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趣味悠々に太極拳が!

 NHKの『趣味悠々』で太極拳が採り上げられると知った時は、日本で最も普及している楊名時太極拳、即ち、簡化24式なんだろうな~と思っていたんですが、今回は、あの陳静老師の御夫君で、日本人で太極拳の世界チャンピオンになった渡辺俊哉先生が指導されるとのことでした。

 いつも都内に出て帰ってきた時に立ち寄る京王線橋本駅のコンコースにある書店で、テキストブックを見かけた時は、「あれっ? このイケメン顔の武術家は誰?」と思ったんですが、「この人が、あの陳静老師のハートを射止めた日本人武術家だったのか~? なるほど~、こんなカッコイイ人だったんだな~」と、納得の美男美女カップル、おまけに二人揃って中国武術の世界チャンピオンというのは、カンフー映画や漫画でしかあり得ないようなミラクルですね。

 私も太極拳を嗜む者の一人として、世界一の業前を堪能させてもらおうと思い、ワクワクして放送日を待ちましたよ。

 ちなみに、私が習ったのは、西荻窪ほびっと村学校の大友映男先生から、佐藤金兵衛先生系の99式太極拳を数回、躾道会の小林直樹先生から同じ套路と武術的用法を数回。これは笠尾恭二先生の本をテキストにして一回は覚えたんですけど、長過ぎて練習しなくなったんで忘れちゃいましたね。

 この他には、松田隆智先生から陳式太極拳の用法の秘訣について口頭で説明を聞いたのと、高小飛先生から呉氏太極拳の推手のレクチャーを受けたのと、身法研究会の小用茂夫先生から陳式太極拳の推手のレクチャーを受けたのと、簡化24式太極拳を友人の山下さんから習ったのと、シダックス橋本駅前店の河原達先生の講座で一回学び、後は、やはり笠尾先生の本をテキストにして、99式の動作の風格に合わせて少しアレンジして、游心流としての簡化24式太極拳をやっています。

 もっとも、私は元々が太極拳にはそんなに興味は無かったんですよね。実戦に使える人を見たことが無かったですから・・・。

 けれども、私が武術を目指す切っ掛けになったのは、中学時代に読んだ松田隆智先生の『陳家太極拳入門』でしたし、発勁、化勁、気・・・といった特別な力を超えた技?を体得できれば、いきなり超人的な実力が得られるのではないか?という多くの武術愛好家が陥った錯覚の世界に私も埋没しかかっていたのです。

 運よく、私は伝統的な武術を駆使して現代の実戦武道や格闘技と渡り合える師範に出会うことができ、今は「太極拳が弱い? ハァァ~? アンタ、何言ってんの?」としか思わなくなったんですが、それは、太極拳の秘技が本当だと信じたからではなく、太極拳のメカニズムと戦闘理論が非常に理に適っていると認識したからなんですね。

 意外に思われるかも知れませんが、フルコンタクト空手の創始者である大山倍達先生は、空手こそ最強と称えつつも、ブラジルのカポエィラ、フランスのサファーデ(サバット)、タイのムエタイと共に、太極拳を空手の脅威として認識していたそうです。

 実際に、『空手バカ一代』の中でも、太極拳の陳老師に一度敗れる描写があり、また、太極拳の遣い手に狙われて死闘の末、辛くも勝つという、あまりにも意外な描写がありましたが、それだけ太極拳に畏怖の念を持たれていた間接的な証拠ではないかと思えるのです。

 この陳老師は太気拳の澤井健一先生がモデルではないか?と言われていますが、太極拳の遣い手に関しては、どう見ても台湾の内家拳名手、王樹金老師をモデルにしているとしか思えません。澤井先生も王老師も、生前の大山先生と直接、間接の繋がりがありましたし、盧山初雄先生のように両者に学んだ大山先生門下の師範もいらっしゃいます。

 この事実を考えてみても、太極拳が単なる老人向けの健康体操に終わるものではなく、武術としての合理性を内蔵しているものであることが判るでしょう。

 個人的には、太極拳の身法原理に交叉法をプラスすれば護身術として十分だと思いますし、大東流や合気道を学んでいる人が太極拳の推手を学べば、一気に技の応用性が広がるだろうと思います。

 また、特に那覇手系の空手を学んでいる人にとっても良い影響が出ると思います(套路だけでなく、推手をやれば・・・の話です)。

 ただし、太極拳のメカニズムと戦闘理論を知らなければ、何十年やろうと全然戦えないと思いますし、特に伝統武術愛好家には未だに超能力武術扱いして語るイカレポンチが腐るほどいる業界なんで、私はもうあんまり関わりたくないのも本音なんですよ。

 ですが、競技として発展している表演武術の世界は、スポーツと割り切っているが故に、おかしな神秘性を煽ることもなく、純粋に“身体運動”としての中国武術の魅力を追求できて良いのではないかな~?と、最近は思うようになってきたんですね。実戦用法も知っている指導者なら、伝統武術に拘っている人よりずっとまともに護身術が覚えられる。

 日本も似たようなものですが、中国の伝統武術の世界は妙な権威主義が横たわっているから、何か非常に嫌みな人が多いように思える。「自分は本物を知っているんだ」という手前勝手な優越意識を丸出しにしている尊大な態度の人を本当に多く見ました。気持ちが悪いくらいです。

 だから、「中国武術のいい道場はありませんか?」と聞かれると、「やめた方がいいよ」と答えざるを得ない・・・、研究家として、哀しいですよ。

 でも、その点、TVを見ながら練習できるというのはいいですね~。NHKは、こういう番組を多く作ってきているからノウハウが確立されていて、非常に良いと思います。

 番組の初回を見ると、渡辺先生は、まだTV馴れしてないから緊張している様子でしたが、柔らかく伸びやかな動きと、まったく崩れない中心軸、ポロッと出る関西弁がチャーミングでしたね。陳静老師の表演も見られて、久々にお得感がありました。

『カンフーくん』に『少林少女』『カンフーパンダ』・・・、う~む、そろそろカンフー・ブームが再燃するかも?

 木曜夜10:00から30分。しばらく楽しく過ごせそうです。私も初心に戻ってストレッチからやり直そうかな~?
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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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