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訂正とお詫びのお知らせ

 甲野善紀氏の批判論中、「誤解を与える可能性があるので」ということで、無冥流手裏剣術研究家の鈴木方山先生から訂正の御意見をいただきました。

 他の人から聞いた伝聞とゴッチャになってしまっていたみたいで、確認を怠り独断で書いてしまいまして、鈴木先生には大変、御迷惑をおかけしてしまいました。誠に申し訳ありません。衷心よりお詫び申し上げます。

 当該箇所の事実関係に関しましては、鈴木先生からいただいたメール文をそのままホームページに転載させていただきましたので、御確認いただけると幸いです。



 早速、鈴木先生にはお詫びの電話を致しましたが、最近、御無沙汰して失礼してしまっておりましたので、図々しく一時間近くも話し込んでしまいました。

 甲野氏のこともともかく、「武術・武道をやる人間は常識が無さ過ぎる人が多いですよね~」という話から、「武術家・武道家を自称している人間は、“俺が一番”的(自己愛性人格障害)病があるから、冷静な技術論なんかムリですよ。独善的且つ排他的な考えを押し付けてきた揚げ句に、こちらが納得しないと強圧的になっていくだけだから、付き合わない方がいいですよ」という体験的アドバイスを申し上げました。

 それから、自称武術家?のストーカー的嫌がらせの実例なんかも話したりして、本当にヤな業界だな~と・・・。



 そうそう。この際ですから、私の手裏剣術の師伝について書いておきますね。

 まず、甲野氏に習ったのが最初で、甲野氏自作!の根岸流型の手裏剣を一本貰ったりして、田舎に帰省した時に庭で段ボールを的にして練習したものでした。

 余談ですが、甲野氏と対談本を出した『バガボンド』の井上雄彦さんは、同作中で吉岡清十郎に根岸流型のロケット型手裏剣を使わせていましたが、あのタイプの手裏剣は江戸時代後期に根岸松齢が工夫したものなので、この時代には無い筈なんですね。根岸流の源流である松林蝙也斉の願立流の手裏剣も針型だった筈ですからね(せっかくの名作漫画なのに甲野氏のハンパな影響でミソがつくのは嫌だな~)。

 ちなみに、甲野氏に貰ったこの手裏剣は、ある武道具店で手裏剣製作の相談をした時に参考品に預けていたら、そのお店が閉店してしまって行方不明になってしまいました。

 何だか、私、甲野氏には随分、良くしてもらってたんですよね~。やっぱり、ちゃんと御礼参りに行かなくちゃな~・・・アレっ? 「御礼参り」って・・・意味が違う?

 そもそも、甲野氏に習った当時は、「手裏剣を教えたのは二人目だよ」みたいに言っていました。当時、ほとんど誰も興味を示さなかったので独りで稽古していたそうです。

 まあ、20年くらい前ですからね。

 それも、古武道大会で根岸流の演武があった時に、ほとんど刺さらずに会場に気まずい雰囲気が漂ったという話を甲野氏に話した時、「それは根岸流の名誉のために私がお見せしましょう・・・」なんて言って、甲野氏が自分からやって見せてくれたんですね。

 実際に甲野氏から学んだ当時、私は懸命に練習しましたが、いくらやってもロクに的に刺さらず、初めて刺さったと喜んでよく見たら、何と、お尻の方から段ボールに刺さっていてガッカリしたものでしたよ。

 それでも一万回を超えるくらいから、三回に一回くらいは刺さるようになって、調子が良くなると十回に六~七回くらい刺さって、「よし、コツが掴めたかな?」と思ったら、また全然刺さらなくなる・・・といった繰り返しでした。

 そんな程度から一向に上達しないので、「俺は手裏剣は全然向いてないんだな~」と思って、あまり練習しなくなっていたんですね。

 同時に、「こんなに難しいんじゃ、根岸流の宗家が古武道大会でほとんど刺さらなかったのも無理ないや」と思いましたし、「一本も刺さっていない凄い手裏剣術のビデオがある」という話を聞いたことがあります(本当だったら、そんなビデオをよく出したものだと思いますが)。

