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日本刀拵え製作請け負い

 友人知人から頼まれてやる請け負い仕事というのは、何か、プロフェッショナル魂をくすぐるものがあります。

 過去にやった請け負い仕事には、ボディガードとか荒事専門の方との交渉とかいったものもあるんですが、こういうのはボランティアです。

 ちゃんとお金貰ってやる仕事としては、日本刀の拵え製作というのがあります。

 何度か作ってるので手慣れてるのと、私は職人じゃないので格安で請け負うことができますし、やっぱり武用刀の拵えというのは、心得のある人間が作った方がメンテナンスが利くんですね。

 私は自分の持ってる刀はほとんど自分で拵えは製作していますから、武用刀で使う場合の工夫とかノウハウも自然に自得しました。

 刀は一本一本、違うので、一本一本、それに見合ってバランスを調整したり目的に応じて柄の長さや太さや柄糸の巻き方も変えたりします。

 その時々の気分で作っているので、後々、気に入らなくなって作り直す場合もあるんですね。

 数年前に会員さんに譲ってもらった二尺二寸の無銘の刀も、重ねは薄いんですが身幅が広くて試し斬りには随分、使いました。

 切り込み疵がいくつもあったので、多分、血を吸った刀だと思います。幕末頃の刀じゃないかと思うんですが、薄刃過ぎるので戦闘に使う刀としては選ばないだろうと思うので、多分、襲撃されて必死で防御した時にできた疵だろうと思うんですね。

 ただ、もの打ちの部分に深い錆び疵があったので、ここで斬って疵ができたんだろうな~と思います。

 本当は、そういう疵は名誉の勲章として残したりするそうなんですが、私は試し斬り用に邪魔なので、疵の部分は全てヤスリと砥石で削り取りました。

 一年半くらい前に青木先生の刀の拵えを作る時に、添えられていた真鍮のハバキが大き過ぎて刀身の身幅とアンバランスだったので、この刀のハバキと交換して、寸法を合わせて加工して装着したんですが、残った真鍮のハバキを替わりに装着しようとしても、やはり寸法が違っていたので、加工の必要があったんで、そのまま放置していたんですね。

 鐔も適当なものが無かったので、茎が剥き出しのまま放ったらかしにしていました。

 ふと、その刀の無残な姿に視線が止まって、「これも、そろそろちゃんと拵えを作ってやろうかな~?」と思って、まず、真鍮のハバキを刀にピッタリ合うようにヤスリでゴシゴシと整形します・・・。

 これは、地道にヤスリでゴシゴシと削るのみ・・・。ホビー用のミニグラインダーもあるんですが、夜中に作業し始めたのでミニグラインダーのキュイーン・・・という音をさせたら騒音で御近所迷惑ですから、手作業でゴシゴシ・・・と、ひたすら削りました。

 大変は大変なんですが、これはこれで楽しかったりもします。

 刀にキチッと嵌まってからは、今度は寸法が大き過ぎる外側も削って薄くします。

 金属も、ヤスリで削っていると、ある段階から急に木材を削っているように軟らかく削れる感じになったりします。

 真鍮は意外と硬くて、成分によっては軟鉄より硬く感じるものもあります。削りカスは金粉みたいにキラキラしていて綺麗なんですが、酸化すると黒ずんできます。

 ちょっと疲れましたが、割りとうまく削れました。

 ハバキというのは、表面がツルツルだと鯉口から滑ってしまうので、わざと刻み目が粗く入っているものなので、わざとヤスリ目を残すように削りました。

 鐔は、横浜名刀会さんで錆びて形が多少崩れたものをいくつか一括で安く買っていたものの中から、適当なのを選んで装着しました。刀身が薄くて軽量なので、鐔も透かし鐔の軽いものにしました。

 柄は模擬刀のプラ柄に革巻きしたものですが、プラだと粘りがあるので朴の木のものよりむしろ丈夫なように感じます。すぐに折れるからダメだと言う人もいますが、実用上は問題無いですね。これで試し斬りもしていますよ。鞘も模擬刀のものの流用です。

 出来上がったものをメイプルホールの本部稽古で使ってみましたが、別の刀のように使いやすくなりました。


 さて、この刀の拵えを作り直している時に、武友から電話があって、試し斬りに使う脇差の拵えを作りたいという話だったので、「材料費プラス製作手数料2万円でやりましょうか?」と言うと、それでやってくれということでした。

 早速、送られてきた脇差と、手紙で拵えの希望が書かれていたので、鐔・縁頭金具・目貫・柄革・鮫革・下緒等々のおおよその材料費と製作費を振り込んでもらうように連絡しました。ちょうど、材料買う金が無かったので先払いでお願いしたんです。

