この映画のここが凄い
モンドTVのホラー特集で、『トーク・トウ・ザ・デッド』という作品を見ました。
主演は、実写版セーラームーンでセーラービーナスを演じた小松彩夏。
もともと、人形のような端正な美少女でしたが、ちっとも美貌が衰えていませんね。こういう人はホラー映画にはピッタリ。
共演は、加藤和樹に須賀貴正・・・って、二人とも仮面ライダー俳優じゃないすか?
ここまで美男美女を揃えると、ホラーとしてもグレードが高く感じます。
お話は、死者と話せる携帯アプリを巡っての切なくも恐ろしいリリカルホラー。
いや~、何か、妙に出来がいいな~?と感心していたら、それもその筈。Jホラーの巨匠として知られる鶴田法男監督ではないですか?
特に、ラストではお約束の恐怖のオチを用いずに、ぐっとくる愛情と切なさでエモーションをかきたてて終わるところが、凡百のホラーとは格が違うな~?という感じです。
流石はJホラーの巨匠だ・・・と、クレジットタイトルを最後まで見ていて感心しましたね~。
私は、タイトルからしてゾンビ物だと思ってたんですけどね~。愛と孤独をテーマにした非常に考えさせる作品でした。
鬼母の児童虐待問題もからめてあって、この母親の憎たらしさを演じた毬谷友子が上手いっスわ~。死んだ姉弟の亡霊に復讐されるところも、むしろ、拍手したくなる。
テーマそのものは、死後の人間との通信という世紀の奇術師フーディーニが死後に妻と行ったと言われるものですが、不気味さより切なさを描き出したのは、鶴田監督ならではでしょうね?
それと、『太極ゼロ』『太極ヒーロー』・・・。
こちらは楊氏太極拳の創始者“楊無敵”と呼ばれた楊露蝉が、陳家溝で陳氏太極拳を学ぶ史実を荒唐無稽にブローアップした作品。
太極拳といえば、武当派武術の創始者、張三豊を描いた『マスター・オブ・リアル・カンフー大地無限』を思い出しますが、こちらは伝説。
『太極ゼロ』『太極ヒーロー』は史実をベースにしているので、実在人物である陳長興や、実在人物の名前を変えたキャラも出ます。
楊露蝉は、陳氏太極拳を学んで工夫を加えて楊氏太極拳を創始し、数多くの他流試合に無敵を誇ったので“楊無敵”と呼ばれますが、そこから呉氏、孫氏、武氏・・・などの各派の太極拳が広まったんですね。
ちなみに、楊露蝉以前は太極拳とは呼ばれていなかったという説もあり、この作品中でも太極拳の命名は皇帝(清朝の粛親王かな?)が名付けています。
なので、太極拳が広まると、道教の聖地である武当山に伝わる内家拳法の一つで、張三宝(仙人的な存在の人物)が創始者なのだという“仮託”が広まった訳です。
この、中国で広く信じられた仮託を覆したのは、実は松田隆智先生なんです。
松田先生が台湾で学んだ陳氏太極拳が、楊露蝉以降の太極拳の源流であるということを発表した『図説・中国武術史』が中国で無許可翻訳出版され、中国の武術史研究家の唐剛が、「これは中国人がやらねばならないことなのに、日本人がここまで調べて発表したことは大変な価値のあることだ」と評価して、陳家溝のことが知られるようになったそうですね。
無論、陳氏太極拳そのものは伝えられていたのですが、見た目に激しい発勁動作や跳躍して蹴る技なんかもあるので、太極拳とは別種の武術だと思われていたのでしょう。
恥ずかしながら中国の歴史には疎いので知らないんですが、ひょっとすると、風説の通りに太極拳とは名乗っていなかったのかもしれませんね。
知らない人がパッと見たら少林拳の一種だと思うかもしれませんから・・・。
また、『太極ヒーロー』では、ユン・ピョウが清朝皇帝の武官、李を演じていますが、この人物は、恐らく尹派八卦掌の尹福がモデルなんでしょう。
楊が八卦門の門人八人と試合する描写の最初に登場する時計屋の親父は、多分、“眼鏡程”と呼ばれた程廷華をモデルにしているんだと思います。
程はドイツ軍兵士の乱暴狼藉に激怒して刀を持って単身立ち向かい、何人も殺傷したものの一斉射撃で命を落とす・・・という、まるでリアル“ドラゴン怒りの鉄拳”みたいな義侠心の篤い人だったようです。
八卦掌は、董海川が創始して、その門下の龍虎と称されるのが尹福と程廷華です。
一般に広まったのは圧倒的に程派が多く、尹派は少ないんですが、その理由は、尹福が清朝の皇帝のシークレットサービス(武官)だったからなんですね。
その尹福の弟子では、馬貴と宮宝田が有名です。
私が研究したのは、宮氏が台湾系と大連系の二系統、馬氏、劉徳寛の劉氏六十四散手、尹氏、それから王樹金伝と王培生伝の程氏・・・ですね。
尹福系が牛舌掌と点穴が特徴(華拳をやっていたから)で、程廷華系が龍爪掌と投げが特徴(シュアイジャオをやっていたから)だと言われていますが、そんなに単純には分けられないみたいですね?
