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11月は“他流破り”で、御座候・・・

11月は“他流破り”で、御座候・・・

 最近は滅多に聞きませんが、武道武術の道場には“道場破り”があるのが“当たり前”でした。

「『空手バカ一代』みたいなのは劇画だから・・・」と思っているアナタ!

 甘~いっ!

 確かに、「道場破りで~す」と名乗って来る人間はいませんが、腕試し気分で尋ねてくる人なんか、普通にいる訳です。

 私より上の世代の人達は、(道場破りとか)大抵、経験されていると思います。

 例えば、青木宏之先生は、空手他派のチャンピオン・クラスが随分、押しかけてきたようです。

 皆、痛い目に合って、泣いて帰った・・・という話を関係者から聞いています。けれども、青木先生はそういう武勇伝で自分の名前を売ろうとはせず、逆に指導してあげたりしていたようですし、だからこそ、世界中に熱烈なファンが居るのでしょう。

 スポーツ化した現代武道は、現代的価値観に沿った形で発展しました。それは国境を超えて世界中に広まっていきました。

 その一方で武術としての本質が忘れ去られてしまった点もあり、私は研究家として、その部分を掘り起こしていこうと願って、古流武術や中国伝統武術を研究してきました。

 その結果として判明したのは、武術は体力ではなく重心操作の身法と理合(間・拍子・読み・交叉)を体現した者が自動的に勝てるという真相にたどり着きました。

 もちろん、そこに辿りつけたのは、優れたその道の諸先輩方に教えを受けることができたからなんですが、その数は数十人に及びます。

 剣道・柔道・拳正道・忍術・空手・ボクシング・キックボクシング・中国武術・古流柔術・古流剣術・古流居合術・手裏剣術・合気道・カポエィラ・シラット・カリ・ケンポーカラテ・JKD・カラリパヤット・・・ETC

 もう、どのくらいの流派を学んだのか自分でもよく判りません。

 一つの流派を集中して探究して極めていらっしゃる先生方の技術には憧目する点が多く、他派の秘伝や極意に相当する術技を自然に体得されていた方もいらっしゃいました。

 私は権威には興味がありません。中身があるかどうか? そこにしか関心がない。

 この業界、宣伝下手な先生こそが優れた術技を持っている事例が多く、私はコーディネーターとして、そんな先生方を紹介することを自分の責務だと考えてきました。

 無論、いろんな流派でやり方は微妙に違いますし、体得者のレベルでも全然、違ってきますが、私自身は、流派による優劣を論じるのは間違いであると思います。

 例えば、「M16とAK47では、どちらが優秀なアサルトライフルか?」という論争で考えてみると、命中精度なんかではM16の方がずっと高性能で、AK47は頑丈で壊れにくいだけが取り柄みたいなものなんです。

 普通は、精密な銃の方が優秀だと考えるでしょう? でも、戦場で戦うには精密な銃は簡単に作動不良を起こして使い物にならなくなったりする訳です。つまり、遊びの少ないパーツ間のかみ合わせに砂や泥、あるいは発射した後のカーボンの煤が溜まった程度で作動不良を起こす訳です。精密過ぎると・・・。

 まあ、射撃場で使う競技用の銃なら一発撃ってクリーニングするということも可能ですがね?

 昔、Gun誌で、リボルバーのロールスロイスと呼ばれるコルトパイソンと、コンバットマグナムの比較記事で、パイソンは精度の高い弾丸しか込められないくらいキチッと作られているのに対して、コンバットマグナムは安い弾丸が込められるように弾倉の穴に誤差があるそうでした。

 で、実戦向きなのは弾丸を選ばないコンバットマグナムだから、パイソンの銃身をコンバットマグナムのフレームに合体させた最強の実戦リボルバー“スマイソン”を作ったガンスミスがいました。

 同様の理由で、精妙な術理の武術は、逆に泥臭い実戦には向かない。何故ならば、精妙な技を使うためには厳密な条件を満足させないといけない。ところが、予測不能な事態が起こる実戦では、その余裕が無くなってしまうからです。

 無住心剣術三世の真里谷圓四郎は、実戦で多数の敵に囲まれた時の対処法として、「剣に拘らずに、殴ったり蹴ったり何でもしろ!」と教えています。

 高邁な思想と至高の剣理を持つ同流の実戦秘訣がこれかい?というガッカリ感を某氏は覚えたそうですが、私はむしろ、感心しました。緊急事態に綺麗事言ってるようなヤツはダメでしょう?


・・・ほとんど余談で引っ張ってしまいましたが、“他流破り”ということは、武術を学ぶ者が考えるべき最重要点であり、それは、現実の戦いというのは流派なんて関係がないということなのです。勝つためにあらゆる手段を工夫する知恵のある人間の方が勝つのが当然の理(ことわり)です。

 特に、現代のようにあらゆる流派の技がDVDや動画で見られるようになっている時代には、ただ、型や技だけ教えるというのでは道場の存続は難しいでしょう。

 私も道場経営者の端くれなので、そこはやはり、考えます。

 武術というのは、いかなる戦いにあっても生き残ることを目指す術です。

 火山の噴火、突然の地震、津波、原発事故、テロ、通り魔、オヤジ狩り、カップル狩り、拉致監禁・・・あらゆる危機をかい潜って、しぶとく生き延びるための知恵と技術を学ぶのが武術の本質であり、歴史の長い流派には、必ず、そのための知恵が併伝されているものです。

 また、敵は外部から来るだけではありません。自分の身体や精神に巣くう疾病にも負けないようにしなければなりません。

 日本武術は武医同術が、旨なんですね。

 また、根本的な問題としては、自分の心の弱さを改めていくことが重要でしょう。いかなる問題を克服するにも、根本に揺るぎない意志の強さが必要です。


 今回は、そういった話も交えて実技の練習をしていくつもりです。


PS;突然ながら、『詠春拳&美体操4』DVD、完成しました! 今回は、詠春拳戦法の対人練習の要点である黐手(チーサオ)を収録しています。イメージしにくいかもしれませんが、太極拳の組手練習である推手と同様のものです。美体操は、仙骨や腹筋、腰椎の調整です。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
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