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月光仮面“川内康範”逝去

 例の『おふくろさん』無断改竄に関する森進一との軋轢で、ワイドショーの有名人となっていた川内康範さんが亡くなられました。

 私みたいな特撮マニアにとっては、『月光仮面』『愛の戦士 レインボーマン』『ダイヤモンドアイ』『正義のシンボル コンドールマン』の原作者として名前だけは知っていました。

 十数年前に、「作詞家の川内康範氏は、月光仮面の原作者でもあり・・・」ということを何かのニュース番組で見たのが、川内康範さんの名前を知った最初でした。

 その後、民族派の思想家だということも知って、「右翼なのかな~?」とか思ったりもしたんですが、特撮ヒーロー物の原作者という顔を思うと、そんな単純に色分けできる人ではないんだろう・・・とも思っていました。

 政治のご意見番みたいな存在で竹下元総理の相談役だったとか、グリコ・森永事件の時は私財をなげうつ覚悟で犯人の説得を試みるとか、彼が生み出した特撮ヒーローは、自身の分身だったのか?とも思えるのです。

 今になって思うと、最晩年になってまな弟子とも言える森進一とのいがみ合いみたいな決別の印象ばかりが残ってしまい、頑迷な老人のイメージが残されてしまったのが非常に残念です。

 しかし、個人的に思うに、川内康範さんこそ、国民栄誉賞を授与するに相応しい人生だったんじゃないでしょうか?

 親しい人達が口を揃えて絶賛する人柄には、古き良き時代の日本人の、尊厳と弱者をいたわる視線を持ち続けて一途に生き切った“気骨の人”という人物像が浮かんでくるのです。

 川内さんが森進一を許さなかったのは、まな弟子の驕りの心を許さなかったんだと思います。単にクリエイターとしてのプライドを傷つけられて怒ったのだとは思えません。

 形ばかりの礼をつくしてみても、本当に改心していなければ同じ過ちを繰り返すのが人間の常です。それを全身全霊で表現してみせていたように思えてなりません。

 現代は、様々な猟奇的事件が多発していますが、これらは心を失ってしまった人達が増えていっているように思えてならないのです。

 何しろ、動機が無い通り魔事件や、我欲の充足のためだけに簡単に人を殺してしまう者が増えています。

 どうも、合理主義を取り違えて自己中心的な御利益主義でものを考える人が増えているように思えてならないのです。

 その象徴的な言葉が、“勝ち組”“負け組”・・・。

 自分が勝てれば他人のことはどうなろうが知らない・・・そんな卑しい本音がのぞく非常に下劣な言葉だと思います。

 これは、知らない間に日本人の心を侵食してしまっているんじゃないでしょうか?

 シルバーシートに平然と座り続ける若者・ファミレスや居酒屋で人目も気にせず大声で騒ぎたてる者・彼女や幼児を平然と殴りつけるクズ・・・等々。

 人を人とも思わない自己中心主義の人間がどんどん増殖していっているように思えてなりません。

 そういう精神的な質は、その人の何げない日常の所作や人との接し方に現れてくるものですから、見せかけの形で演じ切れるものではありません。

 私は、日ごろから他者を観察するのが習慣になっていますが、それが武術の心得として非常に重要なものだと認識しているのです。

 観察する習慣があると、言葉に想いが一致していないのも容易に判別がつくようになります。

 私が綺麗言を言う人間が嫌いなのは、本当に誠実で実直な人間だったら、安易に綺麗言を口にできるものではないのを知っているからです。

 どんなに才能が秀でていても、こういう基本的な人格の面で第三者に不快な対応をしてしまう人間は指導者には向いていません。

 これは性格の向き不向きでもあるので、単に教える能力があっても指導者には向いていないという場合もあります。

 武術の場合を言うなら、どんな綺麗言で飾ってみせたところで、練習する内容は、人を殴り蹴り投げ絞め斬るテクニックを習練するものです。

 だから、その行為に“正義”の美旗を掲げて正当化して語ることは重大な偽善にしかならないと私は思うのです。せめて必要悪として認識し、止むを得ない危機的状況を打開するための“最後の手段”と弁えて修行しなければ、自分にも他者にも危険でしょう。

 月光仮面は、「憎むな。殺すな。許しましょう」という標語を掲げていましたが、悪には悪の理由があるでしょう。それを理解し、暴力で立ち向かってくる者を実力で粉砕しつつも命は取らず、改心を促して許す・・・という態度が重要だということです。

 しかし、これを実行するには敵対してくる者より圧倒的に強くないといけない。

 先日、ファミリー劇場で放送終了した『ダイヤモンドアイ』の最終回では、悪の前世魔人ヒメコブラが人間の良心を宿していたことから人間に生まれ変わるという結末を迎えました。

 これは、人間の心の中の悪を象徴的に“前世魔人”の姿に投影して表現していたのでしょう。ダイヤモンドアイがステッキのダイヤから発射する“外道照身霊波光線”で魔物の姿に変わる悪人達を見ていると、「もしかして、彼らはダイヤモンドアイによって化け物に変身させられただけなんじゃ?」なんて疑念も生じるんですが・・・。

 しかしながら、数々の変身ヒーロー物を手掛けて日本人を鼓舞し続けた川内康範さんの御冥福を祈りつつ、その心意気を継承していきたいものです。
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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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