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六月セミナー“交叉法”感想

 今年の月例セミナーも既に半分まで来ました。

 そして、今回の“交叉法”は、私の武術研究の中心テーマとなっている理合です。

 今回は初参加の方や二回目の方もいらしたので、基礎錬体(スワイショウ、立禅、三元試力)の武術的応用法も久しぶりにやりまして、発勁(寸勁)の打ち方もついでにやりました。

 この寸勁ができて交叉法を覚えれば、基本的な武術の戦闘法としては充分であると私は思っています。

 一撃で相手を戦闘不能にできるだけの威力の当て身と、その当て身を確実に当てるための理論・・・。

 これは、松田隆智先生が生涯求めていると言われていたものです。

 奇しくも、その二つを私は得られてしまいました。

 しかし、松田先生は、「これは一朝一夕にできることではない」と信じられていたのに対して、私は「誰でも数年で実用レベルには問題なく体得できる」と考えている点が違うくらいでしょう。

 いや、敢えて挑発的に表現すれば、「護身術レベルなら数時間、人によっては30分で体得できる」と言えます。

 何故なら、理論をきちんと理解して素直に実践すれば、少しも難しいことではないからですし、日々の鍛練を積み重ねることで真の威力が出せるという考えそのものが、技の本質を知らないが故の思い込み(希望的観測)に過ぎないと私は考えるからです。

 有り体に言ってしまえば、武道・格闘技の訓練がスポーツ的な観点からの“必要な筋肉の強化”に偏ってしまっているからこその誤解があると思われます。

 本当に必要なのは、テクニックの勘所を一つ一つ理解して理詰めで積み上げていく・・・という作業なのですが、それを忘れ果てて、無意味に肉体を鍛えることに終始してしまったがために、労多くして功が少ない状態になってしまっているのです。

 例えば、今回の交叉法にしても、無構えで待つという形式だけに拘ってしまうと発展性がありません。

 無構えからいろいろな構えへと変化しながら相手の出を誘う・・・という戦術を駆使することで、後の先、対の先、先の先、先々の先・・・と発展していかねば実用にはなりません。

 あるいは、その先を取る読みの技能を深めることなしにスパーリング練習に入ってしまえば、読みも糞も無くなって、「交叉法は使えない」という誤解にも陥りかねません。

 武術の目指すのは、精神論ではなくて具体論です。

 勝つために何が必要か?ということを考えて、理詰めで技術体系を組み上げ、より発展させていかなければなりません。

 そのための重要不可欠なヒントが交叉法にはあります。

 また、交叉法は本来、剣の戦いから派生した理合であると考えられ、一撃で殺すことのできる武器の威力を前提にしなければ意味がありません。

 だから、私は素手でも一撃で致命傷を与えることのできる発勁に拘ったのです。


 今回のセミナーでは、太気拳で言うところの“差し手”の技術が、空手道の捻り突きや陳氏太極拳の纏絲勁、八卦掌の螺旋勁などに通じる、相手の攻撃してくる突き腕を利用した“交叉合わせ突き”の原理に通じるものであることを解説しました。

 あるいは、形意拳の崩拳、鑽拳などや、合掌したままクサビ状に突き込む技などが、一刀流の切り落とし、新陰流の合し撃ち(一刀両断)などの原理に通じるものであることも解説しました。

 もっとも、ストレート系の突き技にしか使えないのでは論外なので、前蹴りを差し手でそらしてキャッチして投げるとか、横蹴りをキャッチして投げるとか、回し蹴りを下段払いで撥ね返すとか、ムエタイの首角力からの膝蹴りを掌で撥ね返して指頭(刀)拳(戸隠流や八光流で用いる親指尖端で突く当て身)を肋骨の隙間に刺す技とか・・・いろいろやってみました。

 確かに突き蹴りは当たれば怖いです。無防備に急所に一撃食らえば悶絶物です・・・。

 しかし、ボクシングやK-1、極真空手の試合を見ても判るように、互いに警戒しながら攻防を繰り広げていて無防備に急所に一撃食らうことは滅多にありませんし、動き回っている相手に当たっても威力が半減してしまうので一発で倒れることも少ないのが現実です。

 そして、突き蹴りは重大な弱点が隠れているのです。

 それは、「突き蹴りを出した瞬間に必ず隙間が開く」ということです。

 もちろん、ある程度の間合を保ったまま素早く攻防していると、その一瞬の隙間を迎撃するということは極めて至難です。

 ところが、実はここにも盲点があるのです・・・。

 それは、「ある程度の間合を保ったまま打撃技だけで闘う」という点です。

 これは総合格闘技やブラジリアン柔術をやっている人なら当たり前の話でしょう。「パンチやキックしてきた瞬間にタックルして倒して首絞めればイチコロだよ」と笑っている人の話を聞いたこともありますが、実際に突き蹴りは威力が大きい反面、弱点も大きいのです。

 考えてみてください。本来の琉球空手は突き蹴りだけじゃなくて逆技や投げ技、固め技、点穴技なども含まれています。

 型の所作も突き蹴りだけでは解釈不能なのです。

 つまり、琉球空手は本来、総合格闘術なのですね。

 中国武術も同じことであり、酔っ払いや動物の真似をしたり奇妙な動作をしたりするのも、打撃技だけで考えたら理解に苦しむでしょう。

 例えば、突き蹴りに関しても本来の使い方は忘れられてしまっており、「一本拳なんか指を痛めるだけで使えない」と断定する空手家がいますが、そもそも使い方そのものが違う訳なのです。

 特殊な拳型や貫手などは、離れたところからオリャーッ!と突き込むような使い方はしないのです。至近距離から急所にスッと差し込むように使うのです。

「そんなので威力が出るのか?」と疑う人もいるでしょうが、軽くやっても効くから急所というのです。急所という言葉も、元来、お灸を据える所である“灸所”から転用されたりしており、いわゆるツボなんですね。

 昔の武術家は、医者と兼任していたりしていますが、それだけ人体の仕組みを知り尽くしていた訳ですね。

 私も日本武道医学を学んだり、カイロプラクティックやいろいろな整体療法や健康法なども研究してきましたが、人体の効率的な破壊のやり方を知ることが武術技法の効率化に繋がりました。

 で、結論として、何も考えずに阿呆みたいに肉体を鍛えるヒマがあったら、生理解剖学とか心理学とかを勉強した方が、よっぽど益になると思います。

 これから50代になり60代になり、肉体が老化していっても武術の技はどんどん向上すると思っています。それは、武術が体育ではなく身体学問だからですよ。

 身体の仕組みを探究すればするほど、より効率的に簡単に極意の技が使えるようになると思いますね。

 もう、うちの会でも数人は達人レベルになっていますし、これから超達人レベルになっていくでしょう。

 今の先行き不安な時代、最後に頼りになるのは自分だけですからね。それも呑気に十年も二十年も修行しているヒマはありません。

 ひょっとすると、世の中の激変に対応できる人間が必要だから、短期間に超達人を養成できるシステムを私が開発する役目があったのかもしれません。

 そういう具合に考えないと、いくらなんでも、こんなに簡単に武術が体得できる筈がないですもんね?

 とにかく、今は与えられた仕事をしっかりとこなしていくだけですよ。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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