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武術と武道

 今年最後の月例セミナーは忘年会も兼ねてやりますが、過日、実施した『武術極意特別講習会』(発勁・合気・交叉法・読み・縮地法等々)の様子を収録したDVDも販売しますので、皆さん、ボーナスの出た方は買ってくださいね?

(期間限定にしようか?と思っています。案の定、既に無言電話とか嫌がらせが来はじめていますから・・・。まあ、何十万も取って教えて・・・いるフリしてるところもあるから、そういう先生にとっては死活問題でしょうね? 「何だよ、こんな簡単にできんのかよ? 金返せ~」となる・・・)

 ところで、久しぶりにBS・CSで極真空手の大会を見てみたら、「すげぇ~な~。いや~、こんな人達とまともに闘ったらボッコボコにやられるな~?」と、怖くなりましたね~(苦笑)。

 もうね~、アイアンマンが殴りあってるみたい・・・。

 こんな強靭な身体の人達を相手にしたら、ハンパな突き蹴りは通用しないでしょう。

 後が怖いけど、私がこんな人達と戦うハメになったら、いきなり全力百パー発勁ぶちかますしか勝てる見込みないな~?と思いました。それで倒せなかったら、勝ち目無い!

 今、テレ東深夜にやっている『ワンパンマン』見てると、やっぱり圧倒的な破壊力のある必殺パンチさえあれば、強いの弱いの関係ないよな~?と、妙に納得しました。

 結局のところ、私は松田隆智先生と同じ考え方になってしまいましたよ。

「絶対に倒せる突きと、絶対に当てられる招法。突き詰めれば、これだけだと俺は思ったんだよ。それから、ずう~っと修行してきたけど、この考えは変わらなかったな~」って、言われていましたね。

 ちなみに、文章にする時は、「“俺”じゃなくて、“僕”って書いてね。松田隆智は偉そうだって言われちゃうから・・・」って言われていたんですが、もう、構わないでしょう?

 やっぱ、目指すは一撃必殺! これしかないっ!

 で、それには発勁が一番合理的かな~?と私は思っています。

 陳家太極拳、形意拳、意拳、詠春拳、白鶴拳、八卦掌、通背拳、劈掛掌、心意六合拳・・・等々といった、いろんな門派の発勁と、那覇手、首里手の沖縄空手、沖縄剛柔流、上地流、松濤館流、和道流、といった伝統空手、極真、芦原、正道、無門會等のフルコンタクト派空手の突き技、少林寺拳法、日本拳法、不動禅少林寺拳法等の突き技、合気道、戸隠流忍法、竹内流、柳生心眼流、真(心)極流、天神真楊流等の当身技を比較研究してきましたが、こと“威力”に関しては、八極拳の肘当てが一番だと思います。

 一撃必倒の突き技を求めて開発された新体道の一本拳も、一点に全身の推進力を集中するから効く訳ですが、八極拳の肘当ても肘先一点に、沈墜勁(重心落下による反力)・十字勁(上下左右に開く力)・纏絲勁(全身を捩り繋ぐ連動力)の合力を集中するんですね~。

 人間って本能的に解るんだな~?と思うのは、この技、ちょこっと触れただけでも、相手が顔面蒼白になって引き下がってくれるんですよ。

 私も試しに会員に寸止めでやらせてみたら、ゾゾゾーッ!と悪寒がしました。「これ食らったらヤバイ!」って思いました。昔、会員同士が事故で当たって、目開けたまま失神してました。死んだかと思った・・・。

 ほとんど同一原理の当て身を柳生心眼流がやりますけど、鎧の上から当て殺すと言われる心眼流の当て技は、空手やボクシングよりも中国内家拳の発勁に近いですね。

 私は佐藤金兵衛先生系(鈴木専作先生系?)の心眼流をちょこっと習っただけですけど、古武術は本当に叡知の固まりだと思います。

 いやいや、空手でもムエタイでもレスリングでもボクシングでも、古くから伝わっている武術格闘技には、余人にはうかがい知れない深い教えが隠されているものです。

 現代のスポーツ競技化された形態の中で失われてしまっただけなんですよ。

 もちろん、競技化によって発展する部分も少なくありませんが、やっぱり、目的によって技は変わりますからね?

 試合だと目付き・金的・噛み付き・関節折りは無し・・・とかなりますよね? それは殺し合いに発展しないための処置です。

 しかしながら、武術は本来、殺し合いに勝ち残るために工夫されたものです。目的が全然違う以上、技も戦法もどんどん変化していくんです。

 古い武術を習うと、最初は隠して、上の段階になって徐々に教えられますが、技の中心は人体の効率的破壊の仕方なんですよ。

「柔術は殺さないで制する技が中心になっている」・・・と思っている人が多いかもしれませんが、“日本刀で斬る”という絶対的殺法が大前提になっていることを忘れてはいけません。

 実際に柔術の極意は“殺活自在の当身技”ですからね。

 先日、個人指導に通ってきている元・気の研の指導員だったIさんに拳の形の変化に応じて使い方が変わることを教えたんですが、極真空手の本で大山先生が解説していたと言うのですが、それは紹介されているだけで具体的な使い方まで細かく解説されている訳ではないんですね。

 試しに書いてみましょうか?

