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妖怪の変遷

 予告していたので、今回は『妖怪』を扱った作品について論じてみましょう!

 何といっても、妖怪と言えば、水木しげる先生ですよね?

『ゲゲゲの鬼太郎(最初は「墓場鬼太郎」というタイトルで、TVアニメ化の時に「墓場じゃタイトル的に良くないから・・・」という理由で、水木先生の子供の頃のあだ名「ゲゲ」から採ったとされます)』『河童の三平』『悪魔くん』が三大代表作と言われています。

 その中で、『河童の三平』と『悪魔くん』は白黒の実写ドラマ化され、『ゲゲゲの鬼太郎』だけ白黒のアニメ(当時は「動画」とか「TV漫画」と言うのが一般的だった)番組として放送されました。

 数年後に『ゲゲゲの鬼太郎』は70年代の公害ブーム(水俣病・四日市喘息・カドミウム病・光化学スモッグなんかが社会問題となった時代で、『ゴジラ対ヘドラ』『ガメラ対深海怪獣ジグラ』や『帰ってきたウルトラマン』の公害怪獣ザザーンや『宇宙猿人ゴリ』の初期の“公害Gメン”やヘドロン、ネオヘドロン、ミドロン、ダストマン、ネズバードン、ゴキノザウルスとか公害怪獣が出ていた)とリンクしたテーマ性を打ち出してカラー版となってカラー版第二シリーズが放送されて、これが好評。

 以後、ほぼ十年周期でシリーズ(現時点で第五シリーズがあり、深夜枠ノイタミナで元祖『墓場鬼太郎』もアニメ化された)が放送される国民的アニメ・シリーズとなっています。

 しかし、妖怪のブームというのは江戸時代くらいからあった訳で、水木先生が一番影響を受けたとされているのが、鳥山石燕。

 石燕がそれまで伝承されていた様々な妖怪に具体的な姿を与えたと言われています。

 この妖怪画というのが江戸時代や明治時代にはブームだったらしく、かの有名な葛飾北斎も描いています。

 江戸時代にはパロディーで将軍とか奉行とかを妖怪になぞらえて皮肉る風潮もあったそうで、例えば、時代劇でよく悪者として登場する鳥居甲斐守を妖怪(名前が耀蔵で甲斐守なので、“耀甲斐”と呼んだ)と皮肉ったりしていたんですね?

 もっとも、“妖怪”という言葉がいつ頃から使われるようになったのかは諸説あって定説はありません。

 日本の歴史上、最も妖怪が闊歩していたであろう時代は平安時代だと思われます。

 この時代の妖怪とは鬼と総称されていたみたいですが、この“鬼”という概念もまた変遷しているみたいなんですね?

 今日の鬼のイメージは、角があって虎皮の褌を締めているイメージですが、これは、丑寅(うしとら)の方角、つまり鬼門と呼ばれる東北地方を指す方位が転じて、「牛の角を持ち、虎の褌をしている恐ろしい民族」という、かつての中央(大和)政権から見た東北の異民族に対する勝手なイメージとして創作されていた訳です。

 そもそも、鬼(オニ)とは、“隠れる”という意味を持ち、サンカのような山岳漂泊民を呼んでいたのではないか?とする説もあります。

 この辺の民族学的解釈は『もののけ姫』にも参考にされているようです。

 この前、深夜アニメで見ていて、はっと気づいたのは、『うしおととら』も、「うしとら」から採られたタイトルだったんだな~?と・・・。

 日本はもともと、八百萬(やおよろず)之神が居るという多神教の国ですが、「妖怪は零落した神」という柳田國男の説もあります。

 元が神様だったので、日本人は妖怪に親しみを感じるのでしょう。

 そんな具合に、「日本人は妖怪が好き」という前提で考えると、数多くの妖怪の作品が生まれた理由にも納得がいきますね?

『ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃』ではゴジラは「呉爾羅」という伝説の神獣でしたが、これも要するに“大妖怪”だったという訳でしょう?

 今回の『シン・ゴジラ』もそのような設定らしいです。

 怪獣物にも妖怪がモチーフの作品が少なからず有ります。

『ウルトラQ』のクモ男爵、『ウルトラマン』のネロンガやウー、『帰ってきたウルトラマン』のドラキュラス、『ウルトラマンタロウ』のエンマーゴ、『ウルトラマンティガ』のスクナ鬼・・・なんかは妖怪物ですよね?

 大映の『妖怪百物語』『妖怪大戦争』『東海道お化け道中』は、モロに妖怪ブームの余波を受けて製作された時代劇ですし、『大魔神』『大魔神怒る』『大魔神逆襲』は時代劇ファンタジーとして非常に優れた作品です。

 東映も、『怪竜大決戦』で忍術ではありますが、怪竜、大蝦蟇、大蜘蛛(原作ではナメクジだけど気持ち悪過ぎるから変更されたらしい)の妖怪が出ます。

 その後、妖怪物の映画というのはほとんど見当たらないんですが、未見ながら『妖婆』という作品を兄貴が見たことがあると言っていました。京マチ子と神保美喜が主演だったのだとか?

