時代劇の復活は有るか
『水戸黄門』が終了し、TV時代劇のレギュラー枠がほぼ無くなってしまった中で、TV東京では『逃亡者おりん2』が始まるそうで、スペシャル版もありました。
私は、時代劇というより“時代活劇”が好きです。
『たそがれ清兵衛』以来、藤沢周平原作の人情時代劇が映画化され続けていますが、私個人は、リアリティーよりも“リアルな嘘”で楽しませるアクション時代劇が観たいと思っています。
藤沢時代劇がブームだと言っていても、映画館で時代劇映画を観ている観客は圧倒的に老人ばかりで、若い人はさっぱり観に来ていません。
それでは、今の60代70代の時代劇視聴者がいなくなったらどうなるのでしょうか?
今は時代小説ブームなのだそうです。
しかし、それは小説を読む人が激減し、辛うじて読んでいる層が老人ばかりになってしまっているだけなのではないか?と思えてしまいます。
私が小説家デビューを目指して初めて知ったのは、今は、時代小説でなければ作家デビューは無理だということでした。
けれども、時代小説を書くには勉強しなければならないことが多くて、しかも老人に受けるような書き方をしないとダメな様子で、正直、抵抗感があります。
時代小説が嫌いだとか書きたくないというのではありませんが、私は若い人が読んで夢中になれる時代活劇を書きたいのです。
年寄りがノスタルジーを感じるような作品でなければならないのなら、そんな作品は書きたくありません・・・いや、私には書こうとしても書けないでしょう。
そもそも、バトル・アクションのシーンが書きたいだけなのです。現代物ではできないから時代小説で・・・と考えているだけで、映画やドラマでも、私の好みは、ナレーターの朗読でストーリーを説明して、いきなり戦闘シーンから始まっても良いくらいです。
先日、朝にTV朝日で再放送している『八丁堀の七人』で、石橋蓮司さんがゲスト出演していて、ボケたフリをしている老剣客を演じていましたが、正体を現した時の凄みのある演技は、『浪人街』の時の母衣(“ほろ”と読む)権兵衛を彷彿とさせていて、ゾクッとしました。人情時代劇でありながら、殺陣に手抜きが無いのが、このシリーズの良さでしたね。
殺陣の達者な役者さんを敵役に配するだけで格段に違いますからね〜。須藤雅宏さんが出演されていた時は、特に凄かったですね〜。
逆に、今の時代劇は戦闘シーンをおざなりにしたものが多くて、ウンザリしてしまいますよ。リアリティーを求めるのも、やり過ぎると逆に物凄くつまらなくなってしまいますし、せっかく、優れた腕のある役者さんがいろんな剣友会や殺陣アクションのクラブに居るのに、何故、わざわざ経験の無い俳優にやらせようとするのか? 私はやる気そのものを疑います。
『たそがれ清兵衛』は、当代きっての殺陣の名手である真田広之に、日本を代表する前衛舞踊の高手である田中泯さんが本格的な剣の修行をして臨んだから、あれだけの傑作になったのであって、あれは一つの奇跡なんですよ。
NHKの『クローズアップ現代』で、時代劇衰退を考えるというテーマでやっていましたが、ゲスト・コメンテーターで山田洋次監督が出演されていまして御自身の時代劇論を話されていました。
「あ〜、そうか〜。山田監督は殺陣には興味ないんだな〜」と思いましたね。
古き良き日本の文化習俗の美しさや、人情の機微を描く時代劇をもっと作るべきだと主張されていたんですが、それだと尚更、時代劇を観る人が少なくなるんじゃないかな〜?と思いました。
私は、時代劇が衰退したのは殺陣アクションのダイナミズムを追究しなくなった点が大きいと思います。
山田監督の関心は、そういう点には無いのでしょうし、藤沢時代劇三部作に関しても、殺陣ではなくて、リアルな剣の戦闘を描きたいと考えられていたのだろうと思います。
一般に、あの三部作で誤解されているのは、殺陣を担当された久世浩氏が注目されていたのですが、私が観るところ、むしろ武芸考証で参加されていた山梨県白州にお住まいの正心館道場の蓑輪先生の考えが大きく反映していたように思うのです。
聞くところでは、山田監督は、従来の殺陣特有の様式化した動作に拒否感を示されていたそうで、もっと現実味のある戦闘にしたいと考えられていたらしく、蓑輪先生の意見を採用されることが多かったみたいです。
その証拠に、久世氏が単独で関わった作品である『蝉しぐれ』や『柳生十兵衛七番勝負』『必死剣・鳥刺し』などでは、山田監督の時代劇のようなアッサリ感は消滅し、雰囲気が丸で異質になっていて、能の所作を採り入れたりしていました。
でも、私の個人的好みで言うなら、今、一番、殺陣として素晴らしいと思うのは高瀬道場ですね。『山桜』『花のあと』『小川の辺』、いずれもシーンは少ないながらも印象的で、太刀捌きの基本、刀法の基本を押さえた上で、リアルなケレンを加えているところが良いんです。大抵は、どっちかに偏ってしまうんですが・・・。
中で、私が一番、好きなのは『花のあと』ですね。北川景子の可憐さは必見です。相当、訓練して臨んだそうで、本当に立派でした。
やっぱり、誰が何と言おうが、時代劇の華は殺陣ですよ!
