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日本刀って、斬れるな~

「五エ門の斬鉄剣は本当か?」というのを科学的に検証する番組中、斬心塾の東郷秀信師範が出演されていて、見事、鉄板を初代小林康弘刀匠の刀で断ち斬って見せていました。

 東郷師範が凄いのは、この鉄板を機械的に固定するんじゃなくて、お弟子さん達に持たせて斬ってみせたところですね。もし、刀が折れたり斬撃線が曲がって刀身が流れたりすればお弟子さんが大怪我するかもしれないんだから、師弟間の信頼感も尋常じゃない。

 さて、東郷師範が使った刀を鍛えた小林康弘刀匠は、鉄のレールや銃剣のブレイドを斬れる刀を独自の鍛刀理論から作り出したことで斯界で知られていて、「玉鋼を使わない」とか、「造り込みをせずに丸鍛えする」という現代の作刀理論からは異端とされる作刀法を主張し、鎌倉以前の古刀の再現を目指した人物として試斬を嗜む人の間で人気があります。

 ちなみに、うちの剣術師範代のSさんも、小林刀匠の刀を一振り持っていて、クエストのDVD『游心流武術秘伝の活用』で、私が居合術と無刀捕りを演武している時にSさんが持っていたのが、この“斬鉄剣”でした。

 TVを見ていて、「失敗したら俺もこの鉄板みたいに真っ二つになっていたんだな~」と、ちょっと感慨に耽ってしまいましたね。あの時はアドリブで演武したからな~。私もムチャするよな~。

 でも、Sさんだったら、私が失敗しても皮一枚で止めてくれるだろうと思っていたので、割りと思い切ってやれましたね。


 ところで、堅い物を斬るのも凄いんですが、逆に軽くて軟らかい物を斬るのも難しいものです。

『ぷっすま』で“真剣マル秘武士”と新聞のTV欄に書かれていて、「まさか、ま~た、甲野チャンが出てきて嘘んコ剣術とか見せるんじゃあるまいな~?」と思って、チェックしていたら、修心流居合兵道の町井師範が登場。

「あっ、この人はこの前、千本速斬りでギネスの新記録作った人だ!」と、一安心。

 スラ~リと抜いて見せた刀は刀身が白く擦れた疵が斑紋のようになっていますが、重さ1.36kgもあるそうで、多分、千本斬りに使った刀と思われます。

 銘は、“竹花一貫斎繁久”とのことですが、現代刀匠で玉鋼ナイフを作ったりされている方で『ナイフマガジン』の広告で見たお名前です。しかも、お値段は250万円とのことで、ビックリしましたよ。

 私なんて、50万円以上の刀で試斬とかやりたくないな~。刃毀れや引け疵がつくのも嫌だけど、折れたりしたら台なしだもんね。例えば、現在、分割払い中の小宮四郎国安なんて試斬りにもってこいの剛刀だけど、でも疵なんかつけたくない。

 20年以上の貧乏下流生活で、すっかりしみったれた性格になっちゃいましたよ。

 でも、町井師範は顔は童顔なのに腕前は凄いな~。片手抜き斬り上げでスパッ(これを実際にやってみせた人は五指に満たない)、袈裟に斬った巻きワラが空中にある間に真横にスパッ・・・あまりに簡単に斬ってみせるから驚くのを通り越してキョトンとなってしまう。

 そして、ペットボトル百本斬りと自転車組み立てのスピードを競うという趣向ながら、町井師範がミス無しでスパンスパン斬ってしまって圧勝。

 次はペットボトルより難しいトイレットペーパーの芯の百本斬り。ところがこれも後半にスピードアップして僅差で勝利。1.36kgの日本刀を寸分の狂いなく二百回斜めに振り下ろして失敗しなかったんだから、もう、マシーンのような正確さですよ。

 クマのプーさんみたいな温和な顔で淡々と物凄い技をやってみせるんだから、この人は掛け値なしに達人と呼んでいいですよね~。

 それに、ペットボトルとかトイレットペーパーって、簡単に思えるでしょ? 違いますよ。青竹や巻きワラ斬るより難しいですよ。軽いから抵抗が小さく、刃筋を徹すのに相当なスピードが必要な筈です。

 目標が小さいから適切な距離を目測するのも難しい筈だし、普通の刀よりずっと重い日本刀を針の穴を通すような正確な軌道で振り続けるのも至難だと思いますよ。

 以前の千本斬り達成の時は「据え物斬っても意味がない」みたいな批判をする剣人がいたそうですが、次々に多数の巻きワラを斬っていくのは、野太刀自顕流の打ち回しの稽古にも共通していて武術的にも十分に評価できる技だと思います。

 それにしても、東郷師範、町井師範共に日本刀の凄みを卓越した技量で見せつけてくれたのは嬉しい限りでした。私も、そろそろ本格的に試斬にも挑戦してみたいな~。


追伸;榎木孝明さんが『ラジかるッ』に出ていて、「古武術をやっているそうですが、見せてください」という視聴者の要望に応えて、脱力技法の崩し技を見せてくれました。示現流の心得があって、斬心塾で学んでいたというのも有名ですが、最近は甲野氏にも学んだと聞いています。けれども、甲野氏の技の原理が脱力技法なのを見抜いたんじゃないですかね。「力は要らない。力を抜けばいいんです」と、さらっとやって見せているところは非常に自然で、相手の軸を引き崩すようにして合成力(少し引いて下に落とす)を効かせてかけていました。はっきり言って、甲野氏よりずっと上手いです。巻きワラ一本斬れない人とは違って基本ができてるからな~。
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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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