 正拳・中高一本拳(竜頭拳)・鳳眼拳・集約拳・拳槌・平拳・虎爪拳・拇指拳・骨法拳・把子拳・指針拳・鶏嘴拳・鶏口拳・蟷螂手・酔杯手・月牙杯手・虎口拳・手刀・背刀・掌底・陽掌・陰掌・・・え~っと・・・わかります?

 これらは武術で用いる手の形なんです。んでもって・・・

 直突き・追い突き・裏拳打ち・拳槌打ち・縦拳突き・手刀打ち・背刀打ち・二度突き・連突き・崩拳・鑚拳・炮拳・横拳・劈拳・馬形拳・虎形拳・虎撲・交叉突き・螺旋突き・
・・うわ~ん・・・キリがないよぉ~・・・。

・・・って、これが具体的な技ですね。これを連続写真撮って本で解説してみてごらんなさい? 百科事典みたいなの量産できますよ~。

「長野が書いてるのは基本的なことでしかない」なんて批判する人もいるんですが、「じゃあ、オメーが書いてみろよ」って言いたくなりますよ。いかに大変なことか知らないから、そんな偉そうなこと言えるんですよ。

 いいよな~、“無知”って、気楽だから・・・。

 そんな具合なんで、本に書かれている内容は、大体、1/10以下だと思ってくださいね。本気で解説したら、手技の使い方だけで本の一冊や二冊は書かなきゃいけなくなるんですよ。

 でも、それは中級以上(大体、三段以上)の実力のある人でないと解説しても理解できないような内容なので、本に書くとすれば師範向けの専門の技術書でないと書けません。

 そういう内容になると、せいぜい1000部くらいしか売れないので、労力に見合った収入が望めないので、私は当面、書く気はないです。いつも言ってるように、私が本書いてるのは生活費稼ぐのが第一の目的ですから。

 その点、DVDなら比較的、簡単に細かい点まで説明できます。自主製作し続けているのも、それが理由です。


 さてさて、恐らく、知ってる人は万に一人もいないと思いますが、日本柔術で当身と同等以上に敵を確実に制圧する技としては絞め技を重視しています。

 首を狙うのは野生動物でも同じですね? 急所を「ネック(首)」と言うでしょう?

 猫も後ろ首摘まむとおとなしくなりますよね?

 游心流も敵の首を狙う技が多いです。簡単確実に敵を倒すには、そこを狙うのが一番効率がいいからです。

 目・喉・金的を狙い、肘や膝を折る技も多い。

 効率良く倒すには、そうするしかない。

 しかし、これでは競技試合はできません。防具を装着してやろうとしましたが、浸透する威力の出し方を研究しているので、防具が意味が無くなってしまい、結局、自由組手や試合は危な過ぎるからやめました。

 古い武術が、どうして型稽古オンリーなのか?という意味が、はっきり解りましたよ。


 よく、「自由に打ち合わないで、どうやって強くなれるんだ?」とか批判されたりするんですが、武術は前提として“強さ”を求める訳じゃないと思いますね。私も、もう強くなろうという願望は無いです。

 そもそも、50過ぎたオッサンが「強くなりたい」って言っていたら、単なる阿呆にしかならないでしょう?

 久しぶりに極真空手の試合を見ていて、やはり50過ぎて、ああいう闘い方をやっていたら若い人にボコボコにされて大人のメンツ丸潰れになるだけだと思いました。

 やってる人達だって悩んでる筈だと思います(そういう人がうちに来る)。

 年とったら、まともな闘い方をしちゃ~ダメですよ。まったく違う戦い方をしなくちゃダメです。やっぱり、若いヤツにいいように弄ばれて、「オッサン頑張るね~」とか言われるようになったら、男子一生の恥です!

 70になっても、「若いもんは元気がええのぅ~」とか弄んであげなくちゃ~ダメ!

 素手のパンチやキックを筋肉の分厚い箇所で耐えられても、顔面や関節や股間、腋の下なんかでは耐えられないでしょう?

 試合を見ていても、突きが流れて顔面に当たって、ダウンするシーンがありました。あんな鋼鉄のような身体に鍛えている人間でも、急所に当たれば一発で倒れてしまうんですね。

 武術で狙うのは、“鍛えても耐えられない箇所”なんですよ。で、「危険だから狙わないようにしよう」と決めて闘うのでは、もう技が無くなるんですよね?