何故なら、時代劇のエポックメイキングとなった作品・・・例えば、『七人の侍』『用心棒』『椿三十郎』『三匹の侍』『座頭市』『子連れ狼』『木枯らし紋次郎』『必殺シリーズ』『柳生一族の陰謀』『影の軍団シリーズ』といった作品に共通する要素は何か?というと、要するに「斬新な殺陣が人気を呼んだ」からです。
多くの批評家が誤解している悪しき風潮は、時代劇作品の最大の魅力は、チャンバラ・アクションであるという疑いようのない現実を見落として、「殺陣は従属的な要素に過ぎない」と勘違いしてしまっている点にあります。
試しに殺陣を完全に排除した時代劇ホームドラマを作っていけばいいでしょう。一つや二つは評価されても、三つも四つも作られれば、飽きられてしまうでしょう。
無論、だから殺陣だけに特化した作品ならいいか?というと、それも上手くいかないと思います。
例えば、申し訳ないんですけど、TV東京で一昨年制作した『柳生武芸帖』は、殺陣の達者な俳優を揃えていながら、その肝心の殺陣アクションの魅力が、さっぱり伝わってきませんでした。
失敗の理由は、「従来の形式的な殺陣をただやればいいというものではない」ということですよ。特に私が一番、ガッカリしたのは、何かというとすぐに真剣を両掌で挟み取る“真剣白刃取り”・・・もうちょっと工夫しろよ!と言いたい。あんな技はリアリティーも糞もないんだから、馬鹿の一つ覚えみたいにやったら噴飯物にしかなりません。
松平健演じる柳生兵庫介が背後から真剣を斬り込んで、それを反町演じる柳生十兵衛が頭上でパシッと受け止めてみせたのは、何かのギャグかいな?と唖然となってしまいましたよ。ヒドイ! あまりにもヒドイ演出です!
とにかく、もうね〜。ああいう頭の悪い古びて腐ったような殺陣の手を伝家の宝刀みたいに繰り出して恥じないようでは、殺陣は時代に取り残されていくだけですよ。
やっちゃダメ! 絶対!
いや、ギャグでやるんだったら許します。『ジャンゴ』は面白かったから・・・。
私は、同世代の人と比べても時代劇を多く観る方ですが、やはり、観たい作品は限られます。殺陣が気に入るかどうか?が選択基準であり、その次にストーリーの面白さがあります。
例えば、ほとんど殺陣の無かった『新十郎捕り物帖・快刀乱麻』という作品を小学生の頃に熱中して観ていましたが、この作品は深夜アニメ、ノイタミナ枠で放送されていた『UN−GO』の原作と同じ作品です。明治時代の推理探偵物なんですが、シュールな絵とテーマ曲がオープニングタイトルに重なって、非常に幻想的な雰囲気のある作品であったと記憶していて、もう一度、観たいんですが、なかなかCSでも放送されなくて、もしかするとフィルムが紛失してしまっているのかもしれませんが・・・。
この作品、推理物なので、ほとんど殺陣は無かったんですけれど、最終回辺になると、いつも寝転んで推理するだけの新十郎(若林豪)が自ら乗り込んで敵をバッタバッタと倒すシーンがあったように記憶していて、待ってました!と興奮した記憶がありまして、最終回を楽しみにしていたんですが、何かの理由で観損なってしまったんですね〜。それが未だに残念でね〜・・・。
率直に言って、今、それだけ熱中して観たいと思える時代劇作品が無いというのが本音なんですね。辛うじて、『密命〜寒月霞斬り〜』は良かったかな〜? 何より、作ってる人が面白い作品を作ってやろうという意識で取り組めば、そんな悪い出来にはなりませんよ。
『必殺』や『影の軍団』は、若い人が熱中して観ていたという印象がありますが、90年代以降はそういう雰囲気が無くなっていったんじゃないでしょうか?
