コンテントヘッダー

先日・・・

 親しくしていただいている武道の先生の御依頼で対談をやったんですが、その打ち合わせと、対談後にお食事している時に、私が武道業界の秘蔵話をバンバン喋ったら、同席されていた先生のお弟子さんがビックリ仰天した顔で、「長野先生は、本当によく知ってますね~?」と驚かれていました。

 その方も私の本やブログは読まれているそうですが、そこで話したのは文章にしていない文字通りの秘蔵話だった訳です。

 例えば、斯界で一世を風靡したような著名な武道家の虚偽の経歴とか何人も話したんですが・・・。

「ここで話しているようなこと書いたら、武道界がシッチャカメッチャカになりかねないから書けないですよ。僕なんか、知ってること何でも書いてるように思われがちなんですけど、とんでもないですよ。技に関しても文章で書いたり公開していることの十倍以上は隠してますよ」と、お話したら感心するより呆れたような表情をされてました。

 経歴の捏造というのは武道業界で何百年も昔からおこなわれてきたことであり、それは専門用語で“仮託”と言いますが、要するに流派を権威付けするために歴史上の有名人が創始者であるという粉飾をする訳ですね。

 中国武術なら、孫悟空・沙悟浄・関羽・岳飛・燕青・孫賓なんかを創始者とする門派がありますし、日本でも鑑真・最澄・坂上田村麿・藤原釜足・聖徳太子を流祖に掲げる流派があります。

 大東流合気柔術が新羅三郎源義満から始まるというのも“仮託”であって、現在の武術の研究家でマジで信じている人は発狂してない限りはいないでしょう。

 もっとも、「新羅三郎というのは新羅(シラギ)からやってきたという意味で、合気武術のルーツは朝鮮半島なのだ~!」って言ってたアホがいたような・・・?

 だから、それは作り話なんだからさ~・・・ってことです。

 それでも、事実は小説より奇なり!という場合もあったりするから面白いんですが、やっぱり、情報は裏付けが重要だし、武術は体現しているものが全てであるというハードボイルドな態度で権威を排除しないとダメなんですよね。


 何か、私の苦手な監督のウォン・カーウァイが武侠物を撮るという話を聞いたのは、香港カンフー・マニアの小塚師範代からでしたが、それが日本でも大々的に公開するというではないですか?

 香港のオシャレ系監督だからか? それともチャン・ツィイーとトニー・レオンだからか?

 ブルース・リーの師匠のイップ・マンを描いたドニーさんの作品が日本でも局地的に話題になっていましたが、香港では次々にイップ・マンを主役にした作品が量産されている様子で、かつてのウォン・フェイフォン状態?

 で、トニー・レオンがイップ・マンに扮する作品だと聞いていたんですが、『グランドマスター』というタイトルでTVでしきりと宣伝されている様子を見ると、何か、ちょっと違うな~?という一抹の不安が・・・。

 小塚師範代からの情報と、ぴあの特別編集小冊子を読むと、これは別にイップ・マンが主役という訳でもないような感じではないですか?

 ところが、どうもこれは・・・私が学んだ門派とも関係あるみたいな・・・?

 というのは、チャン・ツィイー演じる八卦掌の遣い手の父親の名前が宮宝森・・・。

 あの~、これって、宮宝田(傳)のことですよね?

 八卦門の中では尹福の後を継いで清の護衛官をやってた人です。

 ハシゴの無い家の二階で暮らしていて、軽功でピョ~ンと飛び上がったり降りたりしていたという八卦門中でも神秘的逸話の多い人です。

 私は松田隆智先生に、台湾武壇に伝わっている宮派の八母掌(八卦門の基本套路)を習いましたし、大連の武術家の黄志誠老師の講習会で、やはり宮派の二十四連環掌を教わりました。(もっとも、一回、覚えてから練習しなくなったので套路は忘れてしまったんですけど)。

 ふ~む・・・これはまた奇妙な縁だな~?と思っていると・・・。

 八極拳を遣う中国国民党の特務機関に属す暗殺者“一線天”って・・・、こ、これってば、もしかして・・・台湾武壇総帥の劉雲焦先生のことじゃ~ん!

