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橋下さんの教育改革の賛否

 恐らく、「長野さんは橋下さんの教育改革についての論にはファシズム的だとして批判するんだろうな~?」と思う方が多いと思います。

 何しろ、私は橋下さんがあんまり好きじゃないし、政治家としての能力にも期待していません。「権力持たせたら危ないタイプじゃないか?」と思っています。

 しかし、今回の体罰を苦にして自殺した生徒に関する橋下さんの対応に関しては、私は賛成とも反対とも簡単には言えません。

 概ねの批判論者の言うようなファシズム的な過剰な強引さには反感を感じるのも事実ですが、かと言って、橋下さんが何故、この問題を捨てておかずにトンデモない手法で強引に自論を強制しているか?という点にも理解できる面があるからです。

 批判論が多いようですから、共感する意味について書いてみます。

 今回の体罰による自殺に至った事件は、周囲の無関心による放置によって起こった事件なのは自明のことです。

 体育会系の厳しい指導でビンタを張った・・・というのは、日頃はそんなことをしない先生が、特別にやるから生徒の心に響くのであって、日常的にやっていたら単なる暴力でしかありません。

 だから、自殺した訳でしょう?

 私も長年、武術を指導している人間ですから、叩いたりすることもあります。が、怪我しないようにとか、後遺症が出ないように・・・と、かなり注意して叩きますし、むしろ、叱責した時に叩いたことは一度も無いんですよ。

 何でか?というと、叱責する時に叩いても気持ちが伝わらないと感じるからです。

 自惚れて勘違いしている人間に「お前の実力はこの程度なんだよ~?」という気持ちでちょっとマジ突き入れてやったこともありますが、やっぱり、反省しないんですよ。徹底的に論理で納得させないといけないと思うようになりました。

 で、話しても通じなければ、辞めてもらう。信頼関係が崩れてしまったら武術の教授は不可能ですよ。何しろ、素手で簡単に人を殺せる技術を伝授する訳ですから・・・。

 これはもちろん、辞める側にも同じことで、私を信用できないと思えば、辞めて戴くのが最善でしょう。だから、辞めたいと言う人を止めたことは二回しかありません。

 体罰の是非を言うなら、私自身、ぶっ叩かれて反省した記憶は無いですね~。恨みに思ったこともありませんが、一所懸命、言葉で叱責して戴いた時は、「あ~、本当に俺が悪かった。俺が間違っていた!」と反省できましたよ。やっぱり、言葉で伝えて互いが納得いくようにするのが本筋でしょう。

 昔、ある先生に「俺はこんなこと言いたくないんだよ」と言われて、「あ~、申し訳なかった」と思ったことがありましたが、間接的に「あの先生はこんな風に言っていた」と聞かされた時は、本当にゲンナリしました。直接、言うだけの信用も無くなったんだな~と思った訳です。

 私は間接的に陰口叩くのは自己嫌悪に陥るので、言いたいことがあったら直接言うように心掛けています。それはつまり、相手を信用しているからできる訳で、信用できない人に対しては、むしろ、何も言いません。聞く耳のない人に言うだけ無駄でしょう?

 今回の体罰自殺事件に関して、橋下さんが「自分も多少の体罰は必要なんじゃないかと思ってましたが認識不足でした」みたいに言う気持ちと、「あんな状況を野放しにしていることは異常だ。人が死んでるのに自分のことしか考えないのか?」といった憤る気持ちは、よく解る気がします。

「入試は人生で一回しかないのに・・・」「自分の夢を奪わないで・・・」といった受験生の意見には、まあ、目前のことしか見えないから仕方がないかも知れませんが、「もし体罰を容認するような学校に貴方が入って、自殺した子と同じ目にあったらどうするんですか?」と言いたいですね。

 自分の親兄弟、子供、親友、恋人、連れ合いが理不尽な暴力やイジメを受けて自殺してしまった場合、どうしますか?

 私だったら、相手のところに直談判に行って謝罪させます。謝罪しなかったら殺してしまうかもしれません。

 日常的な傷害事件を体罰是非論で語ることがそもそもの間違いだし、それを容認するような風潮の学校ではダメでしょう? 「そんなの自分には関係ない」みたいな考え方をするのでは同じことが繰り返されるだけ。橋下さんはそこを何とかしなくちゃいけないと考えたのなら、偉いと思いますよ。

 体罰じゃありませんでしたが、私の中学時代は校内暴力がそれはひどいものでした。

 でも、恐らく先生方も悩んで、何とかしようと頑張っておられたと思うんですね。容認していた訳じゃない。だから、イジメられる側だった私も「こんな連中に負けちゃいかん」と思えたんじゃないかな~?と、今になって思うんですよ。

 あるいは、イジメている側の者にも世の中の偽善や欺瞞に対する軽蔑の感情があって、暴力をふるうことに対する相手の出方を試しているようなフシもありました。ヤンキーは案外、過剰な正義感持っていたりしますからね。ヤクザになっちゃう人間には社会の偽善欺瞞に馴染めない人間もいるんですよ。


 思うに、この事件で自殺した生徒の場合、先生に暴力受けていたんだから、相談できる人がいないじゃないですか?

 誰も助けてくれない。確かに異常な環境としか言えないでしょう?

