コンテントヘッダー

九月“型の分解”感想

 今月は、何か体調不良とか急用で休む人が重なったので、かなり参加者が少なくなりました。

 が、少ないほうが余裕があって内容が濃くなるという困った事情もあるので、こういうのも陰陽のバランスなのかな~?と思います。

 とは言え、今回も関西から参加している方もいらっしゃったので、内容に不満を持たせてはいかん!と頑張りましたよ。

 今回は空手の形のピンアンとテンショウからもやりましたが、これは専門だから栗原師範にやってもらいました。

 その前に、前回、予告していた猫足立ちと前屈立ちの意味について解説しましたよ。

 結論を言うと、戦う間合の違いなんですね?

 猫足立ちというのは接近して手首が交差できるくらいの間合で用いるものであって、近間の剛柔流と言われるごとく、剛柔流、つまり那覇手の戦闘スタイルなんですね。

 那覇手は中国南派拳法の影響が大きい流儀と言われていますが、間合で考えると、白鶴拳や詠春拳などに近く、同じ南派でも蔡李佛拳の影響は薄いですね?

 しかし、洪家拳とは類似の技があったりします。

 一方で、前屈立ちは、その立ち方のまま戦うのではなく、離れた間合から歩法を使って打ち込むことを前提にしており、遠間の松濤館と言われたように、首里手の戦闘スタイルのようです。

 もっとも、本土に伝わって以降に組手スタイルは作られている筈なので、琉球手の時代と同じかどうかは疑問が残るところです。

 歩法を使うということは、手足が触れ合う間合の外から戦いが始まる訳なのですが、接触したところから始まる那覇手のスタイルでは持ち味が出せない。

 従って、全空連系で剛柔流が組手に反映できない理由がそこにあった訳です。

 では、剛柔流系の組手スタイルを別に作ったらどうか?と思うでしょう?

 実は既にあります。

 極真空手がそうだったのですね?

 特に、初期の顔面アリでやっていた大山道場時代の組手スタイルは剛柔流生粋に近かったと推測できます。

 では、何故、現在のフルコンタクト空手一般のスタイルと異なるのか?

 それは、ムエタイの試合スタイルの影響だろうと思われます。

 今でこそ、「ブルース・リーの登場によって回し蹴りが多用されるようになった」と思っている人が多いですが、実は、それより少し前にキックボクシングのブームがあって、回し蹴りがポピュラーになっていたのです。

 少し沖縄空手に詳しい人なら、従来の沖縄空手に回し蹴りは少なかったことを知っているでしょう。特にスネを当てる回し蹴りは明確にムエタイの影響です。それ以前の空手は上足底、あるいは足尖を“点”で当てていました。

 つまり、空手の蹴り技は前蹴りが中心で、足刀蹴りや後ろ蹴り、回し蹴りなどは脇役だったのです。

 しかし、フルコンタクト空手系では回し蹴りが中心です。どうしてか? ムエタイの影響だからでしょう。

 ムエタイの回し蹴りはスネを当てる“線”の打撃です。“点”よりも敵を捕らえ易い。

 伝統空手や少林寺拳法の回し蹴りは“点”で当てます。

 何故、“点”で当てるのか?

 わかりますか?

 急所を狙い打つという発想だからです。

 もちろん、「動いて攻撃してくる敵の急所を狙い打つなんて不可能だ」という批判もあります。

 確かにそうなんですが、ならば、「動かないように固定して攻撃の隙間を狙い打てばいい」のですね。

 そのための工夫が武術にはいくらでもあるのですが、伝わっていないから現代武道や格闘技をやっている人達は知らない訳ですよ。知識が無い。

 面白いもんだな~?と思ったのは、松濤館流の先生は「太極拳なんか使えない」と言い、剛柔流の先生が「太極拳は凄い拳法だ」と言っているのを聞いた時でした。

 太極拳は接近密着戦法を用います。戦闘の間合は剛柔流と近い。

 松濤館のように離れた間合でステップワークで進退しながら突き蹴りを出すスタイルからすれば太極拳は真価が出せない。決して見た目のスピードだけではないのです。

 そして、太極拳は練習はゆっくりやっても実戦で使う時の手技のスピードは電光石火で、空手やボクシング以上の人もいます。

 私も太極拳をバカにする人に何度か太極拳を使って手合わせしたことありますが、毎回、びっくり仰天されます。

「パンチが速過ぎて全然見えない!」とか言われたりするんですが、脱力して打つから(力のタメが無く)物理的に速くなるのと、近間で視界から外れた角度から打たれると目で追えない訳ですね。

 だから、異常に速く感じてしまう訳です。錯覚なんですよ。武術はそういう錯覚も利用する訳です。

 目で追える速度なら躱すのは可能です。が、目で追えない速度は対応できない。

 だから、私は無刀取りやる時に刀を見ないで腕の動きを確認して躱すタイミングを取っています。

 また、テンショウの手首の動きを利用して発勁風に小さく打つやり方も指導しました。

 地味ですけど、大した威力が出ないような動きで予想外の威力を受けると相手はビックリして固まったりしてしまう訳です。そこに二撃目で仕留める!

