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ヒトは一時間半で達人になれるのか

 武侠小説なんかを読んでいると、主人公が瀕死の重傷を負うものの、秘伝の奥義書を読んで内功の訓練をすると、あっという間に傷は治り、超人的な技を体得してしまう・・・という描写がよく出てきます。

 チャウ・シンチーが監督主演した『カンフーハッスル(原題・功夫)』でも、武術の達人に憧れるチンピラが正義の心にちょこっとだけ目覚めて悪の武術家・火雲邪神に逆らいボッコボコにされてしまったことが切っ掛けで身体内部の経絡が繋がり、突如として無敵の超達人に変身してしまいます。

 この描写がリアリティーが無くて白ける・・・という映画評がありました。

 しかし、武術を長年研究して教えている身としては、似たような現象に遭遇することが度々あるのです・・・。

 12月19日に、次に出す本の打ち合わせにアスペクトさんに行き、それから江古田のストアハウスカンパニーの稽古場へ向かいました。

 稽古場に到着すると、東京支部のK塚さんが先に到着していました。

 この日は、何年も稽古場をお借りしている御礼に劇団員の皆さんに武術のワークショップをやるということにしていたのです。

 以前、劇団員の女性の方が一回だけ参加されて、非常に楽しんでもらっていたそうなので、皆さんに体験してもらおうと思った訳です。

 ストアハウスカンパニーの公演は何度も拝見させてもらっていますが、コンテンポラリーダンスのようでもあり、また無音の芝居のようでもあり、極めて観念的で抽象的な前衛舞踊劇とでも表現するしかありませんが、実のところ、既存のいかなるジャンルにも分類不能なオリジナリティーが確立されています。

 私は学生演劇から前衛舞踊までいろいろ観てはいますが、ストアハウスカンパニーくらい独創的な表現形式は他に観たことがありません。

 結局のところ、感想としては「凄い」としか言いようがありません。

 ただ、その凄さは団員の皆さんの身体性に負うところが大きいと思えて、是非、一度、武術指導をやらせてもらいたいな~と、前々から思っていたのです。

 以前から、「プロのダンサーの身体性は武術の専門家を凌いでおり、技の原理を教えれば一気に達人化するのでは?」と思っていたんですが、この日は、自分の考えが正しかったことばかりか、想定域が低過ぎた?ということまで痛感させられました。

 まずは、座取りの合気技からやりましたが、この辺はまあ誰でもすぐにできるところです。しかし、教えたそばから次々に工夫していくんですから驚きます・・・。

 それにまた、転がっても綺麗に受け身がとれるんだから凄い。日頃、稽古で全身を目一杯使っているからこそ、できることでしょうが・・・。

 二人、三人とやってみて、今度は立っての合気をやらせてみても、やはり、難無くできます。

 安全なパフォーマンス芸としての武術技法なら、ここまでできれば十分なんですけれど、あまりにも簡単にできてしまうので、どうしようか?と思ったんですが、ゼロインチ・パンチ、即ち発勁の打ち方も教えました。

 すると、これまた強烈な瞬発力で打てるので、危ない!

 これはヤバイと思って危険性を説明し、今度は発勁を打たれた時の躱し方の化勁も教えたんですが、これまた簡単に体得!

 うげげっ・・・こんな簡単に体得した人間はいないぞ?と思いつつ、しからば秘技・抖勁を教えました。

 つまり、打たれた時に打たれた箇所から発勁して跳ね返す・・・という超級難度の発勁技法なんですね。

 私も、この技はここ最近、できるようになったんです。

 これができれば、相手の突き蹴りを身体で受けたと同時に跳ね返すことができるので、完全打撃封殺技法として研究を深めている途中なんです。

 腹で中段突きを跳ね返し、前腕で回し蹴りを跳ね返し、太ももでローキックを跳ね返す・・・という見た目は完全にインチキ臭い技なんですけど、打った方はパンチした手首を挫いたり、キックした足を痛めたりするのでタマラン技です。

 つまり、攻撃力がそのまま跳ね返ってくるのです。

 こりゃあ、中国武術の中でも最高に難しいレベルの技ですから、ちょっとは苦労するだろうな~?と思っていたら・・・なんと、できてるじゃな~い? 嘘だろ?

 いんや~、予想はしていたんですけど、まさかここまでできるようになっちゃうとは?

 もう、笑うしかないですね。

 そして、ここまでできるようになっちゃうと、後は残忍に敵を破壊する技を教えるしかなくなってしまうので、ちょっと早いけど終了させてもらいました。

・・・っつうか、時計を見たら、一時間半しか経過していないんですよ。

 シダックスの講座の時間と同じ。それなのに、武術やったことない人達が達人化してしまった・・・。ガァァァァ~~~~~ンンンン・・・。


 率直に申しますけど、この人達、例えば甲野善紀さんの何倍も強くなりましたよ。一時間半で・・・。

 かの大山倍達先生は、ダンサーの身体能力の高さを評価されていましたが、私が思うに、武道やるよりダンスやった方がいいんじゃなかろうか?とすら思います。

 いや、身体能力だけではなくて、感覚の良さも関係あるのかもしれませんね。

 少なくとも武術に関しては、ダンスや演劇をやっている人の方が上達は早いように思います。感性の問題として・・・。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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