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オカルトはなぜ、オカルトなのか?

 オウム真理教の地下鉄テロ事件以降、一時的に下火になっていたヨガ教室も、今では完全に復活してカルチャーセンターやスポーツスタジオのメインプログラムとして常備されている印象があります。

 つまり、それだけ健康法としても美容法としても効果があるという実感が得られるからでしょう。

 特に、欧米では伝統的なヨーガをエクササイズとして改良する試みが何十年も続けられてきた伝統があり、最近では“ホットヨガ”がブームになっているようです。

 日本では、沖正弘や佐保田鶴治といった黎明期を支えた人や、中村天風(インドの聖人カリアッパに出会ってヨガの奥義を学んだという人で、大陸浪人だった時期があるらしく、随変流抜刀術の遣い手で“人斬り天風”と呼ばれた。合気道家で学んだ人が多い)の天風会のような政財界人を巻き込んだ修養団体の中に取り込まれて発展してきた経緯がありますが、個人の修行者によって多くのヨガ団体が生み出されていきました。

 しかし、健康法や美容法として注目している人達は、ヨガの真相については丸で関心も無く、勉強しようとする人はごく一部です。

 インド原産の修行法だと知っていれば御の字というくらい日本のヨガ愛好者の認識は低レベルだと言わざるを得ないでしょう。

 だからこそ、オウム真理教が生まれたと言えるかもしれません。

 今では御承知でない人のほうが多いと思いますが、オウム真理教は元々、オウム神仙の会というヨガ団体から出発しました。

“本格的にヨガを修行し、最終解脱をして悟りを得た聖人であり超能力者”であると月刊ムーの競合誌『トワイライトゾーン』の連載(何故か、ムーに執筆していたことばかり報道されてトワイライトゾーンの連載には触れられていない)で信者を獲得していき、一大カルト団体にまで発展させた訳です。

 教祖の松本が阿含宗(先頃亡くなった桐山靖雄が主催)や和尚ラジニーシの(組織作りの)影響を受けていると指摘されていたように、当時、新興宗教やニューエイジ・ムーブメントの煽りで精神世界ブームがあったのも事実であり、ニューサイエンスと呼ばれたトランスパーソナル心理学の潮流がポストモダンの現代思想ブームとも繋がり、東洋的な修行法に関心が集まっていたのです。

 アメリカでは、ヒーリングやサイコセラピー、手技整体療法、自己啓発プログラム(NLP(神経言語プログラミング)など催眠系心理療法がベース)などを次々に生み出したことで知られるエサレン研究所(オルダス・ハクスリーが主催だったとされる)に代表されるラブ&ピースのヒッピー文化の中にヨーガや禅が中枢を占めていましたし、その象徴的なミュージシャンが、ビートルズだったんですね?

 ビートルズのメンバーがTM(トランセンデンシャル・メディテーション)ヨガにはまっていた(後に決裂!)とか、欧米の俳優やアーティストが日本のゼン(鈴木大拙が広めた禅)とか中国のタオイズム(道教。ヒーリングタオが有名)に心酔したりするのも、この時期以降のブームだったみたいですね?

 しかし、その実態には、マリファナやLSD、ペヨーテ、マジックマッシュルームなどの服用による幻覚体験を神秘体験として持て囃し、現実逃避の白昼夢に酔い痴れる・・・というヒッピー文化の自堕落な体質もあった訳で、だからこそ“カウンターカルチャー”と呼ばれた訳ですね。

 これは、当時のアメリカがベトナム戦争のPTSDに苦しむ人が多かったことからの社会現象だったと言えるでしょう。

 ちなみに、USAという国は、移民によって建国された国であり、キリスト教をバックボーンにしています。宗教的価値観を骨格にしている移民にとっては、例えば唯物論をベースとする共産主義思想は悪魔的なものと思える訳で、だからこそ共産主義思想を徹底排除しようとした訳でしょう。

 しかし、キリスト教、あるいはユダヤ教を信仰したとしても、やはりセクト(党派)が出てくる訳です。

 中でも、魔術的な神秘主義思想は、仏教で譬えれば密教に当たるものとして秘密結社の母体になり易く、中世ヨーロッパの貴族階級の中で遊び半分に悪魔崇拝思想が出てきてオカルトの伝統が確立されていった訳です。

 これは近現代の秘教的魔術結社に繋がり、現在の陰謀史観のブームに繋がっています。

 中でもブラヴァツキー夫人が興した神智学協会は一世を風靡しました。

 真相は希代の山師だったというのが妥当でしょうが、その後のオカルティズムのジャンルに与えた影響は絶大でした。

 アニー・ベザント、オルコット大佐、ジッドゥ・クリシュナムルティー、そして人智学を提唱したルドルフ・シュタイナーが神智学協会から出ていますし、クトゥルー神話を生み出した偉大なるホラー作家、ハワード・フィリップス・ラブクラフトもまた神智学の影響を多大に受けているとされます。