伝承者によって特徴が変わるみたいで、掌の形も様々ですね。
あ~、それと、一説に「陰陽八盤掌という拳法を学んだ董海川が改編して八卦掌と名乗って教えた」というものもあり、松田隆智先生が古流柔術史研究家の高橋賢氏と共著で出した『神秘の拳法八卦掌』に紹介されていますが、後年、松田先生に直接、質問したところ、「間違いであった(つまり、捏造された話で騙された)」と明言されていました。
八卦掌を学んだ某人物が、改編して「これが八卦掌の源流の陰陽八盤掌だ」と広めたのが真相のようです。
「え~っ? そんなのアリか~?」って思うでしょ?
そんなのばっかりですよ。武術の世界は・・・。
似たような例は日本でも今も昔もざらに有りますから、もはや私は怒る気もしませんが、この“陰陽八盤掌が八卦掌の源流だ”という偽説も割りと流通している情報で、信じている人も少なくない様子(うちの会員にも信じてた人が居た)なので、この場で改めて訂正しておきます・・・。
まあ、信じる方が世間知らずなんだと認識して、何事も疑ってかかる批判精神は必要でしょうね?
もっとも、このような伝承の混乱が起こるのは、董海川の前歴がほとんど不明であることと、実際に教えたのが走圏と、套路(型)は、単換掌と双換掌の二つだけで、それ以外は応用変化技を教えるだけだったから・・・との説もあります。
なので、基本中の基本套路である八母掌さえ弟子が作ったというのです。
そして、弟子が更にどんどん型を工夫して作っていって分派したので、中国武術史上では比較的新しい門派(流派)なのに、非常に混沌とした未整理な門派になってしまったという訳・・・だそうです。
そういえば、八卦掌の円周上を巡り歩く練習法“走圏”の元になったと言われている道教の修行法“転天尊”は、イスラム教神秘派“スーフィズム”の旋舞“ワーリング”の影響ではないか?と、松田先生は推理されていました。
中国北方にはイスラム系の武術が多くて、戴氏心意拳・心意六合拳・八極拳・翻子拳・劈掛掌・教門長拳なんかがあるそうですが、私も割りと最近、知ったんですが、中国でイスラム教を回教と呼ぶのは、旋舞の様子を見て回回(ホイホイとかフイフイと言う)教と呼んだことが語源なんだそうですね?
宗教と武術は切っても切れない関係性がありますからね~?
そういえば、『太極』では天理教(日本のとは別物)という、いわゆる秘密結社が出てきますが、中国武術は秘密結社と関係が深いですからね。
三合会(洪門会、トライアッド)、天地会、大刀会、紅槍会、哥老会、14K、青幇、紅幇、世界紅卍会、白蓮教、義和団や太平天国(蔡李仏拳が関係深い)とか・・・。
台湾や中国南方は秘密結社と関連深くて、武術家が竹連幇や一貫道(日本では天道。八卦掌の孫錫坤が伝えた)の幹部だったりして、私も会ったことあります。
黒社会の幹部だと思うと中国武術はおっかね~?となりますが、日本だって空手家や古武術家がヤクザや右翼だったりしている例はざらなんで、そんな簡単に判断できないんですよ。
ただし、そういう秘密結社系の中には現実に暗殺武術家みたいなのも居た訳で、ハチェットマンと呼ばれるそうです。
やっぱり、中国武術はコエ~な~?と思いますけど、日本の武術にも、そういう側面はある。戦前に中国に軍事探偵として送り込まれた人は武術家が多かったそうです。
秘密にして死んじゃった人がほとんどだから、日本の現代史の中でも最も不明な分野でしょうね? 研究家として調べてるんですけど、断片的にしか判らないですね~。
殺し屋の語源になったアサシンとかパンシガル(サッグ)とかの暗殺教団なんてのもありますからね~。オウム真理教も、そういうの真似したんでしょうね?
現代だと、アルカイーダやイスラム国か?
