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ついに観た『るろうに剣心』

 仕事が忙しいのと体調が悪かった(夏バテと喉風邪)ので、行くに行けなかった『るろうに剣心』二部作、ようやく鑑賞して参りましたでござる!

 何しろ、前作は驚天動地のハイスピード・チャンバラで度肝を抜かれ、時代劇をアクション映画として新しい地平に押し上げた大友監督と、谷垣アクション監督のグッジョブ!に絶賛が集まったのですが、そうなると、続編には、より以上の期待が高まるもの。

 その期待に応えられなければ、逆に評価はガクンと落ちてしまうのが世の常。

 特に、漫画原作で長期アニメ化もされている人気作品となると、ハリウッド版『北斗の拳』(リンが小汚かったり、アクションがショボかったりVシネ規模でした)や『ドラゴンボール・エボリューション』(あの大傑作をどのようにすれば、こんな酷い代物になるのか?)のように、唖然となる結果になってしまう恐れが多分にある。

 原作でもアニメ版でも最も燃える展開だった“京都編”を実写化するとなると、本来ならTVシリーズのように時間をかけないと描くのは無理。

 それを映画で描く以上、どう工夫しても一本には収まらないのは理の当然!

 それで前編後編としたのは大正解でしたね。

 まあ、刀狩りの張、明王の安慈と天剣の宗次郎以外の十本刀が、ほとんど仮面ライダーの再生怪人程度のザコキャラ(何か、コスプレしてる人達風)になってしまったのは致し方ないとして、蒼紫、操、翁、比古清十郎の存在感と見せ場は充実していて、堂々とアクション俳優っぷりを示してのけていたのに感心しましたよ~。

 私としてはファンだから田中泯さんに注目する訳ですが、日本を代表する国際的前衛舞踊家だからといっても、琉球古武術のトンファーを持っての激しいバトルは別物で、飛び足刀蹴り(あるいは捻りを入れればローリングソバット)まで繰り出し、全身を前後左右“上下”に目まぐるしく折り曲げ、のけ反り、転がり・・・と動かし続けるのは心臓に持病でもあったら、お陀仏になってもおかしくない。

 谷垣アクション監督はトンファーを使わせるのは抵抗があったらしいんですが、翁が琉球出身だってことにすれば別にいいのではないか?と・・・。ちなみにトンファーに似た武器は中国南方からタイなんかにも各地に伝承しており、琉球独自に発展したという説がありますが、これは完全に間違いですね。

 Jチェンの『拳精』や『龍拳』にも出てくるんですが、琉球古武術だと棒の方を握って、取っ手を鎌のように引っかける技法が多いです。

 操役の土屋太鳳は、ウルトラマンゼロの映画でエメラナ姫を演じていて、その後、『鈴木先生』で注目され、『花子とアン』でブレイクしましたが、こんな美少女がアクションばりばりにできるとは思いませんでした。何か体育大学在学中だとか?

 最近は女優さんでもアクションこなせる人が増えていますが、特に蹴りのシャープさを出せる人は滅多にいません。膝から先の鞭がしなるように鋭く伸びる空手やキックの蹴り技は女性の体質上、難しいのだろうと思っていました。

 往年の志穂美悦子くらいしかできる人はいなかったですね。空手黒帯の武田梨奈を除けば、土屋太鳳の身体能力の高さは群を抜いているでしょう。

 カカト落としも打点が高いし、ジャンプしての左右開脚蹴りなんて、評論家がワイヤーで吊ってると思い込んでいたくらい人間離れしている。

 何か、佐藤健も戸惑ってマジで逃げてる感じ・・・?

 伊勢谷友介の荒っぽいアクションは拳法の動きというより喧嘩師のよう(クラブマガも参考にしたそうなので、そのせいか? アメリカのケンポーカラテ系から分かれたクラブマガって、実はJKDとか参考にしてるんだけど、技術より根性に傾いている印象があって、正直、私はあんまり好きじゃありません。力任せで技術が乏しいような印象がある。軍隊系ならシステマが好き。うちの技と似てるから)だし、二刀流も従来のイメージとは全然違う。フィリピノ・カリのWスティックに近いですが、カリの技術にはスペイン系の刀剣の技術も融合されているから別に不自然じゃないんですよ。

 タイのクラビ・クラボーンという古武術には、どうも日本刀の使い方が混ざってんじゃないか?と思えるフシもあるし、山田長政率いる武士団の影響もあるかもしれません。タイでは山田長政の映画も作られたそうだし・・・。

 ちなみに、カリと並んで最近、注目されているシラット、ペンチャックシラットも、中国武術の個々の技を分解して実践向きに再構成したような印象がありますが、個々の技そのものは東洋の武術に普遍的にあるものだったりするんですよね?