私は今、CSで武侠ドラマを好きで観ていますが、これって中国の時代劇ですよね?
でも、要は、カンフー映画のように武術の遣い手が次々に出てきて戦いまくる展開があって、そこに恋愛ドラマがからむから面白いんだと思います。
歴女ブームなんかも、戦国物ゲームのキャラクターから派生していったんじゃないか?と思いますが、要するに鎧兜を着たプロレスと同じだと思うんですよ。
美形キャラばっかりなのは、多分、女子プロレスに熱中していた流れと同じだと思う。
私は、時代劇はきらびやかにキメキメでカッコイイものであるべきだと思います。ホームドラマみたいなのは現代劇でやればいいんです!
時代劇の魅力を復活させるには、ファンタジーに徹して、孤高の剣客と流浪の侠客と異端の陰陽師といなせな姉御と寡黙な忍者がゴレンジャーのようにバテレンの妖術遣い軍団と戦う・・・といったような作品をバンバン作れば、簡単に復活しますよ!
そして、殺陣も、伝統的な剣殺陣に古流武術やワイヤーワークも組み込んで、常に新しいアクションを構築していく努力を怠ってはいけません。十年も二十年も同じような殺陣を繰り返して伝統だと威張るんじゃなく、何の訓練もしていない糞生意気な屁理屈役者を主役にしたりする制作サイドには断固としてNOを言う気骨のあるアクション監督が、インディーズ体制で納得できる作品を作り出していくべきでしょう。
時代劇というのは、日本人にしか作れない分野なんです。それが衰退したということは、日本人が自分たちの生きてきている風土・文化・伝統を忘れてしまいつつあるということの一つの現れなんですよ。
時代劇だけでなく、現代の刑事物なんかでもチマチマしたリアリティーばっかりに拘って、ダイナミズムが失われてしまっているのは困ったもんだと思います。
刑事がマグナム、バンバン撃ったって、いいじゃないか? 近未来の機動警察という設定でもいいじゃないか? せせこましいリアリティーを、わざわざ、劇場やTVで観せなくたっていいよ。ミタさんやベムがウケたのは、リアリティーを逸脱しているところでしょう?
一方で、仮面ライダーや戦隊シリーズが人気があるというのは、子供たちには活力があるということでしょう。
いずれ死にゆく老人の感性に合わせるのではなく、たとえ老人であっても心は若々しく少年のような無邪気な冒険心や正義感を忘れない活力のある作品を作っていけば、時代劇の復権は少しも難しくはないと私は思いますね。
具体的な対策として、TVの連続時代劇で『魔界転生』『シグルイ』『るろうに剣心』『サムライ・チャンプルー』を実写でやりましょう。これなら若い人も面白がって観ますよ。
NHKも地上波で時代劇枠復活させましょう。『あずみ』がいいですね。
以前、大河でMUSASIが奮わなかったのは、吉川版に拘ったからですよ。バガボンドを原作にしてやれば、ちゃんと視聴率取れたと思いますよ。
東映の『レッドシャドウ赤影』がコケてしまったのも、怪忍獣が出なかったからです!
何か、時代劇撮る時にオーソドックスな原作小説物を・・・って考えるから失敗するんですよ。
小説じゃなくて漫画原作にした方が若い人が観るようなものになるんだし、それで年よりが観ないか?というと、そうでもないんですよ。時代劇好きな年よりはチャンバラが観たくて、間違って『キル・ビル』観に行ったりするんだから・・・。
結論!
