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4月セミナー“縮地法”感想

 今回の月例セミナーは、教材DVDと合わせて“歩法”をテーマにしています。

 歩法は、いつもその場で目に見えた効果が出る訳ではないので、技を掛け合う練習の時に、どういう技を指導しようか?と毎度、悩むところなんですが、今回は八卦掌を教えると決めていたので、割りとスムーズに進みました。

 私は、中国武術の中では八卦掌が一番好きで、次が太極拳、その次が八極拳、形意拳、白鶴拳・・・と続きますかね?

 太気拳は別格として、稽古法は意拳を研究させてもらいましたが、この稽古法に関しても、これからは八卦掌をもっと採り入れていこうかな~?と、過日、馬貴派八卦掌を見学させていただいて思いましたね。

 私が松田隆智先生に直に教わったのも宮宝田派の八卦掌でしたし、宮派は大連の武術家、黄志誠老師にも連環掌を教わりました。ま~、講座だから、ほんの少しなんですけど、時間は少なくても得るものは大きかったですね。

 他には、ほびっと村で大友映男先生に王樹金伝程派を、取材を通じて高小飛老師から王培生伝の程派・尹派・劉派を勉強させてもらいました。

 よく、「長野はちゃんと学んでいない。武術は長く修練しなければ本当には使えない。コンフーが大切なのだ!」と言う人が居るんですが、そう言ってる人のコンフー(内功)の威力を見たら、私の1/3もなくて、笑っちゃいました。

 言ってる自分が恥ずかしくないのか?

 まあね~。チンタラ・チンタラと長年修行しても本質を掴めなきゃ~武術の真の威力や絶技を駆使して戦えるようにはならないんですよ。

「20年30年、真面目に修行してきて、その程度ですか?」って言いたくなる人が大半と言っても、言い過ぎじゃないんじゃないでしょうか?

 上手とか下手とかの問題じゃなくて、「それは武術として使いものになりませんけど? オタクは自分でできてるつもりなんですか?」って聞きたくなってしまう人が少なくありません。要するに、自分のやってることの意味が分かってないんですよ。

 せめて、「テメ~のレベルくらいはきっちり認識しろ」と言いたいですね。

 どんな名人に20年も30年も習おうが、本質を掴み取れない人間は、ずぅ~っと凡庸な腕前のまま体力の衰えと同時にダメになっていくだけです。

 重要なのは、一瞬で本質を洞察して掴み取る能力であり、短時間でも圧倒的に凝縮された集中力で一発で体得する身体感覚の鋭敏さ、一瞬の勝負に全生命を賭けて悔い無し!とする超然たる精神力・・・といったものがあれば、「男子三日会わざれば刮目して相まみえよ!」みたいに大化けするのは、むしろ、当然と言えるでしょう。

 武術の種別の優劣を論じたがる馬鹿も同じことです。それぞれの良さや、「ちょっとここは欠けてるな~」という面なども含めて総合的に客観的に考えて学ばないとダメです。

「八卦掌は踊りみたいで威力に欠ける」という話も専門雑誌なんかで読んでいたんですが、例えば黄老師の発勁の凄さには驚かされましたし、歩法を駆使してドバンと打ち込む発勁の威力は凄まじいものだと思いましたね。

 これは、先日、馬貴派八卦掌の李老師の技を見ていて再認識しました。

 普通、発勁の威力を高める秘訣は震脚にある訳ですが、八卦掌は歩法による推進力を利用するので伝統空手に近いかもしれません。

 遊撃戦に適しているな~と思うのです。

 それで、ここ最近、研究室であれやこれやと研究していたものを、今回のセミナーでは指導したんです。

 一口に、歩法と言い、縮地法と言った時に、具体的な戦術として役立つのか?という疑問を持つ人もいると思ったので、今回はそれを伝えるのがテーマだったんですね。

 その一つの解答というのが、「自分から攻撃を仕掛ける」ということです。

「えっ? 何それ? 当たり前なんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、伝統的な武術の場合、自分から仕掛けるのは初心者くらいなんですね。

 交叉法にしろ読みにしろ、自分から仕掛けるのではなく、相手が仕掛けてくるのを待つのが基本なのです。

「空手に先手無し」という言葉も、礼節を説いているのではなく、戦闘理論の原理を解いている訳なんです。

 どうしてか?というと、仕掛けた瞬間に隙ができるからです・・・。

 武術の基本戦術は、相手に仕掛けさせておいて、隙ができたところを狙撃するカウンター攻撃なんです。

 しかし、いかなる高等戦術も手の内がバレていたら、そうは通用するものではありませんね?

