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水木しげるとクトゥルー神話

 妖怪漫画の大成者にして、恐らく、後の日本史にも鳥山石燕を越える妖怪画家として名前が残るであろう、水木しげる。

 先日、シリーズ中、マニア人気が最も高い、ゲゲゲの鬼太郎第二期を見ていたら、“ガマ人”なる話が出てきて、「あれっ? もしかして、この話って、クトゥルー神話のアレじゃないの?」と思いました。

 クトゥルー神話というのは、『這いよれ!ニャル子さん』でも有名になった、コズミックホラーの大成者、H・P・ラブクラフトが創始した異次元宇宙からやってきた超太古の邪神が現代に蘇って、チマチマした事件を起こす・・・という話。

 ラブクラフトは、神話好きで科学好き、オカルト好きな引きこもりだったらしく、お爺さんがフリーメイソンだったせいで秘教的な蔵書を子供の頃から山ほど読んでいたのだとか?

 そして、彼が生きた時代に流行った神智学やら魔術結社やらの影響を受けて、太古の神々というのが人間の考えるようなものではなくて、コミュニケーション不能の、むしろ悪魔のような代物だったのでは?という妄想に取り憑かれてホラー小説を書いた。

 それが一部の好き者作家達に麻薬のように広がり、21世紀になっても数々の作家の創作意欲を刺激している次第・・・。

 まあ、その理由としては、「私の考えた邪神の世界観は、好きに使っていいですよ」という著作権フリー宣言をしていたのも大きかった。

 ルチオ・フルチなんかも『地獄の門』や『ビヨンド』にクトゥルー・ネタを入れてるし、『パシフィック・リム』のデルトロ監督もラブクラフト好きで有名。

 日本でも佐野史郎や『ウルトラマンティガ』『エコエコアザラク』なんかの特殊脚本家の小中千昭のマニアっぷりは有名(小中さんはジャイアントロボすらクトゥルー・ネタ入れてたくらい)。

 小説家だと、菊地秀行(妖神グルメ等)や栗本薫(魔界水滸伝)のように偏愛っぷりが有名な人も少なくない。

 そんな一部の好き者の間のカルト人気だったクトゥルー神話が日本で注目された切っ掛けは何だったのか?という議論があったのだけれど、ごく初期に水木しげるが「クトゥルー神話を翻案した」という説があった。

 私は、マジかよ~?と思っていたんだけれど、モロに『ダンウィッチの怪』そのものの作品を読んで、驚かされたものでした。

 これは、ラブクラフト作品中でも屈指の傑作として有名で、映画化もされています。

 ダンウィッチという村で魔術に凝った一族の娘が邪神の子供を産む。しかも双子。一人は上半身は人間だけど下半身は触手状の怪人。でも、まだ母親似!

 もう一人は父親似で普段は透明なんだけど、その正体は触手がからまった球体みたいな巨大怪物。

 一説に、ウルトラマンに登場するネロンガの元ネタでは?とも言われる、この透明怪物の暴れるシーン。

 水木先生は、この物語を、日本に設定を移して、ほぼ完コピ。

 いや、ビックリしました・・・。

 間違いなく、水木先生はラブクラフト好きだったのだ・・・と。

 そんな水木先生が描く鬼太郎の話に出てくるガマ人の話とは、ある青年が、蛙と人間の合いの子のような不気味な怪物と遭遇する夢に悩み、夢の真相を探るために南方への探検の旅に同行して欲しいと鬼太郎に頼みに来る。

 で、現地でガマ人になった父親と遭遇し、自らもガマ人になって一緒に暮らすことを決意するという人情話になっていました・・・。

 これって・・・ラブクラフトの代表作である『インスマスの影』そのままじゃん?

 確認してませんが、恐らく、鬼太郎抜きの原作があって、アニメ化する作品が少なくなったので鬼太郎を登場させて作品化した第二期シリーズ特有の展開があった中の一つだと思います。

 ちなみに、この元の話は、佐野史郎主演で『ギミアブレイク』という番組中のドラマとして製作されたことがあり、凝りに凝りまくって、異様に怖い作品でした。

 主人公が恐怖した怪物が、実は自分の正体であった・・・という絶望的な結末と、そこに漂うマゾヒスティックな変身願望・・・。病んでます!

 でも、そもそもホラーというのは人間のMっ気を刺激する分野なので、好き嫌いが割りとはっきりしますね。

 純粋にMの人か、あるいはSの人がホラー大好きになりがちです。

 後者だとアクションヒーロー系も好きっという場合が多い。つまり、怖がった後に怪物が退治される点にスキッとするタイプ。私は、こっちのタイプですね。

 Mの人向けには、クトゥルー神話や『マタンゴ』なんかがお薦め。Jホラーも、そうかも?

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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