コンテントヘッダー

セミナー及び本撮影

 2012年は一月から忙し~い~。あ~、疲れるぅ~。

 2日は初稽古、5日は予行練習、8日は月例セミナーの一回目、そして、翌9日は技術書の写真撮影・・・ふぅ~、大変だよ~(来週15日はホビット村で“激突!合気”だよ~。予約不要だから道場破りにもって来いだよぉ~。ホ~レホレ。独己九剣破りたいんだったら相手してやるよぉ~。おいでやっしゃ~)。

 まずは8日のセミナーの感想をば・・・。

 昨年は初参加の人は少なかったんですが、今年は初めて参加される方が増えました。

 今年は個々の秘技の伝授という形式ではなくて、技術的な原理解明を毎回のテーマとしてみようと思いまして、初回は游心流の根本原理の筆頭要素である『脱力技法』をテーマにしてみました。

 私は最近、武道や格闘技で苦しいトレーニングを積むことに弊害を感じるようになってきまして、私自身、30前後の頃に鉄アレイ握ったまま一万本突き・スクワット三千回・空蹴り三千本・拳立て二百回・腹筋百回2セット・フットワーク30分・縄跳び30分・ミット打ち1時間・ミット蹴り1時間・馬歩站椿30分・立禅一時間・・・といった練習をやっていたものの、それが具体的に役立ったか?というと、「片足立ちのまま百本くらい蹴りを連続して出せるようになった」というくらいの成果しかありませんでしたね。

 無駄とは言いませんが、こういう練習は自己満足でしかなかったな~と思うのです。

 結局、相手もいないのに独りでいくら練習したって武術は体得できないってことです。

 それは、脱力技法の奥深さに気づいてから、尚更、肉体をいじめ抜いて練習しても成果は上がらないと思うようになってきた訳です。

・・・と言うか、「昔から達人だけができる神技だ」と言われている技の大半が、脱力技法の応用でしかないという現実があるのです。

 脱力の重要性を解く流儀には、太極拳や合気道がありますが、大東流合気柔術や八光流柔術、鳥居隆篤先生の柔法、練気柔身法・・・等々、いくつもありますし、特に脱力を唱えていなくても実態として脱力技法を駆使している流儀には新体道やシステマがあります。

 また、少なくない武術流儀の師範が、「武術の極意は力を抜くことだ」と説いている事実もあります。

 もっとも、同じように力を抜くことを教えていても、いわゆる脱力技法とは別に、「ただ脱力したのでは威力も出ない。本当の脱力とは屈筋の力だけ抜いて伸筋を用いるのだ」と説く師範も拳法系には何人も見られます。

 私は、“いわゆる脱力技法”を文字通り、「筋肉を脱力させて用いる技法」と定義しており、伸筋技法とは別物と解釈しています。

 そして、游心流の技は、“いわゆる脱力技法”であり、伸筋技法はほとんど使いません。
“ほとんど使わない”と言うのは、場合によっては使うということなんですが、それは、「効果的であれば何でも使えばいい」という合理精神でのことであって、筋力でねじ伏せることが技としてダメだと言いたい訳でもないのと同じ意味合いで、「伸筋技法も効果的だったら使いますけど、うちの技は脱力が基本ですよ」という意味です。

 伸筋技法は勁の伝達を遮断してしまう閉気截脈法を使えば簡単に破ることができますし、出せる威力も一撃必殺とまではいきません。中途半端だから、游心流では採用していませんし、伸筋技法を体得しても脱力技法は使えませんが、脱力技法ができれば伸筋技法は簡単にできますから、練習する必要もないんですね。

 私は最近、「もしかすると武道の練習って、物凄く不合理で効率の悪いことをやっているのではないか?」と、疑問に思うようになってきました。

 何故なら、武道を熱心に打ち込んで練習してきた人ほど、脱力技法を体得することが苦手で、何年やっても駆使できなかったりするからです。

 それに対して、武道なんかよりヨーガやダンスをやっていたような人の方が、スポンジが水を吸収するように技を体得していけるのです。

 長く人に指導してきて判明したのは、一番、覚えが早いのはダンサー、次に武道経験の無い頭の柔軟な人、次に初心者、一番覚えが悪いのが熱心に武道に打ち込んできた人・・・なのです。

