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四月セミナー“目付け”感想

 四月の月例セミナーは、ようやく桜が満開になった8日に、いつもの江古田ストアハウス稽古場で開催しました。

 四月は年度初めだから忙しいのか、かなり少なくなった印象でしたが、“読み”が有ると無いのでは戦いの様相が次元が違ってしまうくらい変わってしまう・・・という点を理解していただくために、今回は、「目付けが心法に繋がっていく・・・」という点を強調してやってみました。

 何しろ、相手の攻撃の出が読めれば、基本的に受け技が必要無くなってしまいます。

 読みの技能が古流の剣術で発達したものである理由が、ここに有ります。

 刀で斬られれば容易に致命傷を負います。刀の斬り込みを自分の刀で受け止めれば、刃毀れしたり、刀が曲がったり、場合によっては刀が折れてしまったりします。

 だから、日本の剣術は、基本的に相手の斬り込みを力任せにガッチリ受け止める・・・ということはしない訳です。

 これは素手の武道でも本来は同じことであり、相手の突き蹴りを身体で受け止めて耐える・・・という発想は、大山倍達師範がボディビルを採り入れるまでは、一部の沖縄空手にしかなかった発想でしょう。

 直接打撃制を考えると、やはり防具を用いることに考えが行き着くのが自然な流れであり、それは、「空手は一撃必殺」という認識があるが故のものでした。

 無論、何故、「空手は一撃必殺」と考えられたか?というと、琉球の手が、薩摩の示現流などの日本剣術の初太刀で仕留める思想へのカウンター思想として考えられたからであると思われます。

 その「一発食らえば死ぬ」という認識がある武術に於いて、相手の攻撃を受け止めるという発想は出てこないものであり、「いかに相手の攻撃を出せなくするか?」という方向で研究されたのが、“読み”なのです。

 つまり、相手が攻撃しようと考えて、動き出し、攻撃が出て、当たり、威力の最大値に達する・・・という、一瞬とも言える時間の中で、実は何段階もある・・・という点を読んで、先に先に潰していく・・・という戦術が発達していった訳です。

 先の先は、相手が攻撃しようと考えた瞬間を制圧することであり、対の先は攻撃が動き出して出てくる瞬間にこちらも攻撃を出して、当たるのを阻止する、いわゆる交叉法のことです。

 後の先は、相手が攻撃して当てようとする目標地点から体を捌いて避けつつ、死角から迎撃することであり、これは新陰流で言うところの「陰を斬らせる」ということです。

 読みを組み入れた武術の流派の場合、この三つの先で基本的戦闘理論を分類することが可能です。

 先の先は夕雲流、対の先は一刀流系、後の先は新陰流系・・・といった具合です。

 現代で読みを戦闘理論に組み込んでいる流派は至って少なく、意識的にやっているのは新体道くらいではないか?と思います。

 流派として意識してやっているところは、ほとんど見たことがありません。

 そもそも、非常に感覚的、観念的なものなので、伝承が難しいという面もあります。

 ただし、世に達人と評価の高かった武術家、武道家は、ほとんどが読みの技能に熟達していました。が、それらは技術的に高められたものではなく、感覚的に自然に体得されていったに過ぎず、だからこそ、弟子に伝わることはほとんど無かったようです。

 目付けに関しても、「技のコツ」としてしか考えられておらず、これが絶対的な必勝の原理へと繋がる重要性があると考える人は滅多にいなかったでしょう。

 しかし、私は躾道館の小林直樹先生に教わって以来、新体道の青木先生、賢友流の友寄先生、日子流の光四郎先生に、それぞれの御研究されたやり方をうかがい、読みの技能を深める工夫をしてきました。

 そして、10年余り・・・、具体的に段階を踏めば誰でも読みの技能を高めていける稽古システム化ができたと自負しています。

 中でも、賢友流の友寄先生の教えは、具体的でありつつ応用性の広いものであり、そこから考えさせられたものは無限大にも思える程です。

 以前は、「本物の達人は、やっぱり居たんだな~」という感動を味わっていただけでしたが、教わった以上は、自分も目指さなくては男じゃないし、読みを駆使することのできる武術家を育てていくのも役目でしょう。

 常連会員の何人かに関しては、日々進化し続けているので安心しています。どうせ、やるなら“超達人軍団”にするくらいでないと、武術やっている意味がないでしょう?

 技がどうこうというのは実戦を知らない人間の妄想です。実戦となれば、一にも二にも度胸と覚悟がものを言います。「このヤロー! ぶち殺してくれるっ!」という凶暴な戦闘本能に身を委ねる・・・。それができない人間が武術の極意に達するなんか夢物語ですよ。

 女性とか甲野さんファンだった人に多いんですが、「私は武術に興味ありません。戦うのなんか嫌です」と言いつつ習いたがる人もいるんですが、そういう人は他所の団体に行かれるのがいいでしょう。

 私は、「本気で武術を極めてみたい。現実に戦える力が欲しい」という人に応えたいから武術の研究を続けているのであって、「まあ、面白そうだからやってみようかな?」くらいの人を相手するのは、はっきり言って時間の無駄に思えてしまうのです。自己満足が得たい人は、うちに来てもらってもしょうがないし、懸命にやっている会員の邪魔なのです。下戸が飲み屋に行くようなもんでしょ?

「戦う意志がお前を最終兵器に変える!(少女コマンドーいずみ)」みたいに、問題なのは戦う意志、覚悟なんですよ。覚悟のある無しで人間の戦闘力は何倍にも何十倍にもなります。これも“心法”なんですよ。

 私が稲葉先生を絶賛したのも、“そこ”なんですよ! 技だけなら、私、互角に戦う自信があります。でも、覚悟の出来具合が何倍も上回っておられるのが解ったから、「あっ、これは、とても勝てないな~」って思って感銘を受けた。だから、絶賛した・・・そういうことなんですよ。

 ただし・・・覚悟ができる上で、平常心で読みを駆使することができる者だけが、本物の名人達人の世界に到達できるのだと思いますよ。

 やるからには、それを目指さないとダメですよね。

 その第一歩としての“目付け”のやり方は・・・(以下、割愛。『武術の読み』を読んでくださいませ)。


 今月は、次の15日にも、ほびっと村講座があります。こちらも宜しく!

PS;アイドル映画にスタッフと役者で参加することになり、テンテコ舞いです。お陰で本がさっぱり進みません。あ~、忙しい忙しい・・・。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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