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『撃剣蹴打~怒涛編~』

 高瀬先生率いる高瀬道場の面々による二部構成の舞台公演「迷探偵・明智小五郎」「珍説・幕末風雲録」を、10日の5時の回で観てきました。

 公演場所は府中駅前のグリーンプラザ。游心流を名乗る以前に研究会活動で利用していたので、結構、馴染みの場所です。

 本当は会員何人かと一緒に観に行こうと思っていたんですが、どういう訳だか、皆、都合がつかなくて、結局、私独りで行きました。

 丁度、大國魂神社で刀剣展をやっている筈と思って、一時間早く到着して神社に向かいましたところ、お祭りの最中でお神楽とかもやっていたんですが、肝心の刀剣展は祝日でお休みとのことで残念っ!

 パンフレットだけ貰ってきたんですが、何か、『盤嶽の一生』で役所さんの愛刀・日置光平(へきみつひら)とか、靖国刀匠の島崎靖興とか、古備前の真光とか則縄とか、肥前刀の最上大業物、忠広とか虎徹とか、私も持ってる相州綱廣とか、中々、いい刀がありそうです。

 特に、四尺五寸くらいもある大太刀“御蛇丸”とか、“烏丸”“伊吹丸”という1m越えの大太刀もあるみたいで、長物大好きの私としては、これは改めて観に来なくちゃいけませんっ。


 さて、お神楽を観て時間を潰して、いざ、公演会場へ・・・。

 会場では高瀬先生もいらっしゃって、早速、ご挨拶を致しました。技芸会とは違って舞台公演ですから、また違った緊張感があるのではないかな~?と思います。

 今回の公演、何といっても主演は二作品とも、加賀谷圭さんであり、しかも四役というムチャぶりです。

 岡田以蔵はわかるんですけど・・・明智小五郎って・・・? それ、普通に考えたら森さんしかいないでしょ?ってところを敢えて加賀谷さんにするところが高瀬道場らしいというか何というか・・・(苦笑)。

 うん~、どう~なるんでしょ~ね~(長島さん風に読んでね)。

 高瀬先生と多加野先生は出てないのが、ちょっと・・・残念。

 会場には、確かプロレスラーの方がいらしたようですが、私、昔のレスラーしか知らないから誰か判りません。でも、プロレスラーって演技達者な人がいますよね~。藤原組長とか『くの一忍法帖自来也秘抄』でいい味出してましたよ。

 公演は明智小五郎から始まりました・・・が、山崎和佳奈さん演じる小林少年の独白に応じて登場する明智小五郎は・・・ボロ布を纏った野人“獣人雪男”?(BGMはジョーズじゃん?)

 獣人雪男って、差別表現が問題で放送禁止されている東宝の特撮映画。なんで?

 そりゃ、確かに明智小五郎と言えば、あの天知茂先生の変装のイメージがあります。毎回毎回、いろんな人間に変装して現れて、犯人を追い詰めたらじゃじゃ~んっ!と天知先生に早変わりする・・・あの、アンタの方こそ二十面相じゃん?と言いたくなるイメージがある!

 でも、何ゆえに、獣人雪男?

 ここ、笑い所なのに観衆は凍りついたようになって見てる・・・。

 私は、はっと気づきました。笑いたくても笑えない状態・・・それは、加賀谷さんが怖過ぎて頭が真っ白になっちゃったんだよ! だって、笑うというのはリラックスしてないとできないんですよ。

 思えば、昔、女子大の生涯学習センターで初めて講座をやった時、徹夜して考えていったギャグがことごとく滑って、受講生が凍りついたような顔で私を見ていたな~。

「武道の先生だから笑っちゃ失礼だと思って我慢していたんです」と後から言われ、「な~んだ。オラ、てっきりギャグがつまんなかったんだと思ったよ~(笑)」と、ほっとしたもんでしたよ。

 もといっ!

