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5月“交叉法”感想

 5月は、游心流の・・・というより、武術全般の戦闘理論と言うべき“交叉法”をテーマにしました。

 二十数年前に初めて知ってから、直感的に、「これだっ!」と思って探究し続けてきて、やはり間違っていなかったと思ったのは、十年くらい経過してからですかね~?

 初めて、交叉法を教わった先生は、非常に大切にされていて部外者には見せないし説明もしない程でした。弟子にも本気で教わりたい人以外には教えていなかった様子です。

 私が教われたのは僥倖と言うしかないでしょう。お陰で、それまで教わっていたいろいろな武術の技に応用することで、ミラクル級に武術の原理解明を果たすことができ、この先生には今でも最大の感謝をしています。

 もちろん、教わったそのままを繰り返しているのでは芸がありませんから、私は私なりにいろいろ工夫し応用していきました。

 具体的な技法としては、“差し手(交叉手)”に結実しましたが、これも5年くらい前からは発展的に「必ずしも使わなくとも良い」と思うようになりました。

 身体技法としては、「武術は触れ合ってこそ成立する」のですが、“心法(心理的な術法)”となると、「必ずしも触れ合わなくとも成立する」ようになるのです。

 9年前だったでしょうか?

 急激に青木宏之先生と交流が深まった頃、青木先生から、「長野さんはもう身体技法は充分にやっているんだから、これからは心法を研究した方がいいですよ」と言われたのが切っ掛けでしたかね~?

 青木先生が創始した新体道は、江戸時代に爆発的な大流行をしながら、たった三代で失伝してしまった心法の剣術「無住心剣術(夕雲流・離想流・破想流とも呼ばれたらしい)」を体術で再現したとも言える前衛武道体技です。

 しかし、新体道は、物凄く誤解されています。

 やっている人達ですら解っていないのではないか?と思うくらいで、そのために現時点で「普及した」とは言い難い現状で、21世紀に入って武道界の表舞台からは忘れ去られてしまっていると言ったら言い過ぎかもしれませんが、そのくらい知っている人は限られるでしょう。

 私のところには武術の相当好きな人間ばかり集まりますが、40代以下で新体道を知っている人は、ほとんどいません。知っていても、私の本やブログで初めて知ったという人ばかりなのです。

 90年代にはコアな武術ファンで新体道を知らない人はいなかったように思います。青木先生の御子息の太郎先生は積極的に伝統武術の修行者と交流して共同イベントも開催していた(パソコン通信を利用)ので、決して知名度は低くなかったのです。

 しかし、今は音頭を取る人がいないので、組織的な活動も縮小されています。

 組織的な問題点もあるでしょうが、そもそもの主たる原因は、見た目の解りにくさにあると私は思っています。

 剣武天真流がグングン普及していっているのも、新体道の難解さに比べて、“普通の居合術”に見えるからでしょう。

 もちろん、青木先生が創始したのですから中身が普通の居合術である筈もないのですが、少なくとも“見た目”は解り易くなっています。

 新体道は見た目ではさっぱり解りません。武道としての使い方も不明だし基本の訓練法がまた通常の武道とは掛け離れています。

 新体道が抽象化されたものだとすると、剣武天真流はリアルに作られています。

 もっとも、私に言わせてもらえば、抽象化しようがリアルにしようが、突き詰めれば同じところに到達します。

 結局、身体技法を徹底的に突き詰めれば、必然的に心法の領域に入っていくのです。いつまでも肉体で技を考えている人は達人や名人とは呼ばれません。

 なぜならば、肉体は年齢とともに衰えるからです。しかし、心法はぎりぎりまで高めていけます。そこから更に霊的なものや神的な事柄へと意識が広がっていくのは不自然なことではないでしょう。

 かつての剣術家の多くが“神伝の悟り”を得たように、植芝盛平翁のような神人武道家となった人は実は少なくありません。青木先生もその御一人でしょうし、友寄隆一郎先生も実はそうでした。

 また、生前に自費出版本を出されていた佛生館の加藤武揚先生(空手・中国武術・古武術の達人)もその領域に達しておられたことを知りました。

 卑近な例を出せば、游心流の会員にも何人かそういうタイプの人がいました。

 私は極端なリアリストなんですが、リアルを追究していくと、常識的な認識の枠組みを逸脱してしまわざるを得なくなることを痛感しています。

 普通は、リアリストといえば、怪力乱神を語らない、オカルトを認めないものだと考えるでしょうし、私がカリスマ武術家?を糞味噌に貶すことから、極めて保守的な考えの人間だと思い込む人もいます。

 しかし、私は特定の考え方を保守する精神構造ではありません。ただただ、事実のみを追究したいだけで、嘘がある武術家を批判しているだけです。

 科学的に解釈不能な現象が現実にある以上は、それを無視したりインチキだと決めつける態度を私は選びません。

 それは現実逃避に過ぎないと考えるからです。

 徹底的に現実を直視し続けると、時と場合によって非現実的な非常識で不条理な事柄に行き当たることがあります。

「事実は小説より奇なり!」ということですね?