 神智学の特筆すべき点は、西洋の魔術の伝統にチベット密教という東洋のオカルティズムを融合した点にありました。

 そして、アカシックレコードという壮大な宇宙の時間軸の記録(要は、超・運命論)を掲げ、アトランティス人の末裔たるアーリア人種の優性思想を説いた点も“意識高い系の人達”の指示を集めたのでしょう。

 有名な話では、ヒトラーが神智学が説いたチベットの地下にあるシャンバラを探しに行ったというものがありますが、ヒトラーは元々、秘教結社トゥーレ協会に入っていました。

 それ以前からあった秘密結社も神智学の影響を受けたようですし、これによって東西のオカルティズム思想の融合が進んでいきました。

 かの有名なアレイスター・クロウリー(黙示録の獣を自称。マクレガー・メイザースのゴールデン・ドーン(黄金の夜明団)の出身)が自らモデルとなってヨガの教本を出しているのも、何だか、ちょっと微笑ましい感じがします。

 ちなみに、ビジネス向け自己啓発系本の定番である「成功哲学(成功している自分をありありと思い浮かべることで現実に成功に繋がるという現世利益思想。最近は“引き寄せの法則”と名前を変えてプチブーム?)」も、仏教の唯識論が元ネタではないか?と思われますが、西洋秘密結社の秘教の中にも含まれていますね。


 さてさて、以上の背景を頭に納めた状態で、以下をお読みください!

 オカルティズムの中でエヴァンゲリオンにも出てきて注目されたものに“カバラの生命の樹”がありますが、これを人体に対応させたものが“スシュムナー管上に位置するチャクラ”と考えられています。

 ヨーガの行法は、瞑想(内観と呼吸法)によって、最下部のチャクラ(ムーラダーラ)に眠るクンダリーニを目覚めさせて上昇させ、七つのチャクラを回転させながら頭頂のチャクラ(サハスラーラ)より外界に解放することで解脱を得る・・・というのが大まかな修行過程とされます。

 実は私、若い頃にこれやったんです。で、解脱した感覚もありました。もう、物凄くハイになって身体はフワフワ浮いた感じだし視覚はサイケデリックな原色の色が塗られたように風景が見えて、物凄く頭がクリアーになった・・・ような“幻覚”がありました。

 でも、しばらくしてフと気づきました。現実の自分は何も変わっていないし能力が高まったりした訳でもなく、むしろ、その後は体調が悪くなり精神的にもアンバランスになりました。

 以前にも書いているように、パニック障害になったのも、このせいだと思います。

 後々に知りましたが、このような例は、“クンダリーニ症候群”と呼ばれて、ヨーガ行者にも多く発生する独特な病気であり、酷い場合は廃人となってまともな社会生活が送れなくなってしまうのだとか?

 その後、武術と精神世界の業界で、同様の病気になる人を相当数見ました。

 レベルが低いからそうなるのではありません。相当なレベルで熱心にやった人ほど、そうなってしまうのです。

 座禅でも禅病と呼ばれ、「魔境に陥る」と表現されますが、これはメディテーション(瞑想)系の修行法には付き物であり、俗に“狐が憑く”といった「動物霊の憑依現象」にも原理的な共通性があると思われ、専門用語では“ジャーク(宗教的痙攣)”と呼ばれます。

 類似の現象に気功の“自発(動)功”や、野口整体(気合術の松本道別の弟子だった野口晴哉(はるちか)が創始。よく野口三千三(みちぞう)の野口体操と混同されがちだが全く別物)の“活元運動”があるが、これらは身体的なもので、錐体外路系運動と呼ばれる無意識の反射運動であり、禅病やジャークは精神疾患様のもので、放置すれば本格的に発病する危険性があります。

 ヨーガが中国化した仙道を現代的にエクササイズとした気功でも、“偏差”と呼ばれて注意すべき状態とされていますが、多くの場合、性的快感を伴う(脳内覚醒物質の作用と判明している)ので、「気持ちが良いことは正しいことなのだ!」という手前勝手な御都合主義で受け止めてしまう“無知蒙昧なオバカさん”が非常に多い(昔、脳内革命と謳って奨励した医師がいて、「医者が言っているんだから正しい」と盲信するアンポンタンが続出しました)のです。

 よく、苦しい修行に耐える人達を立派な人だと讃えたりしますが、あれははっきり申して単なるマゾヒズムに目覚めただけなんですよ。

 苦しければ苦しいほど脳内麻薬がドッパドッパと出て「チョー気持ちイイ~ッ!」と立禅しながら叫んだ“変態さん”がいましたよ?

