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三月伸筋技法感想

 三月の月例セミナーは“伸筋技法”でした。

 伸筋の働きについて初めて解説したのは、確か、亡くなられた吉丸慶雪先生だったと思います。

『合気道の科学』という本だったと思いますが、二十数年前に出された本だったと記憶しています。

 それ以前に伸筋の働きについて述べている武道本は無かったように思いますね。

 伸筋を使うのが合気の技の基本原理であるということが書かれていたと思うんですが、その後、シリーズ本の『発勁の科学』でもさらに理論が進められて“透徹力”という言葉も造られていました。

 このシリーズによって影響を受けた武道関係者が、「屈筋の力を抜いて伸筋の力を使うのが本当の脱力技法なのだ」という仮説を信じ込んでいる例が非常に多くて、私の説に反論する人もほとんどこの説を根拠にしているようでした。

 ですが、吉丸先生自身、後年の著作では伸筋技法が合気の本体であるという考えは間違っていたと訂正されていたように思います。

 この辺りは甲野氏が私の批判によってナンバ説を「誤解されて広まった」と言い訳していたのも思い出しますが、吉丸先生は純粋に研究が進んで自説の欠陥に気づいて訂正されているように感じました。

 が、相変わらず、昔の説を鵜呑みにして論じる人が多いようです。

 無論、私も仮説の域を出るものではありませんから、自説が正しいのだと主張するつもりはありません。

 ただ、伸筋技法を綿密に分析していけば、その発展上に脱力技法が新しく定義されないと理解できない面があるという点は主張しておかないといけません。

 何よりも、伸筋を使いさえすれば万能に効くかのように勘違いしている人も少なくありません。

 ですから、今回は、まず、伸筋技法の具体的なメカニズムについて解説し、次に技術上の欠陥についても触れました。

 つまりは、伸筋技法を理解してもらった上で、その“破り方”も指導した次第です。

 と、こう書けば、「えっ? 伸筋技法を破る方法なんかあるのか?」と思った方もおられるかもしれません。

 いつも書いているように、万能の技なんかあり得ません。技のメカニズムが解析できれば破り方の一つや二つは工夫できて当然のことです。

 その一つが、閉気栽脈法と呼ばれるものです。

 詳細は実際に教えないと理解できないと思いますから省きますが、ヒントだけ書けば、“繋がりを分断する方法”です。

 無論、他にもやり方はいくつもありますが、雑多な対処法をいくら覚えても瞬時に応用できなければ無駄なだけです。

 重要なのは本質、原理を理解すること。

 そうすれば対処法はいくらでも工夫することができます。現に私はこういう破り方は誰にも習っておらず、技の原理を分析することで理論的に工夫していったのです。

 こういうのはトンチと一緒。

「日本刀は刃筋が真っすぐ徹ることで切れる」というなら、「じゃあ、刃筋が少しでも曲がったら切れないんだな?」という具合に考える。

 システマのミカエル・リャブコ先生の無刀取りのやり方が、そのようにやっていましたね? 原理的に対処すれば技なんか千変万化でアドリブ対応できるんですよ。

 技を量的に考えるのではなく質的に観察し、分類し、原理で分析する・・・。

 そうやっていれば、見ただけで技を盗んだり、破り方を工夫したりなんてことは少しも難しいものではありません。

 難しいと感じるのは、武道の雑誌や本で「非常に難しいもので正当な師について何年も修行しないと体得できない」みたいなタワ言を読んで洗脳させられているからですよ。

 冷静にメカニズムを理解して手順通りにやれば大抵の技は特に難しくはありません。

 今回は、初っ端で合気揚げからやったんですが、参加者の何人かが「合気揚げは脱力技法でやるものだ」と思い込んでいたらしく、面食らったと感想を言われていました。

 私は脱力技法のほうが簡単だし応用性が高いから用いていますが、いつも言ってるように、脱力技法ができれば伸筋技法はより簡単にできる訳です。

「そんな筈はない! 私は何年も必死に練習しているがなかなか体得できない。長野は嘘つきだ!」と言う人もいますが、それは、その人が技の原理を理解しておらず、無駄に力む癖があってできないだけ?だと思います。自分の基準で他人を評価してはいけません!

 はっきり言って、要するに、“下手糞”なんですよ。

 実際、長年、武道をガムシャラに続けてきた人ほど力み癖が抜けずに恐ろしく不器用である例を腐るほど見てきました。

 で、自分がいつまでもできないものだから、大して努力しない人間が体得できる筈がないのだ!と思い込むことで、自分の無能さをごまかして自己憐憫に陥っている訳です。

 こういう人は一生、下手っぴのまま段位だけ求めて終わるのでしょうか?

 あるいは、有名な先生に習っていることに自己満足して自分を高める努力を放棄している人も最近はよく見かけます。殴り合いの喧嘩一つしたこともないのに自分が武術の遣い手にでもなったかのように錯覚しているような人達です。

 こういう自惚れ馬鹿も非常に多い。何だか増えてきているような気もします。

 しかし、真面目にやっていながら上達できないのは本人の責任ばかりとは言えません。

 やはり、教える人の怠慢であったり不勉強であったり、それこそ無能であったりする場合もあるでしょう。

 これは、私が研究家として頑張る以外に改善の具体策が無いような気がします。

 本当に優れた武術の指導者を何人も育てて、教育システムを確立するしか有効な対処法を考えつきません。

 私自身は見習うべき優れた先生方に何人も出会うことができました。本当に武術に関してだけは世界一幸運な人間だと思っています。

 まあ、ダメな人もいましたが、ダメはダメなりに反面教師と考えればいい訳です。「こういうことやっちゃ~ダメなんだな?」と教えてもらったと思えば、感謝もできます。

 一番、大切なのは見る眼を養うことです。

 それさえできれば、道を誤ることはないと思いますよ。

 話は変わりますが、最新DVD『交叉法』、かなり評判が良くて有り難いです。合気道、空手道、柔道、システマ、ジークンドーなどをやっている方から「参考になりました!」と感想を頂戴しました。

 ありがとうございます!

 今後も本当に役に立つDVDを作っていきたいと思います。


PS;20日の本部稽古はお休みします! 横浜支部主催で熱海で合宿してきま~す!
普段、教えられないこともバンバン教えようかな~?と・・・。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
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