コンテントヘッダー

DVD感想

九十九式太極拳 岡部武央
20160809_001.jpg 20160809_002.jpg
 岡部武央(たけひさ)先生は、私が昔、通っていた中国拳法の道場の大師兄(その道場の一番弟子という意味です)に当たります。
 もともと、琉球古武術、伝統空手、フルコンタクト空手(大道塾)、ボクシング、ムエタイ、合気道(養神館)などを修行されていて、私が初めて会った時は20歳前後くらいだったと思いますが、今でも脳裏にはっきりイメージが残っています。
 震脚(形意拳系)の凄さ、廻し蹴りの爆発的な威力、聴勁のレベルの高さに天才的な素質を感じたものでした。
 その後、1998年に実施された中国深 市で行われた散打自由搏撃国際大会に日本代表で出場し、中量級で優勝。当時の日本人初の散打競技のチャンピオンとなり、また試合内容のレベルの高さから中国の伝統武術の世界の重鎮からも認められたという話も聞いています。
 しかし、私が見るところ、格闘家ではなく武術家、それも生涯一修行者のタイプだと思っていましたし、以後はそのような方向での修行へと向かっていたように思います。
 まあとにかく、そんじょそこらの武道家武術家とは一味も二味も違う人でしたが、私が一番驚いたのは、“結婚した”ということでしょうか?(現在、二児がいるそうです)
「ええっ? 結婚するの?」と・・・そんな庶民的な生き方をするイメージが全然なかったもんですから・・・。
 意外だったのは、結婚しても方向性が変わらず、むしろ、より視野が広がって武術を生活者の観点から老若男女、誰もが無理なく取り組めるものとして普及活動をするようになったということでした。
 結局、ただ格闘や喧嘩のレベルの強さを求めるだけというのは特殊な趣味性の問題でしかなく、しかも世間一般的にはまともな評価が得られるものではありません。
 プロ格闘家が現役引退してからヤクザの用心棒やったり事件起こしたりする例があるのも、その証明ではないでしょうか?
 昔の武術家が武術の腕を隠して平凡な生活を志したのも、日常の生活に直結する仕事にはなり難かったからだと思います。
 私の場合を例とすれば、やっぱり“もの書き”としての意識の方が強いですし、武術家扱いされても困惑するだけですよね?

 岡部先生とは、ここ何年も直にお会いしたことがなかったんですが、突然、「DVDを作ったので、よかったら見てください」と電話を頂戴したので、懐かしさもあっていろいろ話し込みました。会ってない間の情報交換も楽しかったし、昔よりも価値観が近くなったのかな?という気もしました。
 で、ふと「何歳になったんですか?」と聞いたら、「44歳になりましたよ」とのことで、私は最初に会った19歳くらいの頃からイメージがまったく変わらないので、そこが一番のビックリでしたね。
「そんなこと言っても、長野さんも、もう50は過ぎてるでしょう?」
「はい、53ですよ(笑) 明治時代だったら爺さんですよ」
・・・人間、精神年齢はちっとも上がりませんが、肉体の年齢だけは着々と進んでいくんですね~?
 贈ってもらったDVDは、台湾の武術家・王樹金老師が伝えたことで日本では割合、普及している(中国拳法連盟・柔拳連盟・楊柳会などなど)九十九式太極拳の套路をきめ細かく教える内容で、岡部先生が日常的に指導しているような内容をそのまま収録しているらしく、DVDを見ながら練習するのに非常に適した構成になっていました。
 まず、ストレッチで身体をほぐし、意拳站椿功と試力で錬功し、太極拳の套路を練習するという順番になっています。
 私はてっきり技の用法なんかもやっているのか?と思っていたんですが、徹底してシンプルに無駄を省いて“DVDを見ながら練習する”というコンセプトで作られたのだと思います。
 あるいは、格闘技の世界をくぐった岡部先生ならでは、通り一遍の用法など解説したところで実戦に通用するものではない!との見識からやらなかったのかもしれません。
 いずれにしろ、「基本をしっかり練習すれば、健康法にも護身術にもスポーツにも何にでも応用できるんですよ」というメッセージが感じられました。
 武術の世界はナルチシストの巣窟で、迂闊に道場を選ぶと危険な世界です。
 私も「どの道場がいいでしょうか?」と、しょっちゅう質問されるんですが、なかなか、「ここがいいですよ」とは言えないんですよ。
 多くの人が、「TVに出たり専門誌に紹介されていたり本を書いていたりする先生なら信じて間違いないだろう」と思いがちなんですが、武術に関しては大間違いです。
 有名であることが本物の証明にはならない(現代はネットを使って自分で宣伝できるのでショーンK方式に経歴捏造している人もいるから要注意!)し、仮に教えている先生の実力が凄くとも人格が破綻していて、まともな指導ができない人もいたりするのです。
 それと、これを言ってはオシマイかもしれませんが、基本的に武道武術の指導者は無教養な人が多く、「理屈を言うな。無心に練習に徹しなさい」という教え方が伝統的なので、言葉で説明したり稽古法を体系的に工夫することを軽視するのです。実力があればバカでも尊敬される不条理な世界なので、そのような特殊な価値観が定着したのでしょう。
 私は本当に、武道武術をやっている人と話していて、「何て、無知無教養なんだろう?」と呆れることが度々あります。ビックリするほど知識が無い人が指導者やっていたりすると、他人事ながら心配になりますよね?
 しかし、世の中、よくしたもので、そんな指導者の下には“類は友を呼ぶ”で似たような無知な人ばかり集まるので、特に問題が起きなかったのでしょう。
 でも、そんな人物が第一人者として世間に出たら奇人変人扱いされて終わりです。
 中には、パフォーマンス的に自己演出してサブカル風のポジションを築く人もいますが、やっぱりメジャーな評価は受けられないんじゃないか?と思いますね。
 良くても専門家馬鹿で終わりです・・・。

 岡部先生は幅広く、いろんな流儀を学んでいます。
 武術のみならず整体療法やヨーガ、気功、マクロビオティックにも造詣が深い。東洋医学的な身体観に関する教養の高さが群を抜いています。
 そして、何よりも私が推薦できるのは、“人柄が良い”という点です。
「思無邪(おもいよこしまなし)」という言葉に尽きます。
「悪いヤツに騙されなければいいけどな~?」と昔は心配だったんですが・・・(苦笑)。
 そのような意味でも、「道場に通って習いたくても、どうすればいいか判らない」と考えている人に絶好の独修できる教材DVDであると思いました。
 販売は、クエストさんで扱ってもらっているそうなので、是非!


[連絡先]
九十九式太極拳の会(主催・岡部武央)
takehisanda@hotmail.co.jp

関連記事
スポンサーサイト
このページのトップへ
コンテントヘッダー
著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

FC2カウンター
リンク
最新記事
カテゴリー
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

月別アーカイブ
ブログ内検索