 ここまで来ると“ヤク中”と一緒ですから、大体、まともな社会生活できなくなりますからね? 事実、この人はあちこちで詐欺行為を働いた揚げ句に行方不明になりました。

 で、私が何を言いたいか?と申しますと、「俺は命懸けて修行をやっている!」と威張るようになったら人間失格! 単に“底抜けに頭が悪い”だけ!

 そもそも、真の修行というものは、出家して乞食同然の暮らしをするものであって、道場経営と宣伝に明け暮れるようなビジネスマンとは縁がありません! 寝言ほざく暇があったら、ちゃんと社会生活をやって、「いえいえ、私ごとき俗物が武道家なんておこがましくって口が裂けても申せません!」と言うのが身の程を弁えた正しい認識!です。

「もっと、謙虚になんなさい!」と、言ってやりたくなるような勘違いした人が武道の世界には腐るほど実在していますからね?

「人間は世の中で生産的な仕事をすることで社会に貢献し、その行為への報酬を得て日々の暮らしの糧を得るのが正しい生き方であり、自己満足の修行に埋没するのは人類が築いてきた歴史と社会に背を向けた愚者の営みでしかない」と言いたい訳です。

 分かりやすく言うと、「現実逃避」です!

 だから、私は「俺は武道家だ!」と恥じらいもなく公言するような“糞馬鹿”には軽蔑と哀れみの念しか感じません。「お前はちゃんと義務教育を受けたのか?」と・・・。

 はっきり言って、「井の中のカワズ」ですよ。せめて、恥ずかしそうに言いなさいよ?って言いたいですね。

 人間の価値というのは、「人に優しい」ことと「教養が豊か」であること。

「殴り合いの強さ」には何の価値もありません!

 それ以外の人間の価値ってありますか?

 武道の業界では「礼節がしっかりできている」というのを大事にしがちですが、表面的な礼節をどんなにしっかりやって見せられても“ハラの中が真っ黒”だったら意味ないでしょう?

 それでは自己欺瞞であり偽善者ですよ。礼儀正しく振る舞っているから人格が立派だとは限らないのが人間の心の奥深さ・・・。

 よって、私は礼節は評価しません。カタチじゃなくて、本心が外に顕在化した結果を評価しますね。

 やっぱり、私が本当に嫌だな~って思うのは、“自分の得することしか考えない人”ですね?

 人間だから、しょうがないとは思いますけど、平気のへいざで自分の得しか考えない人っていますからね。こういう人は結婚したり家族持ったりしちゃ~ダメ!

 えっと・・・無関係なことをいろいろ書いたと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。

 クンダリーニを安易に上昇させると、このような自己愛に凝り固まったモンスターに変化してしまう場合があるのです!

 本当に人格がコロッと変わってしまいますから。

 クンダリーニというのは仙道で言うところの「精」なんですね。

 順番として仙道では「錬精化気」、次に「錬気化神」として、最後に「出神の法」を遣って頭頂の百会(ひゃくえ)から神を解脱させる(俗に言うアストラルプロジェクション(幽体離脱)はこの初期現象と見做される)のです。

 これは精がガソリンで、気がガス、ガスの燃焼でエンジンが動くと考えてもらえばいいか?と思います。

 これが失敗してクンダリーニ症候群となるのは、この錬精や錬気が不十分なまま周天法を行って(経脈を周回させる錬法で、小周天を基本とし、大周天を経て、出神に到る)、気の流れが滞ったり、詰まったり、別ルートに流れて(これが「気が狂う」とか「気違い」の語源)心身に不調を起こすことなんですね。

 余談ながら、伝説ではシャカムニもこの修行法では挫折し、行法そのものを捨てることでサマーディ(三昧)に至り、最終解脱に至ったとされていますから、結論から言えば意識の解放だけで充分かと思います。

 さらに言えば、オカルトとは“隠秘学”という意味であり、本来、一般に公開してはいけない知識であるとされてきました。

 何で、公開してはいけないか?ということは、もう御理解いただけたでしょう?

 そうです。“生半可な気持ちで取り組めば人生を台なしにしかねない危険性がある”からです!

 学ぶ側も教える側も相応の覚悟が必要ですし、真剣に取り組めば良いというものではなく、むしろ、いかにして自分の人生のバランスを取るか?という意識が重要なのです。

 実は、ヨーガの語源は「バランスを取る」というものなのだそうです。

 心身のバランスを取るために取り組む・・・これが正しい取り組み方です。

追伸;霊という言葉も、心霊・幽霊・亡霊・・・といったイメージしかないでしょうが、これも神道では「ヒ」とか「タマ」と読んだりして根源的なエネルギーという意味合いがあります。霊現象を残留思念であると説いた研究家の方もおられました。これもまた唯識論的解釈かな~?と思います。この世は、夢か現(うつつ)か・・・。乱歩的だな~?

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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