コンテントヘッダー

『ミリタリーむすめ』銃設定考

「長野さん、映画に出たって本当?」と、ブログ読んだ人からよく聞かれるんですが、自主映画時代の知り合いで、今は映画などのプロデューサーをやっている友人から声を掛けてもらって、スマイル学園主演の映画『ミリタリーむすめ』に銃器アドバイザーとして参加した訳です。

 もちろん、私が本当にやりたかった仕事は映画製作でしたから、否の応えをする筈もなく、即決で参加を決めた次第でしたが・・・。

 まあ、撮影も無事に終わって、後は公開するまでの宣伝にも多少なりとも協力したいので、書ける範囲で書いてみたいと思います。

 どんな作品か?というと・・・

「日常の中に入り込んでくる非日常」としてのSF風味のある作品ですね。だとしても、アニメじゃなくて実写ですから、中学生女子が本物の銃を撃ちまくるという荒唐無稽さではなく、日常的な風景の中で描かれなくてはならないということで、結局、80年代からずっと続いているミリタリーとサバイバルゲームの愛好サークルという設定を活かし、キャストにはガスガンと一部電動ガンを持たせることになりました。

 もっとも、サバイバルゲーム愛好家って、よく刑事物などで変質者的Gunマニアとして描かれることが多く、そのイメージを緩和するのに“スマイル学園”の面々のキュートなルックスが大いに役立っていたと思いますね。

 いや、本当にひいき目じゃなくて、実際にカワイイんだもん。見た目だけじゃなくて性格もカワイイし、苛酷な現場でも誰も文句言わないしね~。主役のみなみを演じた飯田ゆかさんは風邪ひいて相当、シンドイ感じだったんですけど全然、弱音吐かないし嫌な顔しない。おっとりした感じなのに、本当にプロフェッショナル! もちろん、彼女だけじゃなくて全員がそうでしたけどね。

 企画当初は、ミリタリー・マニアっぷりをもっと出そうという感じだったんですが、製作費とか期間とか諸事情で、むしろ『ガンスリンガー・ガール』みたいなアニメ的な表現になったように思いますね。

 まず、主人公のみなみは、コテコテのミリタリー愛好家という設定なので、旧日本軍の南部14年式後期型(手袋をはめたまま引き金が引けるようにトリガーガードが大きくなっている)を持たせました。

 この銃は70年代くらいまでは旧日本兵が隠し持っていた拳銃という設定なんかで刑事物なんかによく出てました。前期型と後期型はトリガーガード(引き金の周りの円い部分で用心金と呼ばれる)の形で区別できますが、封印作品となっている怪奇大作戦の『狂鬼人間』で、狂わせ屋の罠にかかって一時的に発狂してしまった岸田森演じるSRIの牧史郎が、この拳銃を発砲しながら街を駆け巡る・・・というアブナ過ぎるシーンがありました。

 対する生徒会長の玲は、スコーピオン・サブマシンガンの二丁撃ち。高笑いしながら撃ちまくる姿はインパクト大。多分、作中で一番、目立っているんじゃないか?と思いますね。玲を演じた櫻井杏美さんは『マジスカ学園』や『牙狼』にも出ていたそうで、演技力とキャラクター性の強さで見事にライバル役を演じてましたね。

 参謀格の吉乃は、難しい長台詞を覚えなければいけないから、特に演技力のある人を・・・と監督が選んだだけあって、演じる山田あみさんは見事でしたね。中学生とは思えないマニアックな知識の持ち主という設定から、ワルサーP38ニッケルシルバーを持ってもらいました。

 P38といえばルパンの愛銃として有名ですが、ミリタリー・マニアにとってはドイツ軍の名銃としてオールド世代には人気が高い銃です。半自動式拳銃に初めてWアクションを組み込んだ拳銃としても有名で、現代のオートマチック拳銃の多くが、P38の機構を継承しています。

 寡黙なマーシャルアーツの遣い手の葵は、唯一、銃に頼らない。その代わり、サバイバルナイフを愛用してます。無論、中学生なのでナイフはゴム製。葵はまったく喋らない役なんですが、だからこそ逆に演技力が無いとダメ!と、監督が選んだのが今井花凜さん。

 唯一、格闘アクション・シーンもあって、ここは私が殺陣演出をして、相手役もやりましたが、蹴った痕が私の服に着いたから・・・と、凄く心配してくれて、優しい性格でしたよ。