 昔、ライターやってた頃に「とにかく発勁の威力がハンパない」と友人から聞いて高小飛先生を取材した時、漫画のようにふっ飛ばされた同僚の姿を見て、(これはヤバイ。こっちから攻めたら倍返しになるな・・・)とお利口な私は推手で一切、力を込めませんでした。

 お陰で飛ばされず、高先生からもえらく評価していただきました。聞けば、実戦的とされる流派の人がほとんど道場破り気分でやってきては高先生のスーパー発勁を食らって宙に舞うのがいつものことだったのだとか・・・? それで、「高先生と互角に推手した唯一の男」になった訳・・・。

 でも、これは技術の構造が読めたから、とっさに対策講じただけで、実力でも何でもない訳ですよ。

 それに、先にふっ飛ばされた同僚も、ちょいマゾっ気があるのか? 取材先の先生に痛い目に合わされてる時の嬉しそうな顔・・・。ひょっとすると、わざと技を受けてみたかったのかもね?

 こういうレベルの対戦以前の手合わせは随分とやりました。勝負じゃないから、私もわざと受けてみる場合もありますし、相手が偉そうにするのでムカついて技を封じたり反撃したこともありました。

 ガチンコで戦ったことはほとんど無いですね。組手や試合は、別に武術の技使った訳じゃないし・・・というか、武術の技って、実際にマジで使うと相手に致命傷与えてしまうのが判るから、ちょっと怖くて使えないんですよ。

 本当に体験したら判りますよ。こんなのマジでやったら死にますって・・・いや、本当に・・・。

 私は親しい人にもほとんど自分から技やって見せたりしませんし、武道関係の方だと尚更、見せませんから、正直、「長野さんは本当はどのくらいできるんだ?」と疑問を持たれたりすると思うんですね。

 いや、別に解ってもらいたいとも思ってないので、それはいいんですが、最近、居合道の高段者の方が素手の護身術を習いたがっているので・・・と、親しい武道の先生に紹介されて、その方に個人指導したんですね。

 で、「命の危険がある時には、これを知ってると動揺しないで済みますから・・・」って、寸勁を教えたんです。

 ブ厚いキックミット持たせて1/10くらいの力で打ったんですが、それでもひとたまりもなく倒れられた(安全のために後ろに布団を置いておいた)ので、非常に驚かれていました。

 次にやり方を説明して私がミット持って受けてみたんですが、流石に長年居合をされているだけあって飲み込みが良くて、一発で私も倒れましたね。

「実は~さんと、本当にそんなに簡単に人がふっ飛んだりするのかな~って話していたんですけど、本当なんですね~。これは受けてみないと絶対、信じられないでしょうね」と、相当、衝撃的だった様子でした。

 今は私もメカニズムが完全に解っているので、ちっとも不思議に思いませんし、教えれば何の経験もない女性や老人、子供でもできる技なのだと思っていますが、確かに威力という点だけ考えたら、長年鍛えた筋力パワーをも簡単に超えてしまう重心移動の力というのは、体験してみなければ信じられないでしょう。

「要するに、これは拳の先で体当たりしているのと同じなんですね。ということは、別に拳でなくても掌でも肘でも、あるいは肩や背中や腹からでも打てるんですよ。それをやるには全身を柔軟に動かせないといけないんですけど、筋力で打つ訳じゃないから女性でも老人でも一発で大の男をふっ飛ばす威力が出せますよ。・・・ただし、ふっ飛ばすのは、実はまだ安全なんです。本当に効く打ち方でやると、その場に崩れるように倒れて失神したり、その場で大丈夫でも後から身体が動かせなくなったり・・・とかするんです。だから、この技は本当に命が危険な時にだけ使ってください」とお話しました。


 私は、最近、交叉法や目付け、読みのやり方なんかも、かなり詳しく解説したりしていますが、それは親切でやっているのではありません。

 研究が進んだので公表してしまっても差し支えがないと判断しているからです。

 つまり、交叉法が通用しない相手でも破る工夫をしているから公表している訳ですし、本来、武術というものは個人レベルでどんどん進化発展させていかなければ、あっという間に通用しなくなってしまうものです。

 戦術と一口に言っても、簡単なものから複雑なものまでありますよね?

 私が交叉法を初めて知ったのは20年も前です。全体の修行年数の半分以上です。

 それから居合・剣・杖・ナイフ・手裏剣といった武器に応用し、無刀捕りに応用し、拳銃の抜き撃ちに応用し、話術に応用し、読心術に応用し・・・と、常に進化させるように研究を進めてきましたし、その過程で弱点にも気づいて、それを克服するやり方も研究してきました。

 私がいろんな技を解明して人に体得させられるのも、日々の研究の賜物であって、素質や才能の問題ではありません。

 執念と集中力、努力と向上心の成果であって、のんべんだらりと道場に通って、真面目に練習やってま~す!程度の無思考でルーチンワークの練習をやって自己満足している連中が自分のレベルで考えてもらっても理解できる道理がないでしょう。

