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東京支部閉会のお知らせ

 矢嶋師範代から、「自分の実力では師範代や支部長は勤まらないので、お返ししたい」との申し出がありました。

「君が東京支部を閉鎖したら、またネット掲示板でムチャクチャ悪口が書かれるだろうけど、それでいいの?」と聞きましたら、「それは覚悟しています」とのことだったので、了承しました。

 彼自身が仕事の関係で多忙であったのと、メインの会員さんが関西に引っ越して来れなくなってしまうのも大きな理由でしたが、率直にいって、今の彼の実力で支部を率いるのは無理があるな~?と私も思っていたので、このまま頑張らせてもキツクなる一方だろうと思って了解した訳です。

 一般会員としては充分でも、やはり、人を指導するとなると、相応の実力と、指導力が必要になります。

 例えば、悪意のある人間が教わるフリをしてガチンコを仕掛けてきてもいなしてしまえるだけの実力は必要ですし、頑張れば誰でもできるというものではありません。

「今時、長野さんみたいに道場破り対策を考えるのは考え過ぎだよ」と言う人もいましたが、バカ言っちゃいけません。そんな甘い考えで武術を指導できる程、世の中は甘くありませんよ。仲良しクラブじゃあるまいし・・・。

 世の中、話し合いと法律でカタがつくと思っている人が多いですが、人間は感情が優先します。憎悪や嫉妬、逆恨みが理性を上回っての刃傷沙汰は、いつでも起こり得ることですよ。

 それに、どこの団体の師範でも一度や二度は道場破りめいた人間に出くわしているものです。

 そういうのに会ったこともないと自慢する人もいますが、それは、その人が武道の師範として評価されていないから相手にされないだけですよ。

 私は武術家という自覚はありませんが、やっぱり人を指導している以上は口先だけとは言われたくありませんから、「道場破りは五体満足で帰すな!」みたいな昭和の空手道場スタイルの考え方です。

「そういう考え方が敵を増やすのだ」なんて言われてもね~? 自分は無抵抗主義を貫けても、暴力にさらされてる人を目の前にして放っておくような人間にはなりたくありませんからね。

 武術を学んで人に指導する以上は、人並み以上の実力はないと困りますが、それ以上に、指導力というのは、単に実力があるだけではダメで、実際に、ずば抜けた実力のある先生が、教える側になると通り一遍の形式しか教えられない・・・という状況は武道界で数多く見聞するところです。

 むしろ、実力はさほどでもないのに、人を指導させたら天才的に上手い!という人間もいる訳です。

 武道の実力は、流した汗の量に比例する・・・と一般に堅く信じられてきましたが、私は最近、そうじゃないんじゃないか?と思えてきています。

 それは、“いくら練習しても、できるようにならない技”というのが確実にあるからですし、発勁や合気などはその典型例で、原理を理解しなければ、いくら練習しても自然にできるようにはならない・・・という確率が高いでしょう。

 私の場合、発勁や合気などは、ほとんど誰にも習っていません。ほぼ、独学で本に書かれているやり方をじぶんなりにイメージして練習した結果、基本的なやり方を自得しました。

 松田先生や青木先生や初見先生の本が私の最初の師匠だったと言うこともできます。

 当然、その後、いろんな方(十数人はいます)から無数の秘訣を教わってはいますが、基本原理は独力で探り出しています。

「物真似と本物の技は違う」と非難する人もいますが、要は効果的かどうかが技の本質でしょう? 私は、効くかどうか?しか考えていませんよ。どんな名人に本物?の技を習おうが、その人が真に体得して駆使することができなければ意味がありません。

「長野の技は偽物だ!」と言いたい人には、「はいはい、偽物ですけど、それが何か? 実際に相手に効けばいいでしょ?」と言うだけです。

 くだらん権威をひけらかすヤツは自分に自信がないんですね~? 文句つけるだけなら小学生にもできますよ。


 うちの場合、原理を先に理解して練習すれば驚くほど短時間で体得できるように稽古法を体系化していますが、逆説すれば原理を理解しないままでは、いくら練習しても上達できないという欠点があります。

 矢嶋さんの場合、師範代に任命するまでは順調に上達していたのですが、師範代に任命し、支部長として活動しはじめてからは、少し上達しては元に戻ってしまう・・・ということを繰り返しており、後から入った後輩に追い抜かれてしまっていました。

