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公園稽古に

・・・昨年末にニコニコ生放送に出演させていただいた時の“りかっくま”さん父娘と、林田先生の奥さんと息子さんとアメリカから帰省中のお姉さんが体験入門に相模原まで来てくださいました。

 天気予報では雨かな~?という感じで心配だったんですが、曇り空に晴れ間も出て公園での稽古も大丈夫そうで安心しましたね(やっぱり専門道場が早く欲しいな~)。

 林田先生の奥さんは、林田先生の陽明学勉強会に呼ばれた時に少し教えて、抜群に飲み込みが良かったので、強く印象に残っていました。何しろ、伝説の国井善弥先生の下段払いを教えたら、一発で突きを繰り出した私の膝を床に着かせたんですから、たまげましたよ。

 今回はサッカーをやっている息子さんのトレーニング法の参考になれば・・・という御相談だったんですが、前日に「アメリカから帰省している姉を連れていってもいいですか?」ということで、アメリカでコンテンポラリーダンスの先生をされているお姉さんも来られていました。

 息子さんは久しぶりに見たんですけど身長もぐっと伸びてたんじゃないですかね?

 今時珍しく、ちょっと人見知りされるナイーブな性格なんだな~と思いましたが、私も元々そうだし、初対面で馴れ馴れしくしてくるようなヤツは信用ならない!と思ってますから、今のナイーブさを維持したまま育って、少数でも信頼できる人間関係を築けたら、人生、その方が絶対にいいと思いますね。

 取り敢えず、サッカーに役立つようにキック力を増す蹴り方と、這いの練習法を指導させてもらいました。

 それから、やっぱり、ダンスの先生は眼の付け所が違うな~?と舌を巻いたのは、林田先生の奥さんのお姉さん。

 奥さんも元々、ダンサーだったとのことでしたが、お姉さんはずっと現役のまま続けてこられたそうで、ヨーガとか気功とか色々勉強されたんでしょうね? 気感についての質問をされていました。

 武術関係だと勘違いした妄想気質の人間ばっかりなので、私はだいたい、そういう手合いは相手にしません。口先ばっかりで何の実力もないような人間は相手にしたくないのです。

 しかし、舞踊系の方だと身体感覚が鋭敏なので具体的な気感を得ている方が少なくありません。

 それで、そういう方面の質問を次々に聞いてこられたので、待ってましたとばかりに答えまして、特に、私の十八番の八卦掌を実演解説したら、非常に興味を持たれた様子でした。八卦掌は一番、ダンスっぽいですからね。

 でも、驚いたのは、私、これまで誰にも観破られたことが無かったんですが・・・「先生は重心が身体中に散らばってますね・・・」と、北島師範に質問されたそうで、「何故、重心を散らばらせているのか?」という理由について質問されたことでした。

 いや~、本当にこれは誰一人として観破られたことが無かったんで、内心、「フフフ・・・これが俺の最大の強みなんだけどな~? まあ、普通に武術やってきた連中には理解できまい・・・フフフ・・・」って、思ってる訳なんですよ。

 この際、説明しちゃいますが、中心軸がきっちり外側から確認できることを武術の熟練度の目安として絶対視している人はざらに居ます。

 しかし、いわゆる脱力技法を駆使する場合、全身のどこにも軸も中心も確認できないような酔っ払いの親父みたいになっている状態の方が、変化応用が自在で、攻撃にも防御にも即座に対応できるのではないか?と考えて、何年も前から体内の重心を一点に集中させておくのではなく、逆に体内に散らばった状態にしておいて、攻防の一瞬にだけ一点に集中させる術理を研究してきたんです。

 これは内家拳を研究してきて、戦闘理論を進化させる方向としてそうしてきた訳です。

 ヒントとしてはシステマがあり、酔拳をイメージしていたんですが、八卦掌と合気道の常に歩き続けながら技を施すという戦法にも閃きを得ていた訳です。

 結果、私は自分で自分の動画を観察しても強さの度合いが判別できなくなって、「よし、これは成功してるな」と思っていた訳です。

 自分で観ても判らないのですから、他流の人に判る道理もなく、「下手だな~」「弱そう」と言われる度に、「フッフッフ・・・愚か者め。してやったり!」と思ってたんですよ。

 だって、侮られていた方が実際に勝負した時に断然、有利でしょ?