 日本の柔術も投げと寝技しかないと思ってる人が多いですが、当て身や蹴り、急所攻めや逆技かけたまま投げたり、投げられた瞬間に当て身を返すとか、暗器と併用するとか多彩な用法があるんですよ。

 特に足がらみ系の技なんかは剣術の裏技として、いろんなやり方がありますが、これは中国武術だと八極拳や八卦掌が多用する“暗腿”とほぼ同じです。

 前作でも、よく見ると使ってましたが、今回は、かなり多用していて、しかも、そこから地ショウ拳的に蟹挟み風にグランドテクニックに持ち込んだり、アクションの流れの中で膨大な応用変化技を見せていましたね。

 当然、見せ場は前作以上。張を演じた三浦涼介は演技うまいな~と感心しましたが、神木くんの宗次郎はイメージ通り、というか、それ以上!

 縮地の表現は難しいだろうな~と思っていました。縮地について研究しているのは日本で何人もいないと思うし、「これが縮地だ」と言えるオーソドックスな型が無い。

 私は、新体道、松濤会、松濤館、沖縄剛柔流、和道会、鹿島神流、新陰流、駒川改心流、柳生心眼流、八卦掌、八極拳、太気拳、日子流等から、能や日本舞踊(女踊りの滑り)、前衛舞踏なんかも研究しました。

 20代半ばから研究してきたので四半世紀もやってるんですが、最初の頃の遠い距離を一挙動で縮めるのが縮地だと思っていたものの、30過ぎてから、「あ~、こりゃあ、間合を縮めるのが秘訣じゃなくて、予備動作を出さないで間合を縮めていくのが秘訣なんだ」と気づいて研究の方向を変えました。

 そうして作ったのが、蛟龍歩・・・。

 もっとも、教えた人間は数百人いても、曲がりなりにも会得したのは10人に満たない・・・。そのくらい難しいのですよ。縮地は・・・。

 今、うちの会員でできるのは三人しかいません。

 ただ、原理的には「脚力で地面を蹴って動くのではなく、骨盤から重心移動を使ってスリ足で動く」という点さえ守れば、武術的にはOKなので、その意味で言えば、常連会員やセミナーの常連さんは全員できてます。

 基本的な縮地のやり方は三つあって、前方に身体を斜めに倒していって、思わず足が出る?という動作を利用する“倒木法”、膝カックンの要領で前に進む“膝抜き法”が知られていますが、私が重視しているのは、背骨と骨盤を繋ぐ仙骨から押し出すようにして進む“仙骨起動法”。

 前者二つが前にしか進めないのに比べて、仙骨から動く方法は前後左右斜め上下と、全方位型なんですね。それに、普通に歩いている中で鍛練できるのが最大の利点です。

 例えば、交差点を渡っている時に信号が点滅し出した瞬間、仙骨から押し出すイメージで歩くと歩行の動作は変わらないのにスピードは倍加する。これは歩幅が広くなったからです。

 また、階段を上がっている時も仙骨に意識を向けて、そこから上がっていくイメージにするとスイスイ上がれます。倒木・膝抜きが予備動作が出るのに対して、仙骨起動は予備動作もありません。いきなりズームアップするように縮地できるのも利点ですね。

・・・という訳で、現在は仙骨起動法を基本にして練習しています。

 神木くんの縮地も、体幹部の重心移動をうまく使っていました。谷垣アクション監督が相当、研究されたんだろうな~?と想像します。

 剣心との対決シーンでクルクル回り込む描写がありますが、あれを見て「何だよ?」と笑っていた人もいるそうですが、相手の先手を取ろうと死角に回り込むのは八卦掌のお家芸。ああなるのは非常に理に適っているんですよ。

 私は昔、実家で猫飼ってて、こいつが凄い喧嘩好きで、毎日、近所の野良猫と庭の畑で戦ってましたが、よくクルクル互いに高速で回ってました。

 そういえば、映画では剣心がパルクールみたいに屋根を猛ダッシュしていって馬に飛び乗って宗次郎を追いかけるシーンがありましたが、その疾走感の気持ち良さ!

 佐藤健は真田広之を超えたよ!

