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近藤等則氏の講義にゲストで・・・

 昨年夏の天真會主催のチャリティー・イベントを切っ掛けに縁が深まった、世界に名高い(何か、最近、世界レベルの人とばっか縁が出来てきましたね?)エレクトリック・トランペッターの近藤等則さんが客員教授をされている東京経済大学の近藤さんの講義に、ゲストで呼んでいただきまして、北島師範、千葉師範代と一緒に、6月7日に行って参りました。

 近藤さんは、あの田中泯さんとも親しく、“日本人の身体”に関して一家言を持たれており、日本でヨーガがまだそんなに知られていない頃からハタ・ヨーガに取り組んだり、新体道の初期の頃からの修行もされていたり(新体道OBの中で最も後援してこられた方だと思います)、実はアーティストという枠組みを超えて身体論に関して幅広い研究をされているんですね。

 それで、新体道という空手を母体に発展した体技をされていることから、武術研究をしている私にもお声を掛けてもらった・・・ということなんですが、恐らく、青木宏之先生が推薦してくださったんじゃないかな~?と思っています。

 ともあれ、世界の近藤から声をかけてもらって断る理由はありません。二つ返事でお引き受けしまして、この日、東京経済大学のある国分寺に向かいました・・・。

 国分寺を歩いたことは、ほとんどありません。バスで駅まで来たことがあるだけと記憶していましたが・・・。

 駅から大学への道を歩いている時に、「はて? 何だか、この道、以前に通ったことあるような~?」と、デジャヴ感に浸っておりますと、「確かにここは通ったことがある!」という確信に変わり、大学の校舎に入って、完全に思い出しました!

 十数年前だったと思うんですが、ここでパフォーミングアート批評の及川廣信先生の御招待で舞踏公演を観に来たことがあった!ということを思い出しましたよ。

 そうだ! ここだったんだ~・・・と、何だか、凄く嬉しい気持ちになりました。

 東京経済大学は、してみれば、前衛的先取の気性のある大学なのかな~?と思えますね(近藤さんが教えているくらいだし・・・)。

 待ち合わせ場所で三人で座って待っていると、近藤さんが現れて地下の講義室に招き入れてくださいました。

 一応、道着に着替えて先に来ている学生の皆さんにプリントを配ったりしましたが、正直、これは関心の無い人には意味がないと思っていて、実際の講義は、いつものセミナーや講座のように実技実習主体でやるつもりでした。

・・・というか、私の研究している武術って、自分で体験してみないと丸で理解できない代物なのですよね。

 それも、熱心に武道に取り組んできた人ほど、「そんな簡単に合気や発勁ができるようになる訳がない! このインチキ研究家風情が何をデタラメ言いやがって・・・」と目の仇にする人が少なくありませんでしたね。

 ところが、私のを読んだりDVDを見たりして半信半疑でセミナーを受講して、まったくの素人が、あっという間に武術の達人しかできないと言われていた技を再現してしまうのを目前にして、茫然となってしまう・・・という光景も、もう何十回も見てきたのですよ。

 だから、論より証拠で、「まず、やってもらって自分ができるようになってもらう」というのが一番、大切なことだと思っていまして、能書きはいいから、基本的にワークショップ形式でやる・・・というのが私のやり方なんです。

 いや、正直に申し上げて、私自身も、最初は、こんなに簡単に武術の秘伝とか極意と言われているような技が素人でもすぐに体得できるなんか夢にも思っていなかったんです。

 しかし、私が自分で苦心して再現できるようになっていくうちに、「ん~・・・、もしかして、これって教えたら誰でもすぐできるんじゃないかな~?」と思うようになり、何度も何度も教えているうちに教えるポイントが段々とシンプルになっていき、結果的により簡単に教えられるようになっていった・・・という次第なのです。

 何せ、游心流を名乗る以前からだから、もう20年以上も教えてきているからです。

 その20年の蓄積の末、「自分の力を抜く・相手の力に対抗しない・相手の力の方向をずらす・重心移動の力を用いる・骨盤から動く・スリ足を用いる・・・」といった様々な原理を確立していったのです。

 ただ、これらの原理は武術のみならず、舞踊や健康法や職人や何やらの、いろんな流儀の中の達人と呼ばれている人達に共通する心身の使い方を観察していて採り入れていったものなんですね。

 そういう意味で、私のオリジナルだとは言えないんですよ。どこでもやっていることですから・・・。

 ただし、それを自覚的に理論化してやっている人は非常に少なく、流儀の根幹にして教えているところは見当たらなかったので、私は自分で再編成していった訳です。

 誤解のないように申しますが、それでは、何故、一般の武道武術では何十年単位で必死で練習しないとできないような技が、私が教えると、あっという間に誰でも体得できるのか?

