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火薬はコワイね

 渋谷という東京の一等地で火薬による爆発火災が起こったというのは、驚きましたけれど、それがTVや映画のガン・エフェクトの第一人者として引っ張りだこだった、ビル横山氏の自宅兼事務所だったというのに二度、驚きました。

 ビル氏はウエスタン・ショーのエンターティナーとしても有名で、コルト・ピースメーカーを使ったウエスタン・ガンプレイが元々専門だったそうです。

 最近では、『スキヤキウエスタン・ジャンゴ』のガン・エフェクトの仕事が有名で、ガトリング・ガンの現代版ミニガンのステージガンを製作されていたようです。

 また、かつて新体道の青木宏之先生の“読み”の実力を測る対戦相手として指名されてTV番組で、モデルガンの早撃ちをしようとするのを青木先生が事前に察知して制する・・・という青木先生の“読み”の神業を見せてくれるのに協力されていました。

 来週、青木先生とお会いする予定なので、この時のお話をうかがいたいと思っていた矢先で、本当にビックリしてしまいました。

 事務所で「火薬の調合をしていて爆発させてしまった・・・」と話されているそうですが、あの爆発火災の状況を見ると、かなりの量、数kg、あるいは数十kgの火薬を扱っていたのか?とも思うんですが、あんな繁華街で許可が下りる筈もないし、無許可で大量に火薬を持って何かやっていたとしか考えられないんですね。


 自白しますけれど、私も学生時代に自主映画で使う特殊効果を自己流で研究していて、ラテックスでの疵メイクや、ブロードペイント(演劇用血のり)を水に溶いてコンドームに詰めて、モデルガン用のキャップ火薬をほぐしてストローを切った中に詰め、ムギ球(豆電球より小さいヤツ)のガラスをラジオペンチで割り取って芯を出したものを入れてテープで張り、9V電池とスイッチを繋いだ自作の弾着装置を作ったりしていました。

 それで、翌日、撮影で使う弾着をいくつか作っていた時、キャップ火薬をドライバーの先で外そうとした瞬間、ボンッと火薬が発火してしまい、机の上のいくつかほぐしておいた火薬にまでチリチリ・・・ピカッ!と引火してしまいました(無論、違法です。ゴメンなさい)。

 量が少なかったのと圧力をかけていなかったのでチリチリ、ピカッくらいで済みましたが、それでも作業していた右手の小指と薬指を軽く火傷してしまい、痛くて仕方ない。

 慌てて氷水に右手を浸しながら、でも、左手で作業を続けて弾着を二つ作って翌日の撮影に臨みましたよ。

 でも、本番で発火しなくて失敗・・・おかしいな~と思って現場でいじったらボンッと破裂してしまって、火傷まで負った労作が台なしになってしまいました・・・とさ。


 二十数年前の恥ずかしい若気の至りですが、私も規模は全然違うものの、似たような経験したことあるので、ビル横山氏の取り返しのつかない大失敗(奥さんとお母さんを死なせてしまった)は他人事とは思えなかったんですよ。

 マニアというのは、熱中しているうちに自覚のないまま基準線を超えてしまったりするものです。経験者が言うと説得力あるでしょ? だから、皆さん、取り返しがつかなくなる場合もあるから注意しましょう。

 ビル氏のようなプロであってさえ、このような大失敗を犯してしまう・・・ということは、往々にして起こるものです。

 けれども、日本のステージガンの特殊効果というのは極めて職人的な領域なので、容易に誰もが入り込めないものです。技能のある人が少ないので、今回の事件はそういう意味でも非常に残念ですね。

 どうも、因縁的なものも感じてしまうんですが、先頃、ガスをカートリッジに注入してBB弾を撃ち出す新型のリボルバー“カシオペア・システム”のシリーズが発売中止になりました。

 このガスカートリッジ・システムは、モデルガンの世界で神様とさえ呼ばれていた故・六人部登氏の苦心の労作にして遺作だったものを、モデルガン・ガスガンのメーカーとして知られるタナカが製品化したものでした。