 本人もショックだったでしょうが、原因としては単純で、要するに彼自身が原理をきちんと理解していなかったから上達できなかった・・・ということです。

 一番の問題点は、観の眼が育たなかったことです。

 こればっかりは感覚的なことなので、個人差が大きく、養成するのに差ができてしまうのは仕方がないとも言えます。

 観察するポイントは教えられても、それを処理して構造的な観察眼を育てられるかどうかは本人の能力の問題なのです。

 彼はいくつかの武道や格闘技を経験してきていましたが、むしろ、それらのトレーニング・システムがうちのやり方と相殺し合ってしまっていました。

 どうしても形や手順を暗記する方式でしか体得していけなかったのです。

 一般の会員なら、それでもしようがなかったのですが、それではうちの指導員としては足りません。

 例えば、横浜同好会の代表のKさんは、形はテキトーで、手順もアバウトです。普通だったら、指導者としてどうか?と思われてしまうかもしれませんが、うちの場合はそれでも問題ないのです。

 どうしてか?というと、Kさんは基本原理を応用してアドリブで動けるようになっているからです。

 うちの場合、このアドリブ感覚を体得できているかどうか?という点が、ひとつの目安になっています。「こう来たら、こう返す・・・」というパターンをいくつも覚えても使いものにならない・・・という考えなので、矢嶋さんのやり方では、すぐに技のストックが尽きて教えることが無くなってしまうのが自明だったのです。

 私が彼に厳しい注文をつけていたのも、彼自身が自分の技のアドリブ感覚を体得しないまま、いつまでも基本の手順を暗記したままでやっていたからですが、暗記してやれるレベルは基礎的なものに限られます。

 自分で応用技を自在に編み出せるくらいでないと指導するのは無理です。

 しかし、それはもう能力の問題だから仕方がない・・・ということも判ってきていたので、彼から申し出るまでもなく、しばらく休会したらどうか?と話すつもりでいたのも偽らざるところでした。酷なようですが、事実は事実として、しっかり認めなければ先に進めません。

 普通の武道、格闘技は決められたカリキュラムを一所懸命に練習していれば上達する・・・という面はありますが、それは「頭で考えなくても身体を動かしていれば身体が覚えてくれる」という理論がある・・・と信じられているからです。

「流した汗は嘘をつかない」という考えですね?

 でも、うちの場合は、「無駄な汗は上達の大敵。動く前に感じろ!」というものです。

 従来のトレーニング理論通りにやっていては全然、向上できないのです。

 何故か?

 武術というものは、筋力トレーニングがメインではなく、脳神経系の訓練によって身体能力を引き出していくものだからです。運動機能はその結果、発達していくに過ぎません。

 特に、青木宏之先生から、「長野さんは身体の技はもう十分やっているから、これからは心法をやりなさい」と三年くらい前に言われて、練習の内容を心法の修練にシフトしていってから、矢嶋さん以外の会員は飛躍的に向上するようになったのですが、矢嶋さんにとっては、皆目、どうやって練習していけばいいのか解らなくなってしまっている様子でした。多分、今でも同じでしょう。

 イメージを使った身体内部の訓練、相手の外見から内部の微動を探り出す・・・という心法の訓練は、彼にとってはまったく未知との遭遇になってしまっている様子でした。

 私が剣、居合の修練に熱中するようになったのも、実は心法の訓練には剣、居合の訓練をした方が遥かに効率的だと考えたからでした。

 素手なら気づかなくても剣だとミリ単位のズレ、0コンマ何秒の遅れが命取りになってしまうからです。

 正中線、読み、目付け、察気、間合、角度、拍子・・・といった武術に於ける重要な要素は、ほとんどが剣術、居合術の修練で体得向上させていくことができます。

 そして、それが解ることによって体術の攻防がより精密な身体感覚の読み合いへとシフトしていくのです。

 私が居合の練習しかやらないのも、その少ない練習の内容に濃密な修練の課題を圧縮しているからこそなのです。

 試し斬りも、確実に刃筋を通す・・・ということを確認するための実験という意味合いが大きく、どれだけの斬撃力を得るか?ということは重視していません。マキワラを斬るのも、その重心線を観極めて斜めに両断していく時の、力が集中していく感覚を養成するためであり、それが上手くできれば結果としてマキワラが斬れている・・・という訳なんですね。

