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7月セミナー『読み』報告

 いやはや、一週間前にちょいと事件がありまして、一週間まるまる潰れてしまったような形で数日忙殺されておりました。

 それで準備不足で臨んだセミナーでしたが、今回は『読み』ですから、疎かにはできません。

 資料には書いていましたが、一口に『読み』と言っても、具体的な相手の身体を読む目付けだけではなくて、それ以前の日常的な生活習慣としての『読み』について今後は主張してみようかな~?と思っています。

 けれども、武術のセミナーである以上、『読み』は基本且つ実用を旨としなければなりません。

 それで、「一眼二足三胆四力」の意味から解説し、「武術で一番最初に学ばねばならないのは眼(読み)であり、これを知らなければ全てが未完成になってしまう」と説明した上で、相手の動き出そうとする観察のやり方、後の先、対の先、先の先を指導しました。

 私が武術を研究してきて「目付けと交叉法」が核心だと考えるようになったのは、要するに、「敵と互角の勝負をしていたら、どんな実力者でも必ず敗れる」と思ったのと、老齢の武術家が若い実力者を苦もなくあしらう様子を見ていて、「あ~、根本から戦闘理論が違うんだ」と感づいたからでした。

 どんな実力者でも人間である以上、身体上には無数の弱点があります。これは強いとか弱いとかとは関係ありません。

 たとえば、目、鼻、耳、頭髪なんかは指先で突いたり掴んで強く引っ張ったりすれば結構なダメージがありますし、首は喉を強く押し潰すようにすれば気管が塞がってしまうし頸椎に強い打撃を入れると即死する可能性があります。

 外にも睾丸を強く蹴ったり握り潰すようにすれば悶絶するし、腋の下は筋肉が薄くて打撃に脆く、骨折しやすい。それから全身の関節を曲がらない方向へ強く曲げれば脱きゅうしたり折れたりしてしまいます。

 私は武道医学を学んだ時に治療の仕方と壊し方の両方研究しましたが、治すのは難しいですが、壊すのは実に簡単です。

 無論、「戦闘中に相手の攻撃をかいくぐって急所を攻撃するのは不可能だ」と考える人がほとんどでしょう。これは間違いではありません。

 ですが、人間は全身の急所をカバーしながら動き続けることは不可能です。蹴りを出せば股間の急所が空くし、パンチを出せば腋の下の急所がガラ空きになります。

 多くの武術が防御に徹する戦闘理論を持つ理由は、「相手に先に攻撃させて、空いた急所に迎撃する」という鉄則が有るからなのです。

 つまり、基本原則としては、武術は「後手必勝」の理論で考えられているのです。

 現代の武道では、このような理論は忘れられつつあります。個人的に遣える人が少数いらっしゃるに過ぎません。が、理論化されず感覚的に遣えるだけの人がほとんどなので、このままでは、伝わらないまま消滅してしまうかもしれません。

 そして、体力とスピードに頼った、「二足三胆四力」だけになってしまうかもしれません。

 今回のセミナーでは、後の先を取るやり方の時に、「相手が攻撃を出し終わるのと同時に自分の迎撃が終わるように・・・」と指導しましたが、これは、相手が攻撃を出してしまってから動いたのでは物理的に間に合いません。

 出そうとするタイミングを測るために『読み』が必要になる訳です。

 きちんと後の先が取れれば、対の先は難しくありません。熟練すれば先の先も取れるようになっていきます。指導中、気合当てまでアドリブで出してしまいましたが、これも一種の先の先を取る技法の応用でしかありません。神秘的に考える必要はまったくありません。生理的な反射を利用しているだけで、来ると解っていたらまず通じません。

 ですが、初心者にいきなり先の先を取らせるのは難しいので、今回は、相手の構えを利用するインチキな先の先を指導しました。

 インチキですが、勝負に使うにはこっちのほうが便利だったりします。

 そういえば、以前、「木村先生の技を封じたなんて長野先生は凄い」という内容のメールを頂戴しましたが、私はいかなる技もメカニズムがどうなっているのか?と考えるので、「はは~、こうやっているな~。なら、こうすればかからないだろうな~・・・あ~、やっぱり」と考えただけで、まったく実力の問題ではありませんよ。

 武術の技は手品と似たところがあって、仕組みが解ると封じるのは意外と簡単です。

 多少、珍しい技をあたかも万能の必殺技であるかのごとく考えるほうがお目出度いと言わざるを得ません。そんな人達の本を読むと、嬉しそうに空手家に勝ったの何だのとはしゃいで技を披露していますが、「呑気だね~」としか思えません。約束組手で一方的に技かけてみせてはしゃいでいるだけなんだから、“日本って達人天国”ですね~。

 こ~んな平和ボケボケ温泉でマッタリみたいな達人?が闊歩する日本より、現実に実用を考えて日々発展している海外の武道・格闘術のほうがずっと先を行ってしまいつつあると思いますよ。

 格闘技やっている人達が武術を相手にしないのもむべなるかな・・・。
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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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