 橋下さんが自分の人気がガタ落ちするのも構わずに、自論を強硬に主張し、力ずくで教育委員会を動かしたのも、そこを慮ってだとしたら、やり方は適切とは言えないでしょうが、その偽悪的な心意気には共感を覚えるのです。

 例えば、「入試が人生に一度だけしかない」なんて言う女の子は、「10代で人生悟ったような言葉を吐くんじゃねえ! そんなの百回でも二百回でもできるよ」って叱ってやりたいですよ。自殺せざるを得なかった生徒の葬式で同じこと言えるのか?って話。

 私は二浪して大学行って、しかも中退したし、不登校で苦しんでいる中から何とか頑張って高卒資格取った人間もいっぱい見てきています。

 学ぶことの楽しさを知ったのは学校に通っていた頃じゃ~ないし、今の仕事に役立っていることは、ほぼ社会に出てから独習した知識と技術ばっかりですよ。

 そういう生き方だってできるんだから、たかが入試ぐらいに「人生に一度しかない」とか大仰なこと言ってんじゃない!って話ですよ。

 自殺した子は人生無くしてしまったんです。そこまで追い詰められているのに誰も救いの手を差し伸べられなかった。

 その子の親は大切な息子に良かれと信じて、体罰受けて苦しんでいる息子を救えなかった無力感を抱えて、一生、後悔して生きていかなくちゃならないんです。

 もし、今回の橋下さんがやったような、根本から改める対策を取らないままだったら、「実績がある人だから・・・」という理由で、この体罰教師を何のお咎めもないまま現状維持させてしまうんじゃないでしょうか?

 それは、そういう状況を放置し続けた学校全体の体質に問題がある訳ですからね。

 まして、自殺事件なんか他人事と平然とうそぶき、そういう体質をすら「現実なんて、そんなもんでしょう?」みたいな妙に冷めた意見でスルーしてしまう、自分のことしか考えない生徒や親達がいる以上、同様の事件は繰り返される可能性が続きます。

 実際、その学校の教師にインタビューしたニュース番組を見ましたが、およそ問題意識は皆無。本来なら、教師の間で「生徒が安心して通える学校にしていこう!」という意見が出て体質改善していかなきゃ嘘でしょう?

 自殺した子は、そういう心の無い環境に対する抗議の気持ちもあったと思うんです。

 どうも・・・現代日本は人間関係に相手に対する思いやりの気持ちが欠けているように思えてなりません。自分の得か損かしか考えない。

 そういうことの象徴なんじゃないかな~?という気すらするんですよ。

 妙に冷めてる。自分のことしか考えない。そのくせ、寂しがり屋で始終、メールで誰かと繋がりたがる・・・。

 何か、そんな風になってる人が多過ぎるんじゃないかな~?

 でも、日本人のDNAには合わないと思うんですよ。そういうスカした態度は・・・。

 こういう風に思うのは、私が尊敬できる指導者に何人も会ってるからでしょうね。

 例えば、秋本つばささん。生徒さん達に対する愛情の深さと対人関係に於ける距離感とか本当に尊敬できる人です。やっぱり、ただ技術を教えればいいってもんじゃないですよね。

 それから、高瀬將嗣先生。技芸会や舞台公演を何度も拝見させて戴いていますが、生徒さん達の規律の正しさと和気藹々とした雰囲気は本当に素晴らしいですよ。清水の次郎長一家見てるみたい?

 武道では、礼儀は厳しく言われても、どうしても形式的になりがちで、身についてるとは言い難いところがあります。形式的な礼儀だと何か違和感を感じるんですね。

 私も、そういう点で形式的な礼儀はサークル活動ノリなんで厳しく教えたりしていませんから、会員さんのそれまでの常識の範疇での対応に任せているんですが、やっぱりまるで礼儀を知らない人間だと対外的に恥ずかしいですからね~。

 でも、これは礼儀作法をきちんと指導しなかった私の責任なんで、今後はちょっと考えていかないといかんな~と思ってます。会員も、以前より私が口うるさくなってると感じてるかもしれません・・・。

 何しろ、世間的風潮として礼儀作法を考えないようになってきているからでしょうが、習いに来ているのにタメ口きくヤツもいますからね~(苦笑)。「お前、何様のつもりだよ」って、ハラの内で叱って顔は笑って聞いてるんですがね。

 この点、武術マニアは本当に口の利き方知らないヤツが多いですよ。私は相手が年下でもその道のプロだったら「~先生」って必ず言いますけどね。

 そういえば、左翼系の考え方の強い人だと「~先生」って言うのをわざと避ける人が多いですね。言葉の使い方で、その人の思想背景が透けてくるのも面白いな~と思います。

 言葉の使い方とか、人との対応の仕方って、モロにその人の実力が顕在化します。

 喜怒哀楽が出たり、逆に無機質に隠したり、達観したように距離を保ったり、親近感を演出して取り入ろうとしたり・・・いろいろですよ。それで性格が解る。

 長年、武術の研究してきて人の心を読むのが習性になっているので、人付き合いが苦痛に感じることも多いんですが、人に期待するより自分をしっかり確立していくようにするのが、結局は対人関係も間違いなくなっていくのかな~?と思っています。

 そうすれば、相手の気持ちに立って考えることも容易になるでしょう。


 まあ、橋下さんの今回の対応は物議をかもしていますが、彼としては問題提起することで自殺した子の死を無駄にしなかった・・・という点で、弁護士らしいような気がしています。

 我々も、簡単に是非を論じる前に、物事を多角的に観て、よく考えてみるのが正しい対応じゃないかな~?と思います。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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