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10月セミナー“武器”

 今年の月例セミナーも、残すところ、後3回・・・。

 10月は“武器”です!

 武器といえば少なくない武道・格闘技の愛好家が意味なく毛嫌いするもの(まあ、「空手はエンプティハンドだ」という主張の拡大解釈でしょうね? 本来の武術にはそんなヘンテコな考え方は無かったので・・・)ですが、こと武術にとっては必要欠くべからざるものであり、武器を操作する術を知らずして戦闘を考えることはできません。

 何故なら、何の心得も無い人間が、命のかかった戦闘を考えた場合、間違いなく、何らかの武器を手にするのが人間の本能だからです!

 通り魔事件起こす人間は必ずナイフや包丁を買うもんでしょ?

 用心棒という言葉の語源も、夜間に家屋に侵入してくる強盗に備えて棒を用意しておくことから「用心」する「棒」として「用心棒」となった訳で、昔は家の玄関が引き戸になっていて、そこに斜めに心張り棒を立て掛けることで閉めており、この棒が、そのまま強盗を殴りつける用心棒になった訳です。

 田舎の古~い家だったら、見かけたことのある人も居るかもしれませんね?

 生活道具から武器に転用されたものとしては、鎌、拐、トンファーなどの琉球古武術の武器が有名ですが、包丁や扇子、杖、かんざし・・・なんかも武術として発展していきます。

 西遊記の沙悟浄が持っている月牙サンという武器も、あれはスコップなんだそうですね? 猪八戒の持ってるのも鍬の一種ですよね?

 武器というのも、元来、生活に必要な道具だった訳ですよ。

 ナイフもそうだし、弓矢や銃も狩猟に使うものだったんですよね?

 そうやって考えていけば、武器というものは日常の道具の延長線上にあるものであり、護身用に発展したと考えられます。

 日本刀も、戦場で使うものというより、護身用に携帯されていたんですね。

 特に江戸時代にはその傾向が定着し、護身用の究極の武術として、居合術と柔術がセットで伝えられる流派が増えていきました。

 関口流(関口柔心)、渋川流(渋川伴五郎)、伯耆流(片山伯耆守)、制剛流(制剛僧)・・・等々、多くの流派がそうなっていますし、知ってる人そのものがほとんど居ないと思いますが、現代居合道のベースとなっている無双直伝英信流(長谷川英信)も、元来は柔術も伝えていたのです。

 そもそも、日本の柔術は素手対素手を想定した武術ではありません。所謂、格闘技ではないのです(日本伝統の格闘技と言えるのは相撲くらいでしょう)。

 素手で日本刀や短刀に対する技術が中心になっていますし、こちらが短刀を使ったり縄を使って捕縛したりする技術もあり、十手術などもベースになっているのは柔術なんですよね。

 古い時代の剣道が組み討ち技も許していたというのは、案外、知ってる人も居ると思いますが、剣術の中には裏技としての組み討ち用の技も普通にあったのです。昔は。

 この技術的伝統を最も色濃く受け継いでいるのが合気道です。

 合気道は現代の素手の競技武道や格闘技の観点からすると不合理な面がありますが(手刀で攻撃していく点など)、これは対刀の技法であると考えた場合、すべての技が無刀捕りに繋がっている事実が浮かび上がってきます。

 ですから、現代の通り魔殺傷事件などを考えた場合、最も護身術として優秀な技法を持っている・・・と言えるでしょう。

 ただ、その事実を自覚して教えてくれる道場が少ないのが残念なところですね? 様式美だけを求めるようになれば、合気道も単なる武道スポーツになってしまうでしょう。


 ちなみに、ブラジリアン柔術の母体になっているのは明治になって創造された柔道であり、江戸時代以前の柔術とは根本から技法体系が異なっています。ブラジリアン柔術は寝技中心の高専柔道の影響が濃いとされます。

 また、柔道の影響ということでは、ロシアの格技サンボが柔道の試合形式をベースにロシア各地の組み討ち格闘技(チタオバなど)を集大成して創始されたとされます。

 その他、アメリカやヨーロッパにも柔道が普及されたことでいろんな格闘技に影響を与えたことは間違いないでしょう。

 これに続く形で空手や剣道、合気道も普及しています。

 この辺りの事情についてはいろんな説がありますが、詳細に書けば本の一、二冊書く量になってしまいますから、割愛します。


 今回のセミナーでは、武器と素手の関係性と、「素手で武器にどう対応するか?」という点についてやってみようと思います。

 先日の映画撮影用の小道具に買ったカランビットナイフについても解説しようと思っています。これは、シラットの隠し武器として有名なものなので・・・。

 日本の武術が日本刀を基本にして形成されているように、フィリピン武術はスティックや刀、ダガーナイフを、中国武術は刀・剣・棍・槍を、インド武術も棒・刀・ウルミン(鋼鉄製のベルト状の刃物)などをベースにして、技法原理を共通とする素手の体術を伝承してきました。

 そして、現代の軍隊や特殊部隊の中から、クラブマガやカパプ、システマ等が誕生したり、あるいはカリやシラットが採用されたりしています。

 日本の自衛隊に日本拳法が採用され、警察の機動隊が合気道や杖道を学んでいるのも有名なところです。

 かつて中国清朝の護衛官が八卦掌や八極拳を学んだことも、もっと注目されて良いのではないでしょうか?

 あ~、そういえば、陸軍中野学校で藤田西湖翁が甲賀流忍術を教えたのは有名ですが、南蛮殺到流拳法なんかも教えたかもしれませんね?

 空手の高手、江上茂翁が陸軍中野学校で指導したという話もあります。

 大陸浪人の中にも武術家が少なくなかったでしょうし、サバイバルということを真剣に考える場合、武術の心得があるということは重要な要素だったのではないでしょうか?

 そういう意味でも、先の読めない混沌とした現代で武術を学ぶ意義は、増えこそすれ減ることはないような気がします・・・。

 今月は、そういった領域にまで踏み込んで解説してみようと思っています。


PS;JR横浜線の中山駅近くの踏み切りで倒れている老人を助けて自分が代わりに電車に轢かれて亡くなられた女性の事件・・・、これまでも何度かそのような犠牲的精神で人助けをして命を失った方のニュースを聞きますが、本当に、こういう勇気があって心優しい人こそ武術を学んで欲しいな~と思います。私は、何度かは人助けをしたことがありますが、それは武術をやっていて危ない状況になっても対処できるという自信があったからできたことで、もし、そうでなかったならば、この女性のように人を助けようとできないだろうな~?と思います。本当に凄い勇気のある人だと思います。それだけに本当に残念なことです。御冥福を祈るばかりです・・・。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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