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世界空手道選手権を見て

 BSフジで世界空手道選手権を連日放送していたので、見ました。

 永岡書店のDVD教本の製作でお会いした香川政夫先生も、香川先生のまな弟子の永木選手の顔も見れて、取材している時のことも思い出しましたね。

 お弟子さん(佐藤祐香選手)が勝ったのを迎える香川先生の嬉しそうな顔を見て、私の書いた文章を「いや~、君の書いた文章は俺の言いたかったことが書かれていて良かったよ~」と目をほころばして誉めてくださった時の香川先生の顔を思い出しました。

 組手も形も両方で世界チャンピオンに輝いた偉大な空手家に誉めていただいたことは私の一生の宝ですよ。

 ゲスみたいな連中に悪口言われたってな~んとも思わないんですが、本当に優れた本物の武道家にお世辞でなく誉めてもらえると、やっぱり感慨も大きいんです。

 これまで誉められて嬉しかったのは、松田隆智先生と青木宏之先生ですね。私、悪口ばっかり言われてるから、余計に嬉しいですよ。

 武道やっていると人の欠点ばっかり見る癖ができてしまうから、他人を誉める人って実は凄く少ないんですよ。社交辞令は言っても人の良さを認める人って実際、ほとんどいないんじゃないかな~?と思います。

 香川先生も松田先生も青木先生も器が大きいんだと思いますね。


 さて、そんな思い出もあって、今回の世界選手権を見ていても、香川先生が解説されていた空手道のルールについて知ったこともあり、非常に熱く見れました。

 しかし、苦戦する日本空手という印象が強まったのが偽らざるところでした。

 形も組手も、日本のやり方が通用しなくなりつつある・・・あるいは、“認めてもらえなくなりつつある”のかもしれない・・・という印象を覚えるシーンが何度もありました。
 形の判定に関しては、「え~、それはおかしいよ」と思う判定が何度もありましたし、解説の前田先生もコメントに困っておられましたけれどね~。

 女子形の若林選手は結果は三位となりましたが、私は優勝していたと思いますよ。準決勝で若林選手に勝って優勝したベトナムのホワン選手は確かに上手かったですが、若林選手の演武は、軸の安定、丹田のキレ、ムチミ、意識は透徹して足先、手先に及び、眼精も申し分ないパーフェクトなものに見えました。

 あれで、どうして負けになってしまうのか、私にはさっぱり解りません。地味に見えたからなのか? しかし、あの内力の充実が判らないなら審判なんかやる資格ありません。

 男子形の選手は早々に敗退してしまいましたが、これもどこを見て判定しているのか?と疑問に感じるばかりでした。

「なんで、アレで負けになるんだよ? おかしいよ!」って、私は思わず口に出してしまいましたね。

 組手になると、女子無差別の佐藤祐香選手がブッチギリの強さを発揮して、ほとんどの試合を圧倒して勝っていきましたが、やはり、準決勝、決勝は薄氷を踏むような場面もありましたね。

 女子の無差別での日本人優勝は初の快挙だということですが、果敢に攻めていったところと、先々を取って上段突きで決めていったところが優勝の秘訣だったのではないか?と思います。

 53kg級の藤原菜希選手も優勝を決めて良かった。期待されていた荒賀知子選手は残念ながら敗退してしまいました(直後に引退を表明)が、総体的に女子選手の活躍が目立ちましたね。


 さて、組手の様子を見ていると、日本人選手は中段突きを決めるのが王道という認識があって、姿勢を定めて正中線を割って中段突きを入れる戦法が一般的でした。

 ところが、外国人選手はテコンドーから採り入れたであろうサイドキックで距離を保ち、リーチ差を利用して上段突きを入れる。そして、サークリングで回り込んだり左右にステップして目標を定めさせないようにしていました。

 見た目は軸が定まらず、手足がバラバラで統一感に欠ける“下手な空手”なんですが、そのラフな動きに翻弄されて攻め切れなかったり、足払いで倒されるシーンが非常に目立ち、パワーの差を印象付けられました。

 それと、日本人選手の中段突きが決まったか?と見えた瞬間に上段突きを合わせてくるので、見た目の印象で負けてしまう。「今のは中段突きが先に決まっているじゃないか」と思えても、ほとんど同時に顔面に入れば印象的に負けと取られるのは致し方もありません。

 優勝した佐藤祐香選手の決まり技は、ほとんどが上段突きでした。中段突きを取ってもらえないことを見越していたのではないでしょうか?

