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刀バカ一代

 忙しくて後回しにしていた依頼品の日子流仕様の脇差の拵え製作ですが、前金貰っているので、さっさと作らないといけないと思いまして、問屋さんに部品を注文し、届いた日から製作に着手しました。

 何でも先々週の金曜日に日子流の出版記念パーティーがあったそうなんですが、私は呼ばれてないので青木宏之先生と大刀剣市でお会いした時に聞きましたよ。

 あっ、でも誤解しないでくださいね?

 田中光四郎先生は、パーティーの席で私が会いたくない人もいるので配慮してくださっているらしく、決して仁義を外されたという訳ではないんです。光四郎先生は仁義に篤い方ですからね。

 人間、相性もありますからね。特に、私の場合は、「好きは大好き、嫌いは大嫌い」という極端な性格なので、嫌いな人とは顔も合わせたくないし声も聞きたくありません。

 会社勤めできない理由の一つもコレかな~?

 お目出度い席で不快な思いをするのは相手も含めてお互いに良くないですよ。だから、声をかけられても私は御遠慮したでしょうね。

 でも、青木先生は何人もの人から「長野さんも来ていると思ったのに、何で来てないんですかね?」と聞かれたそうで、何か申し訳ないですね。

 こういうことは結構、多いんで、武道武術関係の集まりには私は顔を出さないように最近は注意していますよ。何しろ、私はかなり我慢強い性格だとは思うんですが、同時に超
短気なんで、怒った時は完全に激怒しちゃって性格がガラッと変わってしまうんで、どうも、普段と違い過ぎて不気味に思われちゃうみたいです。


 おっと、また、話が逸れてしまった。

・・・日子流は田中光四郎先生が興した新興の流派ですが、特に小太刀術を技法の根幹に置いています。

 小太刀と言えば、通常は片手で持って半身に構えるのが基本なんですが、光四郎先生は両手で構えられるように大刀の柄と同じ長さの“八寸柄”を提唱されています。

 刀身の刃渡りは一尺四寸~七寸くらいの“中脇差”を標準にされているそうです。

 その意味でも今回の依頼の脇差はピッタリ!

 しかし、脇差として製作された刀の茎(中心・なかご)は、かなり短いものですから、柄材で一般的な朴の木で普通に作ると、柄の半分か六割くらいまでしかないでしょう。

 これで普通に作って試し斬りしたり実戦で打ち合ったりすれば、柄が折れる危険性があります。プロに頼んでも柄折れ防止を考えて作ってくれる人はいないと思いますね。

 そこを考えて、補強しておかなくてはいけない。

 取り敢えず、白柄を外して真鍮の切羽と鉄鐔を装着してみましたが、途中で止まってしまいました。

 まあ、ちょっと観察して脇差にしてはかなり身幅が広いので、「だろうな~?」と見当をつけていたので、夜中に細工用のヤスリを使ってゴシゴシと切羽二枚と鉄鐔の穴を広げる作業をやりました・・・。

 切羽は真鍮なんで軟らかく、大して苦労しないんですが、選んだ鉄鐔がえらい硬くてシンドかったですね~?

 同じ鉄でも軟鉄もあれば硬い鉄もある。ヤスリ掛け作業するとよく判ります。

 万力に固定して全身の力を使ってザリザリやれば時間かからないんですが、深夜にそんなことやってたら近所迷惑になりますから、手に持ったままゴシゴシと地道に穴を広げては茎に嵌めて、またゴシゴシ・・・というのを十数回繰り返したでしょうか?

