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和鋼(玉鋼)について

 忙し過ぎて、なかなか行けなかった横浜名刀会にようやく行ってきまして、その時に“玉鋼(タマハガネ)”のカケラが売ってあったので、一個、買ってきました。

 玉鋼というのは、日本刀の材料になるタタラ製鉄で造られた“和鋼”です。

 NHKでドキュメンタリー番組になるくらい、タタラ製鉄というのは日本の優れた伝統的製鉄技術であり、現代の最先端技術でも採れない純度の高い鉄が採れるというのですから、本当に凄いものだな~と思います。

 この“タタラ”という言葉も、現代でいうところの“ハイテク”に相当する言葉だったそうで、イメージ的には錬金術に近い感じかもしれません。

 タタラの技術者はタタラ者と呼ばれたり、時には妖怪“一本ダタラ”に譬えられたり、“山窩”のように山を漂泊して生きる特殊な技術者たちとされていました。

 元々は、遠くヒッタイトの一族が流れてきて、中国、朝鮮半島を経由して日本に帰化したと言われていますが、東南アジアにもタタラのような製鉄をする種族がいるらしくて、南洋から経由してやってきた可能性もありますね。

 ところが、ここが面白いところで、タタラ製鉄で造られた和鋼は、山の砂鉄を溶かして造られているんですが、日本刀という世界にも類例の無い美術的刀剣を造るのに適した粘りのある性質で、打ち延ばして折り重ねる多層鋼に硬軟の鋼を組み合わせた片刃曲刀の姿はほとんど変わらないのに、刀身に浮き出る鉄の粒子が描き出す紋様の美しさは多数の流派を生み出してきました。

 代表的なのは、粟田口、一文字、青江、長舩、金剛兵衛、波平、三条、古備前、尻懸、志津、三池、舞草(新東宝の封印作品『九十九本目の生娘』の設定に登場する)等々。

 純度の極めて高い鉄に木炭を燃やして出る炭素が加わる炭素鋼が日本刀の素材ですが、近代的なコークスを燃やして溶かして固める鉄材とは全く違っている訳です。

 江戸時代初期には南蛮鉄(ウーツ鋼?)を混ぜて造られた刀もあったり、幕末には東北の“餅鉄(磁鉄鋼)”を利用したりもした(蟠竜斎道俊など)ようですが、日本刀の素材はタタラ製鉄で造られた和鋼でなければダメだと言われています。

 しかし、タタラ製鉄は技術者の負担が大きく、大量に造ることはできません。物凄い苦労をしてできる鋼だから、“玉を得るような鋼”という意味で、“玉鋼”と呼ばれるようになったそうですが、この言葉自体は明治以降に呼ばれるようになったのだとか?

 実際に“玉鋼”を観てみると、黒・銀・金・青・紫の色味が含まれて貴金属の原石のような感じがします。
20111107_001.jpg

 人間が造り出した純度の高い鉄ということで考えると、まるで錬金術に於ける“賢者の石”を彷彿とさせる神秘的な感じさえするのです。

 近代の産業文明以前に人類の文明が発達する最も大きな原動力となったのは、実は“鉄”だという説があります。

 鉄器文明によって武器が発達し、戦争が文明を高める切っ掛けになったからであるとされます。

 自然界には純粋な鉄は存在しません。酸化鉄しかありません。

 古代の鉄剣は隕鉄で作られている例が多いそうですが、隕鉄にはニッケル分が多くて白っぽくなるそうですね。

 砂鉄から精錬するタタラの技術がどこから来たものなのか?と考えると楽しい。

 砂鉄や鉄鋼石という酸化鉄を精錬して様々な合金を作り出して文明を高めてきた・・・ということを考えると、確かに人類が文明を高めてきたのは鉄のお陰かもしれないな~と思いますし、錬金術の原型になっているのは鉄の精錬にあったのかもしれませんね。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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