 特に致命的に覚えが悪いのは、必要以上に筋トレに励んできた人です。

 こういう人は物凄く苦労します。稽古で覚えても、実際に動いて技を出そうとすると、無意識のうちについつい力が入ってガチンガチンに力みまくってしまいます。

 また、可哀想になってしまうのは、こういう人の場合、毎日毎日、脱力の稽古を積んでいないと、練習を休めばすぐに形状記憶合金のように力む癖が戻ってしまうことです。

 私が筋トレ系の練習をやらなくなったのは、このような理由も関係しています。本当に練習らしい練習は稽古で教える時しかやらず、毎日やっているのは刀の抜き納めを数回やるだけなのです。

 では、単に怠けているのか?というと、全然違っていて、私の場合、日常動作そのものを武術的意識で動くように意識することで、もっと効率的な訓練にしているので、表現を変えれば一日中、ぶっ通しで稽古している・・・とも言える訳です。

 特に、脱力技法の最も重要な点というのは、「何のために脱力が必要なのか?」という意味をきちんと理解すること・・・なんですね。

 何しろ、「単純に脱力しただけでは威力が出ない!」と説く先生が少なくない。これは「力を出すのは筋肉の収縮以外には無い」という強固な思い込みによるのです。

 こういう誤解をしたまま取り組んでも何にも上達しないんですよ。

 ズバリ! “脱力するのは筋力では発揮できない絶大な威力を得るため”であり、“長年、苦しい修行を重ねて体得したパワーを素人が一瞬で凌駕できる技のパワー”を得るためなんですよ。

 つまり、以前から言ってますように、“重心移動によって発生するグラビトン・パワー!”を得るために脱力が絶対必要だからなんですよっ!

 そうです!

 あの、大鉄人ワンセブンの究極必殺技、グラビトン! あれですよ、アレ!

 私が「道場破りなんぞ屁でもないよ!」という絶対的な自信が持てるのも、このグラビトン・パワーを自在に駆使できるようになったという確信を得たからであって、たかが数十kgから百kg前後の質量しかない人間の繰り出す攻撃力なんぞ恐れるに足らず!と思っているからです。

「一打完殺」を実現し得る攻撃力は、いくら筋力を鍛えようが、伸筋を駆使して全身で打てようが、人間一人のスケールの質量では到達できませんよ。

 ところが、「李書文に二の打ち要らず」と恐れられた八極門の李書文や、「半歩崩拳、打遍天下」と尊称された形意門の郭雲深、軽く触れた程度の掌打で口喧嘩していた車夫を絶命させてしまう程の暗勁を体得していた白猿通背門の酔鬼張三といった伝説の中国武術高手の秘伝絶招の逸話もありますね?

 こうした逸話が本当かどうか?ということを研究してきた結論として、私は事実であったと確信するんですね。

 どうしてか?というと、私たち、游心流の何人かの会員は、現実にそういうレベルに近い発勁を打てるようになっているからであり、体内で重心を高速で移動させることで生じるエネルギーを打ち出す発勁の威力は、数十kgから百kg程度の人間の身体で受け止められるものではなく、文字通り、ダンプカーに激突したかのようにふっ飛ばされますし、ふっ飛ばずに威力が体内に作用してしまえば内臓や骨がグチャグチャになるほどの凄絶なダメージになるでしょう。

 過日、松田隆智先生の発勁の質を試されていた青木宏之先生が、「・・・これは、人に伝えてはいけない技かもな~・・・こんな突きを食らったら内臓がグチャグチャになってしまうよ」と、非常に真剣な顔で私に耳打ちされましたが、実は私もそのくらいの発勁をもう打てるようになっているのです。

 もっとも、うちの師範、師範代クラスも私に近い威力を出せるようになっていて、自分ではまだ無自覚なのが、ある意味、怖い・・・。

 軽くやってるつもりでも、クッションやミット持って受けた相手がズバーンとふっ飛んだり、バターンッとぶっ倒れてしまったりするので、「とにかく、半分・・・いや、1/3以下にセーブして、怪我させないように、くれぐれも注意して・・・」と口を酸っぱくして指導しています。

