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格闘技に活かせない武術

 11月の月例セミナーは、『格闘技に活かす武術』というテーマだったんで、最初はパンチを意拳式にするとか蹴りの発勁とかやろうかな~?と思っていたんですけど、最近、ちょっといろいろと心境が変化してきてですね~。

 もう別に格闘技とか「別の分野に応用できます」ってことを打ち出す必要は無いんじゃないかな~?と思うようになってしまいまして、ほとんど“格闘技の技を破るやり方の講習”になりました・・・。

 私は「流派に優劣は無い」と考えていますが、歴然として個人の優劣というものはある訳です。

 そして、武道や格闘技をやっている人達に共通する揺るぎない観念というのは、「強い方が勝つ!」というものです。

 でも、この観念はただの思い込みに過ぎません。

 まず、何をもって“強い”と評するか?という問題を誰もが真剣に考えていません。

 単純に強さを比較検討するなら、素手の技か武器術かで全然違うことになりますし、武器術は武器の性能で強さの数値がどんどん変わってしまいます。

 例えば、刀ひとつ検討しても、一振り一振り、性能は違う訳ですし、使う者の技量でも大きく変化していきます。

 また、ナイフよりは日本刀が、日本刀よりはピストルが、ピストルよりはライフルが、ライフルよりはマシンガンが、マシンガンよりは化学兵器が・・・といった具合に、強さの数値がどんどん変化していく訳です。

「そんな現実味の無い話を持ち出すのはおかしい」と言う人も居るでしょうが、昔の武術家はこういうことを当たり前に考えていたんです。

 剣術に、小太刀や大太刀、居合に手裏剣、薙刀、槍、鎖鎌、弓と一通りの武器術を修練した上で、棒術や柔術という日常護身術もやる・・・。

 それでも極意秘伝としては毒薬の調合法だの密教呪術や占術なんかもあるし、化学兵器やオカルトの力まで借りようとする・・・。

 無論、銃砲の扱い方も武術には含まれていたんですし、馬術や泳法もある。

 これらは何のために修練するか?といったら、サバイバルであり兵法なんですね。

 それが彼らにとっての現実への備えだった訳です。

 翻って、今日現在、競技スポーツとして確立した現代武道や格闘技には、このような武術的思考は絶滅しかかっています。

 でも、20年か30年前だったら、昔気質の武道家の常識として、そういうサバイバルの心得は伝わっていた訳です。

 素手の武道が専門であってもヌンチャクやトンファー、棒、そして日本刀の操法は研究していた訳ですが、それは敵が複数であったり、武器で襲われた時の対処法を研究する意味で、必ずやっていたのですね。

 それらの研究成果が技としては伝えられないけれども、咄嗟の時の非常手段として有効な知識や対応法が“心得”として伝えられていた訳です。

 私もそうやって研究してきた訳で、武器の研究が素手の技を伸ばすことに繋がってきたんです。典型例としては、切り落としから考えたのが游心流の差し手技法群ですね。

 これらは他流の弱点を研究する方向へとシフトしていきましたが、あんまり大っぴらに公開すると反感買うから隠してきたんですけどね。だから、いわゆる“秘伝”なんです。

 それでも、セミナーの受講生にはサービスしたかったんで、「うん、やっぱ、今回はコレにしよう」と思ったのが、武道や格闘技の技の破り方。参加した人は得ですよ?

 これは技というより戦術ですね。いや、発想の転換かな~?

 パンチの封じ方、キックの封じ方、タックルの対処法、寝技(固め技)の破り方、マウントポジションの破り方、首相撲の破り方・・・。

 こうして書くと、凄く使える技?のような気がするでしょうけれど、でも、試合では使えないですね。全部、反則だから・・・。

 教えてしまうと、「な~んだ」で終わってしまうんですが、やられてみないと考えつかない。「そんなやり方があったのか?」と、誰もが思うでしょう。

 こういうのは武道の裏技として護身用に伝えられたりしていたんですが、次第に忘れ去られていったものです。

 これは鍛練しなければ体得できない技ではなく、知っていたら素人でもできる術です。

 つまり、急所を効果的に攻めるやり方なんですよ。

 基本的にはすべて私が実際に使用して効果を確認したものを集成していったものなんですが、護身術として考えていったものの中で、特に「武道や格闘技の心得のある厄介な乱暴者を撃退する」というテーマで特に研究してきたものです。

 どうして、こういう研究したのか?と申しますと、私、道場破りや腕試しの類いに結構狙われてしまうので、必要性が高かったんですよ。

 やっぱり、一派を構えている以上、恥ずかしい負け方したらマズイじゃないですか?

