コンテントヘッダー

映画は教科書

 最近の武術愛好家はカンフー映画とかの知識が全然ない人も居る様子ですが、私の世代だとブルース・リー、ジャッキー・チェン直撃世代なので、特に習ってもいないのにヌンチャクを器用に振れる人が珍しくなく、カンフーと言うと、酔拳や蛇拳の真似をするのも定番です。

 もっとも、うちの会で、これが通じるのは小塚師範代だけで、ほとんどカンフー映画を見ていない様子なのに驚かされます。

 習いに来た人から聞かれるのが、「武術の、いい教材DVDはありますか?」という質問なんですが、正直、お薦めできる教材DVDは少ないですね~。

 別に悪いという程ではなくても、要するに、型の紹介ばかりで、肝心の技の使い方が極めて少なく、下手をすると型や練習法と組手が全然、別物のようだったりする場合もあるのです。

「実際に使えないんだったら、そんな練習しても意味ね~じゃん?」と思うのが当たり前の筈なんですが・・・ここが不思議なところで、武道・武術の世界では基本練習や型なんかは実用とは別物だと割り切って、ルーチンワークとして練習させてしまう訳なんです。

 私も若い頃は、こういう業界の常識に随分、惑わされたものでした。

「スパーリングが重要」「基本が肝心」「型は意味ない」・・・といった説に振り回されたものでした。

 結局、誰も明確な答えを持っていないのだ・・・という事実に気づいて、その後は私は自分で試行錯誤を重ねながら稽古法と実用技法、そして勝負の構造を探究してきました。

 その結果、従来の稽古法が間違っている訳ではなく、「稽古法の意味を理解しないまま取り組んでいることに真の問題がある」という結論に至りました。

 この“稽古法の意味”は、伝統的に“口伝”で選ばれた人間にだけ教えるシステムであったために、広く知られることがなく、一般には誤解が広まってしまった訳です。

 私は、交叉法と読みについて教えを受けることで、それまでの疑問が氷解して研究が繋がったと思っています。

 後は、それが正しいかどうかは実際に試して検証していけばいい訳です。

 つまり、他流の人と手を合わせることです。

 剣道、柔道、合気道(合気会・養神館・養正館・氣の研・冨木式・光輪洞・万生館)、少林寺拳法、フルコンタクト空手(極真各派・無門會・芦原・正道・佐藤塾・大道塾)、伝統派空手、沖縄空手、日本拳法、キックボクシング、ボクシング、シュートボクシング、総合格闘技、サンボ、ブラジリアン柔術、JKD、太極拳(簡化24式・陳氏・99式・呉氏・楊氏・孫氏)、形意拳、蟷螂拳、長拳、南拳、八卦掌、八極拳、心意六合拳、戴氏心意拳、太気拳、意拳、詠春拳、戸隠流忍法、不動禅少林寺拳法、骨法、大東流(佐川道場・六方会・幸道会・光道・西郷派・松田派・武田)、八光流、武田大東流、新陰流、香取神道流、柳生心眼流、天心古流、カリ、シラット、カポエィラ、クラブマガ、システマ、ケンポーカラテ、カジュケンボー、喧嘩?・・・etc.

 この試していく過程で勝負の構造の研究が進み、私は競技に対して興味が薄れて武術性を追及することにした訳です・・・。


 さて、それでは、技の用法に関してはどうか?

 この研究に最も役立ったのが、私が熱狂的に観まくってきたカンフー映画や時代劇、現代アクション映画などの殺陣アクションでした。

 下手な教材DVDを買うより、ずっと役立ちました。

 トレーニング法の勉強になるのは、圧倒的にジャッキー・チェンの初期の作品で、特に『ドランクモンキー酔拳』『スネーキーモンキー蛇拳』『クレイジーモンキー笑拳』の、俗に言うモンキー・シリーズは最高ですね。

 サモハンとユン・ピョウがコンビを組んだ作品などもいいんですが、ちょっとアクロバチック過ぎて真似できないのが難点で、ジャッキーの作品は、何とか頑張れば多少は真似できるレベルだったのが良かったんですよ。