 ちなみに芸術映画系ですが、『草迷宮』(前衛劇団“天井桟敷”の主宰者、寺山監督作)や『夜叉ガ池』『天守物語』といった泉鏡花原作の作品も妖怪がモチーフです。

 TVでは、鬼太郎のヒットによって、妖怪物の作品はぐぐっと増えました。

 巨匠、手塚治虫が水木先生への対抗心ムキダシで描いたという『どろろ』は時代劇ながら人間の業をえぐった内容が衝撃的で、最終回で男の子だと思っていたどろろが、実は女だったというオチが衝撃的でした。

 私が好きだったのは『ドロロンえん魔くん』。やはり公害ブームの時期だったので公害によって凶悪化した不良妖怪をえん魔大王の甥っ子のえん魔くんが退治するという内容で、明らかに鬼太郎へのチャレンジ精神がのぞいていました。

 鬼太郎には皆無だったオイロケ担当の雪子姫が居たから良かったのかも? エンディングの実写にアニメを足す手法もシュールで印象深かったですね~。

 数年前にリメイクされた時は盛り過ぎパロディーが面白かったですが、案外、この作品は実写にしても面白いかもしれませんね?

 ちなみに永井豪先生は、『どろろとえん魔くん』という手塚先生のどろろが成長して美女になった設定にえん魔くんをからませる作品を描いています。

 えん魔くんより少し早かったと思いますが、『デビルマン』も妖怪物ではあります。

 妖獣(デーモン族という悪魔の種族)と呼んでいましたが、この時期、TVの特撮ヒーロー物は、怪獣という言葉に対抗して独自性を出そうと、『流星人間ゾーン』は恐獣、『ウルトラマンA』は超獣、『サンダーマスク』は魔獣、『マジンガーZ』は機械獣、『グレートマジンガー』は戦闘獣、『コンバトラーV』は奴隷獣、『ゲッターロボ』はメカザウルス、『ウルトラマンレオ』の後期は円盤生物といったネーミングをしていました。

 デーモン一族と戦うデビルマンの構図はTVアニメと原作漫画では相当に違っていましたが、「悪魔の力を身につけた正義のヒーロー」というフレーズは矛盾しているようで示唆に富んでいました。

 人類のためじゃなくて、一目惚れしたミキちゃんのためだけに戦うという超個人的な理由付けも面白かったですね?

 デビルマンの元ネタになったという『魔王ダンテ』はSF的解釈による神と悪魔を描いた作品でしたが、これなんか特撮映画で実写化したら相当凄いと思うんですが?

 その後の妖怪物というと・・・

『変身忍者・嵐』の後半は、悪魔道人率いる西洋妖怪軍団と戦い、背後で操っていた大魔王サタン(特撮物ではお馴染みの天本英世)を倒して母親を助け出して大団円という展開でした。

 その他の実写物には『ぐるぐるメダマン』『白獅子仮面』『牛若小太郎』『超神ビビューン』『ワラシ』などがありますが、『怪奇大作戦』にも「青い血の女」や「吸血鬼の叫び」といった科学捜査がお手上げの回がありました。

 映画だと、やはり『血を吸う人形』『血を吸う眼』『血を吸う薔薇』の三部作が出色でしょう。第一話がゾンビ物で、二、三話は日本の吸血鬼物として成功した貴重な作品と言えるでしょう(岸田森の吸血鬼演技が素晴らしい)。

 そうそう、『狼の紋章』も忘れてはいけませんね? 松田優作のデビュー作として有名ですが、志垣太郎が狼男に変身する少年、犬神明を演じる青春スターっぷりや作品全体のチャレンジ精神が好ましい佳作です。

 私は、松田優作の『最も危険な遊戯』と、この作品を浪人時代の福岡のテアトル西新という名画座のオールナイト特集で見たことが映画製作への夢を持つ切っ掛けになりましたよ。

 大林監督のメジャー・デビュー作『ハウス』も、妖怪物と言えるでしょうね? 戦争で死んだ恋人の帰りを待って田舎の高級屋敷で暮らすうちに妖怪化したオバちゃまが美少女グループを餌食にする化け猫映画の変種でした。

 後に大林監督がTVスペシャルで撮った『麗猫伝説』とも共通性を感じさせます。

 和製オカルト映画と言われた『犬神の祟り』も、「これは迷信に躍らされた村人が殺人を犯すミステリーなのかな?」と思っていたら、後半に堂々と化け物映画に変わる強烈な作品でした! ちなみに田中泯さんが踊りのシーンで出ているそうです。

 後、『アギ鬼神の怒り』という自主製作映画(源頼光の四天王の一人、渡辺綱が一乗戻り橋で茨木童子という鬼の腕を斬ったものの、取り返される話。同じ題材で鬼平役が有名な中村吉右衛門主演作もありました)もありましたが、この時期には自主映画で妖怪物ホラー?が結構ありました。