 こういう具合に個々の形から技としてどう使うか?を考える癖をつけていけば、形を見ただけで使い方が判るようになるのです。

 例えば、合気道は素手で剣術やっているんだと考えればよく解る。つまり、無刀取りなんですよ。

「合気道は素手の武道なんだから剣術なんかやる必要がない」と堂々と説いている師範もいらっしゃるみたいですが、それは自分が剣術やったことないから気づかなかっただけでしょうね?

 先日、岡部先生と川保さんの事務所で話していた時に、一刀流を学んだ時に閃いて交叉法の差し手はこういう意味だったんだ・・・と独自に悟ったらしく、10年ぶりに話して武術の原理的な話がほとんど私と同じだったのに驚かされましたよ。

 それと、先週、久しぶりに佐原先生とお会いしてお話したんですが、針すなお先生の話題になって、針先生の杖術は合気道の体捌きをそのまま杖術に展開しているというお話しを聞いて、なるほど、やっぱりそうか~?と思いました。

 私は『秘伝』に出ていた針先生の写真を見て、凄くいいな~?と思って、針先生のイラスト教本も買ったんですよ。

 佐原先生から伺って初めて知ったんですけど、針先生は山口清吾先生の初期のお弟子さんだったそうですね?

 山口先生が剣や杖を使う映像を見た時に、「これは行書・草書の動きになっているから、教えてもできるものじゃないな~? でも、このレベルでないと実際には使えない」と思ったんですね。

 針先生の杖術も、そうなっているのでは?と思って、佐原先生にお尋ねしたら、やっぱり同意見でした。形を教わってもそうそうできるようにはならないだろう・・・と。

 メリハリのある楷書の動きの方が力感があって強そうに見えるんですが、武術としては力感が外から見えるレベルでは初級から中級程度なんですよ。

 まあ、カッコ良く見せるために私もワザとやったりはします(初心者向けに)けど、本当に技として高度になると、あまりにも普通に自然にやるので、全然、凄く見えないんですよね。

 BSプレミアムの初見先生のドキュメンタリー番組で見た初見先生がそうでしたし、鳥居先生の動画を見てもそうでした。

 行き着く先は一つということでしょうか?


 今回も形意拳、八卦掌、八極拳・・・といろいろやりましたけど、個別の技に分解していけば、流儀の別はあまり関係なくなるんですよ。

 最後は、簡化24式太極拳を小塚師範にやってもらい、それから全員でやり、いくつか実用法を抽出して終わりました。

 今、簡化24式太極拳のクラスやろうか?と思っていて、愛隆堂のDVD付き本買って復習してます。

 相模原って次々に凶悪事件が起きてるから、市民の皆さんに健康体操が必殺護身術になる!ということをお教えしようかな~?と思って・・・。


 という訳で、今回の型の分解も、実際は読みの訓練だったんですね。

 私、最近は型の研究が楽しくってたまりません。

 いろんな流儀の型とか構えから実際の戦闘法や技を抽出していくのは非常に楽しい。

 普通は習わなきゃ判らないことも、この分析能力を磨くことで、見抜いていくことができるようになるのです。

 つまり、洞察力が高まるということですよ。

 コールド・リーディングみたいなもんです。

 昔の武術家はこういう能力が発達していたんでしょうが、今は概念すら無くなってますね? もったいないことです・・・。


PS;『交叉法3』、できました! 長らくお待たせしました。予約注文されていた方、順次、送付していきます。ただし、今回のDVD、びっくりするくらい地味です! 極意とか奥義とかって、進めば進むほど、地味に見栄えがしなくなるものなんだな~?って、痛感しました。そういう次第で見てもあんまり面白くないかもしれませんが、実は、物凄く価値のあることをやってますんで、有り難がってくださいね?

関連記事
スポンサーサイト
このページのトップへ
コンテントヘッダー
著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

FC2カウンター
リンク
最新記事
カテゴリー
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

月別アーカイブ
ブログ内検索