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『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳(原題・精武風雲 陳真)』

 ようやくにして日本でも、その名が知られはじめてきたドニー・イェン師傅ですが、彼が尊敬するブルース・リーの本国に於ける人気ナンバー1の『ドラゴン怒りの鉄拳』の後日談を描いたドニーさん入魂の一作『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』を、カンフー映画マニアのK塚さんと一緒に、新宿武蔵野館で観てきましたよっ!

 それにしても、新宿武蔵野館、久しぶりだな~(何故か、苦笑・・・)。

 本当は、ミシェール・ヨー姉さんの『レイン・オブ・アサシン』も観たかったんだけど、用事が立て込んでて観逃してしまっていたんですね。

 それで、今回は観逃してはならん!と思って、気合入れて行きましたよ。

 何せ、谷垣監督や岩本先生も参加されているし、倉田先生も友情出演しているそうではないですか? これはもう、観なかったら仁義に外れるってぇもんでしょ?

 でもね~。何か、観ていて複雑な気持ちになっちゃいましたよ・・・。

 日本人俳優も結構出ているんですけど・・・ことごとく“人非人”なんですよね。私、別に国粋主義者じゃないから、日本人が悪役でも特にどうという感慨は無いんですけど、ここまで日本人が極悪人ばっかりだと、「『靖国』って、物凄く親日的な映画だったよな~?」とか思っちゃいましたよね~。

 まあ、オリジナルの『ドラゴン怒りの鉄拳』もそうだったんで、そんなに目くじらたてる必要はないとは思うんですけど、『イップマン序章』の時は、日本人の良さも少しは描かれていたのに、今回ははっきり言って、“鬼畜生”みたいです。

 私の知り合いには“右”のオジサンが多いから、ちょっと、これは観せらんないよ。

 だけど、それと作品の面白さは別です。

 まず、ドニーさんが意外に?演技力が高いのに驚きました。

 もしかして、ドニーさんはジェットより芝居が上手いのでは? コメディもできるし。

 グリーン・ホーネットのカトーの扮装で中国人を救うのは、おいおいって感じがしますが、かつてジェットもブラックマスクというSF風作品やってたから、まっ、いっか?

 冒頭のフランスでの戦場でのアクションは物凄い! ナイフ使ってのカリ殺法で銃を持つ兵士を怒りのメッタ斬りにするところは本作品の最大の見せ場です。

 中盤はスー・チー演じる酒場の歌姫(実は日本人スパイ)とのカラミなんかは、ちょっといい感じ。

 アンソニー・ウォンも貫禄あります。何か、丹波先生みたい。

 ところで、この作品、舞台は上海ですが、スー・チー演じるキキが、実は日本人でヤマグチという・・・というところ。これって、李香蘭こと山口淑子がモデルなんだ!と、ちょっと驚きました。

 そして、終盤に赴任してくる女将校がカワシマと呼ばれる・・・。これって、男装の麗人と呼ばれた清朝一族でありながら日本人として生きた川島芳子のことかいな?

 何だか、何げに歴史の裏側を描くようなパロディ精神満々ですね?

 ちなみに抗日運動の仲間内で話している時に出てくる“三合会”とは、中国最大の秘密結社と呼ばれた“洪門会”の別名なんですね。

 この作品、何げに中国の民族意識発揚を狙ったような思想性も隠れていて、侮れませんね。

 さて、それはさておき、アクションです。

 ドニーさんがリー先生の物真似をやりまくるのか?と思っていたんですが、意外とドニーさんの俺ジナル・アクションになっていました。

 多分、TVの連続ドラマで演じた時に、あまりにそっくりに演じ過ぎたから、その反省なのか、それとも作中でも現実でも時間の経過が大きかったが故の変化でしょうか?

 ブルース・リーのアクションは、テコンドー風の回し蹴りから後ろ回し蹴りへの繋ぎに特徴がありましたが、実はドニーさんは、こうした連環技は苦手なのか、蹴り技に関してはサイドキックとジャンピング・バックスピンキックを多用されています。

 ドニーさんは私と同じ年齢ですから、高い位置への蹴り技は結構、シンドイのではないかな~?という気もしますが(私はもう全然ムリ!)、『ドラゴン危機一髪97』の頃からそうだったような気もします。

 つまり、回し蹴り系よりサイドキック系が得意なんでしょうね。

 回し蹴りって、股関節に負担が大きいから骨盤が歪んで腰痛になりやすいんですよ。キック系とかテコンドー系の選手って、腰痛持ちになって引退する例が結構多いんです。

 それと、腰を急激に捻って蹴ると腰椎の変位を起こしてしまったりもします。ムエタイの回し蹴りって、あんまり捻らないで軸脚と上体を開いて脚そのものをボーンっと振って当てたりするんですが、これだと腰椎にだけ負担がかからない分、効率的なんですよ。