 毎度思うのは、この作業が一番、疲れるんですよね~。

 ヤスリで削る加工というのは外側をやる分にはそうでもないんですが、小さい穴を広げるのに細工用の小さいヤスリでやるというのが手間がかかるんですよ。

 木材を削るのはカンナやヤスリでサクサク削れるので、まだ楽だし、カンナで削った時にシュルシュルと削りカスが出来るのは楽しいくらいなんですが、金属をヤスリで地道に削っていくというのは、もう~大変です。

 それに削り跡が鋭くなって、うっかり指先を切ったりすることもありますから、ゴシゴシやった後に角度を変えて削り跡を丸める必要があります。

 できたらミニ・グラインダーでギューンッと手早くやりたいんですが、アパートだと騒音で御近所に迷惑かかりますから、これを使うのは昼間にごく短い時間だけと決めていますよ。

 そういう問題もあるんで道場付きの一件屋に住みたいんですが・・・。


 何度も何度もヤスリでゴシゴシやって、鐔も何とか、茎に嵌まりましたが、「もうちょいで嵌まる」というところまで来ると、ハンマーでカンカンカンと軽く打って押し込みます。

 が、これも盛大にやったら御近所から苦情がくるので、ごくごく軽く間隔をあけて打ち込みましたよ。

 都会暮らしはこういう時が面倒ですよね~。田舎だと考えたこともなかった。よく庭で工作したもんです・・・。

 やっと終わって腕がダルクなって腰も痛くなったので、本日の作業はここまでにして寝ます! お休みなさい・・・。GUOOO・・・
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 お早うございますっ!

 話は変わりますが、一年に一度の刀バカの祭典“大刀剣市”ですが、今年は急ぎ足でバア~ッと見て回りました。

 今年は安い刀よりも、逆に何千万円もするような超高級品の鎌倉時代以前の古刀なんかを出してるお店が多かったような気がしますね~。

 新作刀部門では、松葉国正さんの大太刀も飾られていて、私も早く全額支払って引き取ってきたいな~と思いつつ、青木先生から小宮四郎国安の交換で頂戴した試し斬り専用の松葉さんの刀を既に持っている訳ですから、何かちょっと誇らしい気がしましたよ。

 毎年、招待して戴いた霜剣堂さんで安~い短刀とかあったら買おうかな~?と思っていたんですが、何とも珍しい刀がありました。

 写真以外の実物を見たことがなかったんですが、伝説の神剣“小烏丸”に似せて造った“小烏丸造り?の刀”があったんですよ!

 変わり者の私は、変わった姿形の刀が好きなので、将来、経済的に余裕ができたら小烏丸造りの刀を注文して打ってもらおうかな~?と思っていたんですが・・・まさか、実物にお目にかかれるとは?

 そして、何と! 驚くべきことに、この刀。たったの12万円の値札がついているではありませんか?

 脇差じゃありませんよ? 二尺二寸の大刀の寸法なんですよ?

 何で、こんなに安いのか?と不思議な感じがしましたが、どうも、最初からこの形で造られたものじゃなく、峯を削って小烏丸造り風に仕立て直した刀らしい・・・。

 薙刀直しの脇差とかなら、たま~にありますが、普通の刀を小烏丸造りに改造するとは、何を考えていたんでしょうかね?

 ちなみに、この“小烏丸造り”というのは、先端が両刃の剣の形になっている、剣から刀ができる過渡期に造られた形だとされていて、儀礼的なもので実用を考えた刀じゃないと思われています。

 類似のものは、直刀の先っちょが両刃の剣になっているものなんかもありますが、深く反りの入った小烏丸は、日本刀の特徴をよく有しています。

 以前、角川春樹さんのインタビュー記事を雑誌で読んだ時だったか?で、角川さんが自分で打った刀を持っている写真が載っていて、その刀が小烏丸造りでしたね~。

「神道に傾倒している角川さんらしいな~」と思った記憶があって、それでよく覚えていたんです。

 しかし、この形は武器として考えた場合、要するに剣と刀の両方の特性を持っている訳なので、実はかなり実戦的に使えるのではないか?と私は考えています。

 備前物の短刀に両刃の剣型のものが時々ありますが、両刃のダガーナイフの形状は実戦の時に威力を発揮するんですね。片刃で湾曲があるのが日本刀というイメージからすると異端ですし、生活用のナイフとしてはあまり使えない両刃の剣型を、何故、造るのか?

 だから、研究用に入手したかったんですよ。私は飾り物をコレクションする趣味はないので・・・。

 12万の持ち合わせが無かったので、手付け金で2万円払って、来月、残額を払って取りに行くように交渉して帰りました。

 何でも、最初は20万で売っていたものを売れないから18万に下げていたそうで、それでも売れないから大刀剣市というお祭りだから、一気に大幅値下げしたんだそうですね~?