 日本のだと真田広之の『忍者武芸帖・百地三太夫』がありますが、これも難易度が高過ぎます。

 真似しやすい点では松田優作の『処刑遊戯』がお勧めですね。Gunアクション物ですが、優作演じる殺し屋の訓練風景がハードボイルドでいいんですよ~。

 一時期はVシネで優作エピゴーネンのような作品が山のように作られていましたが、最近では、こういうハードボイルド作品が少なくて私はつまんないですね~。

 訓練風景の醍醐味という点ではジミー・ウォングの『片腕ドラゴン』を観たら、実に面白いですね~。

 カンフー映画としては実に粗いんですが、その粗さがいい味出してます。

 最近は武侠ドラマもCGに頼り過ぎる傾向があって、ちょっと飽きがきつつあったんですが、昔の粗削りな作品もいいですね~。


 一方で、カンフー映画や時代劇、現代アクションなんかは技の実用性を研究する上で、この上もない教科書になり得ると思います。

 カンフー映画の立ち回りは中国武術の実際の戦い方を研究する最高の素材です。

 何故なら、立ち回りのアクションを構成するために武術指導が実際の武術を学んだりするからですよ。

 空手の使い手という設定なのに柔道使ったりしたらおかしいでしょう?

 でも、昔のアメリカのアニメなんかでは、そういうこと平気でやってたんですよ。

 実際に日本の武道家なんて、恐ろしいくらいに他流のことを知らないから、とんでもない解釈をしてしまったりするんですよ。

『激突!合気道』の技が少林寺拳法の柔法(投げ・関節技主体)の技だったり、『ケンカ空手・極真拳』に出てきた蘇東成先生が形意拳と八卦掌を組み合わせた動きをやっているのを見た千葉ちゃんが、「これが太極拳か?!」と・・・(違~う!)。

『マッハ!!!!!!』なんて、一挙に古式ムエタイへの関心を誘いましたよね?(私も太極拳講座で肘打ち出して、「太極拳にそんな技があるんですかっ!」と聞かれて、「違います。マッハです・・・」と答えました)

 それはそうと、久々に『龍の忍者』を観たんですが、この怒涛のアクションは凄いですよ。カンフー対忍法武術というのもポイント高いです。

 この当時は、スーパー忍者アクション・スター、真田広之・・・というイメージがありましたね。

 実際、サムライのイメージよりも真田さんはスーパーニンジャって感じなんですよ。

 何でか?というと、真田さんはタッパ無いからハリウッド映画出ると凄く小さく見えてしまうでしょう? 敏捷なニンジャのイメージの方が合うと思うんですけどね。

 つまり、どっしりと日本刀をふるうサムライよりも、地を駆け、宙を翔ぶダイナミックなアクションで敵を翻弄するニンジャこそが真田さんの持ち味を最も出せるヒーローだと思うんですけどね・・・。

 でも、やっぱ52歳だから、シンドイかな~? 腰痛持ちだって聞いてるし・・・。

 けれども、真田さんの全盛期の頃の主演作は輝きが違うな~って感じですよ。

 アクション女優が台頭しつつあるのに、アクション俳優と呼べる人がさっぱりいないのはどうしたもんかな~?と思いますね・・・。

 岡田くんに頑張ってもらいたいですね・・・。


 あっ、そうそう・・・4日に、自主映画の今後の打ち合わせに、千葉師範代と監督さんに研究室に来てもらって、酒飲みながら、いろいろ話しましたよ。

 いい年したオッサンになっても夢を語れるというのが、クリエイティブな仕事している人間の特権でしょうかね?

 で、粗編した作品を見てケンケンガクガクと議論したり、次回作のキャスティング案など話したりしまして、「そういえば、ミリタリーむすめの完成版はまだ観てないんですよ」とおねだりして見せてもらいました。

 いや、お世辞抜きでアイドル映画として佳作になっていました。

 これで上映できなかったってのが、本当に不思議です。今は、あの時の女の子たちの将来を祈るばかりですが・・・。


 翌日は、そのまま泊まってもらった監督と朝メシ食べにいって、その後はクエストの制作担当の方が打ち合わせに来てもらう予定だったので、お開きにしました。

 まあ・・・最近は格闘技業界がすっかり衰微してしまっているらしく、武道武術も右に同じって感じですが、こういう時こそ真価が問われますからね。

 先の見えない時代だからこそ、先を読んで備える武術が必要になると思ってますよ。

関連記事
スポンサーサイト
このページのトップへ
コンテントヘッダー
著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

FC2カウンター
リンク
最新記事
カテゴリー
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

月別アーカイブ
ブログ内検索