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格闘技ブームの終焉は新しいムーブメントの始まり?

 格闘技をテーマにしたフジテレビのバラエティ番組『格闘SRS』が、ついに幕を閉じました。

 13年も続いていたそうで、隠れた長寿番組であると共に、田代まさしが司会をしていたことや、大槻ケンヂさんの名物コーナー「格闘ビデオ道」が楽しい番組でした。

 また、ファッション誌モデルから女優への登竜門的な側面もあって、藤原紀香、畑野浩子、長谷川京子らがこの番組のMCから飛躍していったことは有名です。そういえばゲストで矢田亜希子も出ていて「私はマニア受けするみたい」とか話していましたね。

 格闘技と美女というのはアメリカのマーシャルアーツ雑誌のノリですが、このベタな展開があったからこそ深夜枠での異例の長寿番組たりえたのではないでしょうか?

 思えば、同時期に始まったテレ東の『リングの魂』が消えて、現在はTBSの『格闘王』だけが格闘技バラエティ番組となった訳ですが、ここ最近、格闘技界が地盤沈下してきているとも言われており、SRSの終了はその象徴なのかという印象も拭えません。

 何よりも、金曜深夜の2:00過ぎに始まるというのは人間の生理的メカニズムからしても、最も視聴が困難な時間帯です。

 正直言って、新聞のテレビ欄をつぶさに観察していて、「あっ、SRSはまだ健在だったのか?」とすら思えてしまっていたのが偽らざる本音・・・という人も少なくないのではないでしょうか?

 実を申しまして、私も最終回前回の放送を久しぶりに見て最終回になることを知ったぐらいで、下手をすると終了したことも知らないままだったかもしれません。

 しかも、最終回当日は『ゴルゴ13』を見て書き物仕事をやっていて、ついうっかり見過ごして、「はっ、そういえば今日がSRSの最終回じゃないか?」と思い出してチャンネルを替えたのが終了5分前という体たらく・・・しまった! やっちまった・・・。

 これで水道橋博士の格闘技トークも聞けなくなるのか・・・グッスン・・・。


 あ~、でもね・・・予感はありましたよ。だって、K-1と極真のリポートしかしなくなっていった頃から、番組の混沌とした闇鍋的魅力が枯渇していった感じがしてました。

 やっぱり、マンネリは良くない。せめて大槻ケンヂさんの「格闘ビデオ道」だけでも月に一回はやって欲しかったですね~。何かトンチキな武術家?が色々出てきて面白かったのに・・・。

 ちょっと、打ち明け話もしますと、実は私もSRSの格闘ビデオ道で出演交渉を受けたことがあったんですよ。もう8~9年くらい前だったかな~?

 あのコーナーって、番組ADが面白そうなビデオを探して番組で紹介するかどうか会議にかけるらしいですね。それで私が作ったビデオに目をつけて連絡してこられたんです。

 当時はシャレでビデオ作っていたんで、お笑いにしてもらっても全然構わなかったですから、私は快くOKして、ADの方が渕野辺駅まで来てくれて打ち合わせしたんです。

 でも、その後、会議でOKが出なかったそうで、ADの方はわざわざお詫びに再度、渕野辺まで来られたんですよ。

 その後、その方はADの仕事そのものを辞めたということと、個人的に私のファンとして応援しているというメッセージをくださいました。真面目な方だったのでTVの作り方には疑問を持ったみたいですね。今はどんな仕事をされているのかな~?と思いますが、元気にやっている姿をまた見せて欲しいと思っています。

 私がマスメディアに出たのは、芸術劇場でダンス白州2005が紹介された時と、TBSラジオの小堺さんの番組の体験レポート・コーナーに出た二回だけです。

 後は、「真剣白刃取りやってください」という深夜枠らしきバラエティのTV番組のADの人からの出演依頼があったのを“これは出るとヤバイかも?”ってとっさに思って「そういうのは殺陣師の先生がいいですよ」と断ったのと、NHKの子供向け教育番組の制作準備の相談にディレクターの方が訪ねてこられたこともありました。

 バラエティ番組はともかく、NHKの方は非常に熱心で真面目に良い番組を作ろうという情熱がうかがえる方でした。が、甲野氏の後釜的な人を探しているみたいな印象を個人的に受けたので、知ってる先生を数人推薦しただけでした。私は甲野氏とは別の道を歩きたいし武術そのものを評価して欲しいですからね。

 有名になって金が入ったって、そんなのは空しいですよ。修行者としては武術をトコトンまで究めていきたいし、あんな最低の実力なのを隠して“現代の達人”と無知な人達から称賛されて喜ぶ甲野氏みたいな破廉恥な人間になるなんて“史上最低の三文芝居”ですよ。

 私は本物の達人になれるんだったら、ホームレスで一生終えても全然後悔しませんよ。


 TVや雑誌なんかもそうですが、よく登場する人はコネだったり、プロデューサーが個人的に心酔しているとか、弟子だとか・・・そういう裏事情があったりするものです。

 実力があれば採り上げられると思うのは素人だけで、実際は全然違うんですよ。第一、武道の実力者ってマスコミ嫌いの人が多いので、中々、出てくれません。

 私も、「着物とか着て、もっと武道家っぽくした方がマスコミ受けしますよ」と言われたことがありましたが、着物は道着しか持ってないし、他人に認められたいがためにそういう不自然な格好して歩くのは馬鹿らしいでしょ? 第一、武道家じゃないし・・・。