 弟子が逃げて、本が売れなくなって、セミナーが閑古鳥鳴いてます・・・ってなったら、切腹しなきゃいけなくなるかもしれないでしょう?

 武術業界で文字通りのサバイバルしていくために、絶対他流に負けられないという切実な事情がある訳ですよ。

 だから、特にここ数年は徹底的に他流の戦闘スタイルを分析して、技術構造の裏をかいて戦闘力を発揮できないようにする“破法”の研究を密かに進めてきた訳ですよ。

 ただね~。研究は最終段階にまで到達したな~?という感触があるんですが、「これはエグ過ぎて人格疑われるだろうな~」という点に、はたと気づきまして、あんまり大っぴらにやらないように注意してきた訳です。

 何しろ、ただ勝つということだけに限れば、「ズブの素人が簡単に武道や格闘技の熟練者を瞬殺できる禁断の掟破り術」なので、真面目に修行に取り組んできた人達が、心の底からイヤ~な気持ちになること確実なのです。

 そういえば、暴走族上がりとかヤンキー上がりの人にやって見せたらビビリまくってました。

「残忍過ぎて戦いの美学が無い。家畜を屠殺して解体してるみたいで人間相手に使う技じゃない!」と窘められたこともあります。

「フゥ~ン・・・戦いの美学って、オラ、よくわかんねぇ~な~? 武術なんだから勝てなきゃ意味ねぇべ? カッコつけて負けてたらしょうがなかっぺ?」と、うそぶいてたりもしたんですが、まあ、少なくとも感動する人はいないでしょうね?

・・・という訳ですので、今回は内容については、ヒ・ミ・ツ・・・(苦笑)。


 けれども、“強さ”に対する考え方を根本から覆す切っ掛けになれば、それが一番、重要なことですからね。

 セミナーが終わった後で、喫茶店で参加者と話していた時に聞いたんですが、深夜番組で実戦合気道を標榜する人が出ていたけれども、アイドルに隙をつかれてピコピコハンマーで打たれてしまってカックン・・・みたいな展開だったそうでした。

 私がそういう条件で出演してたらどうしたかな~?と思いましたが、最初にアイドルのピコピコハンマー取り上げてしまいますね。

 無論、そういうことすると番組の企画が崩れてしまいますが、四六時中神経を張り詰めて隙をつかれないようにする・・・なんて、現実的に考えれば不可能なの判り切ってますからね。

 でも、攻撃してくる相手が判ってるんだったら、こっちから先手を取るのは戦術の基礎ですよ。

 みんな、技ばっかり求めて戦術について考えないからな~。

PS;依頼品の日子流仕様の脇差の外装ができあがりました! どうです? なかなかでしょう? 鮫はブラウンで黒革の柄巻に逆目貫(左右目貫の置く位置を逆にしたもので柳生連也斎が好んだ)。目釘は二つで柄木下部には鉄板三枚埋め込んで針金巻いて強化してますから頑丈ですよ~。鞘は鯉口部分5cmくらいに針金巻いて鞘割れで怪我しないようにし、余った鮫を貼って隠し、後はシンプルに黒漆仕上げにしました。が、一度に厚く塗り過ぎたのでムラが出てしまったので、もう一回、表面を均してから塗り直そうか?と思ってます。柄がカッコ良くできたから、鞘も丁寧に仕上げないと釣り合いがとれませんからね?
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PS2;東京同好会の場所が固まってきたそうなんで、20日の稽古は私も行きます。会員とセミナー受講生は参加できますので、お時間のある方は是非、どうぞ! 



※事務連絡

2013年月例セミナー スケジュール公開しています。
半額割引(通常全回参加で120,000円が半額60,000円)の先行一括申し込み受付中!2012年12月10日まで(単発・一回毎の申し込みは期限はございません。)


2012年12月セミナー参加申し込み受付中
年内最後のセミナーは、毎年恒例、最後の1時間を使っての質問タイム兼忘年会となります。
会員は参加申し込み不要です。おつまみ、飲み物等できればご持参ください。(ゴミはお持ち帰りください)
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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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