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古刀はやっぱり凄い

 7月最初の木曜日のメイプルホールの稽古で、柄が完成した阿州具氏の刀で試し斬りをやってみました。

 平鉄板を埋め込んで針金巻きにした柄下地をグリーンの鮫で巻いて、その上に黒牛革の柄糸巻きにし、目釘も二つ・・・これなら安心して斬りつけられます。

 刃の鋭さから相当斬れるとは思っていたんですが、重ねが厚くて鎬(シノギ)が高いので、マキワラ斬りはどうかな~?とも思っていました。

 切断力は高いですが、やはり、マキワラを斬るには少し引っ掛かる感触があります。

 以前、南蛮鉄で鍛えたという綱廣の刀も、甲が切断できたと銘切りしているくらいだから、さぞや斬れるだろうと思っていたら、何か引っ掛かる感じでマキワラはうまく斬れませんでした。あんな感じでしたね。

 片手での逆手斬りも、この引っ掛かりの感触で完全切断はできませんでした。だから右手は逆手で左手を順手で添えてテコを働かせて斬ったら斬れましたが、マキワラ斬りには今一つという感じでした。

 ところが・・・最後に短くなったマキワラを斬った時に支えの棒にも斬り込んでしまいましたが、これが非常に滑らかにギャオスの超音波メスで切断したみたいな断面で切れてしまいました。

 まるでチーズを切ったみたいな滑らかな断面だったので、ビックリしてしまいました。
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 この支えの棒は、細竹の切れっ端を使っていたらすぐ折れてしまったりしていたので、木の丸棒を町田の東急ハンズで買ってきて、工作用ノコギリで半分にし、肥後乃守ナイフで削って作ったものだったんですが、親指くらいの太さがあって割りと堅く、ナイフの峰を押して削っていて、指が痛くなったくらいで、刀ではちょっと斬れないだろうと思っていたのです。

 生木なら水分が含まれているから切れるかもしれませんが、成型された乾燥した木材ですと、硬いし、たとえ切れても割れるように裂ける筈なんですね。

 以前も細黒竹やらラミンの丸棒とかを切断できるか試したりしたんですが、竹は斬れてもラミンの丸棒なんかは削れる程度でスパッとは斬れなかったんです。

 使った刀は江戸時代の新刀で薄刃で身幅が広く鎬が低かったんですが・・・。

 樫の木刀や六尺棒が、やはり木刀やヌンチャクでスパッと断ち切られたみたいに切れることがありますが、あれは高速で激突することでパキッと割れているんです。水分を含んだ粘りのある木材だと、そんな具合にはならないんですよ。

 事実、この棒も切断面以外は木目に沿ってパキッと割れてしまいました。堅いからそうなるんです。

 だから、斬った私も驚きましたし、北島師範は「先生、刃毀れしてないですか?」と言うので照明に翳して確認しましたが、刃毀れしたり刃がめくれたりもしていませんし、無論、刀身も曲がっていません。

 江戸時代の新刀で試し斬りをすると、硬い細竹を連続して切れば簡単に刃毀れしますし、太いマキワラを下手糞に切れば簡単に曲がってしまいます。

 試し斬り用に買った関物の新刀も、薄刃でよく斬れますが、試し斬りすれば刃は丸まり、使用後に簡単にエッヂを研いでおく必要があります。

「流石、古刀はつえぇ~な~・・・」と、唸ってしまいましたね。

 帰ってから手入れして入念に確認しましたが、刃先の丸まりもまったくありません。鋭角の少し強く押せばザックリ切れそうな感じはまったく変わりません。

 いや、驚きました。

 何しろ、500年くらい前のブツ?なんですぜ。そんな昔の道具が使えること自体が奇跡でしょう? 日本刀の凄さというのは、ここですよ。何百年も鉄が朽ちずに残っていることそのものが驚くべきことです。

 恐らく、この刀なら薄い鉄板を斬り裂くこともできるでしょう。鎧兜の上から斬りつけても致命傷を与えられるかもしれません。戦場刀、タクティカルブレードとして実に優れた刀だということが図らずも確認できました。

 皆焼刃(ひたつらば)の美術的価値を損なうのはもったいないから、堅物試しはやろうとは思いませんが、やればできるだろうという感触は、実戦向けの武用刀としての信頼感を確保するものです。

 竹くらいなら斬ってもいいでしょうが、まとまって金が入ったら上研ぎに出して大切にしようと思っています。刃文が綺麗に出たら、美術品としての価値も出て、それこそ凄い刀になると思うんですよ。早く綺麗にしてやりたい・・・。


 一方、マキワラの試し斬りには鎬の低い身幅のある刀が良いということを改めて確認できました。いっそ、平造りの方が良いかも知れませんね?

 今、片手逆手斬り専用の刀を注文しようと思っているのです。

 何でか?

 それは、ヒ・ミ・ツ・・・(苦笑)。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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