 何だか、職人の魂が宿った執念の労作が簡単に否定されてしまうのは悲しいのですが、過去にも、カートリッジにガスを充填する形式のガスガンが、「ガスの代わりに火薬を詰めると金属弾を撃ち出せるから危険だ」として、発売中止になった例が何度かありました。
 一つは、ガスカートリッジを使う44マグナム・リボルバーをコクサイが発売した時、これも全く今回の理由と同じものでした。

 もう一つは、この失敗を鑑み、発射形式を工夫したガスカートリッジを使うアサヒ・ファイヤーアームズという会社が作ったウインチェスターM70ボルトアクション・ライフル(だったと思う)。

 これも、カートリッジに火薬を詰めて実験すると殺傷力が出るとされていました。

 けれども、これらの摘発には裏話もあって、ライバル会社がわざわざ問題の銃を改造して警察に持ち込んで販売中止に追い込んでいるというのです。

 これが事実だったら、実に嫌な業界ですね。

 本当かもな~?と思うのは、銃に詳しくないと、そんな改造なんかできないということです。そもそもガスカートリッジは火薬を詰める構造になっていないから、素人が花火の火薬とかほぐして詰めたりはできないでしょう。それ相応の機械加工をしなければならない筈です。

 個人的に思うのは、ガスカートリッジを改造して火薬を詰めて金属のベアリングとかを撃ち出すことは、一定の知識と技能と工作機械があれば可能だとは思います。が、問題は、そんなことをしたら本体が壊れてしまって暴発破壊されて撃った者が怪我を負うだろう・・・ということです。

 実銃だって、作りの粗雑なものは銃身が裂けたり、スライドがふっ飛んだりします。

 エアガンやガスガンは、所詮、玩具としての強度しかありませんから、実弾を何発も発射する耐久性はありません。火薬の爆発力でガタガタになって壊れるのが目に見えていますよ。

 そんなバカな改造をするくらいなら、部品を交換して強力なスプリングを使ったり、ガスの圧力を高めたりした方がずっと簡単ですし性能自体を高めることが可能でしょう。

 ですから、ガスガンやエアガンの威力規制が法で定められた訳ですね。

 そのことは正しい選択だったと思います。が、安全性を護るために知恵を絞ってシステムを開発している名もなき玩具職人の努力が踏み付けられたことが愛好家としては非常に残念ですね。

 タナカのガスガンは私も持っていますけれど、非常に精巧にできていて感動的です。これも六人部氏の開発した“ペガサス・システム”というシリンダーにガスを充填するものです。カシオペア・システムはそれをガスカートリッジに応用したものでした。

 この金融危機の御時世で、恐らく社運を賭けてトライしたであろう新システムのガスガンが販売中止に追い込まれたのは悔しいだろうな~と思いますね。

「これがダメだったら、エアガン、ガスガンはみんなダメになってしまうよ」という社長の叫びも無理がないと思います。

 でも、これも仕方がないんだろうな~?と思います。精巧に造れば造るほどに本物の銃に近づいてしまう・・・。そうすると規制の目が厳しくなる。これは自然な展開でしょうね。

 愛好家の観点と関心のない人達の観点では相応のズレがあり、社会は常に関心のない一般の人達の観点を優先していくものなんですから・・・。

 これはダガーナイフの規制に関しても同様です。明らかに論がズレているんだけど、そのズレてるのが世間なんですよね。

 誰もが自分の観点で判断する訳で、ならば多数派の論理が優先されていく・・・そういうもんです。そして、法律の規制は法を決める連中の価値判断で決定されていくんです。

 アメリカの銃規制がユルいのも、全米ライフル協会の力!

 日本の銃規制が厳しいのも、江戸時代の鉄砲規制が今に到るも続いていると思うべきでしょうね。

 マイナーなマニアの論理は世間一般では認めてもらえないものだ・・・という自覚だけは、謙虚に持っておかないとやっていけません。

 メジャーにならなきゃ意見は通らないよね~。



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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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