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八月セミナー『化勁』感想

 お盆の時期に重なる八月の月例セミナーは、お化けの季節だから?という訳じゃないんですが、“化勁”がテーマです。

 私が夏は苦手なんで、あんまり動き回って汗だくになるのは嫌だな~?と思っているのも手伝って、今回は特に受け崩しの技を中心にやりましたよ。

 どういう技か?っていうと・・・

 パンチしてくる腕にペトッと前腕を乗せて、そのまま沈身で体勢まで崩してしまったりする技・・・意拳の技に新体道の下段払いをプラスしたような技です。

 武術マニアは、自分の好きな流儀の優越性ばかり論じて、技そのものをアンタッチャブルに崇めて分析しようとしない人が多いんですが、流儀の枠を取り払って技そのものの技術的特性から検討していくと、物凄く可能性が広がっていくんですよ。

 例えば、私は手首から肘までの前腕部分をよく使うんですが、ここを活用することで交叉突きや封鎖手(粘り着くようにして相手の動きを拘束する技法)からの肘打ち、入身投げ、三角絞めなどへの変化技法を多彩に使うことができるようになるんですね。

 でも、これは意味を教えないと難しいので、大抵の人が、無意識に掌で処理しようとしたり、思わずガシッと掴んでしまったりしがちなんですよ。

 うちの場合では北島師範がこの癖を除くのに、相当、叱責しましたね~。彼だけは他の人より厳しく教えましたよ。優しいだけだと自惚れてダメになったりしますよね?

 どうして厳しく叱責したか?というと、それをやってしまうと自分で自分の手を居着かせてしまうんですね。相手を拘束しているつもりで実は自分の手も自分で拘束してしまっているのです。

 だから、私は掴み技とか逆手技の類いはほとんど捨ててしまいました。相手が十分に崩れていない状態では自分も拘束してしまうので、反撃される危険性があるからです。

“掴んだり逆手をガチッと掛けたりしない”というのは、それを手掛かりに相手が力を発揮できるように盛り返す危険性があるんで、それができないようにするにはどうしたらいいか?と何年も考えてきて到達したやり方なんです・・・。


 それからお次は、パンチしてくる腕を横から捻り受けしながら肘でこねあげて入身して崩す太極拳の技や、捻り受け流した腕の前腕で腋の下に打って、そのまま背勢を取って頭部を挟み掌打ちにする八卦掌の必殺技や、肘打ちに変化する八極拳の必殺技・・・といった具合に化勁からの発勁への変化用法も指導しました。

 こういう技は知らない相手には面白いように掛かったりします。相手は自分が攻撃したのに何だか判らないままメチャクチャにやられてしまうので、為す術なく呆然となってしまったりします。本気で打ち込んでしまうと簡単に殺せると誰でも確信するでしょう。

「倒す」とか「勝てる」じゃないんです。「死ぬな~、コレ・・・」って思いますよ。

 軍隊系特殊部隊なんかの暗殺野戦体術なんかもいろいろ研究したんですが、やっぱり中国武術の方が至れり尽くせり?ですね。意味が判ると本当にヤバイ。

 改めて思うのは、「中国武術は極めて実戦的なものだ」ということ・・・。

 自分で研究してきて思うのは、素手で効率よく人体を破壊するための研究を、これほどまでに深めたというのは驚異としか言いようがありません!

 試合形式で中国武術の巧妙な戦術を殺してしまっている愚に気づく人が少ないのは、本当に情けないことだと思いますが、仕様がない。武道・武術やる人間が技術分析能力が極めて低い人が多いのは、不幸中の幸なのかもしれません。

「中国武術は型ばっかりでクソ弱い!」と思われているのは、個人的には本当に情けないことだと思うんですが、誤解されている方が害にならなくていいのかも?

 あまりに実戦的過ぎて、これらの技を他人に使えば確実に殺してしまうな~と思われて、容易に真伝を伝えなかった・・・というのも納得できます。暗勁は特に、軽く打っても後から障害が起こるので、怖くて打てないんですよ。

 例えば、今回は裏技としての暗腿法の具体的な使い方も指導しましたが、これなんて、八卦掌の走圏法の練習が、そっくりそのまま用法として使える訳なんですね。

 この技も予想してない時に食らえば脚が折れたりしますよ。そして、予想してない時に掛ける戦術なんだから、本当に恐ろしい技ですよ・・・っつうか、それを知ってて教えている訳なんですけどね~(苦笑)。

 いや、武術の型・套路の動作って、意味が解ると、割りとそっくりそのまま実戦に使えたりするんです。

 あのヘンテコな酔拳の構えなんかが現実に使えるとは思えないでしょう? でも、私、実際に酔拳の技で空手や日本拳法の人と手合わせしてますからね。相手もビックリしてましたよ。まさか、こんなふざけた技が使えるなんて想像もつかなかったんでしょう。

 でも、「寸勁を使う」「間合が密着している」「打撃技だけでなく逆・投げ・崩し・点穴などが複合している」といった観点から解析すると、嘘でしょ~?って思うぐらい合理的だったりするんですよ!