 ちなみに、スマイル学園の面々は日頃からダンス練習しているから、総体的に身体能力高かったですね~。アクション演じる人は特別、運動神経のある人を・・・と思っていたものの、全員、そんなに差が無かったんです。

 芸能人って、普通の人間からすると天才的な才能の持ち主だと思いますよ。外見がカワイイのは当然として、それだけでは、到底、無理でしょうね~。

 大作アクション物にもそのまま出れそうなスナイパーの真希は、44オートマグを愛用してます。しかも、『ダーティハリー4・サドンインパクト』でクリント・イーストウッドが使った8インチのロングバレル。

 そして、実銃は2km先まで狙えるロングレンジ・スナイパーライフル、408チェイタック(シャイタック)M200を駆使するシーンは本作の一、二を争う見所ですよ!

 何つっても、真希役の黒木舞花さんが長身でクールでカッコイイんですよ~。現場でカメラのぞかせてもらった時に、思わず「カッコイイ~・・・」ってため息が出ましたよ。

 何しろ、対戦車ライフルみたいに馬鹿デカイ銃なんで、10代前半の女の子が持ってもサマにならんだろう?と思っていたんですが、これが実に似合っていました。これだけデカイ銃がサマになる女優さんって、他に居ないんじゃないかな~?

 もっとも、本人的には左利きなんだそうで、かなり扱い辛かったらしいですね・・・。

 このチェイタックM200は『ザ・シューター/極大射程』にも出ている重機関銃用の50BMG弾をボトルネック改良した超長距離狙撃用408チェイタック弾を撃てる銃をモデルに、香港のARES社がエアーガンとガスガンのコンバージョン・モデルとして製品化したもので、正価だと32万以上もするフルメタル製品。多分、高過ぎて売れないから他社が権利を買ったんじゃないか?と思うんですが、他社から廉価版が出てました。

 私は自主映画撮る予定で98000円のセール価格で売られていたのを買ったんですけど、まさかプロの映画のステージガンで使うことになろうとは・・・?

 余談ついでに書きますと、湾岸戦争以後、現在、1km以上を狙えるスーパーロングレンジ・スナイパーライフルの需要が高まり、以前は50BMGを使うバレットやマクミラン、ヘカートなんかが使われていたものの、50BMGは元々が重機関銃用の弾丸なので精度がちと足りない・・・ということで、超遠距離が狙えて精度が高い弾丸が研究されて、その中で408チェイタック弾も作られた訳ですが、広く使われるようになりつつあるのは、338ラプアマグナム弾で、弾丸の直径はオーソドックスなスナイパー用ライフルのレミントンM700などに使われる308ウインチェスターとほとんど変わらないものの、薬莢の大きさと弾頭の長さは圧倒的に大きく、精度も高いようです。

 後、発砲シーンは無いんですが、ミリタリー研究会の遥香(北村真珠)はレミントンM700。

 美由(羽矢有佐)はウイルソンLEとハイキャパ4.3デュアルトーンというコルトガバメントのカスタムガンの二丁遣い。

 謎の美少女・愛(田谷菜々子)は持ち銃無し(理由は本編を観れば判りま~す!)。

 玲が率いる生徒会の面々も、ミリタリー趣味は無い筈なのに重武装!

 万里子(井咲碧海)は西部劇仕様の古銃レミントン・バントライン・カービン。

 香(内田美衣)は逆に最新式のM4ナイツカスタム。

 中学生とも思えない?小柄な姉妹の姉、弥生(永島穂乃果)は、かの有名なかつての世界最強拳銃弾44マグナムの実に三倍のエネルギーを持つ50口径のマグナム弾が撃てるS&W・M500と、シティハンターの愛銃で有名なリボルバーのロールス・ロイスと異名を取ったコルト・パイソン357マグナムの8インチ・ハンターモデル。

 妹の皐月(岡崎いちご)も負けじと、スタームルガー・スーパーブラックホーク44マグナムの10インチ・ロングバレルのステンレスシルバーモデルと、『ドーベルマン刑事』の愛銃7.5インチの通常ブラックモデル。

