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詠春拳セミナー「木人」感想

 6月28日の日曜日は、いつも都内でやっている山田師範詠春拳セミナーを相模原淵野辺の本部道場で実施されました。

 何でか?というと、本部道場にはクエストさん山田師範のDVDを製作した時に購入した木人椿(モクジントウ)があるからです。

 去年は、私が買ってクエストのYさんに運んでもらって事務所に置いていたんですが、事務所がすっかり狭くなってしまったので、「そろそろ道場を何とか借りたい」と思って今の場所を見つけた訳なんですが、切っ掛けとなったのは、コレを買ったからですね?

 もし、買わなかったら、事務所で十分だと思って道場を探さなかったかもしれません。

 ちょっと無理してでも道場を借りられたのが良かったですよ。会員のレベルアップが著しくなりましたからね。

 この日は、いつも通りに日曜の稽古会をやった後で、詠春拳セミナーをやる予定だったので、山田師範も早めに来て稽古会に参加していました。

 山田師範は少し遠方なんで、定期的に稽古に通えず、うちの基本的稽古法はあまり教えられなかったんですよ。それでも、元々の実力があったのと、人柄が素晴らしかったので師範に任命した訳です。

 最近は、小塚師範と交換教授の形でうちの技や合気道も学ばれているので、動きが一般の詠春拳より柔軟で自由な感じになっていますね。

 アメリカで修行していた頃は、もっとガチガチで筋トレもやっていたそうなんですが、それでは巨漢のアメリカ人に勝てず、身体も故障してしまうので、根本的にトレーニング法を考え直したらしいです。

 筋トレに頼る人は日本人を基準に考えるから、手っ取り早く筋肉を付けて対抗しようと考えるのでしょうが、基礎体力と体格が大きく違う外国人の中で日本人が同じやり方をやっても差は埋まらないと思いますね。

 むしろ、伝統的な昔ながらの武術の稽古法を検討し直した方がいいと思うんですよ。

 そもそも、武術というのは体力体格の差を埋める技術を工夫して生まれたものなのですから、筋肉パワーに頼ることそのものが方向性を間違えています。

 基礎鍛練や基本練習も、身体作りが目的なのだと思い込み過ぎています。

 武術体の養成というのはボディビルのように筋肉を鍛えて膨らませることが目的ではないのです。武術の技を最大限に駆使することのできる身体性を養成することが目的です。

 ここのところを勘違いしている人が多過ぎますよ。筋肉を鎧のようにすればいいのだと誤解してしまっている。

 そうじゃない。硬い筋肉を身体に鎧わせてしまってはいけません!

 硬い筋肉は浸透力の無い効かない突き蹴りには耐えられるでしょうが、浸透力のある当て技には対抗できません。なまじ相手の突き蹴りに耐えられるという自信がついてしまうだけ、より危険であると言えるでしょう。

 柔軟でしなやかな、応用変化が自在な身体性を養成し、突き蹴りの打撃力を作用させないようでなければいけませんし、ましてや刃物等は受け止めてはなりません。

 その観点から伝統的な訓練法、稽古法を検討すれば、いかに優れた内容が伝わっていたか?に、気づく筈です。

 そういう観点からも、訓練内容の個々の動作の意味と使い方を実地に示して教えられるのは、山田師範の研鑽の深さだと思います。

 往々にして、伝統武術の道場では形を延々とやらせて個々の動きや形の意味は全然教えられないのが普通だったりするんですが、これでは、いつまで経っても実用の役に立たないでしょう。

 これは真摯な修行者なら誰でも悩む点なのですが、稽古のための稽古に埋没することで疑問を封じて延々と時間を潰していく道場が非常に多いのは、問題なんじゃないか?と私は思いますね。

 ぶっちゃけた話・・・教えている師範が稽古している内容の意味を知らない場合が非常に多いんですよ。

 知らないなら、教えられないのは当然でしょう?

 では、どうすればいいのか?

 知っている先生を探す・・・というのが誰もが考えるベストな方法でしょう。

 ところが、仮に知っている先生を見つけ出したとしても、その先生が教えてくれるとは限らないのです。

 これが武術の世界の特殊な事情で、難しい点です。

 昔気質な伝統武術家は総じて秘密主義で選民思想の持ち主です。金さえ払えば何でも教えてくれる・・・というような人はいないと思っていた方が良いでしょう。

 教える側の気持ちからすれば、「価値の解らない人間には教えたくない」「技能が未熟で洞察力の無い人間には教えても体得できない」「人格に問題のある者に教えたら社会に害を及ぼす」「裏切って敵対しそうな性格の者には才能があっても教えられない」・・・といった理由から、容易には教えられないのです。

 だから、教えたくなるような人間に、まず自分がならなければなりません。

 武術が礼儀をことさら強調するのも、ここに理由があります。

 私は礼儀知らずに誤解されがちなんですが、それは偽善的な武術屋を徹底批判する毒舌っぷりを、上っ面だけ見て判断する人でしょう。武術は読みを重視するのに、上っ面しか見ないというのは困ったもんです・・・。

 余談ですが、私よりちょっと若い親しい友人が、養子をもらったそうなんですね?

 子供が一人いるんだけど、もう一人欲しかったらしく、以前、東京に出張してきた時に、「実は養子をもらうつもりなんだ」と打ち明けてくれていたので、特に驚きはしなかったんですが、考えてみたら、その子が成人した時に彼は70歳くらいになってしまう計算で、年齢的にもギリギリだと思ったんでしょう。

 私は養子どころか嫁さんもらうのも(経済的に苦労するのが目に見えているんで)できませんが(だから、せめて猫、飼いたい!)、あいつは偉いな~と思いましたよ。

 武術も、単なる格闘の技術じゃなくって生き残りの技術と知識と考え方を総合的に伝えるものなので、研究が進めば進む程、伝えるべき内容が膨大に膨らんでいくんですね。

 山田師範の詠春拳もまた、形、動作の一つ一つの意味を探りながら稽古法に還元させて伝えていく・・・というのは、非常に学術的な身体運動の教授であって、単純にフィジカルな運動を繰り返せばいいというものではないな~?と、見学していて思いましたね。

 それにしても、木人を使った訓練法の多彩な意味を解説しながら教えられる山田師範が、うちの会に入ってくれたのは有り難いことだと思いました。

 単にオブジェと化していた木人が、購入して初めて、その真価を発揮し得た! そのことも有り難いことだと思います。

 イサミさん本社のテナントで何年も埃を被っていたままだという木人が初めて雄々しき姿を顕現したのです!

 同時に三人が練習できる独立式木人!

 初めて見た時は、『宇宙船ビーグル号の航海』に登場する宇宙生物イクストルか?という異形の姿に見えましたが、この日、誕生以来の晴れ姿を見せて、カンカン・バシバシ!と打たれ続けたのです!

 私の脳裏では、『少林寺木人拳』のテーマ曲が鳴っていましたよ~? 私、いまだに肉マン食べる時に表面の皮をむしって食べる癖がありますよ・・・。

 良かった良かった・・・。

 次はまた秋に、ヨロシク!


PS;『戦闘理論』のジャケットが無くなっていて、ジャケ無しケースで送っておりますが、御了承ください。『続・合気の応用』も宜しくお願いします!

PS2;鈴木崩残先生が御自身のブログにてお返しのコメントを書いてくださいました。私、パソコンで見れないので友人にDVDプレーヤーで見れるようにしてもらって見たんですが、無心剣での神業!には驚きましたよ。技術を超えた神業の話はよく聞きますが、手裏剣だと結果が一目瞭然なのが有り難いですね?

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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