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追悼・緒形拳さんの殺陣

 急逝された緒形拳さんは、時代劇にもよく出られていて殺陣の上手い方でした。

 晩年は、『武士の一分』の主人公の剣の師匠役もされていましたが、バイオレンス・ファンタジー『IZO』で、主人公の前に現れる宮本武蔵を思わせる謎の剣客役も印象的でした。

 宮本武蔵と言えば、『魔界転生』ですが、あれも出演のオファーを断り続けていたものの、若山先生とバッタリ出会って、「お~い、緒形! 緒形は先生のことが好きか?」と聞かれ、「はい」と答えると、「今度、魔界転生って、しょ~もない映画に出るんだけど、緒形も出ろよ」と言われて、「はい、出ます」と答えてしまったと『時代劇マガジン』のインタビューで答えられていました。

 緒形拳は若山・勝兄弟と仲が良かったのだそうで、若山先生の『子連れ狼』シリーズも大好きなんだそうでした。

 TVの時代劇スペシャル『鼠小僧とイレズミ判官』で若山先生の鼠小僧次郎吉(ちょっと無理があるな~)と昔馴染みの遠山金四郎景元を演じ、クライマックスでは槍術を駆使してみせていました。

 そういえば、結果的に勝新太郎の遺作となってしまった『座頭市』にも、市に奇妙な友情と対抗心を燃やす浪人役で出ていて正統的居合斬りと柔術の投げ技を披露していましたが、最後は市に斬りつけた瞬間、あっさりと斬られて「抜いたのは・・・そっちが先だぜ」と言われてしまい、私は、市は果たして自分が斬った相手が、あの浪人だったと知っていたのだろうか?と、気になったものでした。

 緒形拳の時代劇作品では、高橋英樹が主演した幕末物の『狼よ落日を斬れ』では、薩摩の人斬りとして有名な中村半次郎(桐野利秋)を明るく演じていました。

 元々、新国劇出身ですから時代劇はお手の物だったでしょうし、私が初めて見たのは、NHK大河ドラマの藤原純友を演じられた時だったと覚えています。

 NHK大河では常連とも言える役者さんだったでしょうが、やはり必殺仕掛人の藤枝梅按を演じてから、凄みのある殺し屋のような役柄のイメージが強くなったような気がします。

 それが、『復讐するは我にあり』と『鬼畜』によって犯罪者的なイメージもつきます。

 完全な悪役というのはほとんど無かっただろうと思うんですが、私の思い出す限り、工藤栄一監督の『服部半蔵・影の軍団』では、伊賀の上服部と下服部の二人の半蔵を翻弄して上服部の半蔵(西郷輝彦)を倒してしまう不気味な忍者、甲賀白兵衛を演じ、全身に墨を塗って現れたりしていました。

 甲賀白兵衛を倒した下服部の半蔵(渡瀬恒彦)は、恋人になった白兵衛の娘も死んでしまい、飼い犬人生に嫌気がさして、白兵衛のように全身に墨を塗ってテロに走ります。一種の青春安保闘争時代劇?といった印象がありましたが、TV版とはまったく違う内容でした。

 ちなみに必殺シリーズのカラクリ人だったかな~? あの作品では妖怪と呼ばれた町奉行、鳥居耀三(岸田森)を鉄砲で狙うものの飛び立った鳩に当たって失敗。追い詰められて全身に黒色火薬を塗って火をつけて自殺する仕事人を演じていました。

 そんな緒形拳の主演作品となると、やはり『将軍家光の乱心・激突!』を挙げるべきでしょう。

 これは千葉ちゃんがアクション監督をつとめた時代活劇で、アクション映画としては悪い出来ではありませんでしたが、なんかストーリーに納得がいかなかったんですね。

 緒形拳率いる傭兵軍団は全滅してしまい、緒形拳も『明日に向かって撃て』のラストみたいに白黒のストップモーションに銃撃音が被さって終わるんですが・・・ストーリーはその後も続くんですね。

 あのテンポが蛇足に思える。むしろ、緒形拳が幼い若君と共に死んだと思わせておいて、ラストで城に二人でやってきて、家光が発狂して斬りかかるのを緒形拳がズバッと斬っちゃって、そんでもって、家臣が色めき立ってるところを若君が「ひかえろ! 余が四代将軍なるぞ」とか言って、皆、ハハァ~っとなっちゃうのなんかどうですか?

 20年くらい前の作品だから、緒形拳は50歳くらいだった筈で、千葉ちゃんとのアクションは大変だっただろうな~と思います。ちなみに、この作品には無名な頃の織田裕二も出てた。織田ちゃんは、『椿三十郎』で「時代劇は初めて」って言ってたけど嘘だよ。TV東の30分物時代劇でも主演してたんだもん。

 緒形拳の主演作では、TVのお正月の時代劇スペシャルでは藤沢周平の原作の元武士だった侠客を演じたのが良かったですね。タイトルは『夢追い坂の決闘』だったかな? 浅野君と南野陽子と平田満が共演してました。

 それから、石ノ森原作の刑事物の『お宮さん』も、最初は緒形拳が主演していて剣道が強いという設定で木刀でのアクションもありましたね。

 刑事物と言えば、工藤栄一監督の『野獣刑事』もありましたけど、TVの2時間サスペンス物の「名のない探偵シリーズ」も渋くてカッコ良かった。あれは元刑事の探偵という設定だったかな?

 でも、私が意外と印象に残っているのは、新刊本でも書いたように『GONIN2』の町工場の社長で元剣道日本一だった初老の男役で、ヤクザに殺された妻の仇を討つのに車の板バネを加工して日本刀作って、これでヤクザ供を斬り殺し続けて、主人公たち五人の女を助けて撃たれて死ぬんだけど、死ぬ間際に妻の死体の顔を見ると、男の目には妻が目を開いて自分を見ているように見える・・・あのホラーなんだけど何とも切ないシーンが凄く印象に残ってます。

 緒形拳さんが亡くなったのは、本当に残念ですね。まだまだ活躍できる年齢だったのに、肝臓ガンというのは怖いです。

 丁度、同じ時期に大麻栽培で捕まった俳優もいましたけど、同じ役者でも厳しく自分の芸を磨いて仕事に臨んで生きた人と、何となく役者になって芸を磨くこともせずに過ごしてきた者とでは大きな差ができるもんだと思いましたよ。
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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
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