 私の最大の武器は観察眼です。それでも強さが読めない身体なら相手にとっては攻め所が定まらない。でも、私は相手の強い所と弱い所が読める。

 ねっ? だから多少の実力差があっても私が有利になる訳ですよ。

 もっとも、うちの指導陣も困惑していたんじゃないか?と思いますよ。

 下丹田を造った時は、いかにも内功があるのがバレバレになってしまったので、「これはいかん!」と思って、重心を集中しないで身体中に散らばらせるように心掛けてきた訳です。

 何故か?というと、強さの度合いが判ってしまうと、いくら強くても攻め所もあるということになります。

 武術は力の強弱だけでは勝負が決まらないんですよ。生まれつき強いヤツを上回るパワーを得るのは難しいですからね。

 つまり、中心軸がきっちりして重心が体の中心にピタッと一致していると人体は最高に強い状態となる・・・というのは思い込みに過ぎない訳で、人体の構造的弱点は変わらないのですから、強い箇所を避けて弱い箇所を狙えば同じことなんです。

 また、誤解されがちなのが、鉄壁の構えがあれば相手の攻撃は防御できる!というもので、そんなのは無理なんですよ。

「プロの格闘家や現代武道の高段者が私の技に為す術がなくて驚いた」というのが甲野善紀氏の著作すべてに出てくる自画自賛フレーズですが、これは当たり前のことなんです。

 バドミントンの選手と卓球の選手がピンポンやってどっちが勝ちますか?っていうような話であり、未知の技術に対応できないのは当然のことです。

 ただ、こういった設定条件の違いを説明しないで勝ったの負けたの、強いの弱いのと言い合っているのが頭の悪い武術マニアのいつもの論法なので、特別に甲野氏のIQが低い訳でもないでしょう。バカが大手を振って闊歩しているのが武術武道の世界なのです。

 よって、ルールがある試合での鉄壁に近い構えならあり得ますが、それもルールが変われば成立する条件も変わってしまいます。

 格闘技のシビアさは、この“ルールによって制限される中での攻防の工夫を常に繰り返している”という点であり、武術のように最初から何の制限もない戦闘とは根本から異質なのだと思います。

 もっとも、それであっても、武術にも武術なりのセオリーのようなものは無数にある訳で、その一つが、“推奨されるべき武術的身体”という概念であり、それを皆、無意識に信じていたりする訳です。

 私はある段階まではその概念に従って研究してきましたが、その先を目指すには概念そのものを疑ってかからねばならないと考えた訳です。

 ごく大ざっぱに書いておけば、“背筋がピンと伸びて下っ腹がズシッと安定した身体”ですね。

 まっ、一般的にはこれで間違いではありませんが、私はどうも、こうした身体性を持つ人がカチンカチンに固まった動きをしたりする点が、以前から気に入らなかったのです。

 もっとフワリと柔らかく変幻自在に動けて、何をどうやったのか判らないうちに攻撃した相手が倒されてしまう・・・そんな技を自在に繰り出せるようになりたかったのです。

 そんな考えで実験中だったことは誰にも言っていませんでしたが、それを初対面の人から指摘されたというのは本当に驚きました。「バレたか~?」って感じ。

 できれば、うちの指導陣の誰かに気づいてもらいたかったんですが・・・。


 さて、りかっくまさんと妹さんには、柔術の試合に役立つような技術の質問を受けたんですが、これは想像以上に難しい問題でしたね。

 まず、うちの技はメインが“寸勁による打撃技”で、そこに付け足す形で崩し・逆・投げ・絞めなどを研究していて、一挙動の動きの技の中で最低でも三発は寸勁を入れます。

 メインの打撃技を使わないで柔術のルールに則ったやり方・・・となると、正直、やれることが極端に限定されてしまうのですね。

 それに、あれやこれやとやっているうちに、既に、りかっくまさんは脱力技法を寝技の中で駆使しているのに気づかされましたし、道着を利用した防御法など柔術の技術は競技的にはかなり行き着く所まで行き着いている印象を受けました。