が、これはまた、別の話・・・。
映画の感想から、えらい脱線したな~(苦笑)。
主演は、実写版セーラームーンでセーラービーナスを演じた小松彩夏。
もともと、人形のような端正な美少女でしたが、ちっとも美貌が衰えていませんね。こういう人はホラー映画にはピッタリ。
共演は、加藤和樹に須賀貴正・・・って、二人とも仮面ライダー俳優じゃないすか?
ここまで美男美女を揃えると、ホラーとしてもグレードが高く感じます。
お話は、死者と話せる携帯アプリを巡っての切なくも恐ろしいリリカルホラー。
いや~、何か、妙に出来がいいな~?と感心していたら、それもその筈。Jホラーの巨匠として知られる鶴田法男監督ではないですか?
特に、ラストではお約束の恐怖のオチを用いずに、ぐっとくる愛情と切なさでエモーションをかきたてて終わるところが、凡百のホラーとは格が違うな~?という感じです。
流石はJホラーの巨匠だ・・・と、クレジットタイトルを最後まで見ていて感心しましたね~。
私は、タイトルからしてゾンビ物だと思ってたんですけどね~。愛と孤独をテーマにした非常に考えさせる作品でした。
鬼母の児童虐待問題もからめてあって、この母親の憎たらしさを演じた毬谷友子が上手いっスわ~。死んだ姉弟の亡霊に復讐されるところも、むしろ、拍手したくなる。
テーマそのものは、死後の人間との通信という世紀の奇術師フーディーニが死後に妻と行ったと言われるものですが、不気味さより切なさを描き出したのは、鶴田監督ならではでしょうね?
それと、『太極ゼロ』『太極ヒーロー』・・・。
こちらは楊氏太極拳の創始者“楊無敵”と呼ばれた楊露蝉が、陳家溝で陳氏太極拳を学ぶ史実を荒唐無稽にブローアップした作品。
太極拳といえば、武当派武術の創始者、張三豊を描いた『マスター・オブ・リアル・カンフー大地無限』を思い出しますが、こちらは伝説。
『太極ゼロ』『太極ヒーロー』は史実をベースにしているので、実在人物である陳長興や、実在人物の名前を変えたキャラも出ます。
楊露蝉は、陳氏太極拳を学んで工夫を加えて楊氏太極拳を創始し、数多くの他流試合に無敵を誇ったので“楊無敵”と呼ばれますが、そこから呉氏、孫氏、武氏・・・などの各派の太極拳が広まったんですね。
ちなみに、楊露蝉以前は太極拳とは呼ばれていなかったという説もあり、この作品中でも太極拳の命名は皇帝(清朝の粛親王かな?)が名付けています。
なので、太極拳が広まると、道教の聖地である武当山に伝わる内家拳法の一つで、張三宝(仙人的な存在の人物)が創始者なのだという“仮託”が広まった訳です。
この、中国で広く信じられた仮託を覆したのは、実は松田隆智先生なんです。
松田先生が台湾で学んだ陳氏太極拳が、楊露蝉以降の太極拳の源流であるということを発表した『図説・中国武術史』が中国で無許可翻訳出版され、中国の武術史研究家の唐剛が、「これは中国人がやらねばならないことなのに、日本人がここまで調べて発表したことは大変な価値のあることだ」と評価して、陳家溝のことが知られるようになったそうですね。
無論、陳氏太極拳そのものは伝えられていたのですが、見た目に激しい発勁動作や跳躍して蹴る技なんかもあるので、太極拳とは別種の武術だと思われていたのでしょう。
恥ずかしながら中国の歴史には疎いので知らないんですが、ひょっとすると、風説の通りに太極拳とは名乗っていなかったのかもしれませんね。
知らない人がパッと見たら少林拳の一種だと思うかもしれませんから・・・。
また、『太極ヒーロー』では、ユン・ピョウが清朝皇帝の武官、李を演じていますが、この人物は、恐らく尹派八卦掌の尹福がモデルなんでしょう。
楊が八卦門の門人八人と試合する描写の最初に登場する時計屋の親父は、多分、“眼鏡程”と呼ばれた程廷華をモデルにしているんだと思います。
程はドイツ軍兵士の乱暴狼藉に激怒して刀を持って単身立ち向かい、何人も殺傷したものの一斉射撃で命を落とす・・・という、まるでリアル“ドラゴン怒りの鉄拳”みたいな義侠心の篤い人だったようです。
八卦掌は、董海川が創始して、その門下の龍虎と称されるのが尹福と程廷華です。
一般に広まったのは圧倒的に程派が多く、尹派は少ないんですが、その理由は、尹福が清朝の皇帝のシークレットサービス(武官)だったからなんですね。
その尹福の弟子では、馬貴と宮宝田が有名です。
私が研究したのは、宮氏が台湾系と大連系の二系統、馬氏、劉徳寛の劉氏六十四散手、尹氏、それから王樹金伝と王培生伝の程氏・・・ですね。
尹福系が牛舌掌と点穴が特徴(華拳をやっていたから)で、程廷華系が龍爪掌と投げが特徴(シュアイジャオをやっていたから)だと言われていますが、そんなに単純には分けられないみたいですね?