 決勝で上段への攻撃で過度の接触で減点された後、解説席では「上段は反則負けになるかもしれないから中段を狙うしかない」と話している最中に、堂々と上段突きを狙っていったことでも明らかだったと思われます。

 世界選手権で勝つには上段突きを決めるのが鉄則となるでしょう。

 日本の武道が世界に広がる時に最も注意しなければならないのは審判の技能の養成ということです。これを十分に考えておかなければ武道は競技スポーツの後塵を拝することになるでしょう。

 今回の試合内容を見る限り、形の判定のできる人をもっと育てていって、海外のおかしな形の評価をしている人達を駆逐できるようにしなければならないと思いました。

 また、組手に関しては、海外の選手は明らかに伝統空手の純粋培養ではないスタイルとなっており、構え、ステップワーク、足払い(投げ技)を崩す戦術的な技を工夫していかないと勝つのは難しくなる一方だろうと思いました。

 日本人選手の戦法として、良い部分は、“先を取って打つ点”であり、佐藤選手がこれを見事に体現していました。

 逆に戦法の弱点としては、相手との最短距離を真っすぐに詰めていこうとし過ぎる点にあると思いました。この戦法は、ステップワークで回り込んだり左右に動いている相手を目標に捉えるのは難しくなります。

 外国人選手の中には左右半身をスイッチする選手もいましたが、日本人選手はこれに戸惑って対応できなかったケースも見受けました。

 つまり、構えと動きが固定されてしまっていた訳です。完全に半身を取って前後に進退するだけでは足払いにもかかりやすくなってしまいますし(構えを変えれば簡単に防ぐことができるし返すことも可能です。恐らく足払いをあそこまで多用されると思っていなかったのでは?)、出せる技も限定されます。

 空手は基本は向身で構えますが、これは左右の突き蹴りを同等に繰り出せるものであり、その典型が“もろ手で突く技”であり、沖縄空手でいう“夫婦手”です。これがボクシングとは異なる“空手の理合”なのです。

 私が個人的に思うのは、自分の前手を相手選手の前手に接触させていきながら“夫婦手”で決める技を工夫していけないだろうか?という点でした。

 香取神道流の“橋かかる技”であり、太極拳の沾・粘・連・随の接触してそのままくっつく手法(新極真の塚本選手が使っていたそうですが、手技が使えなくなるので、そこから膝蹴りを連発していた様子です。私の考えたやり方ならそこからパンチが自由に出せます)を使っていけば、ステップワークに翻弄されずに正中線に割り込んでいけるのではないか?と思うのです。

 本来はそこで掴んで居着かせて打つのが確実なのですが、現行のルールではそれはできないでしょうから、これは妥協案なんですが、敢えてワンステップ付け加えることでリーチのない日本人選手の空手技を合理的に活かすことができると私は思うのです。

 具体的なやり方を解説すれば不完全な形で真似されると思うので、ここでは述べませんけれど、私は“日本人の勝てる武道”に貢献したいと思っています。

 もし、御関心のある指導者がおられましたら、研究家として助力は惜しまないつもりでおりますので、お声かけいただきたいと思っております。

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著者プロフィール

yusinryu

Author:yusinryu
長野峻也(ながのしゅんや)。武術研究家。游心流武術健身法主宰。
武術指導、アクション殺陣指導致します。映画等のコラムも書きます。
関係者の方、ご連絡をお待ちしております。
yusin_mail_from2006
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