 判りますか? 私が脱力することの重要性を力説しているのは、筋力では到達できない圧倒的な一撃完殺パワーの領域の必殺技を体得する大前提だからなんですよ。

 重心移動で生じるエネルギーは、体内で移動スピードを加速させれば加速させる程、ぐんぐん高まります。沈墜勁や開合勁、纏絲勁、弾勁、波浪勁・・・といった勁の働きは、その重心移動を倍々に加速させるための工夫だと考えれば、理解しやすいでしょうし、実際に私は新しい勁の働きをいろいろ工夫してもいます。

 つまり、「ただ脱力しただけでは威力が出ない。屈筋の力だけ抜いて、伸筋を繋げて全身の力を協調連動させて打つのが正しいのだ」と説いている師範方は、真の発勁の威力を知らないから勘違いされているのですよ。

 技の効力は、その技が発生する身体操作のメカニズムとエネルギーの働き、パワーが倍加し伝達していく仕組み等々を明確に理解することによって、応用変化は自在にできるのです。

 これは、私が教わったことを忠実に実践してきた人間ではなく、自分自身で探究し、その過程で多くの師範に教わったり、技を掛けてもらったり、観せてもらったり、説明を受けたり、本を読んだり、映像を観たり・・・ということを膨大に繰り返してきた中で、根本的な原理を探るのが習慣になったからでもあります。

 そして、理解度が進むに従って、工夫する技も進化していっている訳です。

 游心流を興した時点ではまだ解っていなかったことが、今では明確に解っているということも多くありますし、また、一緒に練習することで研究を深めていく共同の同志でもある会員が入れ替わる度に、優れた人材が入るようになってきました。

 ここにも運命的なものを感じざるを得ません。縁というものを強く感じるのです。

 今回のセミナーでも、そういう縁を強く感じましたし、寸勁や合気の技を何の苦もなく次々に体得していく講習会というのは、恐らく、世界に二つとないだろうと思います。

 爆問学問で甲野さんが実演した技なんかも参加者に原理を説明してやらせてみましたが、仕組みが解れば、誰でも簡単にできるのです。彼の技は身体操作ではなく、八割以上は脱力技法を応用して見せ方を変えているだけだからです。

 これは筋電位の変化を調べる実験で、「おかしい。こんなことは起こる筈がない。甲野先生は技をかける時に筋肉を使っていない?」と研究者が首を捻っていましたが、当たり前ですよ。筋肉の収縮で力を出してるんじゃないんだから・・・。

 彼の技の真相を探るなら、重心点の移動を調べないと解らないですよ。

 特に、セミナーでも最後に質問に答える中で、「拘束されている女の子でも抜け出せるのか?」という質問に、男に背後から羽交い締めにされているのを脱力して抜け出す“ウナギ抜け”を教えて、親娘で参加されている方にやってもらいましたら、私より上手にトコロ天がスポーンッと抜けるように簡単に脱出されていました。

 無論、いろんなシチュエイションに対処するには応用性が必要ですが、基本的なやり方を理解していれば、危機に陥った時に落ち着いて脱出策を考える余裕が出ます。

 重要なのは、この“心の余裕”なんですね。危ない時ほど、力を抜いて、どうにでもなれ!という捨て身の精神になることで、人間の真のパワーが発動するのです・・・。

 そうそう・・・昔、バカみたいに延々と練習していた時の唯一の成果は、延々と練習するには余分な力を抜かないといけない・・・ということでした。

 そういう意味では千も万も数稽古を繰り返すことも無駄じゃないかも?ですね~。


 翌、9日は、朝から次にアスペクトさんで出す技術解説書向けの写真撮影です。

 今回はメイプルホールで撮影することにしていたので、総勢十人で臨みました。

 でも、撮影中も大石教練を中心にうちの会員さん達は、キャッキャッ騒いでキックミット蹴ったり、夢中で練習していて、ちょっと、ウルセーな~(苦笑)と思いましたよ。

 残念ながら、矢嶋師範代だけが所用で来れなかったんですが、新しい師範代二名と主将は参加できたので、結構、皆で攻守交替しながら写真撮影しました。

 私は前日夜にドカ食いしておなか壊してしまっていたので、あんまり動けなくなってしまったんで助かりましたが、呑気にやっていて時間内に全部は撮れそうもなくなってしまい、これはヤバイ!と思って、後半は北島師範相手に私が一気にやりました。