 だから、面白過ぎて、やめられないんですけどね~(蛇拳でボクシングと対戦したこともありますよ。何か、オレ、よく考えると掛け試し経験がやたら多いな~?)。


 休憩を挟んで後半は、化勁を戦闘理論の中核に置いている太極拳で説明しようと思ってまして、まず、游心流初の高校生指導員Nさんに99式太極拳の演武をやってもらいました。

 99式というのは、台湾の王樹金老師が伝えて日本では簡化24式太極拳の次に普及して、正宗太極拳とか双辺太極拳とも言われています。楊氏太極拳をベースに、形意拳・八卦掌の技法の特徴が採り入れられたと言われています。

 私は、ほびっと村で大友映男先生に習い、後に躾道館の小林直樹先生に手ほどきを受けましたが、短気な私は長い套路を練習するのが苦手なので、簡化24式を主に練習するようになって、10年くらい練習していませんでした。

 だから、Nさんは本や小林先生のDVD、ネット動画などを参考に独習して会得してしまっており、私はちょっとコツや用法を教えた程度でしかありません。

 本人が覚えたと言っていたので、やってもらったんです。

 何で私がやらなかったのか?と申しますと、恐らく、もう、彼は私よりずっと上手くできるようになっているだろう?と思ったからです。

 自分より上手い人間がいる前で、得意満面で演武するような阿呆が、この世界には結構居るんですが、いや~、本当に恥ずかしいですよ~。見てるこっちが・・・。

 何かのDVDで太極拳だか何だか判らない内功武術をはしゃいで演じている人を見たんですが、内功が全然無くて技が軽い軽い。あまりのヘッポコぶりが逆に笑えてしまいましたよ。

 あるいは別のDVDで見た太極拳の正統継承者は、姿勢がヨタッてしまっていて、内功が虚脱してて、何だか、哀れに思えてしまいました。

 やっぱり、馮志強先生や王西安先生のようにグオオッと内力が満ち溢れてくるような太極拳や、バビューンッと触れた相手がふっ飛ばされてしまう王培生先生のようなミラクルな太極拳と比べてしまうと、こういう人達って、本当に勘弁してくれって感じですよ。

 それで、リアル刃牙みたいなNさんが会得した太極拳を個人的に私が見たかったから、やってもらったんですよね・・・実は・・・。

 ですが・・・う~~~~~む・・・もう、私より上手い筈だとは思っていたんですが・・・そうっすね~? ざっと、2~3倍・・・いや・・・4倍くらい差があるな~?と思いましたよ。まさか、ここまでとは・・・。いんや~、マジで恐ろしいヤツだぁ~。

 あ~、よかったぁ~。迂闊に演武しないで・・・ポリポリ(頭掻いてる音)。

 率直に申しますが、彼の太極拳の内功のレベルは既に日本でもトップレベルに到達していますね。どうしてか?というと、昔、西荻で手合わせした全日本チャンピオンだった太極拳の先生より遥かに高いレベルなんですよ。

 小林先生の演武をかなり参考にした様子ですが、優るとも劣りません。直接、見たこともないのに・・・もう、化け物染みた武才です! だって、まだ高校生なんですよ? こんなの格闘漫画かアニメの中にしかいないですよ~!

 うちの最強会員、大石総教練は、「N君は前世で何回も武術修行していたとしか思えませんよ」って言ってましたけど、確かに、そうとしか言えないよな~(笑)。

 まだ、若干の粗削りな面は感じられなくもありませんが、それは時間の問題で解消していくでしょう。多分、今年中には。何しろ、若いからね~。


 彼の場合は極端過ぎますが、私が公言している「超達人を育てる!」という目標は既に射程内に入っています。5~6人育てるのに10年も要らないでしょうね?