「時代劇を復権するには漫画を原作とせよ! 漫画は原作の宝庫ですよ」
追伸;今、一番の期待は、『るろうに剣心』ですよ! あの大友監督に谷垣アクション監督が組んだんだから、面白くなかろう筈が無いっ! あ〜、待ち遠しいよぉ〜・・・。
私は、時代劇というより“時代活劇”が好きです。
『たそがれ清兵衛』以来、藤沢周平原作の人情時代劇が映画化され続けていますが、私個人は、リアリティーよりも“リアルな嘘”で楽しませるアクション時代劇が観たいと思っています。
藤沢時代劇がブームだと言っていても、映画館で時代劇映画を観ている観客は圧倒的に老人ばかりで、若い人はさっぱり観に来ていません。
それでは、今の60代70代の時代劇視聴者がいなくなったらどうなるのでしょうか?
今は時代小説ブームなのだそうです。
しかし、それは小説を読む人が激減し、辛うじて読んでいる層が老人ばかりになってしまっているだけなのではないか?と思えてしまいます。
私が小説家デビューを目指して初めて知ったのは、今は、時代小説でなければ作家デビューは無理だということでした。
けれども、時代小説を書くには勉強しなければならないことが多くて、しかも老人に受けるような書き方をしないとダメな様子で、正直、抵抗感があります。
時代小説が嫌いだとか書きたくないというのではありませんが、私は若い人が読んで夢中になれる時代活劇を書きたいのです。
年寄りがノスタルジーを感じるような作品でなければならないのなら、そんな作品は書きたくありません・・・いや、私には書こうとしても書けないでしょう。
そもそも、バトル・アクションのシーンが書きたいだけなのです。現代物ではできないから時代小説で・・・と考えているだけで、映画やドラマでも、私の好みは、ナレーターの朗読でストーリーを説明して、いきなり戦闘シーンから始まっても良いくらいです。
先日、朝にTV朝日で再放送している『八丁堀の七人』で、石橋蓮司さんがゲスト出演していて、ボケたフリをしている老剣客を演じていましたが、正体を現した時の凄みのある演技は、『浪人街』の時の母衣(“ほろ”と読む)権兵衛を彷彿とさせていて、ゾクッとしました。人情時代劇でありながら、殺陣に手抜きが無いのが、このシリーズの良さでしたね。
殺陣の達者な役者さんを敵役に配するだけで格段に違いますからね〜。須藤雅宏さんが出演されていた時は、特に凄かったですね〜。
逆に、今の時代劇は戦闘シーンをおざなりにしたものが多くて、ウンザリしてしまいますよ。リアリティーを求めるのも、やり過ぎると逆に物凄くつまらなくなってしまいますし、せっかく、優れた腕のある役者さんがいろんな剣友会や殺陣アクションのクラブに居るのに、何故、わざわざ経験の無い俳優にやらせようとするのか? 私はやる気そのものを疑います。
『たそがれ清兵衛』は、当代きっての殺陣の名手である真田広之に、日本を代表する前衛舞踊の高手である田中泯さんが本格的な剣の修行をして臨んだから、あれだけの傑作になったのであって、あれは一つの奇跡なんですよ。
NHKの『クローズアップ現代』で、時代劇衰退を考えるというテーマでやっていましたが、ゲスト・コメンテーターで山田洋次監督が出演されていまして御自身の時代劇論を話されていました。
「あ〜、そうか〜。山田監督は殺陣には興味ないんだな〜」と思いましたね。
古き良き日本の文化習俗の美しさや、人情の機微を描く時代劇をもっと作るべきだと主張されていたんですが、それだと尚更、時代劇を観る人が少なくなるんじゃないかな〜?と思いました。
私は、時代劇が衰退したのは殺陣アクションのダイナミズムを追究しなくなった点が大きいと思います。
山田監督の関心は、そういう点には無いのでしょうし、藤沢時代劇三部作に関しても、殺陣ではなくて、リアルな剣の戦闘を描きたいと考えられていたのだろうと思います。
一般に、あの三部作で誤解されているのは、殺陣を担当された久世浩氏が注目されていたのですが、私が観るところ、むしろ武芸考証で参加されていた山梨県白州にお住まいの正心館道場の蓑輪先生の考えが大きく反映していたように思うのです。
聞くところでは、山田監督は、従来の殺陣特有の様式化した動作に拒否感を示されていたそうで、もっと現実味のある戦闘にしたいと考えられていたらしく、蓑輪先生の意見を採用されることが多かったみたいです。
その証拠に、久世氏が単独で関わった作品である『蝉しぐれ』や『柳生十兵衛七番勝負』『必死剣・鳥刺し』などでは、山田監督の時代劇のようなアッサリ感は消滅し、雰囲気が丸で異質になっていて、能の所作を採り入れたりしていました。
でも、私の個人的好みで言うなら、今、一番、殺陣として素晴らしいと思うのは高瀬道場ですね。『山桜』『花のあと』『小川の辺』、いずれもシーンは少ないながらも印象的で、太刀捌きの基本、刀法の基本を押さえた上で、リアルなケレンを加えているところが良いんです。大抵は、どっちかに偏ってしまうんですが・・・。
中で、私が一番、好きなのは『花のあと』ですね。北川景子の可憐さは必見です。相当、訓練して臨んだそうで、本当に立派でした。
やっぱり、誰が何と言おうが、時代劇の華は殺陣ですよ!