 今回は、脱力技法がどれだけ効果的か?というのを写真で表現したかったので、“蹴りを抖勁で弾き返す”というのをいくつも撮りました。

 これは、ローキックを打たれた箇所から発勁して弾き返す・ミドルキックを腹で弾き返す・ハイキックを片手前腕で弾き返す・・・といったものです。

 恐らく、佐川先生がやったという“体の合気”の原理にも共通すると思うのですが、従来の脱力技法を駆使した技だと「蹴りの威力を分散して効かなくさせる」というのが主だったやり方でした。

 でも、それだけだと面白くないし、写真で見ても判らないので、受けたと同時に体内の重心移動をそこに集中してバーンと撥ね返す・・・という技に応用してみた次第です。

 前日のセミナーでは矢嶋師範代に蹴らせて実演してみせたんですが、結構マジ蹴りしたので威力がドーンと返ってしまった矢嶋ックスは相当、痛かったらしく脚を抱えて唸っていました・・・。

 これは大石教練ができるか?と思って、最初はやってもらいましたが、どうもイメージが違う。ちゃんとできれば、蹴った北島師範は身体ごと跳ね返される筈です。

 蹴った北島師範が、「大石さんを蹴ると岩石みたいに硬くて痛いんですけど、長野先生はでかい風船みたいなボーンと弾き返される感触があるんです」と評していまして、じゃあ、私がやるか?と思って、交替してやりました。

 北島師範は、本気で蹴ると自分の脚を痛めるのが解っているので、少しセーブして蹴っていましたが、それが逆に脱力しての蹴りになっているので受けた私も“げげぇっ、重っ・・・”と一瞬思いましたよ。この蹴り、技使わないで受けたら脚折れましたね~(汗)。

 で、蹴りを受けた太ももと両腕は、ちょっと赤くなってましたね。骨まで響く蹴りでしたよ。

 以前、セミナーを受講した人が北島師範の技を受けていて、「うわ~っ、北島先生はDVDでいつも長野先生にコロッと簡単に転がされていたから、大した実力じゃないのか?と思っていたら、こんなに強かったんですね~!」と驚いていましたね。

 そりゃあ、そうですよ~。弱いヤツ、師範にする訳ないでしょ?

 他の会員も大石教練がキックミット持って指導し、脱力してのグラビトン・キックをやらせていたんですが、何かね~、あれ、ミット無しで食らったらグチャッと車のタイヤに敷かれてカエルが潰れるみたいになりそうな異様な重~い威力でしたよ。

 あの~、うちに道場破りに行ってみようと思ってる方がいらっしゃったら、保険証じゃなくて、事前に生命保険に入っておかれた方がいいと思いますよ。大袈裟じゃなくて、一発、まともに食らったらマジで死にますよ? プロ野球選手がフルスイングでバット振るのに匹敵する威力だと思います。

 以前、寸勁教えた人が軽く壁に拳を圧し当てていたら、ボコッと壁に拳の穴が開いてしまったことがありました。寸勁の怖さは、触れているところから、いきなりMAXパワーが出ることであって、構えて・ギュンと身体を捻り絞って・拳を振り出して・当たる・・・という手順の中で威力が加速度的に高まるという打撃メカニズムではなくて、0の状態から瞬間に100の力が出せる訳です。

 本当に、昔の武術家は、何という恐ろしい技を工夫したものだな~と、つくづく思いますね。「中国武術なんか弱いよ」って言ってるヤツは腰抜かすよ。

 確かに、こんな異常な殺傷力が出せてしまうのでは秘伝にして教える人を選ばないとマズイよな~・・・と思います。

「武術なんか型ばっかりで理論倒れだよ」と侮っている愛好家も少なくありませんが、それは真相を理解していないだけなんですよ。武術は本当に、人類が発明した最高の戦闘哲学であり戦闘技芸ですよ。本当に、教えを受けた先生方に感謝ですよっ。本、期待していてください!(「命を捨てても試してみたい」という道場破りの方、待ってま~す!)
関連記事
スポンサーサイト
このページのトップへ
コンテントヘッダー
著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

FC2カウンター
リンク
最新記事
カテゴリー
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

月別アーカイブ
ブログ内検索