 それに、本物の日本刀という物を持って斬るという行為は、精神に緊張を強います。

 下手なやり方をすれば自分が大怪我しかねないからです。ふざけた態度は厳禁です。

 必然的に節度が養成されます。

 うちの会員さん達に初めてマキワラ斬りを体験させると、たいていは間合が遠くなって斬れません。鍔元で斬るくらいの気持ちで間合を詰めないと届かないのです。

 動かないマキワラを斬るのさえ初めてやると難しいのですから、これが真剣を持って攻撃してくる相手が目前にいたら?と仮定すれば、どうでしょうか? 怖くて動けなくなるのが現実だと思います。

 私が真剣を使って無刀捕りを試みたのも、そのような精神的状況で落ち着いてやれるか?という確認のためでしたが、これは斬ってくる北島師範の方が精神的にきつかったんですね。

 最初はノロノロと振ってきたので、「それじゃ、ダメだ! もっと、ビュッと振れ!」と叱ってやらせましたが、怖くて当然なんですよ。

 私が失敗すれば、彼は傷害致死の犯罪者になってしまう訳ですから・・・。

 武術の修行は、やはり生死の境目に直面しないと本物とは言えないと私は思っていますが、かと言って、自分は覚悟できても他人にそれを強いることはできません。

 青木先生が率いた武術のプロジェクト・チーム、楽天会に参加する人達は、修行中の死も覚悟して誓約書を書いていたそうですが、人間が本当に道を求める場合は、命を捧げる覚悟が必要だろうと思います。

 でも、私はそれを会員に要求しようとは思いません。自分から求めてやるのでなければ意味がないからです・・・。

 私は、矢嶋さんが、今回、支部長と師範代を返上したいと言ってきた時に、「自分の実力が足りないので・・・」と言ったことを評価しています。

「仕事が忙しいので」とか「受講生がいないので」とも言えたのに、彼は明確に自分の実力が足りないからであるという理由を私に告げました。

 だから、了承した・・・というのが本心です。

 彼は、約二年間、東京支部長として充分に頑張って会の活動に貢献してくれました。

 私は、別にそういうことを彼に期待してやらせたんじゃないんですが、彼は私の期待に応えようと考えてくれました。その気持ちは嬉しく感じています。

 後輩を一所懸命、上達させようと頑張ってくれていたのも(私がそれを期待していた訳ではなかったのですが)、感謝しています。

 何より、その気持ちが嬉しいじゃないですか?

 私が、もう会は辞めてしまおうか?と考えていた時に残って支えてくれた三人の中の一人ですから、彼が脱落することなく、初心からやり直そうと考えてくれたのも有り難いですね。師弟関係は別として、やっぱり、私の活動を支えてくれた大恩人なんですよ。

 恩を忘れて一方的に文句ばっかり言って後足で砂をかけるように去っていく哀しい人間もいる中、彼の忠誠心は天然記念物モノですよ。

 本当に、私は人の縁に恵まれているな~と思っています。

 矢嶋さんは、うちの会の誇りです! また、初心から頑張って、誰にも文句のつけようのない武術人に育ってくれると確信しています!


PS;古株になってしまった会員のSさんが、結婚が決まった・・・と報告に来てくれました。Sさんもうちに入って、ちょうど10年くらいですよ。何か、結婚ブームかな?

PS2;矢嶋さんがブログで支部閉会のお知らせを出した後、彼の職場にまで電話をかけてきた人間がいた・・・と、矢嶋さんからすぐに電話がありました。仕事中に職場に一面識も無い人間が自分の好奇心を満足させたいだけで電話をするなんて、非常識と言うより、もはや精神の異常を疑わせるに足りる行為です。彼は公務員ですから、これは立派な公務執行妨害になります。名前は判っていますが、敢えて、ここには書きません。ストーカー紛いの迷惑行為を繰り返すのであれば、相応の罰を受けることになりますし、そうなれば、自身が所属する団体の名前に泥を塗ることになります。どうか、自身の非を認識していただきたいと思います。それと、会員を護るのは主宰者の義務ですので、游心流に文句があるなら私を批判してください。会員を巻き込むような分別の無い行為はやめてください。宜しくお願い申し上げます。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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