 それは、「仕組みを理解しているかどうか?」ということなんです。

 一般に武道武術に取り組んでいる人は、自分が学んでいる流儀の稽古法に、どういう意味があるのか?ということを知らないままです。

 だから、何年も何十年も学んでも、極意に到達できる人が一握りで、多くの人が途中で挫折したり、ただやっているだけでちっとも上達しなかったりするのです。

 考えてみれば簡単な理屈なんですよ。TVの機構を知らない人間がTVの修理はできないでしょう? 専門教育を受けた医者にしか手術はできないでしょう?

 武道武術をやりながら、いつまでも上達しないというのは、技や訓練法や戦闘理論を理解していないままで、“習うより慣れろ”という方法論を盲信してしまうからです。

 そういう稽古を長年続ける以外に体得できないのだ・・・という“強固な刷り込み”があるから、自分の意識を縛ってしまうんですね。

 そういう訳で、その下手な呪縛がない分、素人の方が簡単に体得する・・・という理屈なんです。解る?

 例えば、「確かに力を抜くのが極意だが、初心者から力を抜かせていたら、現実に人と戦った時に何もできずに簡単に倒されてしまう。最初は身体を鍛えて肉体を鍛えることが肝心なのだ」と、どんな武術武道をやってきた先生であっても、必ずと言ってよいくらい判で押したように同じく言われます。

 そうですね~・・・、間違いとは言えないんですが、この考え方も、実は自身の体験からくる“思い込みの要素”がかなり有ると思うんですよ。

 私、最近、そのような“必死の修行”の効果そのものを捨ててしまえるくらい超然とした意識にならないとダメなんじゃなかろうか?と思えてきたんです。

 結局、「初心者には戦うための肉体が必要」という考え方の中に、「敵とぶつかった時に潰されないように・・・」という“対抗する考え”が潜んでいるんですね。

 脱力技法、交叉法を研究してきて、結局は、これらも心法の世界に入っていかないとダメだと気づいた訳なんですが、どういう意味か?と申しますと、対抗する意識があると無意識に筋肉の神経に電気信号が送られて、力を抜いているつもりなのに力が入ってしまうんですね。

 そうすると、相手の攻撃が、こちらに作用してしまう訳です。

 必然的に相手が強ければ、そのまま押し切られてこっちがやられる。

 そこで勘違いして、「やっぱり、力も必要なんだ。筋肉を鍛えないと本物の脱力はできない!」と、大馬鹿こいちゃって、力比べやっちゃう訳です。

 72歳のUさんなんて、腕が私の半分の太さもないですよ。それで脱力して空手出身の会員のミドルキックを脱力技法で撥ね返せるんですからね~。

 とにかく、“力がぶつからないように化勁に熟練すればいいだけ”なんです。

 私がシステマを高く評価したのもそこなんですよ。徹底的に相手の力を作用させないように受け流してしまう点に脅威を感じたのです。

 うちが自由組手やらないことにしたのも、下手に自由組手やると筋肉馬鹿状態になって相手と競い合うばかりになり、結果的に技が全然、身につかない。そんでもって、技が体得できないから尚更、筋肉を鍛えて対抗しようとしてしまう・・・という悪循環に陥ってしまうからなんですよ。

 事実、自由組手をばりばりこなしてきた人ほど、繊細巧妙な技は身につきません。できないから、益々、筋肉に頼ろうとする。

 それでも中年過ぎて筋力では若い人に勝てなくなり、それで武術の技に関心を持つようですが、とにかく鍛えるのを止めないと身につかないですね。

 筋肉は鍛えて膨らませるんじゃなくて、ゴムのように柔らかく練るようにした方がいいでしょう。ストレッチは非常にいいと思います。

 私が猫好きなのも、猫の身体能力の高さに注目しているからです。猫は犬みたいに走るのが好きでもないし、一日の大半は寝てます。運動らしいことをやるのは寝起きに全身をゆっくりと伸ばすだけ・・・。それだけで、瞬間的な動きの素早さは物凄い!