 嘘でも何でもなく、私は型の形だけから実戦用法を洞察する能力があります。

 従って、八卦掌の用法も、誰にも習っていませんが、無尽蔵に即興で思いついてしまえます。

 うちの会の幹部クラスなら、私が嘘を言っていないのはいつも見ているので判る筈ですが、普通に武道をやってきた人達はなかなか信じてくれません。

 技の用法というものは、知っている人から習う以外に体得できないものだと思い込んでいるのです。

 無論、それが間違いとは言い切れません。

 私も相当数の技の用法は直に習ったりビデオや動画等で知って得ているからです。

 しかし、流派が違っていても、人間の身体は頭が一つに手足が二つずつ胴体にくっついているのが普通ですから、動きのパターンは似てくるものです。

 突き・蹴り・投げ・逆・絞めくらいしか体術の技は無いし、合理的になればなる程、異種の流儀でも似てくるものなのです。

 だったら、合理性から考えて技を工夫することも可能であるし、いろんな流儀に戦闘のコツを伝える言葉がありますから、それに従っていけば技は勝手に派生してくる。

 そう考えて、空手や太極拳の動きを「無駄に動いているのではなく、必ず意味がある筈だ」と信じて分析していった訳です。

 やっぱり思った通りでした。

 一見して妙チキリンに見える動作も、実際には奇想天外な合理性で工夫された実戦用法になっているんですね?

 それこそ蛇拳でも酔拳でも蟷螂拳でも、実に驚くべき合理性で必殺技を伝えているのです。

 本当に、私はもう面白くって仕方が無い!

 こんな面白いものを、何ゆえに、あんな面白くも何ともない練習の仕方で役に立たないように教えているのか?と、いつも思うのです。

 ただ、この面白さは男限定なのかもしれませんね? 女性で面白がる人は少ないです。

 マニアック過ぎるように感じるのかもしれませんが、実際は、これほど女性向きの護身術はそうそうないと思うのですが・・・(教材DVD歩法1を見てもらえば納得されるでしょう。経験0の女性がその場で必殺0インチパンチを体得してしまっているので)。

 武術は筋力の完全否定から・・・とは、黒田鉄山先生の教えですが、私も同感です。

 筋力に頼る技は武術の進化を止めてしまうだけです。

 何故なら、筋力を駆使しようとすれば、身体内部に居着きを生じるからであり、そこが弱点になるからです。

 無論、キングコングのような筋力がある人は、それを駆使して戦えばいいでしょう。

 しかし、小柄な日本人がそれをやってもタカが知れています。むしろ、力に力で対抗して押し潰されるのがオチでしょう。

 日本人の英知は、ヤワラ術を生み出したところにあります。

 やわらかく相手の力に抵抗しない“柳に雪折れ無し”の術理で対する戦闘術。

 これは中国内家拳とも同じですね。

 さて、その内家拳中でも歩法に特化した八卦掌は、先手で攻める戦法も有しています。

 それは、過日の馬貴派八卦掌を見ていて気づきました。

 馬貴派は尹派の流れを汲んでいます。

 尹派といえば、掌型は牛舌掌・・・。四指をくっつけて真っすぐ伸ばす掌型。

 広く市井に普及した程派は龍爪掌・・・。龍が玉を握っている形の掌型。


 この掌型から戦闘法を読み解くと、程派は合気道のような投げを多用し、尹派は貫手で攻めていく筈・・・。

 牛舌掌という名前にもヒントがありますね?

 何故、牛の舌なのか?

 これは形意拳の拳が口元から導く点と同様に、口元からベロリと舌を出すように貫手を突き出して攻めていくことを暗示していると考えられます。

 無論、自分から攻撃したら相手も馬鹿じゃなければ受け捌こうとしますね?

 はい、ここで図らずも交叉差し手の形になります。

 内家拳の必勝パターンである手が触れた状態になる訳ですよ。

 後は随意に変化しながら相手を制圧するだけ!

 游心流的に考えれば、牽制の一打を受けさせておいて二打目で仕留める猛虎硬爬山戦法なんですよ。


 わかんない人が多いと思いますが、これ以上は説明しません。知りたくば、次回ほびっと村(21日)に来られたし!


追伸;20日にも当会USA支部長と埼玉幸手支部長による、シラット(ペンチャックシラット)やカリ(エスクリマ)、詠春拳の特別講習会をほびっと村で実施しますので、宜しく! 最近、『葉問』で詠春拳に目覚めた人や、『ザ・ライド』でシラットのエグイ技にMに目覚めた人は、是非、どうぞ。セミナー中も幸手支部長が、東京支部長と游心流体道塾を立ち上げたN師範代に詠春拳のチイサウとか教えておりました・・・。




※※※ 事務局告知 ※※※


http://infoyushin.blog.fc2.com/blog-entry-29.html


●游心流USA支部長・幸手支部長指導 カリ・シラット講習会 開催!
・4/20(土)17:30~20:30 予定 (4/20は橋本支部稽古はありません、皆さん行きましょう!)
・場所 ほびっと村 http://www.nabra.co.jp/hobbit/default.htm(リンク先に案内は出ていませんので、注意!)
・参加費 (お釣りの無いようにお願いします!)
 一般参加者 4000円
 遊心流会員 3500円
 高校生以下 3000円
☆予約不要



●ほびっと村講座 游心流武術~~『合気護身術』
2013年4月21日(日)13:00~15:00
講師/長野峻也
参加費/3000円(お釣りの無いようにお願いします!)
☆予約不要

http://www.nabra.co.jp/hobbit/yushinryu.htm
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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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