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ヒルナンデス!が道場へ

 さて、放送も終わったので、情報解禁しましょうね?

 3日の日曜日に取材に来られたのは、日テレ「ヒルナンデス!」のADの方でした。

 水曜日に“コストコ”の商品を紹介する中に、何故か?“木人椿”があったそうですが、これ、一体全体、何の道具でどう使うものなのか判らない・・・。

 それで、多分、ネット検索したら私のブログがヒットしたんでしょうね? 木人拳を使っている映像を撮らせてくださいというメールが事務局に来た訳です。

 最初はこちらで映像撮ってメールしますと応えたんですが、素人が撮ると映ってはいけないものが映ってしまったりして問題が起こる場合もありますからね。直接、道場まで撮りに来たいということで、日曜日の午前中に来てもらった訳です。

 当日は毎年恒例のお花見会を予定していたので午前10時に指定させてもらったんですが、業務用の大きなビデオカメラと三脚を抱えて、小柄な可愛らしい女性が独りで来られたので、ちょっと面食らいました。

 私、映像関係の知人も多いので、少しは知っているつもりなんですが、TV番組で紹介する映像は膨大にある訳で、大量に撮影した中から使うのは秒単位なんですよ。編集はディレクターがすると思いますが、素材映像はADが駆けずり回って集めてこなくてはならないでしょう。

 何か、うちの道場は都心からはちょっと遠いし、駅から歩いて14分でしょう? まさか業務用の大きなビデオカメラと三脚持参だとは思っていなかったんですよ。

 まあ、ごっついオッサンだったら別に何とも思わなかったでしょうが・・・。

 コストコで売ってる木人椿を「これは一体、どう使う道具なんでしょうか?」とクイズみたいにするんだろうと予想していましたが、そういうことだったみたいです。

 木人椿は小塚師範山田師範からマンツーマンで習って、しっかり覚えているので、彼にやってもらいました。

 一回目は型通りやったんですが、どうも、地味過ぎて面白くないな~?と思ったので、「小塚さん、型通りでなくていいからチェーンパンチとかも入れてやってみて」と注文しました。

 放送されたのは、そっちの方だったと思います。

 私は、10年前くらいだったか? TBSラジオの小堺さんの番組に一回出たことがある外は、田中泯さんの白州ダンスフェスティバルに最初に参加した時に芸術劇場の取材で少し映ったことがあるくらいで、何故かTVとは縁がありませんでした。

 ファイティングTVサムライのビデオ紹介コーナーに採り上げられたことがあったそうなんですが、私は見ていません。

 そういえば、格闘SRSという番組に一度、出る寸前までなったことがあったんですが、直後に番組が終了してしまいました。

 その他、TVからの問い合わせは何回かありましたね~?

 ニュース番組で「キム・イルソンの“縮地法”について教えてください」というのと、「お友達が元SAT隊員だったそうですが、連絡つきませんか?」というのがありました。
 あ~、そうだった! 断ったこともありましたよ。

 夜中に電話かかってきて、いきなり「真剣白刃取りできますか?」って聞かれたので、うわっ、頭のおかしな人か?って思ったら、某制作会社のADの人で、深夜番組で芸人相手に真剣白刃取りやらせようというものだったみたい?

 これは、失敗して大恥かくところを全国放送されて俺の武術人生にピリオド打たれるかもしれん?と思って、「そういうのは殺陣師に依頼した方がいいですよ~」と答えたんですが、「じゃあ、殺陣師を紹介してください!」と・・・、何か頭のネジの緩い方なのかな~?と思いましたね。

 今だったら受けても良かったと思うんですけど、当時はそこまで自信が無かったので。

 ちなみに、岩槻映画祭の時に、つばさ基地の岩下さん、下田さんに「ヒルナンデス!の取材がある」って言ったら、「ヒルナンデスは凄いっ!」って言われました。

 秋本先生も、しょっちゅうTVに出てるイメージがあるんですけど、やっぱり私みたいな素人にお呼びがかかるのは珍しいのかもしれませんね?

 別に私、ナルチシストじゃないんで、TVに出たい訳じゃないんですけど、作家としてヒットメイカーになるには知名度が上がるのが一番で、そのためにはTVに出るのが一番の早道であることは自明でしょう。

 だから、一時期、TVのお呼びがかかると有り難いのにな~?と思っていたんですよ。

 しかし、TVに出た武術家が、笑い者にされたり、奉られて自分を見失ってしまう様子を客観的に見ていて、「いやいや、うかつに出たらマズイぞ・・・」と思うようになった矢先だったんです。

 今回は、そんな大事(おおごと)じゃなかったんで助かりました。

 え~っと・・・取材の時に「木人椿の説明の参考にしてください」とお渡しした文章を再録してみますので、御笑読ください・・・。



◇木人椿(もくじんとう)について
長野峻也

 木人椿は、中国南方の武術門派、白鶴拳(はっかくけん)、洪家拳(こうかけん)、詠春拳(えいしゅんけん)、蔡李仏家拳(さいりぶっかけん)などで用いられる錬功(トレーニング)器具で、胴体と頭を模した木製の円柱に、手足を模した枝のような突起が取り付けられたものです。