何故なら、時代劇のエポックメイキングとなった作品・・・例えば、『七人の侍』『用心棒』『椿三十郎』『三匹の侍』『座頭市』『子連れ狼』『木枯らし紋次郎』『必殺シリーズ』『柳生一族の陰謀』『影の軍団シリーズ』といった作品に共通する要素は何か?というと、要するに「斬新な殺陣が人気を呼んだ」からです。
多くの批評家が誤解している悪しき風潮は、時代劇作品の最大の魅力は、チャンバラ・アクションであるという疑いようのない現実を見落として、「殺陣は従属的な要素に過ぎない」と勘違いしてしまっている点にあります。
試しに殺陣を完全に排除した時代劇ホームドラマを作っていけばいいでしょう。一つや二つは評価されても、三つも四つも作られれば、飽きられてしまうでしょう。
無論、だから殺陣だけに特化した作品ならいいか?というと、それも上手くいかないと思います。
例えば、申し訳ないんですけど、TV東京で一昨年制作した『柳生武芸帖』は、殺陣の達者な俳優を揃えていながら、その肝心の殺陣アクションの魅力が、さっぱり伝わってきませんでした。
失敗の理由は、「従来の形式的な殺陣をただやればいいというものではない」ということですよ。特に私が一番、ガッカリしたのは、何かというとすぐに真剣を両掌で挟み取る“真剣白刃取り”・・・もうちょっと工夫しろよ!と言いたい。あんな技はリアリティーも糞もないんだから、馬鹿の一つ覚えみたいにやったら噴飯物にしかなりません。
松平健演じる柳生兵庫介が背後から真剣を斬り込んで、それを反町演じる柳生十兵衛が頭上でパシッと受け止めてみせたのは、何かのギャグかいな?と唖然となってしまいましたよ。ヒドイ! あまりにもヒドイ演出です!
とにかく、もうね〜。ああいう頭の悪い古びて腐ったような殺陣の手を伝家の宝刀みたいに繰り出して恥じないようでは、殺陣は時代に取り残されていくだけですよ。
やっちゃダメ! 絶対!
いや、ギャグでやるんだったら許します。『ジャンゴ』は面白かったから・・・。
私は、同世代の人と比べても時代劇を多く観る方ですが、やはり、観たい作品は限られます。殺陣が気に入るかどうか?が選択基準であり、その次にストーリーの面白さがあります。
例えば、ほとんど殺陣の無かった『新十郎捕り物帖・快刀乱麻』という作品を小学生の頃に熱中して観ていましたが、この作品は深夜アニメ、ノイタミナ枠で放送されていた『UN−GO』の原作と同じ作品です。明治時代の推理探偵物なんですが、シュールな絵とテーマ曲がオープニングタイトルに重なって、非常に幻想的な雰囲気のある作品であったと記憶していて、もう一度、観たいんですが、なかなかCSでも放送されなくて、もしかするとフィルムが紛失してしまっているのかもしれませんが・・・。
この作品、推理物なので、ほとんど殺陣は無かったんですけれど、最終回辺になると、いつも寝転んで推理するだけの新十郎(若林豪)が自ら乗り込んで敵をバッタバッタと倒すシーンがあったように記憶していて、待ってました!と興奮した記憶がありまして、最終回を楽しみにしていたんですが、何かの理由で観損なってしまったんですね〜。それが未だに残念でね〜・・・。
率直に言って、今、それだけ熱中して観たいと思える時代劇作品が無いというのが本音なんですね。辛うじて、『密命〜寒月霞斬り〜』は良かったかな〜? 何より、作ってる人が面白い作品を作ってやろうという意識で取り組めば、そんな悪い出来にはなりませんよ。
『必殺』や『影の軍団』は、若い人が熱中して観ていたという印象がありますが、90年代以降はそういう雰囲気が無くなっていったんじゃないでしょうか?