 だから、意味がないんですよ。武術は“構造的に競技に向いてない”んです。この点をきちんと理解しなければなりません。

 冷静に考えれば解る筈です。

 一般に、競技スポーツで活躍している人達は20歳前後でしょう? 20代後半から、もうベスト・パフォーマンスを維持できなくなってきて、30歳前後で引退するのが普通じゃないですか? あの羽生君だって、10年後に現役世界チャンピオンでいられる可能性は少ないでしょう。

 そこから考えると、うちの会員で競技試合に対応できるのは二人しかいません。50くらいで挑戦しようとしている人もいますが、負けも前提で経験を積むつもりでないといけないと思いますね。

 女子のキックボクサーで高校生ですか? テレビ番組で紹介されていたのを見ましたが、凄い見切りが上手くて、下馬評ではとても勝てないと言われていた格上の相手選手のローを脚を引いて空振りさせたり、ミドルを蹴ってくるのに合わせて前蹴りでストッピングしたり、交叉法を駆使したような闘い方で感心しました。モーションも非常に少なくて、あれは避けにくいだろうな~?と思いました。

 一種、武術的な闘い方だったので感心しましたが、彼女に指導したトレーナーが優れていたということかもしれませんね?

 無論、無理して競技化している武術団体もあります。

 けれども、こう言っちゃ~悪いんですけど、「そういう闘い方するんなら、フルコンタクト空手や総合格闘技の方が遥かに洗練されているんじゃ~?」と思うんですよ。

 結局、目的に沿って発展するのは何でも同様なんであって、競技試合に勝つのが目的なら、それに沿った練習をすればいいし、私のように武術の実戦を考えるのなら、それに必要な練習をするのが当たり前だと思う訳です。

 特に、私は護身術としての武術の可能性を一番に考えているので、“肉体的に弱い者でも遣えて屈強な敵を一撃必殺にできる術技”を理想にしている訳です。

 もっとも、先日、気功を教えている会員に施術してもらったら、私はアスリート・タイプなんだとか? 彼も意外だったそうですが、筋肉の反応が一番出たそうです。若い頃に相当、鍛えていたからな~? 初めて会った人も、私が意外にゴツイから驚いたと言われたりするし・・・。

 でも、いくら鍛えていたって50過ぎたら筋力には頼れないですよ~。明治時代だったら爺さんの部類ですからね~? 平均寿命が43歳だったって話だし・・・?

 そう考える場合、一番簡単なのは、武器を遣うことですよ。

 より効率良く敵を粉砕できる武器を遣う!

 素手の武術は、そういう“武器が無い状態で戦う”ことを考えて工夫されたものだと思います。素手の技から発展して武器術が工夫されたんじゃなく、武器が無い場合に仕方なく素手で戦うことを考えて工夫された・・・。実は、順番が逆だったと思いますね。

 どうして、こう考えるか?というと、武術は“実用一点張り”で、「何やっても勝ちゃ~いいんだよ。勝てないなら逃げればいいんだよ」という考えなのに対して、格闘技には勝負そのものを楽しむ遊戯性・娯楽性があるからです。

 弓術、槍術、剣術なんかは狩猟から発展して部族同士の戦いに用いられていったのに対して、角力は力比べから始まって、軍事の基礎訓練、祭礼の催しなどになりました。

 これは世界中のどの地域でも同様のようです。

 そもそも、競技という形態は遊戯性、つまり、ゲーム性を含みます。西洋のスポーツが、軍事訓練から発展した体育であることを考えれば納得されるでしょう。

 チェスや碁、将棋といったゲームも軍事戦略シミュレーションが源流でしょう?

 しかし、武術は兵法から発展して平法になったもので、本来、ゲーム性は感じられません。一貫してスポーツとは同化していないのです。

 現代武道は、明治維新と、第二次大戦の敗戦という二回の欧化政策によってスポーツ化されて誕生しました。昭和の時代までは、まだ武術的精神を持つ先生がざらにいましたが、現在ではかなり少なくなってしまいました。

 武術的発想そのものが平和な時代には必要が無いと平気で口にする武道家さえいます。

 本当にそうでしょうか? 私はそうは思いません。

 平和な時代にあってこそ、突如現れる戦乱に備えて心身を準備しておくのが武術なのだと思います。

 不幸なことに、世界は21世紀になって再び戦乱に塗れようとしています。これは日本も例外ではいられないでしょう。しかし、平和に慣れ過ぎて戦う術を失った日本人が命懸けで戦うことなんかできるとは思えません。

 戦って殺されるより降参すればいい。殺されるために戦ってはいけません。生き延びてさえいれば、挽回するチャンスは必ず巡ってきますよ。

 戦後70年・・・東京大空襲の話を聞いていると、空爆されている国の人達のことを思います。どっちが正義で、どっちが悪か・・・確かな悪は“暴力で人を殺す”ことです。

 武術も武器も、暴力から命を護るために生み出されたものだという認識を忘れてはいけないと思いますね・・・。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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