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林邦史朗先生御逝去

 日曜日の稽古の時に、北島師範、小塚師範から、「林邦史朗先生が亡くなられました」と聞き、一瞬、我が耳を疑いました。

 まだまだ、かくしゃくとされていると思っていたからです。

「長野先生のことだから、ブログで書かれると思ったんですが・・・」と、二人とも言います。

 NHKではニュースで出たそうなんですが、私は知りませんでした。

 うちは読売取ってるんですが、確か、読売の朝刊には出ていなかったと思います。

 NHKの大河ドラマや時代劇の殺陣師として、その方面で第一人者なのですから、載せてよさそうなものですが・・・。

 最近も、武劇の舞台をされていらして、案内を頂戴したんですが、私は用事があって行けなかったので、小塚師範が代わりに見に行き、素晴らしい内容だったと言っていたんですね。

 だから、まだまだ、御活躍されるものとばかり思っていたのですが、今年の六月頃には体調を崩されて闘病生活だったのだそうですね?

 私は、随分、昔になりますが、北区の北トピアで開催された櫻公路一顱先生没後20周年演武会の時に招待演武で試し斬りを披露され、「引き斬り、押し斬り、叩き斬りの別があります」と、実演しながら解説されたり、散らばったマキワラの切れっ端を、「汚した者の責任ですから・・・」と、自ら掃除されてみたり、実にチャーミングな演武を見せてくださったのを、今でも、くっきりと思い出します。

 確か、20年以上は昔だったと思いますね~?

 その後、甲野氏の古武術ブームの時に、取材依頼を受けたのが切っ掛けで学研の古武術ムック本を手伝った時(私が企画したと誤解されていますが、編集サイドが武術にまったく知識がなかったので、私がスーパーバイザー役を努めただけなんですよ)に、取材先の選定を相談されて、「普通の古武術の先生は説明下手な人が多いから、殺陣師だけれども古武術に詳しい先生だから・・・」と、林先生を推薦したんですね?

 もっとも、この時点で、私は林先生とは面識がありませんでした。仲のよい出版社の社長さんが親しかったのを後で知り、紹介してもらえば簡単だったのに・・・と思いましたけどね。

 このムック本の時は、本当に大変でしたよ~。「武術は専門知識がないと書けないから、私は元々がライターなんで、なんだったら取材して書くのもやりますよ~」と、冗談めかして言っていたら、7割くらい自分で書くハメになってしまったんです。

 ライターが足りないと言うので、私が知ってる中で最も武術に詳しいライターを指名したりしましたね。

 普通の武道や格闘技なら書けても、中国武術や古武術となると、書ける人間が極端に少なくなるんですよ。多分、数人しかいないでしょうね?

 私が武術研究の第一人者だ!と豪語できるのも、競合相手がほとんど皆無に近いからなんですよね~(苦笑)。

 まあ・・・そんな次第で、取材日当日の早朝に電話かかってきて、林先生の取材に行ってくれってことになったんですよね~。

 その日は午後から天然理心流の取材に行くことになっていたので、「そっちは誰か代わりに行くんですか?」と聞いたら、「いや、それも長野さんが行ってください」って言うので、ハアア~ッ?って思いましたけどね~(苦笑)。

 そんなこんなで、林先生の道場のある朝霞に行きました。

 初対面の印象を書くと、正直、ちょっと取っ付きにくいかな~?と思いました。お忙しい中を無理に時間を取ってくださっていたらしく、ちょっと不機嫌だったと思います。

 一緒に同行した編集者も、急遽、助っ人を頼まれたのだそうで、何を聞けばいいのかわからなかったそうなんですが、いきなり、「ナンバって何ですか?」と、当時、甲野氏の説で一気に広まってしまった誤説を質問したところ・・・

「そんなの知らね~よっ!」と、吐き捨てるように言われて、私は(あっちゃ~? そんな嘘話を聞くなよ~・・・)と思いましたね~(苦笑)。

 しかし、いろいろ実演していただくうちに、熱が籠もってきた林先生は、「ほら、殺陣の教本を書こうと思っているんだよ・・・」と、草稿を見せてくださいました。

 このムック本の仕事に携わった中で、最も勉強させていただいた取材体験でしたね。

 それから何年か後だったと思うんですが、TV関係者から電話で問い合わせがあった時に、「武道家を出すより、TVの事情を知っている殺陣師で武道について研究している先生を出した方がいいですよ」と応えて、林先生を推薦したことがありました。

 それで、実際に林先生が出演されているのをTVで見た時は、やっぱり正解だったな~と思いましたね。

 私が最後に林先生にお目にかかったのは、小塚師範と一緒に、ジャパン・アクション・アワードの第一回を見に行った時でした。

 その時は、新宿歌舞伎町で開催されていたと記憶しますが、終わって帰る道すがら、前方を着物姿で一際異彩を放っている人物の後ろ姿が見えました。

「あっ、林先生だっ!」と思った私と小塚師範は、「ここは御挨拶しよう!」と、小走りで林先生の横に並び、「林先生! 御無沙汰しております。御記憶でないとは思いますが、私、以前、古武術の本の取材で先生にお目にかかったことがある者です・・・」と、名刺をお渡ししました。

 すると、うっすら思い出していただけたのか? ニコッと笑って、二言、三言、言葉を交わしていただきました。

 夜の新宿を颯爽と歩いて行かれる林先生の後ろ姿の映像を、私は今でも思い浮かべることができます・・・。


 林先生の偉いところは、お弟子さんを育てて独り立ちさせていかれたところだと思いますね。

 狭い業界だから、仕事の取り合いにもなりかねないでしょう?

 武道の世界だったら、潰し合いになったりするんですよ。

 ハリウッドで活躍されている小幡利城氏や、斬心塾の東郷秀信氏、最近はNHK時代劇の殺陣もよく担当されている車邦秀氏がおられます。

 俳優では、高橋英樹さん、滝田栄さん・・・と、それこそ無数の方々が林先生に殺陣のイロハを習われています。

 武道武術に関しても、柳生新陰流、太極拳、琉球古武術、養神館合気道・・・等々を幅広く学び、研究されています。

 林先生自ら俳優として出演された時には、棒手裏剣を二本手の内に持って、一打で二本同時に打ってみせたりされていましたね。

 ここ最近は、TVで高橋英樹さんや松方弘樹さんと共に殺陣について実演解説されたりしていましたが、お元気そうだったので、まさか、こんなに早くお亡くなりになられるとは、夢にも思いませんでした。

 実を言えば、もう一度、取材にうかがって殺陣と武術に関してお話したいな~と思っていたんですよ・・・。

 殺陣師で、あそこまで武道武術も研究されていたのは、本当に、唯一無二の先生だったと思うので、実に惜しい。本当に残念です。

 二代目を継承された御門人の方がおられるそうなので、是非、御活躍されるよう、お祈りするばかりです。

 合掌!

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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