伝承者によって特徴が変わるみたいで、掌の形も様々ですね。
あ~、それと、一説に「陰陽八盤掌という拳法を学んだ董海川が改編して八卦掌と名乗って教えた」というものもあり、松田隆智先生が古流柔術史研究家の高橋賢氏と共著で出した『神秘の拳法八卦掌』に紹介されていますが、後年、松田先生に直接、質問したところ、「間違いであった(つまり、捏造された話で騙された)」と明言されていました。
八卦掌を学んだ某人物が、改編して「これが八卦掌の源流の陰陽八盤掌だ」と広めたのが真相のようです。
「え~っ? そんなのアリか~?」って思うでしょ?
そんなのばっかりですよ。武術の世界は・・・。
似たような例は日本でも今も昔もざらに有りますから、もはや私は怒る気もしませんが、この“陰陽八盤掌が八卦掌の源流だ”という偽説も割りと流通している情報で、信じている人も少なくない様子(うちの会員にも信じてた人が居た)なので、この場で改めて訂正しておきます・・・。
まあ、信じる方が世間知らずなんだと認識して、何事も疑ってかかる批判精神は必要でしょうね?
もっとも、このような伝承の混乱が起こるのは、董海川の前歴がほとんど不明であることと、実際に教えたのが走圏と、套路(型)は、単換掌と双換掌の二つだけで、それ以外は応用変化技を教えるだけだったから・・・との説もあります。
なので、基本中の基本套路である八母掌さえ弟子が作ったというのです。
そして、弟子が更にどんどん型を工夫して作っていって分派したので、中国武術史上では比較的新しい門派(流派)なのに、非常に混沌とした未整理な門派になってしまったという訳・・・だそうです。
そういえば、八卦掌の円周上を巡り歩く練習法“走圏”の元になったと言われている道教の修行法“転天尊”は、イスラム教神秘派“スーフィズム”の旋舞“ワーリング”の影響ではないか?と、松田先生は推理されていました。
中国北方にはイスラム系の武術が多くて、戴氏心意拳・心意六合拳・八極拳・翻子拳・劈掛掌・教門長拳なんかがあるそうですが、私も割りと最近、知ったんですが、中国でイスラム教を回教と呼ぶのは、旋舞の様子を見て回回(ホイホイとかフイフイと言う)教と呼んだことが語源なんだそうですね?
宗教と武術は切っても切れない関係性がありますからね~?
そういえば、『太極』では天理教(日本のとは別物)という、いわゆる秘密結社が出てきますが、中国武術は秘密結社と関係が深いですからね。
三合会(洪門会、トライアッド)、天地会、大刀会、紅槍会、哥老会、14K、青幇、紅幇、世界紅卍会、白蓮教、義和団や太平天国(蔡李仏拳が関係深い)とか・・・。
台湾や中国南方は秘密結社と関連深くて、武術家が竹連幇や一貫道(日本では天道。八卦掌の孫錫坤が伝えた)の幹部だったりして、私も会ったことあります。
黒社会の幹部だと思うと中国武術はおっかね~?となりますが、日本だって空手家や古武術家がヤクザや右翼だったりしている例はざらなんで、そんな簡単に判断できないんですよ。
ただし、そういう秘密結社系の中には現実に暗殺武術家みたいなのも居た訳で、ハチェットマンと呼ばれるそうです。
やっぱり、中国武術はコエ~な~?と思いますけど、日本の武術にも、そういう側面はある。戦前に中国に軍事探偵として送り込まれた人は武術家が多かったそうです。
秘密にして死んじゃった人がほとんどだから、日本の現代史の中でも最も不明な分野でしょうね? 研究家として調べてるんですけど、断片的にしか判らないですね~。
殺し屋の語源になったアサシンとかパンシガル(サッグ)とかの暗殺教団なんてのもありますからね~。オウム真理教も、そういうの真似したんでしょうね?
現代だと、アルカイーダやイスラム国か?
が、これはまた、別の話・・・。
映画の感想から、えらい脱線したな~(苦笑)。
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