 また、古武術の研究をしている人から「手裏剣というのはこうやって打つんだ~」と講釈した揚げ句、打ってみせてくれたら全然刺さらず、「アレッ?・・・アレッ?・・・」と何度もやって、結局、刺さらず。「うわっ、俺より全然、下手やんけ~?」と、呆れてしまったこともありますが、要するに、それくらい難しいってことで、ちょっとでも慢心があったり精神的に緊張していたりすると、途端に刺さらなくなるんですよ。

 だから、「甲野氏も手裏剣だけは上手いな~。剣術も抜刀術も体術も、その他は全部、史上最低の駄目っぷり(悪口に思える方は甲野氏の批判論をお読みください)だけど・・・」と、今でも思っている次第です。

 ですが、手裏剣術の専門家からは「あんなのはダメだ」という意見を頂戴したこともあり、その方の映像も拝見しましたが、確かに優れた業前だとは思いましたが、甲野氏より格段に実力が上?という目立った差のある印象は、正直、受けませんでした。

 私みたいな下手くその個人的見解ですから、恨まないで欲しいんですけれど、ただ、手裏剣の実戦性を声高に主張されるのには閉口させられたのが偽らざる本音で、喧嘩になるのが目に見えたので「付き合わんとこう」と思いましたよ。悪く思わないでください。

 そんな訳で、私は甲野氏以外に手裏剣術を直接学んだ人はいません。が、それ以外には、武道医学のサイード・パリッシュ・サーバッジュー先生と、桜公路一顱先生の武術を伝承する拳志会の岡林俊雄先生、それに不二流体術先代宗家の田中光四郎先生から、手裏剣術のコツについて一言二言伺った程度です。

 映像で参考にしたのは、芦原英幸先生と、“若山富三郎先生”ですね。

 芦原先生の手裏剣術は、極真空手のドキュメンタリー映画や、ビデオ『スーパーテクニック芦原空手』の中で演武されているシーンがあります。

 若山先生の手裏剣術は『唖侍・鬼一法眼』『賞金稼ぎ』『御金蔵破り』シリーズで何度も見返して、打つフォームやタイミングの取り方などを研究しました。

 これらは見る機会がほとんど無いと思いますので、千葉チャン主演版の深作監督の撮った『魔界転生』の中で回想シーンで幼い十兵衛に稽古をつけていて手裏剣で息子の片目を潰してしまう柳生但馬守を演じる若山先生の手裏剣術を、ご覧アレ!

 芦原先生も若山先生も刃先を手首側に向けて持つ“反転打法”を使っていましたが、これは投げナイフなんかでよく使う打法で、剣が一回転して刺さるので、剣先が刺さるように距離を測るのが難しいのですが、遠距離を打つには向いているとされます。

 一説に、芦原先生は遠くの敵を倒すのに手裏剣を独自に研究したそうで、打法も野球のピッチングと同様で古武術的な打法ではありませんから、恐らく、ほとんど独学で工夫されたのだろうと思います。

 若山先生は、悪役俳優の~~昌平さん(あ~、宮~さんだったっけ? チェンジマンのギルーク指令を演じてた人ですよ)の手裏剣を見て「俺にも教えろ」と言ったとかいう話もありますが、それにしては上手過ぎます。

 一説に、子供の頃に忍術の先生に習っていたそうなんですが、忍術の先生と言うと甲賀流(南蛮殺到流拳法等々)の藤田西湖に習った?という可能性が考えられ、それなら白井流の手裏剣術を学んだ可能性があり、白井流は直打法と反転打法を使い分けるので、こっちの方が可能性がありそうです。

 若山先生は勝新太郎の実兄ですが、天才役者勝新の影に隠れて売れない時期があり、その頃にいろいろな武術流派の門を叩いて技を磨いていたそうで、元々が柔道の道場を開こうか?と思うくらい柔道の実力があった上に、剣術・居合術・杖術・空手・合気術等、ほとんど総合的に武芸百般に通じていたんですね。

