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鬼平ファイナルで田中泯

・・・さんが出演されていたんですが、これ、中村吉右衛門さんのラスト鬼平の作品であるのに、田中泯さんの存在感があまりにも強過ぎて、何か泯さんが主演のように錯覚してしまいました。

 大丈夫かな~? 吉右衛門さんが気を悪くしないかな~?

 そんな要らぬ心配までしてしまうくらい泯さんが格好良いのです。

『妻はくノ一』の松浦静山(平戸の藩主で心形刀流の遣い手)もそうでしたが、泯さんはシン・ゴジラみたいに出てきただけで異様な存在感で場をかっさらってしまうので、物語の中ではチョイ役で遣うか完全に主役にするしか無いと思うんですよ。

 多分、キャスティングの段階で、「吉右衛門さんの最期の鬼平なんだから、それに相応しい強力な敵役を」という考えでオファーされたと思うんですが、キャラクター的にも鬼平を食うような剣客で医者で慈善事業家で泥棒!という堀本伯道なる面白過ぎる役柄ですから、おいし過ぎる訳ですよ。

 昔のドラマの鬼平で見た時は、山さんこと露口茂さんが演じていて、やっぱり格好良かったんですが、泯さんが演じると本人のキャラと被って異様にカッコイイ爺さんなんです。

 グレた息子を自分で始末つけようとして返り討ちにされてしまうのも、何か悲劇的でいいし、ひょっとすると、わざと息子に殺されてやったのでは?と思えるくらい、本当に、最近見た時代劇の中でもダントツに良かったですね~。

 外道に堕ちた息子を演じた尾上菊之助も妖しい雰囲気が出ていて非常に良かったんですが、公式ガイドブックで「非常に不気味で得体の知れない感じがしました」と泯さんを評していて、オイオイって思いましたけど、これは最大限の賛辞?なんでしょうね。

 剣を抜き合わせて対峙している写真を見ると、腰を少し突き出すように下丹田から刀を突き出ているように構えられていて、一刀流剣術の雰囲気ですが、前腕の古木の節くれだったようなワイヤーをよじり合わせたような筋繊維に、70を過ぎても農業で自然に鍛えたという舞踊の身体性を感じさせられます。

 裏切った配下を斬る時も、抜き上げて上段で一瞬、止めてから斬るんですが、これも刃筋を整えて切り下げる一刀流の刀法を感じさせています。

『妻はくノ一』の時も潜入していた女忍者と戦うシーンで同様のやり方をされていましたが、そこは拘っていらっしゃるのか? それとも無意識にやっているのか?

 あの作品では香港アクションの要素も入っていましたが、今回は純粋に時代劇の殺陣ですから、ケレンの無いリアルな対決シーンでしたね。

 私は、宇仁貫三さんは以前から上手いな~と思っていた殺陣師の方なんですけれど、今回は、雲竜剣同士の戦いを目撃した鬼平が、いかにして秘剣を破るか?という点を工夫されていて、大刀を打ち払われた鬼平が間合を詰めながら脇差を抜き斬りに胴払いにして勝つ!という実に緊迫感のある合理的な戦法を表現されていて、唸りました。

 何しろ、鬼平は若い頃に伯道と立ち合って引き分けており、その伯道を破った若い剣鬼と対決するのですから、いささか分が悪い。

 もし、試合だったら負けるだろう?というような相手を武術的戦略も加味して倒すのですね。

 やられた相手も、技で敗れたことに本望であるという満足気な表情で死ぬ。

 私も武術を嗜む者の端くれとして、実によく理解できますよ。自分より見事な技を持っている人に負けるのは、悔しいという感情より、感銘を受けるもんなんですよ。


 それはそうと、泯さんは死に方も素晴らしい! 死ぬところを演じて、こんなにインパクトがある俳優さんは福本清三さんと双璧ではないか?と・・・。

 私は殺陣がダメな時代劇は、どんな内容が素晴らしくても駄作だと感じてしまう人間ですから、今回の鬼平ファイナルは鬼平史上最高の作品だったと思います。

 まさに、吉右衛門さんのラストを飾るに相応しい!


 そして、何しろ、殺陣が緊迫感あって良かった。

 雲竜剣の型が、片手車(しゃ)の構えで、左手は鞘の鯉口握って真半身に左肩を突き出す・・・その構えの格好良さ!

『隠し剣・鬼の爪』で主人公に捨て身の秘剣を教えるシーンを彷彿させました。

 久しぶりに泯さんの踊りを見に行きたいな~と思いましたね。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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