 どっひゃあ~? 流石にたまげました・・・(詳細は『拳児』を参照くださいませ)。

 あのぅ~・・・すいません。私、実は劉雲焦系八極拳の大八極という套路を、昔、木本泰司先生に一回だけ習ったことありまして、その後は松田先生と親しくなったので、口伝の形式ですが、いろいろレクチャー受けて、それを母体にして八極拳の戦闘理論を研究してきたんですよ・・・。

 やっぱり、八極拳の総合的研究をした人物としては国内外を見回しても松田先生が随一だと思いますし、私は本当に天運に恵まれているとしか言えないですね・・・。

 いや~、この『グランドマスター』って、こわいくらい私にとって奇縁のある作品なんだな~?と思いましたね。

 詠春拳と形意拳も、ちょこちょこっとは習ってますけど、調べたらまた縁があったりするかも?

 あっ、そっか? イップ・マン系だとJKD系ってことだから、やっぱり縁がありますね?

 だって、うちの埼玉支部長とUSA支部長がそうだから・・・。

 ちなみに、二人が徹底解説した『カリ&シラット』DVDですが、一つ、付け加えておかねばなりません。

 それは、二人共、私が教えた脱力技法と読み・交叉法などを技法の内部に取り入れているので、やり方としてはカリであり、シラットであり・・・なんですが、技の効力に、いわゆる内功の力が働いていてハイブリッド化しているんですね?

 まあ、『新種誕生!』ってな感じですか?

 例えば、埼玉支部長の山田師範代は、「以前だったら大きな相手の攻撃をカリのやり方だけじゃ受け切れなかったんですが、脱力技法を遣うと簡単にできるようになってきたんです。自分が学んだフランシス・フォン先生がこうやっていたのかな~?と思えて、今は受けると同時に相手を崩して次々に技を繰り出せるようになってきました」と、言われていました。

 これは、カリの技術がどうこうという問題ではなく、個人の感覚的技能の範疇に入ることですが、一つの技が深まると、それにつられてドンドン技の体系が変わっていく(進化する)ということの証明だと思います。

 ブルース・リーがそうであったように、武術は進化し続けていくべきものだと思いますね。

 私は游心流と名乗ってはいますが、これを一流派として覇権を競うつもりはまったくなく、あくまでも武術という身体文化であり実戦哲学である分野を総合的に研究していくための実験場だと認識しています。

 だから、他流にも応用が利くし、他分野にも応用できて当然。

 ただし、あくまでも本道は、人間の自己防衛術としての最も合理的な方法論を求め続けることであり、それは戦いを直視しながら、その戦いの核となる人間の心を解放し、自由な生き方をできる“行”として、戦いを超えた人の在り方を悟っていける・・・そこまで至って、ようやく“道”に入るんじゃないですか?

 私には恐らく、一生、悟れないままの遠い道でしょうけどね~。


 話は変わりますが、日曜日の早朝に時事放談を観ていて、野中弘務さんが良いことを言ってるな~と思いました。

 以前から、私は野中さんには親近感を覚えていたんですが、それは話がどうとかじゃなくて、本当に本心から日本と国民のことを憂えているように感じたからです。

 私は知りませんが、ネット右翼ですか? 若い人達で過激なナショナリズム発言をする人達が増えているんでしょう?

 だけど、野中さんは、橋下さんの慰安婦問題発言に関して、「下劣です!」と叱責し、そんな右翼的論を吐く人達にも危機感を持っていたんでしょうね?

「戦争を知らない人達の周囲にも戦争の犠牲になった人達は必ず居るんだ。絶対に戦争はやってはいけない」と言われていて、とかく非難されがちな村山談話を高く評価されていました。

 私も同感です。戦争だけは絶対にごめんですよ。

 だって、私の伯父さんは私が生まれるずっと前の戦争中に、乗ってた潜水艦が沈められて、今でも海の底ですよ。家の仏壇の上に飾ってある古い白黒写真でしか知らない。

 太平洋戦争の時は、はっきり言って、「お前たちが国を衛る礎になるのだ!」と洗脳され暴力的に強制連行されて殺し合いをやらされた若者ばっかりですよ。

 拒否すれば「非国民めっ!」と家族まで差別されるから、人権も糞も無い。

 でも、誰が好きこのんで、人殺しなんかするのか?