 それにしても、こんな面白い刀が、何で売れ残っていたのか不思議です。私だったら20万でも買ってます。

 コレクション用には変な形で不格好だから普通の日本刀愛好家は興味を示さないかも知れないし、かといって、これは居合道なんかには使えないしな~?・・・と、皆、二の足踏んだのかもしれないな~?

 まあ、普通の日本刀愛好家はブランドで買うからな~? もし、この刀を吉原義人さんが打っていて1000万円くらいの値だったら、喜んで買う人も居るかもしれませんが。

 私みたいに武器としての機能性を考えて買うのは、はっきし言って、ヤクザくらいだろうしな~(苦笑)?

 とか考えて一夜明けた朝、青木宏之先生からお電話を戴きましたら・・・(以下、次の機会にて書きます・・・)。


 刀剣市の翌日には、行きつけの横浜名刀会へ支払いに行ってきました。

 超多忙ですっかり行くのを忘れてしまっていて、社長さんが私が仕事無くなって大変な事態になってるんじゃないか?と心配して電話してくださったので、「あっ、しまった。忘れてたっ!」と思い出して行ったんですよ。

 それで溜まってたツケをいつもより多い目に払いまして、一振り分は全額終了。で、以前から気になっていた隠し武器の脇差?を見せてもらいまして、まけて貰えたのでこれも買いました。例によって分割払いですが・・・。

 この脇差? 実は脇差の外装なんだけど柄の部分が鞘になっている“隠し槍”なんですね?
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 必殺仕事人で中村主水が時々使っていたアレですよ。“アレ”・・・。

 武芸考証家の名和弓雄さんの著書によると、この脇差偽装の隠し槍って、非常に珍しい物らしくて、名和さんも持っておらず、知人のコレクターに見せてもらったのが唯一なんだとか?

 まさか、それと同じ物じゃないでしょうが、新しく作られた物でもないみたいなんですよ。結構、古そうです。鐔無しの呑口拵えの小さ刀仕様で、小柄櫃に小柄小刀も入っていますが、目貫と柄糸は無くなっていて頭金具の柄糸を通す穴は塞いであります。外装も結構古いみたいで金具も錆びていますが金象眼が入っていて、割りと凝っていますね。

 まあ、江戸時代だとすれば初期の頃だろうと思いますが、この寸法で護身用に槍が付いていても意味がないし、普通に刀になっている方がいいでしょうからね~? どう考えてもシャレで作られたか? あるいは本当に騙し討ちの暗殺用くらいしか使い道が無いですよね~?

 でも、名和さんが超貴重と言うんだから、開運なんでも鑑定団に出したら凄い値がつくかも?

 それと、試し斬りのできる仕込み杖の相談もしたら、ちょっと長いけど、凄く良さげな直刀を見せてもらいました。

 二尺四寸近くあるので片手逆手斬りには些か長過ぎるか?とは思ったんですが、あんまり重くないからいいかも? 江戸時代初期の頃の刀らしいですが、この時期は虎徹みたいに反りの浅い刀が流行っていたみたいなんで、この刀みたいに無反りのものも作られたみたいですね?

 一般の仕込み杖用の刀だと脇差の寸法で刀身が華奢過ぎるんで、試し斬りで硬い竹とか斬ったらポキッて折れてしまいそうな不安があったんですが、この刀なら大丈夫そう。

 柄は作り直さないといけませんが、目釘穴も四つくらいあったんで試し斬りとか相当使われたのかもしれませんね? それだけ拵えを何回も作り直したということだから。

 鞘は頑丈そうでしたから、小尻か石突きを装着して栗形を取って塗り直せば、そのまま使えそうです。

 結構長いけど、刀身は頑丈そうだから、これがベストかもしれませんね・・・。

 流石に刀コレクションが多過ぎて置き場所に困ってきたので、人にプレゼントしたりしていたんですが、元に戻っちゃいました!

 てへへっ・・・。

 私、本物の武器恋愛症かも~?

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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