 門派(もんぱ・日本でいう“流派”の意味)によって独自の工夫を施されて多少の形の違いがありますが、最も有名で欧米で普及している木人椿は、詠春拳が用いる物です。

 詠春拳は、日本ではほとんど普及していませんが、欧米では太極拳の次に広く普及している門派として有名です。

 なぜなら、『燃えよドラゴン』で世界的なアクション・スターとなりつつも謎の死を遂げたカリスマ武術家であるブルース・リーが学んだ門派であり、非常に実戦的な中国拳法として有名になったからです。

 映画でのブルース・リーは、駒のように回転しながら連発する廻し蹴り、後ろ廻し蹴りの見事さに注目しがちですが、彼は映画俳優である前に自らを武術家と認識しており、中国拳法のみならず、ボクシング、レスリング、フェンシング、タイの国技ムエタイ、韓国のテコンドー、合気道、ロシアのサンボ、フランスのサファーデ、フィリピンのカリ・エスクリーマ、インドネシアのペンチャック・シラットなどまで貪欲に研究し、「映画で見せるアクションと実際に戦う技術は別物である。実戦では高い蹴りは出さない」と言っていたと伝えられます。

 そんなストイックに実戦武術を探究していたブルース・リーは、生涯、詠春拳の伝統的な訓練だけは欠かさなかったとされます。

 だからこそ、欧米のブルース・リーによって中国武術に目覚めた人達は、詠春拳を学びたがり、独りで練習できる木人椿を入手したがったのでしょう。

 ちなみに、詠春拳の創始者は女性であったと伝わります。

 厳詠春という名前で、父親は少林寺(有名な嵩山少林寺のことではなく、伝説的な存在の、南方に在ったとされる少林寺のこと)の出身で、清王朝に寺が焼き打ちされたことから反清復明(はんしんふくみん・清を滅ぼして漢民族の国であった明を復活させようという革命思想)の誓いをたてて野に下り、革命の闘士を育てるために武術を教えた中の一人だったとされます。

 しかし、女性である詠春には筋骨を鍛えまくる少林拳が合わず、今ひとつ上達できない苦悩があった。そんな時に川で洗濯していると一羽の鶴が飛んできて洗濯物をくわえたりして邪魔をするので、持っていた竹竿で追い払おうとしたところ、羽根を巧みに使っていなしてしまう・・・。この鶴の羽根の動きを拳法に採り入れたらどうか?と直感した詠春は、詠春拳を完成させた・・・という伝説です。

 ほとんど同種の伝説が白鶴拳にも有り、実際に白鶴拳と詠春拳は原理的に共通性が多いので、兄弟、いや、姉妹拳法だと言えるかもしれません。

 余談ながら、沖縄空手(特に那覇地方に伝わった那覇手と呼ばれる派閥)の源流も白鶴拳だとされていますが、沖縄空手にも“マキワラ”という長い板を地中に埋め込んで、地表に出ている部分に藁縄を巻いて、拳を打って鍛練する伝統的なトレーニング用具がありますが、これも恐らく、木人椿を原型として簡略化したものと考えられます(別の説には薩摩の示現流剣術の立木打ちという稽古法が原型ともいわれる)。

 日本では滅多に見られませんが、香港映画では木人椿はちょくちょく登場します。

『スパルタンX』で、ジャッキー・チェンとユン・ピョウがトレーニングするシーンは両者のキャラ分け(ジャッキーはいい加減でユン・ピョウは生真面目)を効果的に表現していました。

 また、ドニー・イェンがブルース・リーの師匠イップ・マンを演じたシリーズは大ヒットとなり、イップ・マンを主役にした映画やTVドラマを量産しました。

 詠春拳をテーマにした作品は結構有り、サモハン・キンポー、ユン・ピョウ、ラム・チェンイン(霊幻道士役が有名)、カサノバ・ウォン、ニコラス・ツェー、アンソニー・ウォン、トニー・レオンなどが詠春拳拳士を演じています。

 また、厳詠春そのものを描いた作品では、ミッシェル・ヨーが詠春を演じ、ドニー・イェンが共演していました。

 よく誤解されがちなのが、ジャッキー・チェンの初期の主演作中でも佳作として知られる『少林寺木人拳』。

 これに登場するカラクリ仕掛けの多数の木の人形を相手に戦うシーンは、小学生でも気づくと思いますが、木製のロボットみたいな着ぐるみを着たスタントマンが演じた映画用の創作です。

 恐らく、元ネタは、『少林七十二芸』と呼ばれる少林寺で訓練されていたという七十二種のトレーニング法の中から採ったのではないか?と思われますが、これまた、もっともらしく創作された本であると良識ある大人なら気づくような本です(『男塾』のミンメイ書房の本みたいなシャレ?)。

 『少林七十二芸』を元ネタにした作品には、リュー・チャーフィ主演の『少林寺三十六房』もありますが、これらの少林寺は、実在が不明な南方の少林寺のことであり、少林拳というのも大抵は洪家拳のことを指します。

『拳精』に登場する“五獣の拳”も、洪家拳に伝わる套路(とうろ・空手でいうところの形のこと)です。つまり、虎・豹・鶴・蛇・龍の五種の動物?の性質を備えた形で、独立して虎拳、豹拳、鶴拳、蛇拳、龍拳となったり、合体して“虎鶴双形拳”という形になったりする訳です。

“何々拳”と言う場合も、門派を意味したり、単に一つの形の名前を意味したりするので、注意が必要です。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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