『餓鬼魂』とか『バイオセラピー』『キクロプス』『処女のはらわた』『グズー神に見捨てられた物』『ギニーピッグ・マンホールの中の人魚』とか、ホラー・スプラッターが流行った時期に大量に作られていました。

 また、『うろつき童子』に始まるエロホラーアニメ、いわゆる触手系エロVシネが大量に作られたのも、この時期以降だったと思います。結構、特撮系でヒーロー演じた俳優が出ていたりして、「芸能界で生き残っていくのは大変だな~?」と思いましたね。

 Vシネ系には妖怪的なホラー物が無数にあって、特にゾンビ、リビングデッド物となると、どのくらい有るのか私も想像つきません。お薦めなのは、北村龍平の『VERSUS』と室賀厚のタイトル忘れたけどギャングアクション的ゾンビ映画があって、あれは面白かったな~?

 井口昇の『クルシメさん』とか『恋する幼虫』なんかも妖怪物っぽいですね?

『へんげ』という作品もクトゥルー神話的で面白かった。心霊物だと思っていたらラストでダイダラボッチみたいにでかくなる・・・?

 特筆すべきVシネ系妖怪映画というと、手塚真監督の『妖怪天国』『妖怪天国ゴーストヒーロー』があります。ビジュアリスト手塚監督の作品中でも最もエンタメ性が高く、楽しい作品でした。

 それ以外の作品では、諸星大二郎の『黒い探究者』『赤い唇』をミックスした『妖怪ハンター・ヒルコ』が非常に面白かったですね? 原作のオドロオドロしさを損なわない程度のユーモアも良かった。塚本晋也監督の才能を感じさせる作品でした。

 この作品以降はJホラー・ブームで幽霊や怨霊の実録風作品が増えていきますが、妖怪物としては、『学校の怪談』シリーズが、昭和の妖怪、トイレの花子さん、口裂け女、紫の鏡、テケテケ、動く標本人形などを活躍させました。

 現代の妖怪というと都市伝説と融合しているような印象で、『高速ばぁば』とか、クネクネ、八尺様、ベッドの下の殺人鬼・・・とか?


 一方、アニメの方では妖怪物は廃れることなくずっと続いているようです。

『妖怪人間ベム』『地獄先生ぬ~べ~』『ゼンキ』『妖刀伝』『妖魔』『犬夜叉』『吸血姫・美夕』『吸血鬼ハンターD』『夏目友人帖』『結界師』『モノノ怪』『ブラッド ザ・ラスト・バンパイア』『ブラッド-C』『ぬらりひょんの孫』『うしおととら』『妖怪ウォッチ』・・・etc.

 珍しいものとしては、ゲキメーション『猫目小僧』というのもありました。

 紙芝居みたいな感じのレトロな味わいが放送当時は受け入れられなかった様子ですが、ある種の斬新さが一部のクリエイターには受けて、『ほん怖』や『墓場鬼太郎』のテーマ曲(電気グルーブ)のPVや『闇芝居』などに受け継がれています。

 特撮物でも戦隊シリーズでは『カクレンジャー』や『シンケンジャー』『ニンニンジャー』の敵が妖怪でしたし、『仮面ライダー響鬼』は『変身忍者・嵐』のリメイクを目指したという当初の企画案から、“魔化魍”なる妖怪の存在を位置付けていましたし、『美少女仮面ポワトリン』や『有言実行三姉妹シュシュトリアン』も妖怪?と戦ったりしていました。

 妖怪物の映画も作られなくなった訳ではなく、『さくや妖怪伝』や『跋扈妖怪伝・牙吉』や、『妖怪大戦争』『ゲゲゲの鬼太郎』『ゲゲゲの鬼太郎千年呪い歌』といった大作も作られています。

『デスカッパ』というのも、河童だから妖怪物かな~? 庵野監督が特別出演してたりするんですよ。

 TVでも『大魔神カノン』のように意欲的な実験精神のある作品もあります。

 最新の作品では『貞子VS伽椰子』は、もう完全に妖怪映画となっていました。

 よく考えてみたら、佐伯日菜子が主演した『エコエコアザラク』TVシリーズにも、夢魔や吸血鬼といった妖怪や、映画版ではクトゥルー神話の邪神を呼び出そうとするホムンクルスなんかが出ていました。

 そうすると、『富江』シリーズや『うずまき』『蛇女』なんかも妖怪映画かも?

 しかし、最も正統派の妖怪ハンター物としては、『牙狼』シリーズがまさにそうなんですね? “ホラー”というのは悪魔であり妖怪みたいなものでしょう。

 そうすると、牙狼シリーズが十年も続き、今後も新たなシリーズが続いていきそうなのも、妖怪物のお陰なのかもしれませんね?

 妖怪は永遠に不滅の存在なのかもしれません・・・。


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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
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@yahoo.co.jp

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