 電王で佐藤健を見たことのある若手の監督さんが、「佐藤健は天才だよ!」と、その身体能力と演技力を大絶賛していました。

 アクションとエモーションの融合が、今回は特に見事でした。

 実は私は、「比古清十郎が福山ってのはど~よ?」と思っていたんです。斬心塾出身の阿部寛か、JAC出身で柳生心眼流春風吉田会の吉田朗先生に学んでいる堤真一だろ~?と思っていたからです。

 でも、実際に観ると福山がバッチリですね~? 驚きましたよ~。

 特に、本気になって剣心に斬りつけてくるところなんて、マジで殺気が感じられて最強剣豪の比古清十郎の風格が出ていました。

 藤原竜也の志々尾も、異常な存在感とカリスマ性を出していて文句のつけどころがありません。

 顔が丸顔で可愛過ぎて違うだろ~?って思った人も多いと思いますが、あの太々しさは若手演技派随一の藤原竜也しか出せないでしょうね~。

 風貌の違いは包帯でカバー。ある意味、スーツアクターですよね?

 それでも、やっぱり藤原竜也! いずれ松田優作みたいな唯一無二の俳優になっていくでしょう。

 斎藤一の江口洋介も、今回は板についた感じ。こんなにハードボイルドな役ができる人だとは?

 左之助と安慈の格闘戦もプロレス的で面白かった。金玉掴んでのバックドロップって、私の子供の頃の喧嘩テクニックだったんで、ちょっとニヤついた・・・。

 それと、驚かされたのは美術ですね。煉獄が登場するシーンは、まるで怪獣映画! ロケ地やセットも豪華でスケール感が前作とは雲泥の差がありました。

 前作も十分に時代劇のエポックとなった作品でした。が、今回はその何倍も圧倒的に凄いと思いました。

 それは、メインのキャラクターの完成度の差かもしれません。

『新ポリスストーリー』『捜査官X』『孫文の義士団』などの良質の香港アクション映画のDNAを日本の剣戟アクションに注入して、まったく新しいハイパーアクションを生み出した谷垣アクション監督の現時点での最高傑作だと思いますが、それは大友監督の理解が無ければ絶対に実現しなかったであろう現場での挑戦だったと思います。

 とにかく、日本の映画ではアクションはおざなり。時代劇を見ていても、「何で、いまさら、こんなことを・・・?」と、見ていて恥ずかしくなるくらい工夫も情熱もないアクションシーンを平気でやってたりするから頭痛がします。

 これは恐らく、殺陣師ではなく演出家がアクションに興味がないのだと思います。

 時代劇の未来は活劇としての面白さ、魅力を蘇らせることができるかどうか?だと私は思うんですが、原作小説も剣戟シーンの貧困さには目も当てられないくらいですから、今後、若い人が読まない、見ないジャンルになっていきそうです。

 私、今、小説や漫画原作でプロを目指していて半分くらい実現しつつある(武芸考証で何人かの時代小説家のお手伝いしています)んですけど、出版業界の実情を知るにつれ、この業界に期待するのはやめておこうと思っています。

 でも、諦めた訳じゃありません。「これだけ覇気が無いなら、俺の独壇場になるな」と、剣戟アクション専門作家になろうと思っています。

 かつて熱狂した夢枕貘や菊地秀行、山田風太郎、柴田錬三郎、大薮春彦の路線をやろうと思ってますね。で、原作者として映像作品に関わる・・・のが目標ですね。



 さて、ついでですから、私の好きな作品を・・・。

1,若山富三郎先生主演子連れ狼六部作(もう、バイブルですね)

2,『翔べ! 必殺うらごろし』(必殺シリーズと怪奇大作戦が合体したような作品)

3,『魔界転生』(若山先生が柳生但馬守を演じて江戸城で大暴れ)

4,『剣鬼』(市川雷蔵主演作で一番好き。居合斬りで戦うところが好き)

5,若山先生主演賞金稼ぎシリーズ(銃と剣と空手殺法。若山先生の殺陣の集大成)

6,『あずみ』(美少女剣客エンターティンメントのエポック)

7,『乾いて候』(正和サマ主演の劇画シリーズ。毒が効かない剣客というのも味噌)

8,『必殺仕事人 激突!』(山田浅右衛門を演じた滝田栄の豪快な殺陣が凄い)

9,『丹下左膳 剣風! 百万両の壷』(五社監督、仲代達矢主演時代劇の最高傑作)

10,やっぱ、黒澤時代劇だね?(『七人の侍』『用心棒』『椿三十郎』)

次点、『忍者武芸帖 百地三太夫』『柳生一族の陰謀』『里見八犬伝』『龍の忍者』『雲霧仁左衛門』『闇の狩人』Vシネ版『魔界転生』新旧『十三人の刺客』『十兵衛暗殺剣』『妖刀斬首剣(生死決)』『レッドサン』『人斬り』『江戸の激斗』『浪人街』『(萬屋錦之介版)それからの武蔵』『影の軍団3』『(正和サマ版)眠狂四郎』『座頭市』『新十郎捕り物帖 快刀乱麻』


PS;28日に詠春拳セミナーありま~す! 宜しく~!
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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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