 その実力は日本より、むしろ海外で評判になり、マーシャルアーツ・ムービースターとして認知されている訳なんですよ。事実、居合術の上手さは、全国の居合師範と比べてもず抜けていて神技のレベルですよ。順手のみならず逆手抜きでも勝新座頭市に劣らないし、三尺の長剣を速抜きする実力は驚異的です。

 おっと、話がずれてしまいましたね。

 そんなこんなで、私の手裏剣術のレベルは十数年間、ほとんど上達の見込みが無かったんですが、四年くらい前に鈴木先生から御著書を贈呈していただき、これがまた技術理論書として非常によくできた本でした。

 一読して、書かれている通りに“畳針”を打ってみると、軽くて一度も刺さったことのなかった畳針がピシッと的に刺さるではないですか?

 エエッ?と思って、二度、三度と打ってみると、冗談みたいにピシッピシッと刺さります・・・嘘みたい・・・。

 自分でも何故、いきなり刺さるようになったのか信じられません。

 試しに、ちゃんとした?手裏剣で試してみましたが、これも問題なく刺さります。本を読んだだけで、何年もろくすっぽ練習してこなかった手裏剣が、いきなり刺さるようになるなんて、驚きを通り越して夢物語ですよ。

 以前から、「武術の技は、訓練によって体得するものじゃなくて、あくまでも本質はコツを知るか知らないか?の問題なんだ」と考えていたものの、自分には才能が無くて向いていないと思い込んでいた手裏剣術にも当てはまるとは夢にも思いませんでした。

 それから、鈴木先生の著書と首っぴきで手裏剣術の研究を再開しましたが、どんどん上達していくのが解りました。

 何しろ、2~3m離れて十回に三回刺さればマシな方だったのに、ほとんど刺さるようになっただけでも驚きで、右手、左手での上から、下から、横からの打法でも刺さるようになってきたのです。

 しかし、「重い手裏剣で稽古すべき」と書いてあるものの、私は軽いものしか持っていませんでした。

 そして、その軽い手裏剣で稽古している最中に、鈴木先生からまた荷物が届き、開けてビックリ! 自作の手裏剣を数本、「研究用に使ってください」と贈呈していただいていたのです。

 それで狂喜して稽古に熱中したのは、言うまでもありません・・・。

 この贈呈品の手裏剣は、『武術のシクミ』でも紹介していますが、これまで私が使った手裏剣の中でも最も機能的に優れていると思いますし、新体道の青木宏之先生が自作された手裏剣と偶然にも酷似した形の物もあったということを青木先生のお手紙に書かれていました。

 そんな訳で、現在の私の手裏剣術の師匠は、実質的に鈴木方山先生という次第なんですけれども、実は未だに一度も直にお会いしたことがないんですよ。

 私もちょっと忙しくなってきたから、お会いする機会を失して御無沙汰してしまっているのです。

 けれども、近距離なら重い手裏剣三本を片手で一度に打てるくらいになって、手裏剣を武術として研究できる水準になれたのは、鈴木先生の御厚情以外の何物でもありません。


 武術の研究をやってきて痛感するのは、「武術の技や知識を研究する人はざらにいるけれども、武術の理論を研究している人は極めて少ないな~」という点であって、その意味で鈴木先生の手裏剣術研究は極めて理論的で流派の枠組みに捕らわれていない点が画期的だと思っています。

 許されるなら、もっと広く御紹介したいところなんですが、手裏剣という武器の性質と、鈴木先生自身が「自分は研究家なので・・・」とのことであまり表に立ちたくないそうなんですね。

 理論的な研究を怠るから、結果的に流派の優劣論に陥ってしまい、夜郎自大な自惚れた考え方に縛られてしまって、自分の足元が見えない武術気違いになり果ててしまうのではないか?とも思えるのです。

 私は、武術・武道が大好きですが、武術家・武道家と自称している人達の大半が大っ嫌いです。

 人間的に尊敬できる人が少ない“威張りん坊さん”ばっかり。何か、勘違いして自分が特別な存在ででもあるかのように自惚れているのが、謙虚そうに振る舞ってみせる裏からプンプン臭って、鼻持ちならないのです。
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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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