 私は、生まれてこの方、殺したいと思った人は二人だけですが、でも、いくら憎くても殺せないですよ。

 そのうちの一人とは、過日、あるパーティーの帰りにばったり顔を合わせましたが、その人だって私の悪口さんざん言いまくってる(あんなインチキ野郎のDVDが出て、何で俺様のがでないんだっ!ってな調子なんでしょうね?)んだから、私を殺してやりたいくらい憎悪(嫉妬かな?)しているんじゃないですか?

 でも、私が「お疲れさまでしたっ!」と挨拶したら、嫌な顔して俯いたまま何も言ってきませんでしたよ。

 同じなんですよ。

 いくら憎悪していたって、実力行為に及べば、自分の立場が社会的にどれだけの損害を被るか?と、ほんのちょっとでも考えれば、明白じゃないですか?

 嫌いな人とは付き合わなければいいだけだし、武術の技は実際に使うとすれば自分か自分の助けたい人を助ける時か・・・まあ、そんな緊急の危機的状況だけでしょう。

 私は自衛隊なんか要らないとは申しません。もしもの時の備えとして国が必要だと思って組織し、現実に様々な災害時の活躍は論じるまでもないことなんだから、個人がどうこう言うレベルじゃありません。

 けれども、私は自分と自分の周辺の人達くらい護れるくらいでありたいし、そういう日本人を増やしたい。そのために武術をやっています。

 ただ、「自衛隊を国防軍として認めて・・・」という安倍首相の考え方には賛同できませんね。戦う意志も能力も無い人達を無理やり強制連行して殺人マシーンに改造しようってことですかね~? ショッカーですかい?

 安倍首相とか石原さんとか、アンタら実際に戦場で戦う心配ないから好き勝手に言えるでしょうが、実際に殺し合いやらされて死ぬ若者や家族のこと、考えてんのかい?

 散々、子供の頃から聞かされてきたけど、戦争を生き延びた人達がどれだけ大変な苦労をしてきたか・・・? 隣の家の小母さんが長崎で被爆していて原爆症の後遺症で突然、脳神経を病んで奇行をやるようになった時は、本当に子供心に恐ろしかったですよ。遊びに行ってジュースもらったりして優しい人だったのに、突然、意味不明のことを言って家に入って来られた時は・・・。

 昔はそんな人が結構居ました。天草は長崎にも近いから戦後に移住してきた原爆症の人が多かったんですよ。

 そういったことを真剣に考えるのなら、絶対に軍事力で護ろうなんか考えないでしょ?

 いかに戦争が起きないように他国と信頼関係を築いていくか?・・・それ以外に道は無いでしょう?

 橋下さんの問題にしろ、安倍首相の妄執のような憲法改正論にしても、野中さんが憂えているように、「いつか見た、聞いた、戦争への一本道」に思えますね。

 戦争の放棄を宣言した日本憲法。最高じゃん!

 しょっちゅう、戦争ばっかりやってる国からしたら日本はシャンバラですよ。そこに誇り持たないで、一体、どこを誇るんですか?

 日本の長い歴史の中で最も素晴らしい平和で自由で平等な時代を築いた憲法なんだから、進駐軍に強制された憲法だから・・・なんて言ってないで、アメリカは日本を世界一平和で自由な国にしてくれた!と、感謝すりゃ~いいんですよ(イヤミ?)。


PS;私が長い解説文を書いている『忍術忠臣蔵』(若桜木虔著・青松書院)という本が発刊されました。これまで公に書かなかった秘密の情報も、ついに書いてしまいましたよ~。これ書いたら、オレ、忍者に暗殺されるかも~(笑)? 面白いから買ってね(うちでも取り扱ってます)。
20130530_001.jpg 20130530_002.jpg

PS2;私が江戸時代の武器や流派、剣豪、刀工などについて解説文を書いた『時代劇ファンのための大江戸歴史講座』(晋遊舎)も、現在、発売中です! こちらも必読ですよ!(こちらはうちでは販売しておりませんので、書店やネット通販でお求めくださいませ)
20130530_003.jpg 20130530_004.jpg

関連記事
スポンサーサイト
このページのトップへ
コンテントヘッダー
著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

リンク
FC2カウンター
最新記事
カテゴリー
長野峻也ブログ
QR
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

月別アーカイブ
ブログ内検索