 ドニーさんは、この作品を最後に突き蹴りのアクションは封印する?と言っていたそうですが、やっぱり、シンドイんだと思う。だって、48歳で、あんな体力使うアクションやるのは無謀というもんですよ。

 そりゃあ、どんなに節制したって20代のバリバリの相手とガチンコ勝負はできませんよね~。

 だから、ドニーさんと手合わせ?した小幡竜さんは「アクション俳優を格闘家みたいに言うなっ」という感想を言ったんだろうと思うんですけど・・・。

 でもね~。それでも私はドニーさんはやっぱり強いと思うよ。

 試合みたいなやり方やったら勝てなくても、ガチンコ喧嘩みたいなのだったら、ドニーさんのマーシャルアーツ・テクニックはず抜けて凄いと私は思いますよ。

 私のところに習いに来ている人達も、フルコン空手や格闘技の経験者が圧倒的に多くて、指導者クラスも何人もいますが、武術の技を使えば彼らの技を封じて一方的にこちらが技を極めることは難しくありません。

 ただ、それができる理由は、彼らが私の使う技を知らないから一方的になるのであって、知っていて対策を講じていれば、そう簡単には極められないでしょう?

 それと同じ理屈で、試合となると使う技も戦法も限定される訳で、同じ技を使って同じ戦い方をするのなら、そのルールに慣れて体力体格に優れた者が圧倒的に有利になる訳ですよ。

 よって、私のような年齢になった者が若い人と試合やったって勝てる道理がないと弁えているので、平気で「試合やったら勝てませんよ」と言えるんです。別に謙虚に言ってる訳じゃありません。冷静に分析して事実を予測しているだけの話です。

 だけど、実戦なら別。

 あのですね。

 武術って、他人と強さを競うものじゃないんですよ。自分や自分の助けたいと思う人を護るために、必要であれば敵対する者を容赦無く息の根とめるという覚悟を養うための技術を学ぶものなんです。

 だから、武術の技は基本的に人体破壊を目的にできています。ダメージを与えるとかどうとかではなくて、ちゃんと使えば死にます。強い弱いじゃなくて、「生きるために必要なら殺す」という“必死の気迫”を会得するかしないかが問題なんです。

 実際に乱闘に発展したことはありませんが、武術やってたお陰で人助けできたことは何度もありますよ。やっぱり、暴力に対処できるという自信がなかったら、救いに行けないでしょう。

 たとえ演技であっても、弱い者を救うヒーローが活躍するドラマを観ることは、正義感に訴えるものがありますよ。こういう作品が好きな人間は、やっぱり正義感強い人が多いと思います。

 そして、私がアクション俳優やスタントマンの皆さんに敬意を払うのは、彼ら、彼女らのアクション演技に賭ける情熱が、正に武術修行者が持つべき“必死の気迫、覚悟”に共通するものと感じるからなんです。

 その意味でいえば、田中泯さんのように本当の踊りとは何か?と追究して生きている人にも、やっぱり畏敬の念を覚えるんですね。

 だってね~。死ぬのなんか一瞬だけど、生きるのは延々と何十年も続くでしょ?

 その生きていく時間を何かに捧げるのって、死ぬ覚悟するより、よっぽど凄いことだと思いませんか?


 日本人が極悪なのは気になりますが、己の正義に従って、ひたすら“悪・即・殴打”を敢行するドニーさん演じるチェンジェンの勇姿に、かつて高倉健のヤクザ映画を観て映画館から出てくるオッサン達のような心持ちになったナガノでした・・・。


 それにしても、何か、妙に女性客が多いと思ったら、レディースデイだったそうな。


 余談ながら、一緒に観たK塚さんが、通っているフルコン空手道場で試合に出たそうでしたが、パソコンの動画で見せてもらったら、相手の突き蹴りを食らっても耐震構造のビルみたいに脱力体で威力を殺してしまっていて、一方的に打たれているのに打ってる方が疲れているみたい?

 まあ、反撃してないから試合は負けてましたけど、ちょっと感動しましたよ。結局、その相手が優勝したそうだし、10年選手と2年足らずでいい勝負したのは立派です。

 余談ついでですが、矢嶋師範代に気合入れて模擬刀の無刀捕りの特訓をしました。どうも、認識が甘いところが技のアバウトさに繋がってる気がしたんです。

 結果、一日で約二倍に実力アップしましたよっ! やっぱ、覚悟が決まれば一気に腕は上がるんですよっ!

 よしっ、今度は真剣で無刀捕りやるんだよ、矢嶋~っ!

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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