 だから、私は学生時代に神秘主義関連の本を膨大に読み耽り、実践したこともありました。それと同等に宗教哲学や現代思想、ニューサイエンスの本なんかも随分、読んだものです。

 大学の授業をほとんど受けずに、そんな本ばかり読んで武術や整体、ヨーガ、仙道、魔術の実践研究をして一年間アパートに閉じこもって、ほとんど誰とも口をきかなかった時期がありました。

 副産物的にインチキを見抜く能力が高くなったのです。そういう業界(新興宗教・マルチ商法・自己啓発セミナーなど)の手口(マインドコントロールの手法)にも詳しくなりました。

 でも、若い頃は、「悟った!」という実感もあったりしました。

 今思えば、単なる脳内覚醒物質の作用によるナチュラルハイでしかなかったと思いますし、心身を鍛えるつもりが、逆に心身を不調に陥らせて持病のパニック障害を酷くしてしまったのですから・・・。

 今で言うところの中二病ですよ。それが20歳くらいだったので、もう重症ですよ。

 そこから人生大転換でドロップアウトしていった訳ですが、50過ぎるともう開き直って人生やけくそで生きるしか仕方が無くなりますよね?

 松田隆智先生と最後の電話で話していた時に、「あ~、松田先生も俺と同じような気持ちだったのかもな~?」と、ふと思いましたね。

 武術という悪魔的な代物に取っ捕まって逃げられなくなってしまったんですよ。単なる戦闘術のみならず、武術の背後には膨大な宗教哲学やら東洋医学やら特殊な超人養成思想があった・・・つまり、本来の意味でのオカルティズムがあったからです。

 松田先生が神秘思想家のG.I.グルジェフに憧れていたのは意外と知られていませんし、松田先生を武術家としての視点だけで語る人もいますが、私はそれは案外、本質とは違うんじゃないかな~?と思っています。

 晩年の松田先生を青木先生に紹介した時に、松田先生はようやく武術界の呪縛から抜け出せたんじゃないか?と、私はふと思うことがあるんですけどね・・・。


 で、話を戻しますけれども、交叉法を知るだけで、空手も剣術も居合術も中国拳法も合気道も、ほとんど全てと言っても過言ではないくらいの流儀が“蘇る”。

“蘇る”と書いたのは、既にこれらが死にかかってしまっていると感じるからです。

 本気で真剣に追究している人なら賛同してもらえると思います。

 ほとんどの団体で武道スポーツとして発展普及していても、武術としての本質は抜け落ちてしまっていて、教えている師範ですら知らない・・・。

 だからこそ、甲野氏が提唱するような身体操作理論に頼ってしまったりする。

 まったく残念!と言うしかありません。

 確かに身体操作は基本です。脱力も秘訣です。これらを極意と呼んでも差し支えないかも知れません。

 しかし、これらはどこまで追究しても武術の本質には至りません。

 枝葉なんですよ。

 武術の本質は“心法”を知らねば理解できません。

 つまり、“読みと交叉法”です。心法を具体化すれば、技法原理として“読みと交叉法”に集約されます。

 今回のセミナーでは“読み(目付けと聴勁)”は省いていますが、“差し手”と“察気術(新体道式)”をやりました。

“差し手”の基本的訓練法は北島師範に、“察気術訓練法”は新体道経験者の大石総教練に解説してもらいました。

 前回出したDVD『交叉法』でやらなかったことをやってみました。

 今回のセミナーの様子は『交叉法2』DVDとして近日緊急発売する予定です。お楽しみに~。

 オマケとして、『セーラー服忍者』撮影時に扮装した丸目蔵人佐コスプレ?で無刀太刀取りからの試し斬りもやってみました。笠が邪魔でよく見えないので、ちょいビビりました・・・(汗)。

 ちなみに小塚師範も逆手斬りできるようになりましたよっ!

PS;GW中に完成する予定だった槍が、少し遅れましたが、ほぼ完成しました! 柄の芯を削ってステンレスの平鉄棒を埋め込んだので、普通の刀じゃ切断できませんよ? 90cmの半丸棒を継ぎ足して貼り合わせて柄長135cm、槍穂25cmくらいの短槍に仕上げました。『精霊の守り人』で綾瀬はるかが演じた女用心棒バルサが短槍の遣い手だったので、それっぽく仕上げてみました。まだ、塗ってなくて鞘も作ってないですけど、武器としてはこれで実用充分です(何か? だんだんコスプレイヤー化してきてる?)。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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