 無論、まったく素質も才能も無い人であっても、世に言われる達人の領域までなら、確実に到達できるように教えられます。

 これはもう、自信あります。全然、大丈夫。その気がなくても真面目に5年くらい続けてもらえば達人誕生!しますよ。

 これは、自慢して書いている訳じゃありません。

 武術という身体文化の中に、それだけの教育システムが内蔵されているのを私は発掘してしまった・・・というだけの話なんです。

 実際に武道・武術を学んでいるほとんどの人達が気づかないままであった上達の秘訣を私は解けちゃったんですよ。

“ゴルディアスの結び目”みたいなもんです。

 交叉法・読み・脱力・骨盤主導・・・といった要素を長年探究してきて、「あれっ? もしかして、こういうこと?」って直感したことが、真実であったということでしょう。

 そうでなければ、人間がこんなに短期間に変身していける筈がありませんよ。

 長かったような短かったような・・・いや、多分、短かったんだろうな~?と思う。

 武術の数百年、数千年の発展の歴史の鍵を十数年で解けてしまった訳ですからね。

 あれっ? 何か、今、自分で書いてて「俺ってば、超天才じゃ~ん?」って思っちゃいましたよ・・・(苦笑)。

 あっ、だけど、これってコロンブスの卵みたいなもんで、解ってしまうと、「な~んだ? その程度のことか?」って話です。

 事実、私は十数年かかってますが、私が教えている人は1~2年、人によっては数ケ月でガラッと変わってしまっています。変わらない人もいますが、それは原理が解ってないだけ。きちんと解ると、瞬間的にガラッと変わってしまいます。

 そして、上達スピードに加速度がつくようになります。

 謙遜でも何でもなく、私のできることなんて、大抵の人が真面目に数年練習すれば体得できちゃうんですよ。もっとも、一般的な武道や武術で言われていることとは逆のことをやらせたりするんで、経験者の方が苦労してますが・・・。

・・・ってぇことは、これまで成果が上がらずに悩んでいた人達も、一挙に何段階も上達してしまえるって景気のいい話なんです。


 どんどん混迷を深めて不安に押し潰されそうになっている世の中で、最終的に頼れるのは自分だけ! そのために一番、役立つ訓練システムになり得るんじゃないか?と、私は武術に対して、これまで自分が考えていた以上の可能性を感じています。

 もう現実逃避の誇大妄想狂の脳内パラダイスではなく、現実に武術を体得することで自信を持って堂々と生きて、不敵に笑って死んでいける生き方ができる人間になれるんですよ。

 かつて、“闘争”を標榜していた全共闘世代の革命の夢が潰えたのは何故か?

 彼らは人間を“弱い存在”だと考えて、集合して共闘することで世の中は変わると考えていたのが間違いだったと私は思います。

 私は烏合の集団というのが一番、嫌い!

 弱さを言い訳にする人間には吐き気がする!

 個人個人が強くなることで世の中は本当に成熟していけると思います。

 だって、弱い人間は人を救うことなんかやろうとしないでしょう?

 いじめを見て見ぬフリをするのは何故でしょう?

“弱い”から、救おうとしないんですよ。救う力が無いから、やるだけ無駄だし、力も無いのに救いに出ていったら、今度は自分がいじめのターゲットになっちゃうじゃないか?という恐怖心があるからですよ。

 自己憐憫は自己の弱さを自覚しているから出てくるんですよ。

 人をいじめる人間だって、自分が弱いから、より弱い人間をいじめることで自分を慰めている訳ですよ。

 子供を虐待する親なんかも心の病気だの何だのと理由付けする以前に、単に弱いから自分を制御できない。

 弱さを正当化して慰安する社会の風潮が、様々な悪を野放図に広げてしまったんじゃないですか?

 昔の日本人って、心の弱さを許さないところがあったでしょう? でも、今は弱さを優しさと勘違いして甘々にしていっている・・・そこに問題があると思います。

 だけど、極端に厳しくしたってダメですね。これは本当に難しいですよ。


 何か、今回は嬉しさ半分、同時に責任を感じさせられましたね。

 やっぱり、今の世の中って、下手したらマジで世界を終わらせてしまえる時代ですからね~? そんな時代に生き合わせた人間には、凄い責任が伴っているんだと思います。

 もう、弱い人間を前提に世の中を考えるのではなくて、強くなることと、強くなったら弱い人を救うのが当然のことだという考え方で、社会システムから先に考えるのではない個人の成熟によって社会が変わっていく教育システムが創り出していく世界を目指す時代になったんじゃないか?と私は思っています。

 そのために武術が役立てられたらいいな~と思います。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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