 普通、武道具店や刀剣店で真剣の拵えを頼めば、最低でも20万円はすると思います。

 上限となったら、刀と一緒で何百万~一千万を超える拵えもあります。

 私は武用としての実用しか求めていないので、かなり大雑把に作りますが、耐久性だけは職人さん以上に考えて作っていますよ。

 希望では、「合口拵えにしてくれ」とか「二本目釘にしたい」とか言われたんですが、「合口拵えは武用刀としては極めて危険だし、小さくても鐔があった方がいい。それと、目釘穴の数は登録証に明記されているから勝手に穴をあけると捕まるからダメ!」と答えておきました。

 この脇差、新刀の大業物として有名な“肥前國住忠廣”の銘がありますが、傷み具合(埋め鉄が三つもある)からすると、古刀なんじゃないかな~?と思いますけれど、足長丁子の刃紋がなかなか良い感じです。

 白鞘の拵えのままで試し斬りしたら、驚くほど、物凄く斬れたそうです。

 調べてみると、二代忠廣が足長丁子の刃紋が上手かったそうで、もしかして傷みが激しいから大安売りされていた本物だったのかもしれませんね~? 本物だったら大業物だから、斬れて当然なのかも?

 しかし、刀の真贋は、素人にゃ~、判りませんわ~。

 余談ながら、佐川急便で送ってくれた脇差には、「美術品(日本刀)」と書かれていて、私はドキィッとしましたよ・・・(美術品だけにしといてくれよぉ~)。


 話は変わりますが、新作DVDを贈っていた躾道館の小林先生から電話をいただきまして、絶賛と言ってもいいくらい誉めてくださいました。

 小林先生からは(交叉法の具体的なやり方や読み、歩法についてまで詳細に解説しているので)、「怒られるかな~?」と、戦々恐々としていたんですが、「解説が非常に解りやすくて上手い。それと、お弟子さんが素晴らしい。それは、長野さんがきちんと教えている証拠だよ」と、“孫弟子”の成長を喜んでくださいました。

 本当に、私は、たとえ百万人の武術愛好家から糞味噌に貶されたとしても、ここまで小林先生が評価してくれたという事実だけで、誇りをもって一生、胸張れます。

 そして、私が教えた会員を「俺にとったら孫弟子だからね」と言ってくれただけで光栄ですよ。

 その電話の時にお聞きしましたが、昨年出た小林先生の太気拳のDVDを、ある兄弟子が絶賛してくださったそうで、それがもう、凄く嬉しかったそうでした。

 小林先生は澤井先生の最晩年の弟子でしたから、太気拳一門の中では、ほとんどが兄弟子なんですね。かなり年下のお弟子さんでさえ、「~兄弟子」と呼んでましたからね。

 だから、大先輩から誉めてもらえたことが何よりも嬉しかったんだと思います。

 普通、後輩が注目されると焼き餅やいて貶したくなるのも人情ってものですが、その先生も立派な方だな~と思いましたね。

 また、小林先生御自身のお弟子さん(僭越ながら私にとっては兄弟弟子となります)が活躍している話もうかがいました。

「弟子が活躍していると俺も鼻が高いよ。もちろん、“今は”長野さんもその一人だよ」と言われていたので、「これまで自慢できない弟子ですいませんでした」って申し上げておきました。いや~、小林先生には迷惑かけまくってきましたからね~(苦笑)。

 小林先生は、技ができるとか実力があるとかいうよりも、むしろ、人間的に成長して世の中で活躍することを喜んでくれる傾向が昔からありました。

 それは、桜公路先生や澤井先生もそうだったからなんじゃないかな~?と思います。

 私も、最近、そんな気持ちになってきました。

 武術の腕を誇っても、単に嫌な性格のヤツでしかないでしょう? 自惚れて恩をアダで返すような人間のその後の様子を見聞すると、決して良い方向へは向かっていっていないですよね。

 うちの会員さんの何人かは被災地にボランティアに行ったそうです。東京支部長の矢嶋師範代も、仕事として出向しました。私は自分の生活がやっとこさで何もできませんでしたが、彼らがいることが誇らしいです。

 海外に縁ができはしましたが、私はやっぱり、日本人として、強く明るくたくましい日本人を育てるために武術を役立てたいです。

 武術は制度としての社会的人間を育てるのではなくて、独立独歩の意志を持つ個人を育成するためにこそ役立つと私は思っています。

 ただ、それが自分の我欲をまっとうするために他人を顧みないような人間には伝えるべきじゃないよな~と思っています。

 幕末維新の志士が、若い頃は剣の修行に励んでいた事実。誰かさんの受け売りみたいでちょっと恥ずかしくはありますが、これからの時代を開拓していける人間を武術を通して育成できれば、教えていただいた先生方への一番の恩返しになるんじゃないか?とは思っています。

 大難は変革のチャンスでもありますからね。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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