私は今、CSで武侠ドラマを好きで観ていますが、これって中国の時代劇ですよね?
でも、要は、カンフー映画のように武術の遣い手が次々に出てきて戦いまくる展開があって、そこに恋愛ドラマがからむから面白いんだと思います。
歴女ブームなんかも、戦国物ゲームのキャラクターから派生していったんじゃないか?と思いますが、要するに鎧兜を着たプロレスと同じだと思うんですよ。
美形キャラばっかりなのは、多分、女子プロレスに熱中していた流れと同じだと思う。
私は、時代劇はきらびやかにキメキメでカッコイイものであるべきだと思います。ホームドラマみたいなのは現代劇でやればいいんです!
時代劇の魅力を復活させるには、ファンタジーに徹して、孤高の剣客と流浪の侠客と異端の陰陽師といなせな姉御と寡黙な忍者がゴレンジャーのようにバテレンの妖術遣い軍団と戦う・・・といったような作品をバンバン作れば、簡単に復活しますよ!
そして、殺陣も、伝統的な剣殺陣に古流武術やワイヤーワークも組み込んで、常に新しいアクションを構築していく努力を怠ってはいけません。十年も二十年も同じような殺陣を繰り返して伝統だと威張るんじゃなく、何の訓練もしていない糞生意気な屁理屈役者を主役にしたりする制作サイドには断固としてNOを言う気骨のあるアクション監督が、インディーズ体制で納得できる作品を作り出していくべきでしょう。
時代劇というのは、日本人にしか作れない分野なんです。それが衰退したということは、日本人が自分たちの生きてきている風土・文化・伝統を忘れてしまいつつあるということの一つの現れなんですよ。
時代劇だけでなく、現代の刑事物なんかでもチマチマしたリアリティーばっかりに拘って、ダイナミズムが失われてしまっているのは困ったもんだと思います。
刑事がマグナム、バンバン撃ったって、いいじゃないか? 近未来の機動警察という設定でもいいじゃないか? せせこましいリアリティーを、わざわざ、劇場やTVで観せなくたっていいよ。ミタさんやベムがウケたのは、リアリティーを逸脱しているところでしょう?
一方で、仮面ライダーや戦隊シリーズが人気があるというのは、子供たちには活力があるということでしょう。
いずれ死にゆく老人の感性に合わせるのではなく、たとえ老人であっても心は若々しく少年のような無邪気な冒険心や正義感を忘れない活力のある作品を作っていけば、時代劇の復権は少しも難しくはないと私は思いますね。
具体的な対策として、TVの連続時代劇で『魔界転生』『シグルイ』『るろうに剣心』『サムライ・チャンプルー』を実写でやりましょう。これなら若い人も面白がって観ますよ。
NHKも地上波で時代劇枠復活させましょう。『あずみ』がいいですね。
以前、大河でMUSASIが奮わなかったのは、吉川版に拘ったからですよ。バガボンドを原作にしてやれば、ちゃんと視聴率取れたと思いますよ。
東映の『レッドシャドウ赤影』がコケてしまったのも、怪忍獣が出なかったからです!
何か、時代劇撮る時にオーソドックスな原作小説物を・・・って考えるから失敗するんですよ。
小説じゃなくて漫画原作にした方が若い人が観るようなものになるんだし、それで年よりが観ないか?というと、そうでもないんですよ。時代劇好きな年よりはチャンバラが観たくて、間違って『キル・ビル』観に行ったりするんだから・・・。
結論!
「時代劇を復権するには漫画を原作とせよ! 漫画は原作の宝庫ですよ」
追伸;今、一番の期待は、『るろうに剣心』ですよ! あの大友監督に谷垣アクション監督が組んだんだから、面白くなかろう筈が無いっ! あ〜、待ち遠しいよぉ〜・・・。
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