先生も岩間先生も意拳はやっておられないでしょう?

 太気拳にある“迎え手”という技の名前から考えても、澤井先生の技の本質は、相手の攻撃を“迎え入れておいて重心を崩して無力化する”という考えが根本原理にあったのではないか?と思います。つまり、合気的な、相手の攻撃を跳ねのけるのでない同化して威力を吸収してしまうやり方です。

 これは下丹田タイプの澤井先生に対して、中丹田タイプの意拳(姚一門系)の攻防原理が異なってくるのと比例していると考えられます。

 まあ、技術分析はこのくらいにしておきます。体験のない人には意味不明な論でしょうし、感情論で文句を誘発しても困りますから。

 ただし、両方をやっている人なら、「あっ、そうか・・・」と思われる点はあるでしょう。そういう真摯な探究者のヒントにしてもらえれば有り難いですね。


PS;次回、六月十二日の江古田・月例セミナーは、奇しくも歩法(縮地法)です。宜しかったら、直に体験してみてください。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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