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六月セミナー『軸』について

 五月のセミナーでは、脱力技法による合気・化勁の技についてやりましたけれど、六月は、「軸」の操作について講習していきます。

 脱力技法というのは、甲野さんが初期の頃に使っていた“フェードアウト(溶暗)技法”の基本原理だったんですが、軸の概念を持ち込んで、“井桁の術理”と言い出して以降しばらくの間使っていた技の原理になっていましたね。

 これは、合気道から大東流に近づいたようなものなんですが、実際に甲野さんが井桁の術理を発表する直前に大東流佐川道場と接触していたり、大東流六方会の岡本正剛先生と会っていたりするんですね。

 となれば、合気道の脱力沈身で重みをかけて潰す技法ではなく、大東流各派に共通する背骨(中心軸)を“斬り崩す合気”の効率の良さに着目してパクッたんじゃないか?という疑問も当然出てくるんですがね。

 前者は、重心点そのものを狙うのに対して、後者は軸を攻めることで重心点を浮かして崩す。直接攻撃でない分、まどろっこしいみたいに思うでしょうが、実際は身体の支柱である背骨を崩すことで体内にテコの原理を発生させて崩す・・・という点で、直接狙うよりエネルギーは小さくて済む訳なんですよ。

 五月の脱力技法の時は、二人ほど技がかからない人がいまして、しょうがないので逆技で崩す方法と、中心軸を斬り上げて崩す方法を使ったんですけれど、こうした技法は、どっちかが上であるという訳ではなくて、相手によって使い分けるべきだと考えています。

 ただし、止まって踏ん張っている相手を崩す場合には軸を斬り崩すようにした方が効率が良くて簡単なのは事実です。

 その意味で、「ガッシリと掴んで踏ん張っていたら技がかけられなくなった」として、「合気道に合気は無い」などと公刊本で断定して書く木村達夫さんや保江邦夫さんのような人もいる訳ですね。

 これは、タネを明かせば、ガッチリ掴んで踏ん張っている相手を崩すには中心軸を攻める大東流の合気が効率が良いのですが、柔らかくフワッと掴んだままスルスル動く技能的な相手に対処したりするには合気道のように体捌きで動きながらかける方が合理的なんですね。

 私が合気道の方が実用性が高いと評価したのは、動いている相手に対処しやすいからです。相手が踏ん張っていたら、無理に合気をかける必要はないでしょう?

 よく考えてください。

 ガッチリ掴んで踏ん張っている状態というのは、普通、武道では“居着いている状態”として、やってはいけない体勢、つまり、“死に体”なんですね。

 そういう体勢だったら、片手でぶん殴るか、膝蹴りをたたき込むか、パッチギかますかした方が簡単確実に倒せる訳ですよ。私だったら、「発勁打ち放題になってくれてありがとう!」って、バンバン打ち込んじゃいますよね。

 現に、大東流には本来は当て身技を食らわせてから技をかける手順があります。

 合気の使えない初心者だから当て身を使うのだ・・・と考える人が多いでしょうが、違いますよ~。馬鹿だな~。基本から実戦的な対処法を教えてくれてる訳ですよ。

 大東流の場合、合気の技能が高まるに従って、基本技の質が上がって当て身と合気が融合していくことを狙っている・・・と考えるべきですよ。

 だから、稽古で傷つけないために当て身を入れずに済ましているだけで、そこを見落として状況設定の中で居着いている相手に合気の崩しをかける訓練ばかりやっていても実戦には通用しないだろう・・・ということなんですよ。

 当て身に合気が融合すると、そのまま浸透勁の打法になる。すると、打っているようにははた目には見えない。

 大東流は武田惣角が体系化された教授システムを確立してはいなかったと考えられ、無数の応用変化技としての固め技ばかりやってみせていた様子です。肝心な戦闘理論は隠して教えなかったんでしょうね。武田惣角らしいですよ。

 従って、伝統的な武術流派として体系化したのは、佐川先生はじめ少数だったのではないでしょうか?

 現代に伝承している多くの古武術流派でも、本来的な意味で体系化された流派は少ないでしょうし、異質な流儀を別々に練習している人(合気道と空手・柔道とボクシング等々)は多いと思いますが、それら全てを統一原理で纏めている人は非常に少ないと思います。

 私は、交叉法を学んでから直感的に「これだっ!」と思って研究して15年くらいになりますが、間違ってはいなかったんじゃないかな?とは思っています。

 中国武術・空手・合気・古流柔術・剣術・・・等が、全て、交叉法の理合で統一できてきたからです。

 そんな交叉法を理解するための概念としても、「軸」の考えは非常に汎用性の高いものですし、中心(芯)軸・(左右)側軸のみならず、縦に通す軸は無数に想定できますし、横にも斜めにも軸を想定することで技のパターンが無数に広がってくる・・・。

 この軸の考え方は伊藤昇先生がかなり研究されていた様子ですし、伊藤先生の弟子であった甲野氏が「身体が割れる」という表現で説明したかったみたいです。

 伊藤先生が側軸の概念について発表した時は、高岡英夫さんから「それは私の理論だ」というクレームが来たそうなんですが、するってぇと・・・『常足』にも文句つけたのかな~? 私のところにも、まだ文句つけてきてないな~?


 しかし、実体としての軸なんてものは無い訳で、あるのは全て“想定された線”に過ぎないんですね。

 逆に言えば、そんなものは無いんだから、勝手に“有る”とイメージして自由に設定すればいいんですよ。

 一番スタンダードな背骨に沿った中心軸に、肩と股関節を繋いだ左右の側軸、相対した時の自分と相手の中心軸を合わせるとか、いろんな使い方ができるという点では、脱力技法のように皮膚感覚に頼らず、イメージで想定する“脳内感覚”の問題なので、イメージ力に秀でた人が体得しやすいでしょうね。

 脱力技法の場合は接触して圧力の方向を探って崩れる位置を皮膚感覚で察知していた訳ですが、軸というのは、観た目で傾き具合をある程度は測れるんですよ。

 だから、崩し技なんかは連続写真で観ると技の構造が解析できたりする訳です。これも軸で考えると解りやすいんですね。

『オーラの泉』に出てた榎木孝明さんも、軸の操作で相手を崩す技をやってみせていましたけれど、甲野氏に習ったのかも知れませんが、ずっと教えてうまかったですよね。


 ただし、軸が観えない人もいるので、あまり頼り過ぎると騙されてしまう場合もあるんですよ。どう見ても弱そうなのに、手を合わせるとベラボーにできる人とかいるんですよね~。私は、そういう人の方がカッコイイと思うんですけどね。

 何にしろ、軸について考えていると、武術の技能アップに留まらないいろいろな分野に応用が利くと思います。

 そういう意味で、極めて実践的な内容になるでしょうから、今度のセミナーに限っては、武術に興味の無い人にも役立つんじゃないかな~?と思っています。 


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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
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