 この姉妹は小さな身体に巨大なマグナム拳銃の二丁遣い(と、黒グラサンとゴーグル)というアンバランスさ。

 それから、ナチスの秘密兵器ハウニブを守る旧日本軍兵士の老人三人組の銃は、リーダーの治五郎(白木みのる)が38式歩兵銃。

 松尾(谷口英俊)がルガーP08アーティラリーモデル。『ルパン三世カリオストロの城』で峰不二子が持っていた拳銃です。

 私が演じた田沼(このために髭伸ばしたんだよ~)は、モーゼルM712にホルスター付きストックを取り付けたもの。

 モーゼルは『殺しが静かにやってくる』『殺しのライセンス』等々、多くのアクション映画に登場してますが、『狙撃』で主人公を追い詰める殺し屋の森雅之が使っていたのがマニア間で有名。主人公の加山雄三は単発式の特殊拳銃、スタームルガー・ハウキイ256マグナム(別名ホークアイ)を使って対決してました。


 老人三人組の銃は本物という設定ながら、スマイル学園演じる美少女中学生軍団は、法定基準威力に調整されたガスガン、エアガン、電動エアガンを使う設定となってます。

 選んだ銃器は、ミリタリー設定とはいささか掛け離れた物になってますが、これらがもし実物だったら?・・・前代未聞のGunアクション映画になっていた・・・かもね?


 それから、ネタバレになったら困るので、書けるギリギリで裏設定について書くと、この作品、ナチスの遺産を巡るSFでもあるんです。

 ナチスを結成したヒトラーがオカルトへ傾倒していたのは有名な話で、現にナチスの前身はオカルト秘教結社、トゥーレ協会だったのは有名。

 親衛隊のハインリヒ・ヒムラーもルーン文字の呪力を信じていたり、ヒトラーに憧れていたというオウム真理教の松本と似た精神構造だったと思われます。

 そもそも、当時はブラバツキー夫人の神智学が注目され、ルドルフ・シュタイナーが人智学を立ちあげ、悪名高い黒魔術師アレイスター・クロウリーが活躍した時期で、魔術的世界観に憧れる知的エリートが多かったんでしょうね。

 ナチスが次々に特殊な新兵器を作り出していたのも関係が無かったとは言えません。

 オカルト話はヨタ話と簡単に決めつける知識人は多いんですが、日本だって戦争末期には密教の秘技でアメリカ大統領を呪殺しようとしていたんだし、火の無いところに煙はたたないのでは?

 芸能人の占い師頼りを笑えないのが、この世の現実なんですよ。


 それと・・・撮影している時は気づかなかったんですが、撮影後に思ったのは、この作品、黒沢明監督の『七人の侍』に『隠し砦の三悪人』、それに『未知との遭遇』のニュアンスが入っているな~?ということ。

 御承知のごとく、『七人の侍』は、多くの亜流作品を生み出しています。『荒野の七人』『宇宙の七人』『七人のオタク』『Vマドンナ大戦争』『セブンソード 七剣下天山』といった具合・・・。

 あ~、そういえば・・・打ち合わせで監督と話している時に、『七人のオタク』について語ってましたね~?

 奇しくも、ミリタリー研究会のメンバーは、謎の美少女、愛を入れて七人。

 やっぱり、意識的だったのか?

 もっとも、テッポウを使うから『荒野の七人』が近いんですけれども、邦画マニア間で隠れファンの多い『Vマドンナ大戦争』に、ちょっと似てる感じもしますね。

 あの作品はハードバイオレンスな描写から、全体的に暗い印象で闇に埋もれてしまった傑作だったんですけれども、『ミリタリーむすめ』はアイドルの萌え要素がテーマ。

 必然的に猫カフェ・ムード?が漂う、まったりしたコメディが基本ライン。

 しかし・・・ロケ現場は苛酷を極めていました。全員、体調を崩してました。

 あの状況で笑顔と挨拶を忘れず、撮影の合間も歌って踊るスマイル学園の面々のド根性には、ただただ、感動!でしたね~。

 ロケ現場に同行していたプロデューサーも、帰りに御一緒したんですけど、「あの子たち、改めて見たら、メチャクチャ、カワイイな~」って、何度も言ってました。

 私、本当に早く完成した映画が観たいんですよ~。モーニング娘。の初主演映画の『モーニング刑事』より面白いと思うんですけどね(っつうか、観たこと無いんだけど)。

 皆、メジャーになって活躍してね~。「俺、この子たちと仕事したことあるんだぜ」って、飲み屋で自慢するからさ~。


PS;この『ミリタリーむすめ』は、製作支援サービス・上映イベントサービスを展開するドリパスによる作品です。ドリパス支援者には特典が付きますから、関心のある方は是非、宜しく!

関連記事
スポンサーサイト
このページのトップへ
コンテントヘッダー
著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

FC2カウンター
リンク
最新記事
カテゴリー
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

月別アーカイブ
ブログ内検索