 私は「武術をやっているように見えないようにしなさい」と教わってきたから、いかにもな格好している人は馬鹿に見えちゃうんですよ。

 あっ、そうだ・・・今、気づきましたけど、私が今ひとつ格闘技に乗れなかったのは、やっぱり見世物として客の前で闘って見せるというのが、どうにも嫌なんですね。

 見るのは嫌いじゃないんですよ。この前のK-1だって楽しく見れました。

 でも、自分があの場に立ちたいとはまったく思わない。ああいう熱狂的な視線に晒されるのは恥ずかしくて溜まらない。いいとか悪いとか言ってるんじゃなくて、“俺はダメ”なんですよね。ああいうのは・・・。

 思えば、自主映画作ったり劇団で殺陣つけたりしている頃から、役者をやりたいとは一度も思ったことがありませんでした。自主映画とか寸劇で芝居やったことは何度かあるんですよ。でもね~、こっ恥ずかしくて、よ~やれんですわ。寸劇はコントだったから平気だったけど・・・。

 だけど、役者とか舞踊家とか、ああいう人達には憧れますよ。ああいうのは神が与えた才能だと思うね。田中泯さんは日本一カッコイイと思うし、この前のアクション・イベントで見た秋本つばささんは世界で活躍するアクション女優の資質を備えた人なんだと再認識しました。私はそういう才能や素質は完璧に0です。人からジロジロ見られるのはいたたまれないですよ。中身を評価して欲しい。だから物書きの方が性に合ってますよ。


 また、脱線しちゃったけど、格闘技も才能のある選ばれた者同士が闘う神聖なスポーツというか儀式みたいなものですよね。あれは普通の凡人にはできないんですよ。

 でもね~、武術だったら誰でもできる。人と比べる訳じゃないから、自分に適したものをやればいい。殴るのが好きなら拳法や空手、剣が好きなら剣術や居合術、力に頼らない護身術を目指すなら太極拳や合気道・・・選択の幅が広いから好きなもの、自分に適したものを選べる。

 見て憧れるのでなく自分で練習して楽しみながら深めていける・・・。

 大槻ケンヂさんは山田編集長から誘われて格闘技の練習もしたけれど試合に負けて今はやっていない・・・みたいなことを著書に書かれていましたが、格闘技は向き不向きがあるから、向いてない人はどんなに努力しても無理がありますよ。

 どうしてか?っていうと競技スポーツだから。

 皆、どうした訳か忘れているみたいなんですけど、スポーツでトップに行ける人というのは選ばれた素質と才能の持ち主で、しかもトレーナーに恵まれて努力ができる環境にいられる人なんですよ。

 素人が少しばかり練習しても素人に毛の生えた程度にしかなれません。なら、徹底的に努力すればトップに近づけるのか? これは素質と才能がものを言いますよ。

 繰り返しますがスポーツは向き不向きが如実に反映するんです。しかもトップを守れる期間はそんなに長くない。格闘技なら、なおさらです。蓄積されたダメージが長期間に渡って気づかないうちに肉体を侵食していく事実を認識しなきゃいけない。

 人と競うストレスは、このように心身に気づかないうちにダメージを積み重ねていくものなんです。だから、護身術の上策としての健身術を伝承する武術は、基本的に他人と腕前を競うことをしなかった訳です。

 競うことが好きな人というのは自分の素質と才能に自信があって、それを試したい気持ちが強いからなんでしょうね。だから、「闘ってみなければ判らない」と言うんですが、何で他人を傷つけてまで自分の強さを確認したいのか? 常識的には社会人として壊れている人間の発想なんですよ。よって、私は若くてデカイことほざく格闘技選手は嫌い。経験を積み重ねて人間的にも成熟しないと応援する気にはなれないですね。

 そういう意味では柔道の石井選手も今の状態はあまり評価できませんね。メディアに媚びることを覚えてしまったから、知らない間に慢心が芽生えてきている感じがします。

 一回、ボロボロに負けた方が彼の成長にはプラスでしょう。ゴン格で山口香がそういう意味のことを辛辣に評していましたが、彼女はかつて“女三四郎”と呼ばれた女子柔道のAでしたからね。厳しいことを言う資格がありますし、非常に的確だったと思います。

 柔道は武術じゃないんだから、術だけではダメです。勝負論と日常の修行論は分けて考えなくてはなりません。柔道家として自覚の欠けた言動は周囲に悪い影響を及ぼすものだということを石井選手はもう少し理解できなければいけないでしょうね(私が言っても説得力は無いけどね~)。

 格闘技ブームの沈静化は、熱に浮かされた状態から、この辺りの当然の常識を弁える人達が増えてきた証明なのかもしれないな~と思うのは、穿ち過ぎでしょうか?

 我田引水でしかありませんが、これからは争いを避ける武術の価値が見直されて愛好家や探求者が増えていくと思うんですよ。私が、そのための水先案内人としてガイド役を果たすことができれば本望ですね。


追伸;先月のセミナーで山口県から来てくれた方からお土産にお菓子を貰っていたんですけど、これが非常に美味しかったです。本当にありがとうございました! それから、会員のOさんが婚約が決まったそうで、久しぶりに顔を出してくれました。おめでとうございます! 何か、久しぶりの会員さんが来てくれて近況を報告してくれると嬉しいですよね~。何年も来ていない会員さんも、遠慮しないでたまには来てくださいねっ。
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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
@yahoo.co.jp

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