 よって、無駄に身体を鍛える武道武術より、楽しくダンスやっている方が本来の武術を体得するには、ずっと向いているんですよね。


 近藤さんの講座の受講生は、ほとんど女子大生ばっかりで、「あれっ? この大学って女子大だったっけ?」と思ったくらいでした。

 まあ、初心者には最も解りやすい脱力系合気からやりましたが、皆、「え~? 嘘?」と、キャッキャ言いながら楽しくやってくれました。

 やっぱ、若い女子がキャッキャ言いながらやってもらうのが、一番、教え甲斐がありますよね。ムサイ親父同士で加齢臭漂わせながら練習するのって嫌です!

 座捕り合気上げから始めて、指合気、二人捕り、合気柔術などをやり、痴漢対策の護身術として、背後から抱きかかえられた時の脱出法や背後から腕を回して首絞められた時の脱出法・・・などもやりました。

 特に背後から捕まってるのを脱力技法でトコロテンが抜けるみたいにツルンッと脱出できるというのは、私がやっても「えっ? マジ?」という感じで見ていましたが、自分でやってみて、意外に簡単にスルッと抜けられるので、「あっ、できたぁっ!」と、喜んでましたね。

 首絞められたのを抜ける技は、更に驚いたみたいでしたが、やっぱり実際にやってみたらできるので、これは相当、皆さん、驚かされたみたいでした。

 ちなみに、こういう技は日頃、全然やらないので、千葉師範代もビックリしてたみたいでした。

 それにしても、妙に覚えが良い。ここまであっさり脱力できるとは・・・?

 何でも、青木先生も来られて新体道を体験していたそうで、脱力する感覚を先に体得していたからなんでしょうね?

 それと、ダンスをやっている人も居たので、素晴らしく飲み込みが早かったです。

 胸を押されて片足立ちでも大丈夫・・・というのもやりました。ある太極拳家が自慢げに披露していた技?でしたが・・・。

 こういう技は「30年くらい修行しなければできない」とか言われたりもするんですが、原理的に言えば「力を抜いて相手の加えてくる力に抵抗しない」というだけの話なので、感覚的に「力がぶつからないようにして・・・」ということだけ専心すれば簡単にできるようになるものです。

 30秒で体得してましたよ。いや、マジで・・・。

 やることなくなってしまったので、自主製作したDVDを見てもらいながら簡単に解説・・・というか裏話とか喋ったりしまして、後半は、事故が起こったらマズイからやめておこうか?と思っていた寸勁も、要望があったので教えました。

 と、ここで近藤さんの新体道魂に火がつき、男子学生がクッション三枚重ねているところに新体道特有の中高一本拳でズビシーッと突きを入れて、「お~っ! 近藤さんの突きを見ちゃったよぉ~!」と、私、内心で喜んでおりました・・・。

 何か、クッション三枚じゃ全然足りなかったか?

 最後は、太気拳の練りの練習法で、両腕をぐるんぐるん回しながら前進後退を繰り返す練習法を指導し、それを実際に技として使う用法を指導して終了しました。

 何か、全員の感想も聞いてみましたが、楽しんでもらえたみたいです。

 帰りは近藤さんと駅まで一緒に行き、途中で1時間近くコーヒー飲みながらお喋りして帰りましたが、本当に近藤さんは全然、飾らない人だし話題の引き出しの幅の広さには驚かされますね。

 ふと、「あれっ? 何で俺は近藤等則さんと、こんなに仲良くなってんだろう?」と、思ったりもしましたが、それは近藤さんの器の大きさなんだと思いますね。全然、威張らない自然体で、豪快な人でした。そうですね~。椿三十郎みたいな感じかな?

 体験的に思うのは、名前ばっかりで内実が伴っていない人ほど、尊大に振る舞いたがるみたいですね。威圧的に上っ面の造形ばっかりつくろいたがる人は、本当の自分をさらすのに恐怖心があるのかもしれません。

 凡庸な人はそんなもんですが、その道の超一流になる人ほど、自分をさらけ出せる人のように思えます。


 練習日と重なったので北島師範には先に行ってもらい、千葉師範代と一緒にメイプルホールへ向かいましたが、北島師範は珍しくノリノリでしたね。

 女子大生ばっかりだったからか?

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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