 山崎さん演じる小林少年の格闘シーンで、黒子が出てきてワイヤーアクションの代わりをするところは面白い工夫ですよね~。

 出ている人が全員、殺陣アクションのプロというのは強みです。並の役者にはできない演技とアクションのコラボができるからです。

 加賀谷小五郎も、格闘が始まると俄然、カッコイイ感じになって、私は昔、初代タイガーマスクが初登場したのを見た時を思い出しましたよ。

 小太りしたタイガーマスクがひとたび動き始めると、鮮やかで軽やかな動きが、まるでジャッキー・チェンやブルース・リーのようで、もう一瞬にして「カックイ~!」となってしまった。

 あの感動を思い出しますね。

 そして、あらためて高瀬道場の皆さんの底力に感動しましたね。アクションは主役だけうまくてもダメ! 受ける側のリアクションが大切です。

 これは幕末風雲録になると、より際立ちます。

 まず、数々の時代劇作品で活躍されている森聖二さんの土方歳三は、そのまま時代劇のキャスティングで違和感がない納得の佇まいです。

 明治の世にも斎藤一と並んで生き残った永倉新八役の芸利古雄さんも納得です。

 近藤勇役の吉水孝宏さんは、刀フェチ演技を見ていて「あっ、俺もこんな感じかも?」とか思ってしまいましたが、「道場稽古は下手だけど真剣をふるうと無類の強さだった」とされる天然理心流宗家、近藤勇の雰囲気がよく出ていました。

 沖田役の紅一点、香純恭さんも上手かった。

 何より、皆さん、演技だけじゃなくて殺陣アクションができる点が素晴らしい!

 そしてまた、獣人雪男と同じく、フンドシ一丁で登場する芹沢鴨の異様は加賀谷さんしか出せないでしょう。

 新選組最強は誰か?という論争で、「実は芹沢鴨が別格で強かった」という話もあります。殺しても死なないジェイソンみたいな芹沢というのもアリですね~。

 それにしても加賀谷さん。二本差しで片手に刀を持ったまま回転受け身を取れるのは流石です。私やったことないから、できるかどうか判りません。

 高瀬先生は武道と殺陣は違うものと言われますけれど、これだけ武道性ある殺陣を表現されているのは珍しいと思いますね。

 例えば、刀をかみ合わせたまま、とっさに相手の脇差を抜いて斬るとか、理に適った戦いを見せられるという点で、高瀬先生の演出は合理性とケレン味のバランスが実に見事に釣り合っていると思うのです。

 こういうのってセンスの問題で、経験を積み重ねれば良くなるという問題じゃないんですね。

 リアリティーとリアリズムは全然違うと思うんです。糞リアリズムは面白くも何ともないし、武術に関しても本当に見事な技は美しいしファンタジックな印象さえ受けるものだと思います。

 これは香港カンフー映画を見れば納得されると思います。既存の武術の技や戦い方を、いかに面白く表現するか?という点で徹底しています。これがリアリティーだと思う。

 嘘を嘘と感じさせず本物の感動を引き出す。それは理屈を超えたものです。

 そして、演技することは嘘を本物らしく演じることですが、その訓練は本物の情熱が無ければ決して人を感動させられるものにはなりません。

 私も創作の仕事をしている人間ですから、本物の技能を磨いているプロの人達と接することができるのは非常に有り難いことだと思います。

 高瀬道場が、これから水滸伝のような伝説の物語を芸能の世界で確立されていくことを私は密かに予感しています。

 余談ながら、私、先日、小説家養成講座を受講しはじめたんですが、ヒット作を出して映像化される時に、縁がある人達と一緒に作品作りができたらいいな~?と、ちょっと気が早いですが、夢想しています。

 まずは、高瀬道場の新しい挑戦をお祝い申し上げます!

 実に面白かったです! もう、こうなったら高瀬道場でじゃんじゃんプログラムピクチャー作っちゃったらいいと思いますね。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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