 私がサンボとかブラジリアン柔術とかを研究したのは10年以上も前でしたから、もうすっかり古い技術になっていたのでしょうね。

 その時はまあ、何とか対処法をいくつか考えたのですが、正直、今の最先端の技術に寸勁打法を使わずに対処するのは不可能に近いくらい難しいんじゃないか?と思いました。

 これで差をつけようとするには、“相手の動き出す先を読んで先手を取っていく”“体幹部をうまく使う”・・・といったアドバイスくらいしか思いつきませんでしたが、それに類似したことは既に考えて練習されている様子で、つまり、アドバイスできることはほとんど無かった・・・という次第!

 むしろ、知らない間にこんなにも進化していたのか?という新鮮さに驚きましたね。あるいは、りかっくまさんが特別だったのかもしれませんが・・・。

 私は、組技系は昔からあまり好きじゃないので(やっぱり、ブルース・リーや『空手バカ一代』の世代だから)、一応、やられない対策くらい研究しておけばいいか?と思って勉強しただけだったんですが、これはもっと研究しないとダメだな~と反省させられましたよ。

 何だか逆に勉強させてもらったような気がするんですが、それも当然のことで、りかっくまさんはアブダビ・コンバットなどの海外の試合にも参戦している女子柔術のチャンピオンなんですからね。

 それに、柔道をやっているという妹さんに裏技を教えようかな~?とか呑気に思っていたら、既に柔道の試合では類似のテクニックを当たり前に駆使しているのだそうで、これはちょっと、ゲゲッ!と思いましたよ。

 何か、昔のTVドラマの『柔道一直線』みたいに空手かプロレスか判らないような柔道の姿が現実に近かったのか・・・?と。

 コエ~な~、柔道・・・。

 妹さんも柔術を始めているそうですが、お姉さんが純粋に柔術のスペシャリストという印象なのと比べると、何かMMAなんかの打撃にも適応できそうな野性味があって、「君は宮本武蔵ですか?」って感じの武術家気質。

 何か武侠小説に出てくる達人美少女みたい。

「半歩崩拳、打遍天下」と称賛された中国武術の名人、郭雲深の必殺技“形意拳の虎形拳(虎撲把)”を教えたら、ド~ン!と思いっきりよく打ち込んでました。八極拳とか教えてみてぇ~・・・。

 この姉妹は、美少女格闘漫画の主人公になりますよ! って言うか、俺が原作書いちゃおうか?と思ったよ・・・。


 今、格闘技はブームが過ぎてしまっていますが、かつての『四角いジャングル』や、タイガーマスクの登場や、前田日明、藤原組長が活躍していた頃、そして、アルティメット大会とグレイシー柔術の登場した頃、あるいは女子プロレスの隆盛から女子格闘技へと繋がる系譜・・・。

 恐らく、今後はジャンルを超えた交流の中から一時的ブームではなく、新しいムーブメントが生まれていくんじゃないか?と思います。

 よく、昔っから「今の若い者は・・・」みたいなことを言う人がいますが、少なくとも私が出会ってきた若い人達は、私が若かった頃より遥かに才能に優れて努力も惜しまない人が多いような気がします。

 お父さんが娘たちのサポートをしているのも、微笑ましいですよね。

 昔は、ちょっとでも人と変わったことをしようとすると真っ先に反対するのが家族だったりしたもので、私なんかは・・・ふぅ~・・・まっ、いっか?


 皆さん、遠路、はるばる相模原まで来てくださって有り難うございました!

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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